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竹中工務店が運用するロボットBIMプラットフォームとは

設計・施工現場での活躍が進むBIMですが、建設業界では設計から保守運用まで、一貫して自社で引き受けていこうという動きが盛り上がりつつあります。

そんな中、竹中工務店はBIMを活用した新しいプラットフォームを発表し、実戦への導入が進められています。

目次: ①建設ロボプラットフォームとBIM ②自律型ロボットの到来 ③他業種へのBIM運用にも期待

竹中工務店の「建設ロボットプラットフォーム」とは

2020年2月、竹中工務店が発表したのは、ロボットの自律走行と遠隔管理を実現する、独自の「建設ロボットプラットフォーム」です。

竹中工務店公式:https://www.takenaka.co.jp/news/2020/02/03/index.html

ロボットをクラウドで運用

建築の現場においては、これまでもロボットの運用というものは試験的に行われてきました。

人員の負担を少しでも軽減するためということで導入されてきたロボットですが、完全無人の業務遂行は難しく、現場負担は少なからず発生していたのです。

しかし竹中工務店の建設ロボットプラットフォームを活用したロボ運用は、クラウドによる複数管理、完全遠隔作業が実現するシステムへと進化しています。

遠隔でのモニタリング、遠隔での制御、そして遠隔でのソフトウェアアップデートが可能になり、その運用可能性は飛躍的に向上しました。

BIMデータ連携による自律走行を実現

クラウドを通じたロボットの遠隔管理が可能になっただけでなく、BIMによって自律走行ができるようになったことも、このプラットフォームの特徴です。

BIMデータは建物の部材情報なども含まれる、複雑で精巧な3Dデータです。そのため、BIMデータを直接ロボットに読み込ませることで、正確なマッピングも行えます。

まるで実際に現場の様子を目で確認しているかのような正確な動きを、目印もなく実現することができます。

ロボットはその導入台数を増やせば増やすほど、作業効率が向上するとは限りませんでした。

現場ごとのロボットを、作業員が管理しなければならなかったためです。

しかしBIMによって複雑な自律走行が可能になったことで、ロボットの有用性は飛躍的に高まったと言えるでしょう。

竹中工務店のBIMプラットフォームが解決する課題

BIMプラットフォームが全国的に展開していくことになれば、そのメリットはますます大きくなり、様々な恩恵をもたらしてくれることになります。

業務の省人化

1つは、業務の省人化です。これまで有人で行なっていた作業をロボットに一任してしまうことができるのは、画期的な有用性です。

現場管理や清掃は、毎日のルーティンワークである一方、退屈な作業でもあるため、作業員にも負担が大きく、ミスを誘発しやすい部分でもあります。

また、すべての現場にそのための人員を配置しなければならないのも、大きな負担へとつながっていました。

無人ロボットの登場は、それがしっかりと機能すれば、業界に革新をもたらすテクノロジーとなってくれるでしょう。

ロボットの遠隔管理

ロボットによって無人で作業を行えるだけでなく、遠隔地から作業が行えるようになったのも画期的な変化です。

ロボットに作業はできても、そのための管理は現場の人手が必要なケースも多かったため、その導入効果は半減していました。

しかし建設ロボットプラットフォームの下で動作するロボットは、自律的に作業を行うことが可能です。

そのため、人の手がほとんど入っていない山奥の工事現場においても、現地に作業員を派遣することなくロボットの遠隔管理のみで作業を完了することができます。

必要以上に人の手を煩わせることがないため、より効率的な人員配置が可能になるでしょう。

均質なパフォーマンスの維持

また、全国各地に同様のシステムとロボットを一律で導入できるようになったことで、パフォーマンスの質の低下や、派遣した人員や設備に依存する心配を解消できます。

いくら同じ会社の人間や設備とはいえ、実際のパフォーマンスについては新人か熟練の技師かによっても異なってくるものです。

しかしクラウドに管理されたロボットによる無人点検や清掃は、どんな環境においても一定のパフォーマンスを発揮するため、仕事の質に差が生まれることはありません。

もちろん、作業員の事故リスクなども考慮する必要がなくなり、定期的なメンテナンスを行うだけで良いので、業務の安定感はさらに増していくでしょう。

それでいて点検作業の際の異常検知のレベルはAIで高度に高められており、熟練のエンジニア顔負けのパフォーマンスを発揮してくれるはずです。

竹中工務店がプラットフォームで提示するBIMの新たな可能性

竹中工務店の建設ロボットプラットフォームは、建設業界発でありながら、BIMデータ新しい運用方法についての良い実例を実践して証明してくれています。

地図情報としてのBIM

1つは、地図情報としてBIMデータをフル活用している点です。

今回のプラットフォームにおいては、クラウド上へBIMデータをアップロードすることにより、移動経路の設定や清掃範囲の指定を、クラウドで管理することができます。

これまでのロボットは、現場作業員がロボット用にコーンや二次元コードなどのマーカーを直接現場に設置することで運用していました。

ただ、この方法ではマーカーの設置できない場所ではロボットによる作業が行えない問題や、作業員がロボットに順路を伝えるティーチングの業務が発生していたのです。

しかしクラウドによるBIMデータの共有によって、現場にインターネット環境さえあれば自動的にマップを読み込み、清掃・点検などの業務範囲を理解してもらえます。

つまり、現場へのロボット業務に伴う負担はゼロに近くなり、大幅な業務時間の負担も期待することができるでしょう。

クラウド連携によって、BIMデータをいつでも自由に読み込ませることで、遠隔操作で作業範囲を自由に管理することも可能です。

設計者と施工現場での情報共有に集中して運用が進められてきたBIMデータですが、竹中工務店では、ロボットと人間のコミュニケーションにも役立てられているのです。

他業種におけるBIM活用方法の模索も進む

今回は竹中工務店発の、建設プラットフォームにおける運用方法としてロボットが活用されていますが、今後は別の業界にもBIMデータが共有されていく可能性も考えられます。

例えば、警備会社や清掃会社へのBIMデータの共有です。

竹中工務店は自社開発の自律ロボットを運用していましたが、上記のような業界は、建物のオーナーから委託を受けて無人ロボットの運用を開始していくことが予想されます。

今後は警備会社や清掃会社が自前のロボットを建物の所有者に貸し出し、BIMデータを共有してもらうことで警備や清掃を無人で行うような事例も増えてくるでしょう。

今でこそBIMデータの共有は建設業界内に止まっていますが、BIMデータを活用したビジネスはますます増えていくことになりそうです。

おわりに

竹中工務店の建設ロボットプラットフォームは、BIMを活用し、自律型のロボットをさらに有効活用できるよう開発されたシステムです。

単にシステムとしても優れたパフォーマンスを発揮するだけでなく、BIMデータの運用の可能性をさらに広げてくれるポテンシャルも発揮してくれます。

保守運用ビジネスへの建設業界の参入が進むことで、BIMデータの活用の幅もますます広がっていくでしょう。

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