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SolidWorksアセンブリで部品ごとの距離測定をする方法|基本操作とトラブル対処法

1. はじめに

SolidWorksでアセンブリを扱っていると、「部品同士の間隔は適切か?」「干渉やすき間はないか?」といった距離に関する確認が欠かせません。距離の測定は、設計の精度や製品の品質、安全性に直結する重要な工程です。

SolidWorksには「Measure(測定)ツール」や「Evaluate(評価)タブ」など、距離測定をサポートする便利な機能が備わっています。これらを正しく使いこなせば、組み立て時の不具合や手戻りのリスクを大きく減らすことができます。

本記事では、SolidWorksアセンブリ内で部品ごとの距離を正確に測定するための基本操作をはじめ、よくあるトラブルへの対処法や測定作業を効率化する工夫まで、実践的な視点からやさしく解説します。

日々の設計業務にすぐ役立つ具体的なテクニックや活用事例も多数紹介しています。この記事を通じて、より正確で効率的なアセンブリ設計を行うためのヒントを見つけてください。

2. 基本操作:部品間の距離測定方法

引用:https://help.solidworks.com/2021/japanese/WhatsNew/c_wn2021_edrawings_measure.htm

部品と部品の間隔を正確に確認するには、「Evaluate(評価)」タブ内にあるMeasure(測定)ツールを使用するのが一般的です。このツールを使うことで、部品間のすき間や、点と点・面と面の間隔など、あらゆるジオメトリ間の距離を視覚的かつ数値で確認することができます。

正確な距離を測定することにより、設計精度が高まり、後工程での手戻りを防止できます。ここでは、部品の選び方やツールの操作手順、測定値を読み間違えないための工夫にも注目しながら、ステップごとにご紹介します。

2.1 測定ツールの起動と基本的な使用方法

はじめに、SolidWorksの上部にある「Evaluate(評価)」タブをクリックし、表示されたコマンド群の中から「Measure(測定)」ツールを選択します。

Measureツールを起動すると、画面右側に測定パネルが表示され、そこに選択したエンティティ(面・エッジ・頂点など)の距離や角度、XYZ軸方向の成分(ΔX, ΔY, ΔZ)がリアルタイムで表示されます。

より素早くアクセスしたい場合は、Measureをカスタムツールバーに登録しておくと便利です。また、よく使うユーザーの中にはショートカットキーを設定して、ワンクリックでツールを呼び出せるようにしている人もいます。

操作方法は非常にシンプルで、測定したい2つのエンティティを順番にクリックするだけです。例えば、部品の面と面、エッジとエッジ、または頂点と面など、任意の組み合わせで測定が可能です。選択すると、ポップアップ形式で測定値が表示され、必要に応じて単位の切り替えや投影方向の変更などもすぐに設定できます。

このように、Measureツールはクリック操作だけで高精度な距離測定ができる非常に便利な機能です。設計初期の検討段階から完成図面の精査まで、幅広い場面で活用されています。

2.2 部品選択と距離測定の具体的な手順

まず、測定作業を始める前に、アセンブリ内で測定対象となる部品が見やすい状態になっているかを確認しましょう。必要であれば、視点を回転させたり、不要な部品を一時的に非表示にしたりして、対象が見やすくなるように工夫します。視認性が上がると、間違ったエンティティを選ぶミスを減らせます。

次に、Measureツールを起動した状態で、まず1つ目の部品の面やエッジをクリックします。続いて、2つ目の部品の対応する面や頂点を選択すると、自動的に距離が算出されて表示されます。

このとき、部品同士の最短距離を測りたい場合は、それぞれが最も近づく位置にあるエンティティ(面や点)を選ぶのが基本です。一方で、たとえば円筒形の部品同士など、中心から中心までの距離を知りたい場合は、エッジではなく中心軸や円の中心点を選択するのが正確です。

測定値が表示されたら、数値を確認し、必要であればキャプチャを保存したり、メモを取って記録しておきましょう。なお、単位の切り替え(ミリメートル↔インチ)もその場で可能ですので、設計ルールに合った単位系で測定値を整理することが重要です。

