BIMの広がりゆく市場規模 BIMがつくるスマートシティ


とうとう2020年が始まりました。「2020」という数字の“未来が来た”感は、ただの雰囲気だけじゃありません。
先日、トヨタがスマートシティの実証実験を開始することがニュースにもなりました。春には日本国内でも5G通信が始まり、世界のそこかしこでITが創る新しい社会への改革が始まっています。
さてBIMといえば建設業界で使われている設計支援ツールですが、設計業務のみならず、実はこうした未来の社会作りにも一役買うことになりそうです。この記事では、BIMの新しい展望について解説します。

この記事でわかることは以下の3つです。
・BIMとは
・スマートシティとは
・BIMがスマートシティをつくるということ

BIMで変わる建設業界

ITによってもっと生活が便利になる新しい社会を目指す「デジタルトランスフォーメーション」という言葉、何となく聞いたことはあるのではないでしょうか。日本政府の進めるデジタルトランスフォーメーション施策の一環として、国土交通省の「i-Construction」というプロジェクトがあります。これは建築・土木業のIT化による効率化を目指し、建設業務へのIT利用を促進しています。
BIMは設計+ITで業務を効率化する、まさにこのi-Constructionの中枢を占める存在でもあります。

BIMとは

BIMとは何かを確認しておきましょう。BIMは「Building Information Modeling」の略で設計プロセスを効率化するソフトウェアです。
BIMでは、線によって描かれる図面の代わりに、3Dモデルのオブジェクトを使って設計することができます。以下にBIMの機能をざっと紹介します。

3Dモデルによる可視化で、施主と意識合わせができる

BIMには、設計しているオブジェクトを可視化して確認できる機能があります。これまでは、CADで図面を引き終わった後にモデル化作業を行って、やっとモデルの確認ができていました。でも、小さいパソコン画面内ののっぺりとした背景の中にモデルを確認しても、実物とのイメージの差があることもしばしばでした。
しかしBIMならば設計途中であってもその段階での3Dモデルが確認できます。また、AR機能のついているBIMもあり、まだ施工前であっても現場の風景の中に建物をAR表示してそのイメージを確認することができるのです。
こうした可視化機能により、建築の専門家ではない施主にも設計段階でイメージの確認ができ、施主の満足度の向上につながります。

数値の自動更新により手戻りを減らせる

BIMでは、設計部品のオブジェクトを線や面でなく「物」として扱えます。部品のサイズや厚みを変えた場合、部品表や平面図などさまざまな関連図の中の値を自動で更新することができ、設計ミスの混入を防ぐことができます。
これまでは何種類もの図面・表を手で管理しており、例えば一律壁の厚みが変わった場合など全ての図面に対して同じ修正をする必要がありました。そこで修正漏れやミスが入ってしまうこともありました。ですが、BIMなら修正漏れをなくすどころかそもそもの修正の手間を省くことができます。
また、価格や品番などのデータも管理しておけるため、維持管理の際もBIMがデータベースとして役に立つのです。

実際に建つ前のシミュレーション機能

BIMには、建築性能や建物同士の干渉などのシミュレーションができる機能があります。
これまでは干渉や視界領域、環境性能は実際に施工現場でやっとチェックできるようになり、実のところは建ってみてからでないとわからないことも多くありました。それが設計段階からわかるのでより良い性能での設計が可能となります。

BIMで変わる社会

このように、BIMでは工程全体に関わって作業効率化を行うことができます。しかし、日本建築士事務所協会連合会の調査では、2018年時点でのBIMを導入している組織の割合は30%(*1)となっています。特に、職員数が少ないほど導入している組織が少ない傾向もあり、まだまだ充分に普及しているとはいえないでしょう。現在は、建設業界においてBIM普及の過渡期といえます。
しかしながら、BIMは単なる建設業務を飛び出す可能性を持っています。それが、スマートシティ構想なのです。

スマートシティとは

さて、トヨタの実験開始でも話題になりましたが、昨今よく「スマートシティ」という言葉を聞く様になりました。
スマートシティとはITの最新技術で創られる新しい社会のことで、ざっくり言えば以下のような流れができている社会です。
・IoT・5Gのテクノロジーによってさまざまなモノがネットワークでつながる
・それらのさまざまなモノから情報を取り、ビッグデータを蓄積する
・ビッグデータをAIが分析して、人間や環境に最適な提案をしてくれる
このように、ネットワークとAIのプラットフォームが実現する、効率的で便利な社会のことです。
人間にとっても便利であるだけでなく、CO2削減や省エネルギーにもつながります。

このスマートシティとBIMの関係は、どうなっているのでしょうか。

BIMがスマートシティをつくる

2019年6月に国土交通省の発表した資料「関係団体等におけるBIMの取組報告」(*2)では、BIMを利用した社会変革のイメージが描かれています。

BIMによって生産性を高めるステップ

現在は、建設業務の生産性を高める時期であるといいます。このステップでは、上で述べたようなBIM機能による効率化で、従来よりも高い生産性で建設業務を進めることがスタンダードになることを目指しています。
そして中期的にはBIMモデルによって建設生産プロセスが完結するというフェーズを目指します。このフェーズでは、BIMモデルが設計データの全てとなり他の書類は不要になります。そしてBIMデータを入力してロボットが建設施工を行ったり、補修箇所を3DスキャンしてBIMに取り込むなどの省力化や自動化が行われます。

未来、BIMが社会基盤を作る

そうしたステップを経て、長期的に目指すのはBIMモデルとIoT・AIが融合したフェーズです。
このフェーズでは、BIMは建設設計のみならず、防災に強いまちづくりなど社会基盤を作る存在となります。

どういうことかというと、国土交通省では、「バーチャル・ジャパン」(*3)という国土全体の3Dデータモデルを作ろうとしています。
このバーチャル・ジャパンは、日本中の地形・地質・建造物などのデータを取り込み、データ上で仮想の日本国土=「インフラデータプラットフォーム」を作ります。このインフラデータプラットフォームを使って、例えば土地開発や経済開発、自然現象のシミュレーションを行います。
そうしてシミュレーションを行った結果を現実の世界にフィードバックすれば、現在の課題の解決につなげることができるのです。
このバーチャル・ジャパンプロジェクトにおいてBIMでのモデリングが大事な要素となります。現在は建造物の設計・維持管理を担当しているBIMですが、将来は建設設計の枠を飛び出してさらに都市づくりの根本を担うことになります。

まとめ

このように、BIMは用途とその市場が広がっていくことが予想されます。
とはいえバーチャル・ジャパンのような未来図の実現にはまだ年月がかかるでしょう。
しかし、前述の日本建築士事務所協会連合会の調査では、BIMを導入する動機のアンケートに対し「発注者がBIMを要求してきたとき」が約60%で1位となっています。すでに大手企業や政府関連の業務ではBIMを使う割合が増えており(*4)、BIMの普及率も上がっていくことはほぼ確実でしょう。
BIMはすでにスマートシティへの一歩を踏み出しています。

参考リンク
(1) http://www.njr.or.jp/list/01277.html
(
2) http://www.mlit.go.jp/common/001293434.pdf
(3) http://www.mlit.go.jp/common/001274817.pdf
(
4)http://www.mlit.go.jp/common/001293419.pdf
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