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ソフトバンクと東急不動産のスマートシティ計画

2019年7月9日、ソフトバンク株式会社は自社のプレスリリースで、最先端技術を活用したスマートシティ計画を東急不動産とともに実施することを発表しました。

東京都の竹芝地区で行われるこの計画が成功すれば、スマートシティのモデルケースを構築する大きな1歩となり、テクノロジーによる地域の発展や課題の解決を実現することができます。

しかし中には「スマートシティって何のメリットがあるの」と疑問に思う人も多いはず。

そこで本記事では、「スマートシティとは何か」「今回の竹芝地区での計画」を解説。

同時に海外の成功例や失敗例を紹介し、スマートシティ計画を実現させるために必要なことを分析しているので参考にしてください。

スマートシティとは

そもそも「スマートシティ」とは、次世代の先端技術である「IoT(モノのインターネット)」を活用することで、生活の質を高めることを目的とする都市のことです。

生活インフラやサービスの効率化を図り、環境に配慮しながらエネルギー問題などを解決できる取り組みとして注目されています。

【具体例】
・ 事故を防いでくれる自動運転
・ 家庭用のロボット

またスマートシティには「次世代都市型プロジェクト」と「再開発都市型プロジェクト」の2種類があります。

  1. 次世代都市型プロジェクト:中国など急激に都市が拡大している新興国が中心
  2. 再開発都市型プロジェクト:日本など基礎インフラが整備済みの先進国が中心

新興国の場合は「新しい都市の形成」、先進国の場合は「老朽化した設備の管理」など、それぞれ抱えていえる課題が違うので状況に合わせて適切なアプローチが必要です。

今回のスマートシティ計画の基本情報

名称 (仮称)竹芝地区開発計画
所在地 東京都港区海岸一丁目20番9他
敷地面積 約15,590㎡
開業 2020年(予定)

(参照:ソフトバンク プレスリリース)

今回のソフトバンクと東急不動産によるスマートシティ計画は、上記のように東京都の竹芝地区で実施されます。

スタート時期は2020年予定で、具体的には下記の活用事例が紹介済みです。

活用事例①:環境の変化に適応した行動を促すアプリケーションの導入
活用事例②:企業による竹芝地区のデータ活用

活用事例①

最初の活用事例は、「環境の変化などに応じて、最適な行動を促すアプリケーションを導入」することです。

具体的には気温やCO2濃度の変化、歩行者の滞留、交通機関の遅延といったデータをリアルタイムで収集することで、竹芝地区での行動を最適化することが挙げられます。

「スタッフ間での情報共有の効率化」:映像解析やセンシングで不審者らしき行動を検知した場合、問題が発生した場所の近くにいるスタッフに状況を通知
「飲食店での混雑状況を可視化」:ユーザーが空席状況を把握してからの来店が可能
「交通機関の遅延情報チェック」:代替の交通手段を提案

つまり最新技術を活用することで、日常的に起こる可能性が高いトラブルに迅速かつ効果的に対応することが可能になるということです。

スマートシティと聞くと「自分とは関係ない」と感じる人も多いと思いますが、実現すれば私たちの生活が豊かになる魅力的な計画になっています。

活用事例②

2つ目の活用事例は、「企業による竹芝地区のデータ活用」です。

竹芝地区に設置予定のカメラやIoTセンサーで収集したデータを、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で取得し、企業等による活用を推進します。

・ 混雑状況のデータを収集:竹芝地区内の企業は、社員に最適な通勤時間を提案可能
・ 店舗による集客:混雑状況に応じて、店舗側が割引クーポンなどを発行

他にも竹芝地区内の企業による施策はさまざまなものが期待でき、スマートシティ計画が成功すれば「ただ暮らしやすい」だけでなく「日常生活にお得感をプラス」してくれる可能性も高くなるでしょう。

海外でのスマートシティ成功例

スマートシティ計画は日本だけでなく世界中で注目されており、実際に成功した事例も存在します。

スペインのバルセロナでは新産業(知識集約型)とイノベーションを生み出すために、2000年から大規模なスマートシティ計画が進行中です。

・ スマートバス
・ スマートな水資源管理
・ スマートバスストップ
・ スマートなごみ収集管理
・ スマートパーキング
・ スマートライティング

スマートシティを整備することで上記のようなインフラを実現し、ICTやメディア、研究機関などの施設が集積。

日常生活やサービスに変革をもたらし、産業の活性化、雇用の拡大につながっています。

その経済効果は絶大で、年間89億ユーロ(約1兆円)価値相当の取引増加を実現する程です。

また2014年3月には欧州委員会がバルセロナ市を、欧州内で最もイノベーションを創出し、生活のクオリティを向上させている都市に選定しました。

参照:シスコシステムズ合同会社「スマートシティの事例」(2016年11月)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000447791.pdf

海外でのスマートシティ失敗例

スマートシティは成功例ばかりでなく、うまくいかなかった失敗例も存在します。

代表的なのが「LinkNYC」と呼ばれるスマートシティ計画で、2015年にニューヨーク市内5区でスタートし、公衆電話ボックスの代わりに10,000万台の「インタラクティブキオスク」を設置するといった内容。

・ 24時間365日にわたって無料のWi-Fiを提供
・ 広告などを表示してくれるデジタル掲示板を搭載
・ USB重電機やヘッドフォンジャック など

上記のようにユーザーにとって非常にありがたい技術が活用されましたが、あまりにも目立ちすぎたために、キオスクは多くが乱用・破壊される結果に。

ニューヨーク市は、このインタラクティブキオスクを利用したスマートシティ計画を見直すことになりました。

竹芝地区のスマートシティ計画が成功するために

海外の成功例や失敗例を分析すると、スマートシティ計画を実現するためには、官民連携の他に企業の協力が必要だということが分かります。

つまり行政、ユーザー、企業の3社が力を合わせることで、初めて効果的なスマートシティが誕生するということです。

具体的には、「スマートシティがもたらすメリットや効果を行政や企業がユーザーに説明する」などが挙げられ、一方的な理解ではなく双方向の理解が求められています。

今回の竹芝地区で行われるスマートシティ計画は、ソフトバンクと東急不動産の合同施策。

どちらも日本を代表する企業なので、技術力やノウハウの課題よりも、スマートシティ実現後にどのようなメリットが提供できるかユーザーに説明することに力を入れるといいかもしれません。

 

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