測定対象や測定目的に応じてエンティティの選択を工夫することで、意図通りの正確な距離を把握することができます。

2.3 測定結果の解釈と表示オプション

Measureツールで表示される測定結果には、単なる「距離(Distance)」だけでなく、X軸・Y軸・Z軸それぞれの方向にどれだけ離れているかを示す「ΔX」「ΔY」「ΔZ」といった成分情報も含まれます。これにより、3次元空間上での部品配置の方向やズレ量を詳細に確認できます。

たとえば、「部品同士の間隔は適切だけど、上下方向にずれていないか?」といった検証も、これらの成分値を使えばすぐに判断できます。特に、組立て方向に沿ったクリアランス確認には非常に役立つ情報です。

また、Measureツールにはいくつかの表示オプションが用意されています。たとえば、「オフセットの測定」や「中心間距離の表示」などは、必要に応じてチェックを入れることで有効にできます。

さらに便利なのが、測定結果をグラフィックエリア上に寸法のように表示させる機能です。測定値が一時的に画面上に残ることで、複数の箇所を順に比較したり、設計レビューの際に視覚的に確認したりするときに非常に便利です。

こうした表示オプションをうまく活用することで、距離の誤認を防ぐだけでなく、チーム内での設計意図の共有や、ドキュメント作成時の資料化にも役立ちます。設計の精度と効率を高めるために、これらの機能を積極的に活用していきましょう。

3. 応用機能と関連ツールの活用

SolidWorksのアセンブリ環境では、単に2点間の距離を測るだけでなく、部品同士の隙間や衝突の有無を自動で検出できる機能も用意されています。こうした機能は、複数の部品が複雑に組み合わさる大型アセンブリや構造物の設計で特に威力を発揮します。

たとえば、部品同士が適切なクリアランス(すき間)を保てているか、干渉(物理的な重なり)が発生していないかといった検証は、Measureツールだけでは確認しきれない細かい部分まで一括してチェックすることが可能です。

また、距離測定をより効率的に進めるための応用的なテクニックや、測定精度を向上させる画面設定の工夫も活用すれば、作業のスピードと信頼性の両方を高めることができます。

以下では、距離測定とあわせて使用することで設計精度を一段と高められる代表的な機能や、便利な活用法を紹介していきます。

3.1 クリアランス検証と干渉チェック

SolidWorksには、部品のすき間や重なりを自動的に検出できる機能が備わっており、その代表的なものが「クリアランス検証」と「干渉チェック」です。これらは、距離測定とは異なり、多数の部品間を一括して検査できる点が大きな特徴です。

まず、「クリアランス検証(Clearance Verification)」は、指定した最小すき間が確保されているかどうかを確認するためのツールです。たとえば、回転して動く軸やシャフトと周囲の部品との間に、安全な距離が保たれているかを検証することができます。設定した値未満のクリアランスしかない箇所があれば、一覧で表示され、どこに問題があるかがすぐに把握できます。

一方、「干渉チェック(Interference Detection)」は、物理的に部品同士がぶつかっている箇所(重なり)を検出するための機能です。たとえば、ボルトとナットの穴位置が微妙にずれていたり、外装カバーが内側のパーツと接触しているような場合でも、この機能を使えば即座に可視化して知らせてくれます。

これらの検証機能を活用すれば、「組み立ててみたら入らなかった」「回転パーツが引っかかってしまった」といったトラブルを未然に防ぐことができます。さらに、干渉が見つかった箇所については、Measureツールを使って具体的な距離やズレ量を測定することで、対処方法の検討もスムーズになります。

検証結果はレポートとして出力でき、設計レビュー時の資料や品質記録として活用することも可能です。こうした組み合わせによる活用が、SolidWorksを使った高精度設計の大きな強みとなっています。

3.2 高度な測定テクニックと設定のカスタマイズ

アセンブリの規模が大きくなるほど、1つひとつ手作業で距離を測定していくのは非効率になります。そうしたときに役立つのが、作業を効率化する高度な測定テクニックやツールのカスタマイズです。

