光学設計ソフトウェアのOpticStudioはなぜ注目されているのか?
光学技術は家電製品や医療、さらには航空宇宙といった、あらゆる領域において重要な位置を占める技術です。光学設計ソフトとして開発されたOpticStudioは、光学領域における最先端の設計技術を支援してくれると期待されています。
今回は、OpticStudioの具体的な機能や、導入によって得られるメリットなどについて、事例も踏まえながらご紹介します。
目次:
①OpticStudioの概要
②OpticStudioの導入メリット
③OpticStudioの具体的な機能
④OpticStudioの導入事例
OpticStudioの概要
OpticStudioは、ソフトウェア会社のZemaxが提供する光学設計ソフトウェアです。光学設計だけでなく、機械設計や製造設計など、幅広い設計・開発業務を支援できるソリューションを想定して開発されました。対応領域は広く、家庭用電化製品や自動車の開発、航空宇宙開発と、光学領域の全てを網羅的にカバーできるパフォーマンスを実現しています。
光学製品のモデリングや光学性能の解析といった、光学製品の開発に必要な機能はもちろんのこと、自由曲面や非回転対称系の設計解析も可能なことから、様々な分野のアプリケーションの開発に活躍します*1。
OpticStudioの導入メリット
OpticStudioの導入は、企業にさまざまな恩恵をもたらしてくれます。具体的な導入メリットについて、ここで確認しておきましょう。
幅広い光学製品の開発・設計に導入できる
OpticStudioは、上述の通りさまざまな光学製品の開発や設計に導入することができるため、あらゆる組織での活躍が見込めます。アカデミックスタンダードな技術で信頼性が高く、グローバル社会での活躍も進んでいるため、複数社間での協業にも役立ちます。
その汎用性を生かして新しい事業に挑戦したり、新しいマーケットに参入して、国際的に活躍したいと考えたりしている企業の後押しになってくれるはずです。
工数・コスト削減に役立つ
単に汎用性に優れているだけでなく、OpticStudioは業務の効率化にも役立つのが特徴です。部門間を通して設計データをシームレスに共有できるワークフローを実装し、迅速な情報伝達を促します。
複数のソフトを使い分ける必要がないため、フォーマットをいちいち変換したりといった手間を抑え、工数やコストの削減に努めることができます。これまで何度も手戻りや修正が発生し、作業が遅々として進まなかったという悩みを抱えていた場合には、OpticStudioの導入が有効となるでしょう。
Zemax製品・サードパーティ製品との連携が可能
OpticStudioだけではカバーしきれない業務が発生した場合でも、安心の連携機能で問題を回避できます。OpticStudioは構造分析と熱分析を行う「OpticStudio STAR モジュール」や、光学設計データをCADデータに変換する「OpticsBuilder」、設計データをエンジニアが確認するための「OpticsViewer」などを実装し、あらゆるニーズに応えられる作りになっています*2。Zemax製品に統一してソフト運用を進めたい場合には、最適なソリューションと言えるでしょう。
また、サードパーティ製のCADソフトとの連携にも対応しているため、すでにCAD運用を行っており、光学に特化するべく新たなソリューションを導入したい、という人にとっても最適なソフトウェアとなっています。
OpticStudioの具体的な機能
OpticStudioは多様な機能を実装することで、ユーザーの高い満足度を実現しています。活躍している主な機能について、ご紹介します*3。
光学系の設定
まず、OpticStudioは直感的なユーザーインターフェースを導入することで、高いユーザビリティと効率的な光学シミュレーションを実現しています。結像光学系から照明系まで、迷光の影響を含めたすべての光学系をモデル化できるという機能を実装し、ハイエンドな仮想設計をサポートします。
光学系の解析
光学においては、性能解析の実施も欠かせない工程です。OpticStudioには性能解析に必要なツールが一式揃っており、これ一台で十二分なパフォーマンスを発揮します。写実性の高い、リアルなイメージシミュレーションも実現でき、設計業務の品質向上に努めます。
光学系の最適化
設計した光学系は、実装が可能となるよう最適化のプロセスが必要です。OpticStudioではそんな最適化に特化したツールを実装し、設計ゴールを入力することにより、ゴールに向けた性能向上を促進してくれます。
従来の手法に比べ、最大で10倍の速度で最適化が可能なことから、複数回にわたる設計やテスト工程をスキップできるというメリットにつながっています。
公差解析の実施
最適化ののち、公差解析を実施することで、クライアントが求めるパフォーマンスを実現できているかどうかを確認できる仕組みを実装しています。設計の正確なシミュレーションを単体で行えるため最低限の負担で高品質な設計を実現可能です。
ソフトのカスタマイズ
独自のAPIである「ZOS-API」を利用すれば、オリジナルのアプリ作成を実施することもできます。MATLABやPython を使用して、外部から OpticStudioを制御することも可能です。必要な機能を自社開発し、より効率的な運用を実現しましょう。
OpticStudioの導入事例
OpticStudioはすでに複数社によって導入が行われており、確かな成果を挙げています。最後に導入事例について、見ていきましょう。
Henke-Sass, Wolf社
医療機器メーカーのHenke-Sass, Wolf社では、内視鏡の光学設計にOpticStudioを導入しています*4。質の高い画像の取得が可能で、広範囲に動かすことができる製品の開発を実現するにあたって、OpticStudioが飛躍的な画質の改善に貢献しました。
Tobii Tech 社
アイトラッキング技術の開発を進めるTobii Tech社では、人と機械の付き合い方に焦点を当てたアイトラッキング技術の開発を進め、OpticStudioを役立てています*5。ユーザーがデバイスを通じてどこを見ているのかを正確に検知し、人がコンピュータにより自然かつ直感的に付き合える仕組みづくりを実現しました。
まとめ
OpticStudioは光学設計の業務効率化につながる各種機能を提供し、設計業務を効率化するだけでなく、その品質向上にも貢献しています。グローバルスタンダードで活躍するソリューションの導入は、あらゆる企業に大きな利益をもたらしてくれるでしょう。
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参考:
*1 サイバネットシステム「光学設計ソフトウェア Zemax OpticStudio」
https://www.cybernet.co.jp/opticstudio/
*2 上に同じ
*3 Zemax「OpticStudio」
https://www.zemax.jp/pages/opticstudio
*4 Zemax「内視鏡の光学設計に向けた高度な公差解析テクニック」
https://www.zemax.jp/blogs/success-stories/advanced-tolerancing-techniques-for-endoscope-optical-design
*5 Zemax「アイトラッキングを通じたヒューマン マシン インタラクションの再定義」
https://www.zemax.jp/blogs/success-stories/redefining-human-machine-interactions-through-eye-tracking