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BIM普及のカギとは?普及状況や導入前の課題をあわせて解説!

建築に関わっている人からすると「BIM」という言葉は浸透してきているものの、実際のBIMソフトウェア自体は建築業界に完全に定着しているとまでは言えない状況です。BIMは導入までのハードルが高いといわれることもありますが、実際は何がBIM導入の阻害要因になっているのでしょうか。この記事ではBIMの普及状況やBIM導入の阻害要因、BIMを普及させるためのポイントについてご紹介します。

BIMは建設業界に普及しつつある

2019年に建設関連の団体が発表したBIMの普及状況に関するアンケートから、BIMの普及状況についてご紹介します。

日本建設業連合会がゼネコン各社に対して実施した調査によると、2018年時点でBIMを導入済みだと回答した企業は全体の76%。2016年に実施した同アンケートの場合はBIMを導入している企業が60%だったことから、BIMは建設業界に普及してきているといえます。(*1)

一方、日本建築士事務所協会連合会が各建築士事務所に対して実施した調査によると、BIMの導入割合は30%。実際にBIMを導入した事務所の9割が何らかの効果を感じていて、過去1~3年の間で急速に導入事務所数が増えてきているものの、まだ展開途上の段階です。(*2)

このようにBIMの普及状況は、担当業務ごとにばらつきがある状況です。

BIMは構造確認などに活用されている

建築事務所、ゼネコンのどちらもBIMで構造物のデータを作成することで施工発注者や専門工事会社などと意思疎通を図っている様子がわかります。

構造のモデリングで打合せがスムーズに

建築事務所では、構造物のモデリングやCG・レンダリングなどに活用されています。仮設計画・施工手順等を調整する際に、発注者と簡単にイメージが共有できるため、受注獲得やプレゼン力の向上につながります。

同じ部門のメンバーであってもBIMデータを見ながら具体的に打ち合わせができるようになれば若手設計者とベテラン設計者とでOJTに活かすことが可能です。

BIMは設計変更に強い

BIMデータは各構造に数値情報を持っているため、関連部位を指定しておけば、ポイントとなる箇所を修正することで建物図、施工図全体が簡単に修正できるなど、設計変更時間の短縮にも役立てられています。

ゼネコンの場合も建築事務所と同様に、設計施工に関するモデリングなどで多く活用されています。詳細に形状が作り込めることから干渉チェックで施工性・品質確保に活用したり、発注者・設計者等の意思疎通を図ったりするのに活かされています。

BIMデータの連携が行われる場合もある

ある部位を別の設計会社が担当している場合には、必要に応じてデータの授受が行われます。BIMデータの連携が行われるのは、鉄骨、設備、昇降機の連携が多い傾向があります。

BIMの普及を阻害する要因は?

一般的にBIMは活用開始までのハードルが高いとされています。BIMの普及を阻害する要因には以下のようなものがあります。

社内のBIM導入への理解不足

「ツールを覚えなおすのが負担」「BIMがない現状でも仕事ができている」「高額なツールを導入するだけの費用対効果が見込めない」などさまざまな否定的な意見が出ることがあります。

コストがかかる

BIMライセンスひとつをとっても数十万~数百万円規模となるため、事前に予算化しておかなければなりません。また、初期費用だけでなく継続使用する場合の維持費も確保が必要です。

BIMが使える人材の育成、利用者へのトレーニング

設計担当者がトレーニングを受けに行く場合には、業務のフォローが必要です。

設計補助ツールの整備

複雑な形状や使用頻度が高い形状については、ライブラリ化しておくと便利です。

ソフトウェア同士の互換性が不完全

BIMを導入しさえすれば、BIMを導入している全ての企業と漏れなく協業できるという認識は誤りです。BIMデータはさまざまな種類があり、全ての形状の互換性が完全にとられているわけではありません。

直接データが読み込めない場合は、中間ファイルでデータを翻訳して受け渡す工程が必要です。BIMデータ同士でも種類やバージョンが異なると「微細形状が欠けていて情報が正しく共有できない」「履歴がブラックボックス化していて編集できない」などの状況になる場合があります。

