第6回 RFPで提出を依頼するドキュメントの一覧はこうやってリストアップする

アプリ・WEBなどのライトな開発の場合の
RFPの書き方

ポイントを理解したら、
手を動かしてRFPを実際に作ってみよう!

第6回 RFPで提出を依頼するドキュメントの一覧はこうやってリストアップする

第6回 RFPで提出を依頼するドキュメントの一覧はこうやってリストアップする

第4回、第5回、第6回では、前回解説した「プロジェクトの全体像」「具体的に提案してほしい項目」「RFPで提出を依頼するドキュメントの一覧」について、そのポイントを見ていきます。今回は、このプRFPで提出を依頼するドキュメントの一覧を過不足なく効果的に伝える方法を解説します。

「RFPで提出を依頼するドキュメントの一覧」

①プロジェクト計画書
②実施体制表
③サイト/アプリ設計書
④デザイン設計書
⑤システム設計書
⑥SEO対策計画書
⑦運用ガイドライン
⑧保守運用計画書
⑨バージョンアップ計画表
⑩議事録

◇ドキュメントを「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で整理する

第4回と第5回で「全体像」と「具体的に提案して欲しい項目」の明確化が完了しました。
第6回ではその仕上げとして「提出を依頼するドキュメントの一覧」について、「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」(カネの割り振り)を使って明確化していきます。

「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」

①プロジェクト計画書を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「当社では基本的に丸投げをせず(ただしシステム的な運用は除く)、各種ノウハウを社内に蓄積したいと考えていますので、その前提を踏まえた計画書をご提出ください。」

「人的・組織的制約」:最大で投入できる人員は専任1名の他、マーケティング部署1名、営業部署1名、データ管理部門1名、ウェブ部門1名、顧客サポート担当1名となります。
「時間的制約」:段階ごとにKPIの何が達成できるかを明示してください
「予算的制約」:段階ごとにどの項目にどのくらいの費用がかかるかが分かるようにしてください。

ここまでで、要望を箇条書きにしてその要望を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で整理する、というシンプルな方法にだいぶ慣れてきたと思います。

「各種ドキュメントはそれこそ専門的領域だから、開発側の提案を待てば良いんじゃないの?」と思ってしまうかもしれませんが、そうではありません。

ここでも、「こんな点が分かるようにドキュメントを作って欲しい」という要望をキチンと伝えないと、提案書ではなく、ガチガチの「仕様書」がフィードバックされてしまうことにもなりかねません。

RFPはあくまでキャッチボールを開始するためのものなので、「こちらが受け取れるたまを投げ返してくださいね」という補足を必ず入れておきましょう。

具体的な方ほとしては、ここでも各ドキュメントについて「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で実情を伝えることが大切になってきます。

②実施体制表を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「○などの横断的組織を作りますので、役割分担が分かるように作成して下さい」

「人的・組織的制約」:チームの役割分担が分かる図を作ってください
「時間的制約」:将来的に人員を増やしたほうが良い部分はご指摘ください
「予算的制約」:将来的に予算がかかってきそうな部分はご指摘ください

最終的に図にしてもらうなどが必要ですが、どういう点をまとめて欲しいのかをキチンと伝えましょう。

③サイト/アプリデザイン・機能設計書を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「初回の大きなリニューアルの後は、細かい改修を弊社プロジェクトチームと一緒に進める形での開発をお願い致します。アジャイルという方法に関心があります。アジャイルという方法を採用した場合の「人的・組織的」「時間的」「予算的」ポイントについて記入してください。」

機能やデザインの設計図に関しても、ただ提案を受け取るだけでなく、自社の抱えている問題点が解決できているかどうかが大切です。

④デザイン設計書

「デザインは他社事例やモックアップ、カンプ、ワイヤーフレームなどを使って、ビジュアル的に分かるようにしてください」。

これについては、「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化の要素はありません。

⑤システム設計書を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「最初のリニューアルで 何をやるべきか、年間を通じて何をやっていくかを明確にして、「人的・組織的」「時間的」「予算的」ポイントについて記入してください。」

「納品してその業者とはもう関係が切れる」ということが最初から決まっている場合を除けば、特に時間的制約がポイントとなってきます。段階を追ってどんなことが実現できていくのかが分かるようにして欲しい、というリクエストが必要です。

⑥SEO対策計画書を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「外部ライターを使ってコンテンツマーケティングを実施したいと思っているので、実施のフローも含めてご提案ください。KPIの策定や、Googleアナリティクスをどうやって使っていくか、PDCAの回し方がイメージできるものにしてください。」

「人的・組織的制約」:全体を統括する専任1名の他に、理想的にはSEO担当専任も必要なのでしょうか?
「時間的制約」:SEOの効果はいつ、どの程度見込めるものか明記してください。
「予算的制約」:段階的に予算を増額したほうが良い部分に関しては明記してください。

⑦運用ガイドラインを「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「システム的なメンテナンスは丸投げの形でお願いします。何にどれくらい予算がかかるかがひと目で分かる形に整理してください」(経営陣への稟議書に使います)

⑧保守運用計画書を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「基本的に丸投げを考えておりますが、何を実施するのかが素人でも分かるように記述して下さい」
(経営陣への稟議書に使います)

⑨バージョンアップ計画表を「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化

「年間の細かな改修によって、どんな改善が望めるのかを明らかにして下さい」

「人的・組織的制約」:細かなバージョンアップを繰り返すうち、将来的に人的・組織的体制の拡充が必要かどうか明記してください
「時間的制約」:細かなバージョンアップでどの段階で何が実現できていくのか明記してください
「予算的制約」:細かなバージョンアップでどのくらいの予算を確保しておくべきか明記してください

⑩議事録

「各種議事録については今後も基本的に御社で作成願います。」

これについては、「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で明確化の要素はありません。

【まとめ】

さて、第4回、第5回、第6回で、RFPの書き方を実際の具体例をもとに見てきました。RFPは「企画書」でもなく「計画書」でもない、ということがお分かりいただけたかと思います。

もういちど、RFPの言葉の意味を確認しますとRFPとは「Request for Proposal」です。

「開発会社に対して Proposal(提案)をRequest(要望)する書面」ですので、こちらから出すドキュメントも、開発側から来るドキュメントもきちんとした「企画書」や「計画書」を高めるための準備段階である、という意識を持つことが大切です。

準備段階といっても、ここまで具体的にRFPの書き方を見てきた読者の方はおわかりのように、「キチンとしたものを作る前のいい加減なもの、曖昧なもの」というわけではありません。

取り組んでみるとすぐにお分かりいただけると思いますが、むしろ、「人的・組織的制約」「時間的制約」「予算的制約」で要望を整理することはかなり労力のいる作業です。

しかし、この作業こそが表面的には現れていなくてもプロジェクトの成功を左右するよな決定的な要因であることが多いのです。社内でRFPづくりのための会議を繰り返すことで、まだ顕在化していなかった問題が見えてきます。そして、その問題を「貴社ならどう解決できますか?」と問いかけるのがRFPです。

そこまでポイントが整理させていれば、開発側は提案の段階から案件に積極的に関わってくれること間違いなしです。

この後、第7回から第9回までは、実際に担当者の方が作ってみたRFPを、専門家が添削するというスタイルで、さらにRFP作成の理解を深めていきます。