まずおすすめしたいのが、「マクロ機能」を使った距離測定の自動化です。SolidWorksでは、VBAやAPIを使ってマクロを作成することで、複数の部品間の距離を一括測定し、CSVなどの形式で出力するといった作業を自動化できます。頻繁に同じ測定を行う場合などに、大幅な作業時間短縮が期待できます。

また、「セクションビュー(断面表示)」を活用すると、アセンブリ内部の構造を見やすくし、内部部品の正確な測定や検証がしやすくなります。 複雑な部品同士の干渉や隙間を、視覚的に確認したい場合にも有効です。

操作性の向上を図るには、カスタムツールバーやFavorite(お気に入り)コマンドの設定も有効です。使用頻度の高いMeasureツールや干渉チェックを登録しておけば、毎回メニューをたどらなくても素早く呼び出せます。加えて、Measureツールにショートカットキーを設定しておくと、手数を減らしスムーズな操作が可能になります。

さらに、「マスプロパティ(Mass Properties)」を使って重心の位置を調べ、部品の重心間の距離を測定するといった応用的な検証も可能です。これにより、動的なバランス設計や荷重計算の精度を高めることができます。

このように、SolidWorksでは設定の工夫次第で、距離測定に関わる操作を大幅に効率化できます。時間短縮と精度向上の両立を目指すために、ぜひこうしたテクニックやカスタマイズも取り入れてみてください。

4. よくあるトラブルとその対処法

SolidWorksのアセンブリ環境で距離測定を行っていると、「数値が表示されない」「意図と異なる測定結果になる」「ソフトが重くて測定が進まない」といった予期しないトラブルに遭遇することがあります。

こうした問題は、基本操作を理解していても発生することがあり、原因が複数あるため、冷静な切り分けと対処が求められます。特に、測定対象の部品が非表示になっていたり、選択設定が限定されていたりすると、Measureツールがうまく機能しないことがあります。

このセクションでは、頻繁に発生する3つのトラブルパターンと、それぞれの効果的な対処法をわかりやすく紹介します。問題を素早く解決できるよう、ぜひチェックしてみてください。

4.1 測定ツールが反応しない場合の対処法

Measureツールを起動しても、距離が表示されない、数値が更新されないといった現象が起きることがあります。これは、多くの場合選択状態や表示設定、部品の抑制などの条件が原因となっています。

まず確認したいのは、測定対象の部品がアセンブリ内でしっかり可視化されているかどうかです。非表示や抑制されている部品、サブアセンブリにまとめられている構成部品などが原因で、正しく選択できていない可能性があります。

次に見直すべきなのが「選択フィルター」です。SolidWorksでは選択対象(面、エッジ、頂点など)を制限するフィルター機能があり、これがオンになっていると意図しない選択になることがあります。フィルターを一時的にリセットしてから再試行すると、正常に測定できるようになることが多いです。

それでも測定できない場合は、一度SolidWorksを再起動してメモリを解放しましょう。特に、大規模なファイルを扱っていたり、複数のドキュメントを同時に開いていたりする場合、内部リソースが圧迫されて動作が不安定になることがあります。

また、グラフィックスカードのドライバーやソフトウェアのバージョンが古いと、Measureツールの表示が不安定になることもあります。これを防ぐためにも、SolidWorksの定期的なアップデートとハードウェアドライバーの管理を心がけるとよいでしょう。

4.2 不正確な測定結果のトラブルシューティング

測定ができても、表示される数値が想定と明らかに異なる場合、選択したエンティティ(測定対象)の種類や位置が正確でない可能性があります。これは初心者が最もつまずきやすいポイントの一つです。

たとえば、「面と面の距離」を測っているつもりが、実は「頂点と面」になっていた、あるいは端のエッジを選択したつもりで曲面の内側を選んでしまっていたなど、選択ミスによる測定誤差はよくあるケースです。

このようなミスを防ぐためには、部品を適切な角度から表示し、拡大表示してから選択するのが有効です。必要であれば、透明表示やセクションビューを活用して、視認性を高めましょう。