社外との協働があり自社の独断では導入できない

取引先でBIMが導入されていなければ、BIMデータがあっても、紙図面しか共有できないなど制約を受ける場合があります。

BIM普及のカギ

BIMの普及を阻害する要因は非常にさまざまですが、それらを一つひとつ克服するのがBIM普及のカギとなるでしょう。

社内のBIM導入への理解不足

BIMデータがあれば、現場での数量算出や積算、総合図作成など多くの業務に活用可能です。スモールステップに区切り少しずつでも成果を出していくことが重要です。セミナーやベンダーなどから情報収集を集め、社内にプレゼンテーションをして理解を得るよう努めたり、協働した企業に有用性を地道にアピールしたりすることが大切です。

コストがかかる

導入コストについては新たなにBIM推進費用を予算化するのが第一です。それが難しい場合には工事費の原価として組み込んだり、施主にメリットがあるようなかたちでBIMの費用負担ができないか提案を行ったりすることも可能です。

自社の予算と必要機能にあったBIMがないかベンチマークをしたり、ライセンスの導入費用で調整の余地がないかソフトウェアベンダーに相談したりするのも有効です。

BIMが使える人材の育成、利用者へのトレーニング

BIMの担当者はCADのオペレーターや施工図を作成する担当者のように、コンピューターを使った設計作業に慣れている人材をBIM業務の担当者として育成するのが基本です。

しかし自社内で育成する余裕がない場合は、データの製作を外部のコンサルティング会社や外注・請負会社などに依頼するのも一案です。しかし費用面で負担が大きくなりがちな点、社内にノウハウが残りにくい点などを考慮して、一定期間のサポートにとどめておくのが無難です。

設計補助ツールの整備

BIMの情報収集は、ソフトウェアのベンダーから提供を受けたりインターネットで調べたりできます。また、セミナーや展示会などで情報収集すると最新の情報について具体的な事例と共に知ることができます。

同じソフトウェアを使う企業や同業他社と情報交換をすることで、自社の不足部分を補いより実業務での課題を埋める案などが検討しやすくなるでしょう。

ソフトウェア同士の互換性が不完全

一部の構造を外部に委託しているなど、BIMデータそのものをやり取りする必要がある場合は、あらかじめ企業と相談のうえ使用するBIMを揃えておくと便利です。

また、営業や企画部門のようにBIMデータの形状は参照したいが、編集はしないという役割の部門であれば、BIMが読み込めるフリーソフトやビューアなどを活用すると投資を押さえつつ簡単に情報共有ができます。

BIMの機能が不足していて使いづらい場合や導入に踏み切れない場合には、BIMの開発元へ課題を伝え、以降のバージョンで改善が図れないか要望を出すことも必要です。

社外との協働があり自社の独断では導入できない

建築には企画から設計、施工、維持管理などさまざまな事業が関わります。すべての企業が同じデータを活用できれば、情報の受け渡しにかかわるロスを削減可能です。

国とBIMの関連企業では、建築にBIMを取り入れて工程全体が効率化できるようガイドラインを検討しています。BIMの運用がある程度定着している場合には国土交通省が提示する「BIM標準ガイドライン」などに準じ、業務の進め方を切り替えてもよいでしょう。(*3)

ただし、何の準備もなくすぐに紙図面でやり取りしていたものをBIMデータに切り替えたり、新しいワークフローに変更したりするのは難しいことです。双方のメリットになるように運用や切り替えタイミングを検討するのが重要です。

まとめ

BIMはゼネコンではある程度普及しているものの、建築業界全体に浸透しているとは言えません。コストやトレーニングなどBIMの導入にはさまざまな阻害要因があります。BIMが普及するカギは企業ごとが意思を持って導入に取り組むことと言えます。また、導入の際は国が構築する「BIM標準ガイドライン」を活用する事も可能です。

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参考URL
*1 https://www.nikkenren.com/kenchiku/bim_susume/pdf/bim_susume_report_03.pdf

*2 http://www.njr.or.jp/pdf/BIM_report_web.pdf

*3 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/kenchikuBIMsuishinkaigi.html

2022年7月27日 情報更新

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