1. TOP
  2. ブログ
  3. 鹿島建設が設立したBIM専門会社「グローバルBIM」の目的と役割とは

鹿島建設が設立したBIM専門会社「グローバルBIM」の目的と役割とは

タイトル:鹿島建設が設立したBIM専門会社「グローバルBIM」の目的と役割とは

BIMの運用や建設現場の業務効率化を促進する鹿島建設は、2017年にBIM事業専門の会社、「グローバルBIM」を新たに設立しています。

日本ではまだ珍しい、BIMを専門とする会社ですが、グローバルBIMはどんな目的に則り、どのような役割を果たしていくのでしょうか。

今回はそんな鹿島建設の新会社、グローバルBIMについての概要についてご紹介していきます。

①鹿島の豊富なノウハウを生かしたグローバルBIM
②BIM運用に関わるあらゆる業務を遂行
③BIM人材の確保にも動き、グローバル展開を目指す

グローバルBIMとは

グローバルBIMは、2017年にBIMのさらなる普及を目指して設立された、BIM関連のサービスを提供する会社です。

グローバルBIM公式サイト:https://www.global-bim.com/

鹿島建設が設立した、BIM専門のサービスプロバイダー

Building Information Modeling、通称BIMは、従来の3Dモデルに、付与する形で、建築物の材質など、単なる3Dデータにとどまらない複雑な詳細情報を追加することが可能になった、新しいモデリング技術です。

建築事務所から建設現場、保守管理の現場まで、一貫したデータの運用と共有ができるということで大きな期待が託されている一方、国内ではまだまだBIM導入の事例は少なく、鹿島建設をはじめとする大手企業が率先して運用を進め、その普及に努めています。

グローバルBIMは、そんなBIMのさらなる普及、そしてこれから拡大するであろうBIM需要の増加を見込み、BIM運用に関するあらゆる業務を遂行するBIM専門サービスプロバイダーとして、設立されました。

グローバルBIM設立の背景

業界の中でも先駆けてBIMの運用を進めてきた鹿島建設の経緯は、今回のグローバルBIM設立にも大きな影響を与えています。

日本における「BIM元年」と呼ばれた2009年以降、鹿島建設では施工現場へのBIMの積極的な導入・推進を図り続け、2013年にはクラウド型のBIMプラットフォーム、「グローバルBIM」を世界で初めて構築しています*1。

クラウドプラットフォームによるBIMデータの共有を可能にしたことで、BIM運用のハードルはさらに低下し、全国の導入現場も飛躍的に増加。そしてBIMの運用による生産性向上も果たすことに成功し、業界におけるBIMの普及に、鹿島建設の残した実績と蓄積されたノウハウは、大きな価値を持っていました。

今回のグローバルBIMの設立は、そういったBIM運用に関する資産を、さらに広範かつ多様に活用し、施工主や設計事務所なども対象としたBIMの運用を検討、実施していくサービスの提供に役立てるために行われたものです。

グローバルBIMの役割

次に、グローバルBIMのもう少し具体的な役割の内容についても見ていきましょう。

BIMに関連する多くの業務を遂行

グローバルBIMは、BIMに関連する様々な業務を遂行するために設立された会社です。

事業内容については、主に4つの柱を主軸に、展開が進められています*2。

一つ目はIPDの推進支援により、建築プロジェクトに関わるチームの全員が、BIMの活用によって情報共有の円滑化、業務効率化を実現すること、二つ目はBIM導入のタイミングや、その方法についての手法に関するコンサルティング、三つ目にBIMモデルを実際に手がけ、迅速なニーズを素早く満たすBIMモデリング、四つ目にBIM関連のアドオンソフトを開発、及び販売する業務です。

4つの柱と表現されてはいるものの、実際はBIMに関わるあらゆる業務の遂行を達成するのが、グローバルBIMの役割というわけです。

働き方改革にも意欲的

また、グローバルBIMは新しい技術の導入支援を行うだけでなく、結果的な働き方改革の達成を、自ら実践していく企業でもあります。

グローバルBIMでは「BIMママ」と呼ばれる制度を実施しており、BIMモデリング業務を自宅で遂行することができるよう環境を整え、子育て世代の育児と家事の支援を行なっています*3。

BIMモデリングはまだまだ人手が必要な分野であるため、子育て世代の活躍も促すことで、人手不足を解消していく必要があります。グローバルBIMでは専門のエンジニア以外にも、子育て世代を対象とした人材確保を進めており、講習を伴う派遣業態の形式で、BIMモデル作成を学びつつ、業務を委託できるシステムを構築しています。

グローバルBIMが掲げる目標

グローバルBIMが掲げている目標には、大きく分けて二つの事柄が存在します。

日本版IPDの実現

一つは、日本版IPDの実現です。
上でも少し触れましたが、IPDとはIntegrated Project Deliveryの略称で、建築プロジェクトにかかわる施主から設計者、施工者、専門工事会社まで、チーム全体が 「最適な建物を建てる:という共有目的の下、プロジェクトの初めから常に最も有効な決定を下すことができる協業形態を指しています*4。

IPDは欧米で生まれた概念ですが、日本では建築プロジェクトを設立してから施工者を決めるという文化が定着しているため、IPDの考え方と相反してしまうことも少なくありません。

BIMの導入が欧米に比べて遅れているのは、こういった文化的な差異にあるとも言われていますが、グローバルBIMはこのような文化的な垣根をも崩していくところから始めることで、日本における一層のBIMの普及を目指します。

24時間、モデリングが可能な体制の実現

二つ目に、24時間いつでもBIMモデリングが可能な体制を実現することです。日本におけるBIMの運用はまだまだ始まったばかりで、BIMの導入はもちろんですが、導入後のモデリング業務を、その需要に見合うだけ提供できる体制も十分とは言えません。

グローバルBIMは日本で初めて大規模にBIMの導入を社会に促進する会社となるため、グローバルBIMが率先して業務提携などを行いつつ、安心安全に大規模なBIMデータを運用できる環境を整えていくことを、今後の目標として掲げています*5。

最終的には、グローバル戦略としてBIMモデリングの拠点を南米などの世界各国にも設け、24時間モデリングができる体制を整えていくのが、グローバルBIMの掲げるビジョンです*6。

おわりに

グローバルBIMは鹿島建設内のプロジェクトにおけるBIMの運用はもちろんですが、その目的や業務内容からは、建設業界全体の未来を見据えたオープンな姿勢が窺えます。

BIMによる業務効率化が進んだ将来、BIM人材の確保にも動いているグローバルBIMは、一歩先の需要と供給にも踏み込んだ活動も行なっていると言えます。

BIM・CIM・CADについてのホワイトペーパーはこちら

出典:
*1 鹿島建設「BIM専業の新会社 『グローバルBIM』 を設立」
https://www.kajima.co.jp/news/press/201704/13m1-j.htm

*2 Architect’s Magazine「BIM活用の最大メリットは、施工現場の効率化にあり!日本型IPDの概念と仕組みを構築し、新たな境地へ挑む」
https://www.arc-agency.jp/magazine/5294

*3 Industlink「鹿島グループBIM専業の新会社『グローバルBIM』とは?」2ページ目
https://industlink.jp/userfiles/files/solution/1544147243/ogsXQ21Tvsh550xig594D9M34UZ8oRFL.pdf

*4 同上記事4ページ目

*5 上に同じ

*6 *2と同記事3ページ目

大手ゼネコンBIM活用事例と 建設業界のDXについてまとめた ホワイトペーパー配布中!

❶大手ゼネコンのBIM活用事例
❷BIMを活かすためのツール紹介
❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX


▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP