CADとAR/VR 2018年以降の課題と展望


2016年はVR/ARにとってターニングポイントとなる年で、「VR/AR元年」と呼ばれました。Oculus RiftやVineなどのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の発売がその要因となっていることはご存知の方もお多いと思います。今回はこの数年のVR/ARの進化について少しだけ振り返り、2018年以降の展望について考えてみましょう。

 

 

2016年以前のVR/ARの状況

 

1990年代に任天堂の「バーチャルボーイ」が発売されるなど、主にアミューズメントの領域で散発的に製品が投入されてはいたものの、あまりヒットはしませんでしたね。アミューズメント以外としては、フライトシュミレーターなどの航空業界や軍用などで一部実用化されてはいたものの、専用システムのため高価で汎用性が低いといった状況でした。

VR/ARが普及するための背景となる技術としては、コンテンツを制作する環境が整うこと、とそのコンテンツを再生するためのハードやデバイスの性能の向上が必要です。例えば、3DCGを使ったコンテンツについてはゲーム領域で進化をし、VR/ARに利用できる十分なクオリティのバーチャル空間を作り出すことができる能力を手にするようになってきました。また、ハードウエアもそれぞれに高性能化し、ついに2016年になって「VR/AR元年」と呼ぶにふさわしい製品が登場します。

 

 

VRデバイスの登場

 

2016年に登場した廉価版HMD

 

HMDのOculus Riftは2012年にKickStarterに登場し、わずか3日間で100万ドルを集めたことで話題になりました。その後、2014年にFacebook社が20億ドルで買収し2016年になってOculus Riftが発売されます。Facebook社は世界最大のSNSを展開する企業ですが、ここ数年はVR技術に対する投資を積極的に実質しています。2015年にはFacebook傘下となったOculus VR社が現実を3D空間に再構築する技術をもつSurveal Vision社を買収、モーショントラキング技術を持つPebbles社を74億ドルで買収しています。ちなみに、写真共有型のSNSサービスであるInstgramも2012年にFacebookが買収していますが、その時の買収額は10億ドルですので、VRの将来にかなりの期待をかけて投資をしていることがわかります。

2016年に登場したHMDとしてはHTCのViveも注目されます。それぞれ本体価格と専用コントローラーを含めた価格は10万円を切っており一般のユーザーにも手に入りやすい価格帯になっています。どちらもPCに接続して使用するので、ある程度の性能のパソコンは必要であるという点には注意が必要です。ゲーム機に接続して使用するタイプとしてはソニー・インタラクティブ・エンタテイメントのPlay Station VRがやはり2016年に発売されました。こうしたHMDというVR空間を体験することができるデバイスが揃って登場したことでVRが注目を集める年となりました。

 

スタンドアローンで動作するHolo Lens

 

2016年はマイクロソフトからHolo LensというPCを必要とせずスタンドアローンで使用することができるタイプの製品も発売されています。価格的には30万円を超えますので、まだ一般的なユースとしてはハードルが高いようですが、2018年にはこうしたスタンドアローンで使えるVRデバイスもいくつかラインナップされるようですので、普及が加速し、価格的にも落ち着いてくる可能性はあります。

 

 

2017年はビジネス分野での活用が広がる

 

このように2016年に一気にブレイクした感のあるVRですが、2017年には製造業や建設業などのビジネス分野での活用が進んでいます。NASA(アメリカ航空宇宙局)や航空各社ではHolo Lensを導入して訓練や開発用のデバイスとしての利用例が報告されています。2017年12月には積水ハウスが独自の技術を使ってCADデータからVR空間に住宅を構築し、それを顧客に体験してもらうサービスを発表しました。住宅購入の際のプレゼンテーションに活用する事例です。このように、アミューズメント分野や特殊で限定的な用途で使われてきたVR技術ですが、今後はあらゆるビジネスの場面や日常的な生活の中で利用される可能性が広がっています。

 

 

VRコンテンツを作成する環境

 

ゲームなどの3DCGの構築

 

ここまで紹介したように、VR体験が手軽にできるハードウエア的な環境が整いつつあります。それではコンテンツを制作するソフト側はどのような状況でしょうか?ゲームなどのアミューズメントで3Dコンテンツを作る場合にはポリゴンを使います。物体の表面形状を扱うのに特化しているため、滑らかな造形が可能で、データ容量も抑えることができるという特徴があります。

 

建設・製造現場での3Dコンテンツ作成

 

ところが、建設現場などでは3DCADで設計図を作成しますが、これはソリッドデータと呼ばれポリゴンで作成されるデータとの直接的な互換性がありません。数値で制御されるため正確な3Dデータの構築が可能ではありますが、データ容量が大きい、滑らかで複雑な形状の物体を表現しにくいなどという特徴があります。そのため、3DCADで作成したデータをVR用に変換するにはそれぞれのベンダーや利用者側で独自のアプローチをとっている状況です。先に例として紹介した積水ハウスの場合は独自のCADデータをCGレンダラーを用いて360度パノラマVRに変換する作業を自社内で完結させています。

そもそも、VRコンテンツを作るための統合環境としてはUnityやUnreal Engineがゲームエンジンとして大きなシェアを占めていますが、3DCADで作成したデータをこれらのゲームエンジンでは直接は利用ができません。何らかの変換を加えなければならない点が建設や製造現場で利用できるVRコンテンツを作る際のネックになっています。

 

 

2018年以降のVR/ARの拡大のために期待される点

 

2017年に一気に利用が拡大した産業でのVR技術の活用ですが、今後はこうしたCADデータをシームレスにVRコンテンツに変換できるようなソフトウエアの開発が求められます。2017年にはDassault Systems(3DCAD CATIA)やシーメンスなどのCADベンダーがVR機能を提供するというアナウンスをしてはいますが、まだ機能的には十分と言えない状況です。Unreal EngineのユーザーグループがCADデータのダイレクト変換ソフトを開発中というニュースも出てはいますが、現時点ではまだプレビューまでのようです。

2016年が廉価版デバイスの発売でVRが身近になった年、2017年がそうしたVR技術がアミューズメント以外のビジネス場面に広がりを予感させた年と位置付けられます。2018年以降はこうした広がりを受けて、様々な場面で使えるコンテンツが容易に作れるような開発環境が求められています。すでにある豊富なCADデータを簡単にVRコンテンツに変換できるようなソフトウエアが出現することによって、爆発的に利用が加速されることが期待されます。UnityやUnreal Engineというゲームエンジンが低価格で提供されるようになって、資本を必要としないゲーム開発が可能になったように豊富なVRコンテンツが手軽に作れるようになるでしょう。

2016年に始まったVR/AR技術の広がりは2018年になってますます加速することは確実です。開発環境の進化や廉価版のハードウエアの投入などについて比較検討し、それぞれのビジネスに対してどのような活用ができるかを考慮することが必要となりそうです。今後は、特殊な場面ではなく一般のビジネスの現場でもVR/ARを活用した営業やプレゼンテーションが重要となってくるでしょう。これまでのビジネスのスタイルを大きく変える可能性のある技術ですので、乗り遅れないようにしっかりウオッチしていく必要がありそうです。

 

 

 

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