また、単位設定が間違っていることも原因になりがちです。SolidWorksではミリメートル(mm)、インチ(inch)などの単位が柔軟に切り替えられますが、プロジェクトによっては初期設定が異なることがあります。常に現在の単位を確認してから測定するクセをつけることが、誤読を防ぐ第一歩です。

さらに注意したいのが「メイト(拘束)」の状態です。部品が正しく固定されておらず、わずかに動いてしまう場合、画面上では正しく見えても内部的には距離が変動していることがあります。測定前にはメイトの状態を確認し、必要に応じて部品を一時固定すると正確な結果が得られやすくなります。

測定結果に疑問を感じたら、同じ箇所を別のエンティティで再測定してみるのもよい方法です。複数の測定結果を照らし合わせることで、値の整合性をチェックでき、問題箇所の特定にもつながります。

4.3 パフォーマンス問題の解決策

大規模アセンブリや高精細なモデルを扱う場合、Measureツールの反応が遅くなったり、画面が一時的にフリーズしてしまったりすることがあります。これは、PCの処理能力やグラフィック負荷が高まっていることが主な原因です。

まず試したいのは、アセンブリの中で使用しない部品を軽量モードで開くことです。SolidWorksでは軽量モードにすることで、詳細情報の読み込みを抑え、処理負荷を軽減できます。これにより、Measureツールの動作もスムーズになることが期待できます。

さらに有効なのが、「大規模アセンブリモード」の活用です。これは、あらかじめ設定した閾値(部品数など)を超えるアセンブリを開く際に、自動的にパフォーマンス優先の設定に切り替える機能です。モデルの描画を簡略化し、測定や表示のレスポンスを改善してくれます。

また、作業中に使わないファイルや部品を閉じておくことで、PCのメモリ消費を抑えることができます。必要な部品だけを一時的に開くようにすれば、動作が軽くなるだけでなく、誤選択も防げるので一石二鳥です。

それでも改善が見られない場合は、ハードウェア環境の見直しも検討しましょう。とくにRAM(メモリ)やCPU性能、グラフィックカードのスペックが不足していると、大規模アセンブリでの作業が重くなりやすくなります。ハードウェアのアップグレードを視野に入れることも、快適な設計環境を維持するためには重要です。

これらの工夫により、距離測定時のストレスを軽減し、作業全体の効率も向上します。設計作業を円滑に進めるためには、ソフトウェアだけでなく、作業環境全体の最適化が欠かせません。

5. 効率的な測定のためのヒント

SolidWorksでの距離測定は、操作自体はシンプルですが、少しの工夫や準備を加えることで作業効率が大きく向上します。とくに、繰り返しの多い測定作業では、1回ごとの手間を減らすことが積み重なって、大きな時間短縮につながります。

ここでは、作業前にしておきたい環境設定や視認性の向上、測定ミスを防ぐためのポイント、そしてショートカットやマクロを活用した効率化テクニックをご紹介します。

ちょっとした準備や操作改善でも、日々の設計業務がスムーズになり、ストレスを減らすことができます。以下の内容を参考に、自分に合った測定スタイルを見つけてみてください。

5.1 測定前の準備と環境設定

距離を正確に測るためには、測定前の準備が非常に重要です。まずは、アセンブリ全体を見渡し、測定対象がしっかり確認できる状態かをチェックしましょう。不要な部品が画面を遮っている場合は、一時的に非表示にしたり、透明表示に切り替えたりすることで視界を確保できます。

このような視認性の向上によって、誤って別の面やエッジを選んでしまうミスを防げます。また、アセンブリを適切な角度に回転させることで、狙った位置を正確にクリックしやすくなり、測定の正確性も高まります。

次に、単位設定の確認も忘れてはならないポイントです。SolidWorksでは、プロジェクトごとに単位(ミリメートル、インチなど)を切り替えることができますが、図面やチームのルールと異なる単位で測定してしまうと、重大なミスにつながります。あらかじめ単位を統一しておくと安心です。

