第4回 RFPでのプロジェクト全体像の伝え方のポイント

アプリ・WEBなどのライトな開発の場合の
RFPの書き方

ポイントを理解したら、
手を動かしてRFPを実際に作ってみよう!

第4回 RFPでのプロジェクト全体像の伝え方のポイント

第4回 RFPでのプロジェクト全体像の伝え方のポイント

第4回、第5回、第6回では、前回解説した「プロジェクトの全体像」「具体的に提案してほしい項目」「RFPで提出を依頼するドキュメントの一覧」について、そのポイントを見ていきます。今回は、このプロジェクトで何を達成したいのかを効果的に伝える方法を解説します。

「プロジェクトの全体像」で伝える項目

①プロジェクトの背景
②プロジェクトの目的・目標・成果
③プロジェクトの大まかなスケジュールとリリースの目安
④プロジェクトでターゲットとするペルソナ
⑤プロジェクトの競合情報

◇プロジェクトの全体像を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化する

「大規模システム向け開発」「ウェブやアプリなどのライトな開発」を問わず、プロジェクトには様々な制約がついてまわります。こうした制約条件については、通常「ヒト・モノ・カネ」で説明されることが多いですが、ここではより具体的に「人的・組織的制約」(ヒトのマネジメント)「時間的制約」(モノができあがるまでの時間)「予算的制約」(カネの割り振り)で、RFPの全体像を明確化していきます。

「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」

①プロジェクトの背景を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

プロジェクトの背景では、そもそもこのプロジェクトがなぜ立ち上がったのかを説明します。
例えばウェブサイトのリニューアルであれば、下記のようになります。

「弊社は海外の各種ブランド品を扱う輸入代理店です。これまで社内の人間でコンテンツの更新を行っていたが、専任の担当者を置くことが難しく、更新時間も十分に確保できずに中途半端になっていた。来年度の予算でコンテンツマーケティングを含めて、予算を拡充したので、CMSを導入して外部のライターに記事の投稿をしてもらうような仕組みを導入したい。
また、ウェブサイトを単なる企業紹介ではなく、見込み客を見つけ出す役割を持たせたい。」

この「背景説明」には、下記の要素が盛り込まれているので、開発会社が提案をしやすくなっています。

「人的・組織的制約」:専任の担当者がいなくても外部スタッフで更新できるシステムが欲しい。
「時間的制約」:HTMLを触らなくても良い使い勝手仕組みがほしい。
「予算的制約」:予算の確保は済んでいるので、現在のシステムの小手先の改変ではなく思い切った提案もして欲しい。

最初にパっと「背景」説明を見たときには気が付かなかったかもしれませんが、このように、開発サイドの提案を引き出しやすい、適度に「隙」のあるRFPには「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」の要素がきちんと盛り込まれているのです。

以下、他の項目も簡単にポイントを整理してみましょう。

②プロジェクトの目的・目標・成果を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「今回のリニューアルでは、ウェブサイトを集客装置にして問い合わせ件数を増加させ、営業マンが営業先リストとして使えるデータを整備したい。ただし、営業を支援するマーケティング部署というものがないので、ウェブで獲得できるリストは自動的に営業マンが使える状態にして欲しい」

「人的・組織的制約」:ウェブサイトから取得できるデータを整備する人員が割けないので、エクセルなどへのデータ加工自動化も必要?
「時間的制約」:営業マンが毎日の営業活動ができるように、タイムリーに更新されるリストが欲しい。
「予算的制約」:データ加工を行う人材を配置する予算はないので、営業マンが直接データを閲覧できると便利。

RFPでのプロジェクトの目的・目標・成果は、企画書とは違いますので、夢を語るものとは違ってきます。また、計画の実施にまで踏み込んだものでもありません。

現在の課題やこれだけは実現したい、可能ならばこうしたことも実現したいというざっくりとした希望をまず箇条書きにして、その後「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で整理します。
「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」はこちら側として考えている制約でかまいません。

こちら側の制約をきちんと伝えることで、開発会社側から「人的・組織的制約は予算を使って自動化を盛り込むことで解決できます」とか、「時間的制約については、優先順位をこう付けて1年ががりで完成形を目指しましょう」とか、「予算的制約につていは、PPCなどのプロモーション費用を削ってSEOできちんと集客できるウェブにしましょう」などの提案がやってきます。

③プロジェクトの大まかなスケジュールとリリースの目安を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「問い合わせ窓口のUIが良くないのはすぐにでも直したい。また現在はフォームからinfo@あてにメールが飛ぶようになっているが、担当者が手作業でエクセルに集計している状態。これを直接エクセルにデータがたまる形にしたい。また、できれば営業部署からリストを見れるようにしたい。
将来的にはデータベースに格納して、見込み客を育てるようなナーチャリングもしたいという意向(特に上層部)あるが、時期は未定。」

「人的・組織的制約」:ウェブ担当者がいちいち営業との間に立たなくても、営業マンが見込み客データを活用できるようにして欲しい。
「時間的制約」:ナーチャリングもしたいが、まずは他の部分のリニューアルを行い、将来的に段階的に実施したほうが良いのかもしれないという思いもある。
「予算的制約」:データベースを導入すると費用の0の数が一つ増えそうだが、予算感を知りたい。

ここでも、RFPは計画書ではないことを思い出しましょう。「見込み客を育てるようなナーチャリングもしたいという意向(特に上層部)あるが、時期は未定。」などのようにざっくりとした書き方でかまいません。

ただし、「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」のポイントだけははっきりさせておきます。

④プロジェクトでターゲットとするペルソナを「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「現在は新規の顧客を獲得するためのウェブサイト、という位置づけなので、ペルソナもそれに準じます。しかし予算が合えば既存顧客に対してアップセルやクロスセルを仕掛けたいので、すでにブランド物を多数所有している富裕層もターゲットになります」

「人的・組織的制約」:既存のマーケティングデータを管理している部署との作業の連携がポイントとなりそう
「時間的制約」:いつまでに、アップセルやクロスセルを仕掛けられるようになるか知りたい
「予算的制約」:すぐに全部でなくても段階的にどのくらいの予算をかければ何年くらいでできるようになるか知りたい。

⑤プロジェクトの競合情報を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「現在、当社は品揃えと価格では競合他社を一歩リードしているポジションにいますが、店舗のブランド力で劣ると認識しています。そのため、インターネットを使ったブランディングや広告戦略を本格展開したいと考えています。このため、見栄えの良いデザイン的に洗練されたサイトを望んでいます。
また、プロモーション費用に関しては、年間で360万円をウェブサイトリニューアルとは別に確保しているので、ご提案をお願いします。ネット広告に関しては、丸投げは考えておらず、雑誌広告などを手がける部署にノウハウが残る形にしたいという希望を持っています。」

「人的・組織的制約」:SNSなどを使ってブランディングをする場合、専任担当者1名では足りない作業が発生するのか知りたい
「時間的制約」:ネットでのブランディングにはどのくらいの期間が必要なのか知りたい
「予算的制約」:ブランディングを実施するためには広告予算の他に、どんなプロモーション費用が必要になってくるのか知りたい

【まとめ】

RFPは「企画書」でもなく「計画書」でもない、ということが段々とお分かりいただけてきたと思います。かといって、現状をそのまま「ドン」とぶっきらぼうに箇条書きにしても開発会社も困ってしまいます。

要点を項目ごとに整理した後は、「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」についてどのような制約がありそうかについて、できるところまで整理してあとは開発会社のアイディアの提案をまつ、これが基本的なRFPの作り方になります。