Siriが車を運転する未来〜Appleが注目する自動運転車の可能性とは?
みなさんは「未来の車」と言われて、どのようなものを思い浮かべますか?
「空を飛ぶ車」・「チューブ状の道路を走っていく車」といった感じでイメージは色々ですが、それに並んで多くの方が思い浮かべるであろう物に「完全自動運転」があります。
自動運転なんてSFの世界、遙か未来の話のようにも思えますが、実は意外と近い所まで時代は進んでいるのです。
今回は、そんな自動運転車にまつわる最新事情と、意外なあの企業の関わりをご紹介しましょう。
もはやコンピューターとは切り離せなくなった自動車
かつて、自動車はコンピューターとは全く縁がなく、必要な制御は人間の手によってアナログなかたちで行われていました。
しかし、現代の自動車ではこうしたケースは極めて珍しく、殆どの車種はエンジンやブレーキなど多くの箇所でコンピューターによる電子制御が行われています。
今では当たり前になったリモコン型のキーも、コンピューターがなければ搭載出来ない物です。
自動運転にも種類がある?レベルって何?
さて、こうした電子制御を発展させていく中で、自ずと技術者達の考えに浮かんでくるのが「自動運転」の技術。
ところで、みなさんはこの自動運転技術に、レベルが存在する事をご存じでしょうか?
一口に自動運転といっても、実際の技術レベルはメーカーや車種によりさまざま。これでは分かりづらいということで、対応できる機能に応じたレベル分けが用意されています。
この分類は現在0から5までの6段階評価となっていますが、そのうち自動運転と見なされるのはレベル3以上です。
<>h3自動運転技術のレベル分類(SAE定義のレベル分類を基に筆者作成)
レベル0……運転支援等一切なし
レベル1〜2……運転支援(ドライバーの運転の補助)
レベル3……基本的には自動で運転されるが、必要に応じて人間に運転を交代する(ドライバーはいつ運転が必要になっても良いよう、待機状態を保つ必要がある)。
レベル4……全て自動で運転が行われ、ドライバーは運転を行う必要がない。何らかの理由で運転継続が困難な場合も、極力安全なかたちで停車する。
レベル5……全て自動で運転が行われ、無人で運転しても構わない。レベル0の自動車が走行可能な場所であれば、どこでも走ることができる。
現在販売されている自動車の多くは、最大でもレベル2の運転支援レベルに留まっています。
一応、市販車でレベル3のものがない訳ではないのですが、実際にこのレベルの自動車が当たり前になるのは、あと数年先の話になりそうです。
自動車業界だけでなく、多方面から注目を集める自動運転技術
ここまで自動運転技術のレベルや現状をお話ししてきましたが、こうした自動運転技術に関心を持っているのは、何も自動車メーカーに限ったことではありません。
実は、自動車メーカー以外のテック系企業からも、今この自動運転技術がにわかに注目を集めているのです。
例えば、Google検索やAndroid OSの開発でお馴染みのGoogleは、既に2010年の段階で自動運転技術の開発計画をスタートさせています。
Googleの自動車というとGoogleストリートビューの情報を集めるGoogleカーを思い浮かべるという方もいらっしゃると思いますが、これとは別に自動運転の技術開発を行っているのですね。
一方、そんなGoogleのライバルとして挙げられることの多いAppleも、2016年頃から自動運転に関する投資を行っており、翌2017年以降は公道でのテスト走行も開始しています。
しかし、一体何故自動車メーカー以外の企業、それもこれまで自動車とは縁もゆかりもなかったテック系企業が、この技術に参入しようとしているのでしょうか?
▽Google VS Apple ヘルスケア編
自動運転の鍵を握るAIの技術
人間を必要としないレベルの自動運転を実現する為には、ものすごく乱暴な言い方をすれば、人間と同レベルの判断力をもった存在を用意すれば良いということになります。
そして、それを実現するための鍵となる技術が、こちらも今話題となっているAI。
このAIは近年急速に私達の生活に浸透してきています。
例えば、スマートフォンで撮影した写真を自動で綺麗にしてくれる機能や、声で呼びかけると適切な答えを返してくれる音声アシスタントなども、AIを使ったサービスの1つ。
また、誰もが一度は使った事があるであろうGoogle検索も、検索結果の表示順確定にAIが関わっています。
このように、現在テック系企業にとってAIは大事な武器の1つなのですが、これをPCやスマートフォンの世界に限定するのはいささかもったいない話。
また、PCの世界のWindows OSのように、分野を問わない汎用AIとして自社の技術が普及すれば、将来に渡って莫大な利益を生み出す源泉にもなり得ます。
AppleやGoogleが実際にどのように考えているかはわかりませんが、こうした狙いも少なからずあるのではないかと、筆者は考えます。
Appleの自動運転車がもたらす可能性〜未来はこうなる?
実際にAppleの自動運転車が実用化された時、私達の生活はどのように変わるのでしょうか?
ここからは、Appleを例に挙げ、筆者の未来予測をご紹介しましょう。
202X年のある日の風景
Aさんは自宅から数キロ離れた最寄り駅まで、車で移動しようと考えています。
「Hey,Siri!車を呼んで」
呼びかけると自動で配車アプリが起動し、目的地を訪ねてきました。
そこで再びSiriに目的地を告げれば、自動で車を呼んでくれます。
『10分程度で到着予定です』
告げられたその時間に合わせて、Aさんは戸締まりをして、家の前へ出ました。
目の前には、最新式の美しい電気自動車。車に搭載されたFace IDカメラがAさんを検知すると、ドアが開きます。車内は無人で広々としているので、ゆったりと過ごすことも可能です。
『出発いたします』
車は緩やかに走り出しました。
この時代、タクシーとシェア自動車のサービスは一体化し、区別がなくなっています。
シェア自動車も結局はアプリで自宅付近まで車を呼び寄せる利用者が多く、無人運転が当たり前の時代には、タクシーの迎車サービスと大差がなくなってしまったという訳です。
『A様、体調が優れないようですが、先に〇〇病院にお寄りになりますか?』
Aさんが腕に付けていたApple Watchのセンサーが体調不良を検知、自動車に搭載されたSiriに状況を伝えます。
急ぎの用事でもなかったAさんは、助言通り、目的地を病院へ変更することにしました。
『到着です。ご利用ありがとうございました』
車を降りると、Apple Payで利用料が自動決済されます。
病院の診断結果は軽い風邪。薬を貰ったAさんは、予定を変更してもう一度タクシーを呼び、帰宅したのでした。
自動運転技術の先にあるものがAppleの真の狙い?
ここでご紹介した例は、あくまでも1つの可能性に過ぎません。
ただ、現在Appleがもっている多くのサービスやハードウェアと自動運転を組み合わせることで、単なる自動運転車以上の未来が拓ける可能性は十分にあり得ます。
恐らくは、Appleもそれを見越して技術開発を行っているのではないでしょうか。
また、自動運転では運転の主体が人間から自動車側に変わる為、法律や自動車保険の仕組みも大きく変わることが予想されます。
近い将来、自動車と一緒にAppleCareを購入する日がやってくるかもしれませんよ。
まとめ
自動運転の技術は、実は思っている以上に、私達の生活を大きく変える可能性が秘められています。
これから先、超高齢化社会を迎える日本にとっても、自動運転は重要な技術。
今後も、自動運転を巡る各業界の動きは要注目といえるでしょう。
▽Appleに関する記事はこちら
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