さらに、部品名のルールをあらかじめ決めておくと、後から「どこを測ったか」「どの距離を記録したか」が明確になります。たとえば、「ベースプレートA – シャフトB間」など、部品の組み合わせを記録する際に分かりやすく整理でき、後工程や他メンバーとの連携もスムーズになります。

チームでデータを共有して作業する場合は、測定方法や測定対象に関するルールをマニュアル化しておくのも有効です。プロジェクト全体で測定手順が統一されることで、測定ミスや再確認の手間を減らすことができます。

また、こうした準備を行うことで、アセンブリの描画や動作も軽くなり、SolidWorksのパフォーマンス改善にもつながるという副次的な効果も得られます。

5.2 測定作業の効率化とショートカットの活用

距離測定の回数が多くなると、操作の一つひとつが作業時間に大きく影響します。そこで、ショートカットキーやツールバーのカスタマイズを活用することで、測定操作をスピーディーに進めることができます。

たとえば、「Measureツール」を頻繁に使う場合は、ショートカットキーを設定しておけば、毎回メニューをたどらずに済み、作業のリズムが途切れにくくなります。自分の使いやすいキーに割り当てておくことで、自然に効率化が図れます。

また、関連機能である「距離メイト(Distance Mate)」を組み合わせて活用するのもおすすめです。あらかじめ寸法を拘束条件として設定しておけば、毎回測定して確認し直す必要がなくなり、設計の安定性も向上します。これにより、設計ミスの防止にもつながります。

さらに、ルーチン作業として同じ場所の距離を何度も測る場合には、「マクロ」や「スクリプト」を活用して、測定作業そのものを自動化することも可能です。SolidWorksでは、VBAやAPIを使ってマクロを作成することで、測定結果を自動で取得・記録し、CSV形式などで出力する処理を行えます。

マクロによる自動化は、大量の距離測定が必要な大型アセンブリや検査業務などで特に効果を発揮します。操作の手間を大幅に削減できるため、測定精度と作業効率の両立を実現できます。

こうしたテクニックを上手に取り入れることで、距離測定が「面倒な作業」から「設計を支える戦略的なステップ」へと変わっていきます。効率化は単なる時短ではなく、品質を高めるための強力な手段でもあるのです。

6. 実践的な活用例と設計変更管理

ここからは、SolidWorksでの距離測定が設計現場でどのように活用できるか、また設計変更が発生した際にどのように管理・対応していくかについてご紹介します。

距離測定は単なる数値の確認にとどまらず、製品品質の向上や作業の効率化、さらには製造トラブルの未然防止にもつながる重要な工程です。正確な距離情報は、設計そのものの信頼性を高め、結果として開発全体の生産性向上にも貢献します。

また、設計変更時には距離の変化が構造や動作にどのような影響を与えるかを確認する必要があります。前後の比較をしっかりと行うことで、不具合の原因を突き止めたり、関係者への説明をスムーズに行えたりするなど、設計マネジメントの観点からも距離測定は非常に役立ちます。

6.1 設計検証と品質管理での活用例

距離測定は、設計の初期段階から最終段階まで、さまざまな場面で活躍します。とくに有効なのが、部品同士のクリアランスや組み立て寸法を事前に検証することによって、設計ミスを早期に発見できる点です。これにより、後の工程で発生する修正コストや再作業のリスクを大幅に削減できます。

製造図面を作成する際にも、距離測定は大きな役割を果たします。組み立て状態を前提とした寸法記入を行うことで、現場での組立作業がスムーズになり、誤組み立ての防止にもつながります。実際、設計者と製造担当者の間で共通認識を持つための「設計意図の伝達手段」として、測定値は非常に重要な情報です。

さらに、完成品の品質をチェックする際にも、距離測定は欠かせません。製造後に実測した数値と、設計段階での測定結果を比較すれば、寸法誤差の有無や傾向を分析することができます。 これにより、誤差が設計起因なのか製造起因なのかを切り分けやすくなり、原因の特定と対策の立案に役立ちます。

また、干渉チェックやクリアランス検証と併用することで、部品同士の予期せぬ接触やすき間不足を早期に検知できます。これらの検証を通じて設計段階での不具合を防げば、製品の信頼性や安全性を高めることにもつながります。

