BIM 360を使うと一元管理が実現?機能や導入メリットを解説
BIMは次世代の3D技術として注目され、普及が進んでいる反面、いくつかの課題が残ることから、まだまだ十分に認知・浸透が進んでいるとは言えないのが現状です。
このようなBIM運用課題の解決に役立つソリューションの一つに、BIM 360と呼ばれるプラットフォームがあります。BIM 360の導入は業務の一元管理など多様なメリットをもたらしてくれるとされていますが、具体的にどのような機能を備えているのでしょうか。
この記事では、そんなBIM 360の概要や主な機能、そしてどのように一元管理が実現するのかについて、解説します。
目次:
- BIM運用の課題
- BIM 360(Autodesk Construction Cloud)とは
- BIM 360で一元管理が実現する?
- BIM 360導入のメリット
- BIM 360の主な機能
BIM運用の課題
BIMは便利な技術として少しずつ認知度は高まっているものの、実践レベルでの普及はまだ大企業など一部の組織に限定されています。
10年ほど前から導入が進められてきたこの技術がまだ十分に普及していない理由としては、
- 導入コストがかかる
- BIM活用によって得られるメリットの理解が十分ではない
- BIM利用者が少ない
といったものが主に挙げられます。
まず、BIMを十分に活用するためには専用のソフトを導入したり、ソフトを使いこなすための研修を従業員に提供したりする必要があり、そのための金銭的負担・時間的負担を企業は負わなければなりません。
このようなコストの問題が解消されない原因には、BIMによって現在の業務がどう変わるのか、どれくらいの費用対効果が得られるのか、という見込みが立てづらく、メリットについてのさらに深い理解が求められている状況もあります。
このような問題が残っている状況では、BIMの利用者はリソースに余裕のある大企業に集中し、中小企業における導入事例は限定的です。
BIMの強みは多くの人がBIM環境を整備し、広くデータ共有ができる環境が整備されることで得られるものも大きいことから、BIMの普及が進まないとそのメリットを十分に活かせないという問題も出てきます。
これらの問題を解消していくことが、BIMの導入を促進する上で重要なポイントとなるでしょう。
BIM 360(Autodesk Construction Cloud)とは
このようなBIM運用課題の解決に役立つサービスの一種が、BIM 360です。BIM 360はAutodesk社が提供しているクラウドプラットフォームで、同サービスを利用することにより、BIMデータを柔軟に運用できる環境を整備することができます。
BIM 360は、いわゆるクラウドを介したワーキングスペースのようなサービスです。クラウド上にデータを保存しておけば、そのデータへのアクセス権限を持ったチームメンバーや関係者がいつでもデータを閲覧したり、必要に応じて編集やフィードバックを適用したりすることができます。
これまでは適宜データの受け渡しが必要だったのが、BIM 360を導入することによりその作業を一段と効率化することが可能です。
現在、BIM 360はAutodesk Construction Cloud(ACC)と呼ばれるより規模の大きなクラウドサービスに統合されており、こちらのサービスを契約することで、同機能を利用できます*1。
BIM 360で一元管理が実現する?
クラウドサービスの一種であるBIM 360は、単なるデータの受け渡しのためのプラットフォームとしてではなく、業務を一元管理するためのツールとしても有効活用できるのが特徴です。
具体的な機能については後述しますが、BIM 360にはプロジェクト管理機能などの各種マネジメント機能が非常に充実しており、チーム内のコミュニケーションや進捗管理を強化できるサービスとなっています。
これまで設計や施工が別個に管理されていたり、進捗状況の把握が困難になっていたりといったマネジメント課題を抱えていた企業にとっては、魅力的な製品であることは間違い無いでしょう。
BIM 360導入のメリット
BIM 360の導入は、具体的にどのような導入メリットが期待できるでしょうか。ここでは主な利点を整理して紹介します。
各種管理業務へまとめて対応できる
BIM 360の最大の特徴は、一元管理を実現するために必要なすべての機能が搭載されている点です。
管理システムを別個に揃える必要がなく、クラウド上でまとめて処理できるので、業務効率化やコスト削減に役立ちます。
コスト最適化が進む
BIM 360に搭載されたコスト管理システムを使えば、コスト関連のリスクをリアルタイムで可視化し、不要な負担を的確に削減することに役立ちます。
コストパフォーマンスの改善が進まない現場での高い導入効果が期待できるでしょう。
データドリブンな意思決定を促進する
BIM 360を含めたAutodesk Constrction Cloudは、とにかくあらゆる情報をデジタルデータで管理することを前提とした各種機能を揃えているので、データドリブンな意思決定を促すきっかけとなります。
業務の属人化を回避したり、高い期待値の施策を適切に選べたりする組織づくりを促すでしょう。
BIM 360の主な機能
BIM 360には豊富な機能が搭載されていますが、代表的な管理機能としては以下の物が挙げられます。
プロジェクト管理機能
BIM 360を使うことで、プロジェクトのワークフローを様々なデータを踏まえて極めて計画的に組み立てることができます。
ミーティングのタイミングや回数、スケジュール、関係者間のコミュニケーションなどをBIM 360上で可視化し、抜け漏れや遅れがないようにコントロールできる機能です。
安全管理機能
異なる条件の現場作業が複数発生しても、それぞれの現場に応じた適切な安全環境を保つことができる安全管理を実現するための機能も備わっています。
建設現場の安全を確保するためのドキュメント作成、および管理機能を備え、モバイルデバイスを使って適宜確認ができる体制が整備され、作業員が危険にさらされるリスクを最小限に抑えます*2。
ドキュメント管理機能
業務上発生したドキュメントについては、文書や写真、映像を問わずまとめてBIM 360上で保管することができます。
広くドキュメントを共有したいときにはクラウド経由で配信ができますし、アクセス権限を詳細に設定し、機密情報が外部に漏れないよう徹底する上でも有効です。
まとめ
この記事では、BIM 360を使ったプロジェクトの一元管理の可能性について解説しました。
BIM活用は情報共有の不便さなどからまだまだ発展途上の取り組みですが、BIM 360のようなサービスが普及すれば、BIM導入のメリットもさらに強化されます。
BIM導入を検討している場合、こういったマネジメントサービスの存在も踏まえて導入計画を立ててみるのも良いでしょう。
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出典:
*1 Autodesk「Autodesk BIM 360」
https://www.autodesk.co.jp/bim-360/
*2 Autodesk「建設現場の安全性」
https://construction.autodesk.co.jp/workflows/construction-site-safety/