このように、距離測定を活用することで、設計の正確性を高めるだけでなく、全体の品質管理を支える重要な要素として機能させることが可能なのです。

6.2 設計変更前後の距離測定の比較

設計作業では、要件の変更や顧客からのフィードバックにより、何度も修正が発生します。そのたびに、部品間の距離がどの程度変化したのかを正確に把握しておくことは、非常に重要です。SolidWorksには、設計変更を管理するための機能や表示オプションが豊富に用意されています。

たとえば、「構成(Configuration)」機能を使えば、同じモデル内に複数のバージョンを保存できるため、変更前と変更後の状態をワンクリックで切り替えて比較できます。これにより、変更点をピンポイントで確認し、距離の変化をMeasureツールで測定・記録することが簡単になります。

また、変更内容を他メンバーや関係部署に伝える際は、設計変更の背景や影響範囲を明確にする必要があります。そんなときには、測定結果を数値として示すことで、変更の根拠が客観的になり、合意形成がしやすくなります。

プロジェクトの進行においては、変更履歴の管理も重要です。SolidWorksには、モデルに対するコメントやバージョン履歴を残せる機能があり、誰が・いつ・どのように変更を加えたかを記録することで、トレーサビリティを確保できます。

加えて、マスプロパティを用いて重心位置の変化を確認したり、必要に応じて干渉チェックやクリアランス検証を再実行したりすることで、構造的な安定性や安全性の再検証にもつなげることができます。

また、定期的に使う測定内容や検証手順は、あらかじめテンプレート化しておくと、毎回の作業を簡略化できます。これにより、作業ミスを防ぐだけでなく、設計品質の一貫性を保つことにもつながります。

このように、設計変更時には距離測定を軸に据えた情報整理と管理を行うことで、確実かつ効率的な変更対応が可能となります。設計の信頼性を保ちつつ、変更に強い設計体制を築くうえでも、距離測定の活用は大きな武器になるでしょう。

7. まとめ

本記事では、SolidWorksのアセンブリ環境において、部品間の距離を正確に測定する方法を中心に、基本操作から応用機能、よくあるトラブルへの対処法、さらには設計変更や品質管理への活用まで幅広くご紹介してきました。

距離測定は一見シンプルな作業に思えるかもしれませんが、設計の精度や製品の完成度を大きく左右する重要なプロセスです。部品同士のクリアランスや干渉を事前に把握できるかどうかで、製造トラブルや手戻りの有無が決まり、結果として品質・コスト・納期に大きな影響を及ぼします。

まずは、Measureツールの基本的な使い方をしっかりと理解し、目的に応じた正しいエンティティ選択を行うことが出発点です。そのうえで、クリアランス検証や干渉チェックといった関連機能を組み合わせて使えば、設計検証の精度をさらに高めることができます。

さらに、ショートカットやマクロ、ツールバーのカスタマイズなどを活用することで、測定作業の効率化も図れます。作業時間の短縮だけでなく、操作ミスの軽減にもつながるため、積極的に取り入れていきたいポイントです。

距離測定の結果は、製造現場への指示や設計変更の根拠資料、品質管理の記録としても活用できる重要なデータです。日常的な操作の中に、こうした「測定→確認→記録→応用」というサイクルを取り入れることで、SolidWorksを使った設計業務のレベルを一段と引き上げることができるでしょう。

設計ミスの防止、トラブルの予防、品質の向上。これらすべての基盤となるのが「正確な距離の把握」です。今回ご紹介した内容を活かして、より信頼性の高いアセンブリ設計を進めていただければ幸いです。

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❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX

<参考文献>

測定ツール(Measure Tool) – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/hidd_measure.htm?verRedirect=1

SOLIDWORKS 2025の新機能 | SOLIDWORKS

https://www.solidworks.com/ja/product/whats-new

操作チュートリアル – アセンブリ合致① ~はじめに~ | MySolidWorks

https://my.solidworks.com/reader/swyoutubeja/1SJIo193caU/?&lang=ja

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