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3D CAD図面の書き方入門|初心者でもわかる基本操作と作図のコツ

1. はじめに

3D CADは、製造業や建築、プロダクトデザインなど、さまざまな分野で活用されている設計ツールです。従来の2D CADと異なり、立体的な視点でモデルを確認できるため、完成形のイメージがつかみやすく、設計変更にも柔軟に対応できます。結果として、設計作業にかかる時間やコストの削減が可能になります。

さらに、3D CADでは図面に寸法や注記を効率よく追加できるため、より正確な製品データの作成にも役立ちます。3D CADを学ぶことで、現代のモノづくりに欠かせないスキルが身につき、キャリアアップや将来的な応用にもつながるでしょう。たとえば、3Dプリンターとの連携や構造解析といった高度な設計にも対応できるようになります。

最近では中学生や高校生の段階からCADに触れる機会も増えており、基本操作と全体の流れを理解するだけでも、十分に設計の基礎リテラシーを身につけられます。

本記事では、3D CADの基本的な考え方や主要な機能、無料と有料ソフトの違い、実際の作図手順までをステップごとに解説します。これから3D CADを本格的に始めたい方が、最初のハードルを乗り越えるためのガイドとして、ぜひ活用してください。

2. 3D CADとは?基本の「キ」

この章では、3D CADの基本的な特徴と、2D CADとの違いについてわかりやすく解説します。見た目は似ていても、仕組みや使い方には大きな違いがあります。

2D CADは、紙の図面をパソコン上で再現するようなイメージで、線や寸法を平面上に描いて設計します。シンプルな構造や寸法の表現には便利ですが、立体的な構造を正確に伝えるには複数の図面が必要となり、把握が難しくなることもあります。

一方、3D CADは立体そのものを画面上で組み立てるように設計できるのが大きな特徴です。部品をあらゆる角度から確認できるため、形状のミスや干渉に早く気づくことができ、設計の正確性が向上します。加えて、モデルの寸法を変更すれば、関連する図面やビューも自動で更新されるため、手作業で修正する手間が大幅に減ります。

また、作成した3Dモデルはプレゼン資料や3Dプリント用データとしても活用でき、設計以外の場面でも非常に有用です。初めての方にとっても、操作の流れが「現物を作る感覚」に近いため、学んでいくうちに自然と実践的なスキルが身につくでしょう。

2.1. 3D CADと2D CADの違い

2D CADは、平面に図形を描いて設計するソフトで、構造や寸法の情報を視覚的に伝えるのに適しています。ただし、立体構造を表すには正面図・側面図・断面図などを組み合わせる必要があり、情報量が増えると理解しにくくなるという課題があります。

それに対して3D CADは、スケッチから立体形状を直接モデリングしていくスタイルです。たとえば、四角いスケッチを押し出せば直方体に、円を回転させれば円柱ができるなど、実際のものづくりのプロセスに近い操作感が特徴です。

また、3Dモデルを変更すれば、それに関連した図面や構成部品も自動で更新されるため、図面間の整合性を保ちやすくなります。修正があっても手戻りが少なく、作業効率が大幅にアップします。

初心者のうちは少し戸惑うこともあるかもしれませんが、「スケッチ → 押し出し → 加工」という基本ステップを覚えるだけで、シンプルな立体を短時間で作れるようになります。学習のハードルはありますが、得られるメリットは非常に大きいといえるでしょう。

2.2. 3D CADの主要機能と用途

3D CADの中心となるのは「スケッチ」と「モデリング」です。まず、平面上に2Dの図形(スケッチ)を描き、寸法や拘束(水平・垂直・対称など)を使って形状を正確に定義します。

次に、スケッチを押し出しや回転、スイープ、ロフトなどの機能で立体化することで、目的の形状を作っていきます。さらに、フィレット(角を丸める)や面取りを加えることで、実際の部品に近い仕上がりになります。

3D CADでは、複数の部品を組み合わせて全体の構造を確認する「アセンブリ」機能も重要です。部品の位置関係や動作、干渉のチェックが可能で、組み立て前に問題を把握できるのは大きな利点です。

また、作成した3Dモデルから、正面図・平面図・断面図などの2D図面を自動で生成できる機能もあります。寸法や注記も短時間で追加でき、製造現場に提出する図面の作成がスピーディーに行えます。

こうした多彩な機能により、3D CADは機械設計、建築設計、インテリア、プロダクトデザイン、さらには趣味の3Dプリントなど、幅広い分野で活用されています。近年では、無料の「CADライブラリ」から部品を取り込んで設計に活用するケースも増えており、初心者でも使いやすい環境が整っています。

3. 3D CADソフトウェアの選択

3D CADには多くの種類があり、それぞれ操作性や機能、価格帯に違いがあります。初心者が最初に選ぶ際は、「使いやすさ」や「コスト面」、そして「学習しやすさ」がポイントとなります。

最近では、無料で始められるソフトやクラウド型のツールも増えており、初心者でも導入しやすい環境が整っています。また、業界標準として実務で使われている本格的なソフトを最初から学ぶという選択肢もあります。

次の章では、初心者におすすめの代表的な3D CADソフトを3つ取り上げ、それぞれの特徴と利用シーンを具体的に解説していきます。

3.1. 初心者におすすめの3D CADソフト

3D CADの入門として人気の高いソフトには、「Fusion 360」「SOLIDWORKS」「FreeCAD」の3つがあります。それぞれに特長があり、学習目的や将来の使用シーンに応じて選ぶことが大切です。

■Fusion 360

引用:https://www.autodesk.com/jp/support/technical/product/fusion-360

Autodeskが提供するクラウドベースの3D CADで、設計・モデリング・アセンブリ・レンダリング・解析といった機能を1つに集約したオールインワンツールです。個人利用や教育目的であれば無料で使えるプランも用意されており、コストをかけずに始めたい初心者にとって非常に魅力的です。
操作性は直感的で、オンライン上にはチュートリアルや解説動画も豊富。クラウド保存や複数人での共有にも対応しており、設計データの管理もスムーズです。

■SOLIDWORKS

引用:https://www.solidworks.com/ja

多くの製造業・設計事務所で採用されているプロフェッショナル向け3D CADで、業界標準として高い信頼を得ています。パーツ設計やアセンブリ、応力解析、図面管理など、高度な機能が網羅されており、実務レベルの設計スキルを習得したい方におすすめです。
やや操作には慣れが必要ですが、企業での活用を見据えた学習には最適。教育ライセンスやトレーニングコンテンツも充実しています。

■FreeCAD

引用:https://www.freecad.org/index.php?lang=ja

オープンソースで開発されている無料の3D CADで、誰でも自由にダウンロード・使用可能です。Pythonベースで拡張性が高く、カスタマイズや自動化にも対応しているため、プログラミングやマクロに興味のある方にも適しています。
やや操作にクセはありますが、活発な開発コミュニティや豊富なユーザーサポート情報があり、自学自習にも向いています。コストをかけずに試作や学習を進めたい方におすすめです。

これら3つのソフトは、それぞれ異なる魅力を持っています。どれを選ぶにしても、まずは「自分の目的」「予算」「PC環境」などを基に、無理なく使い続けられるものを選ぶことが大切です。ソフトの選択が今後の学習効率や実務活用に大きく影響するため、しっかり検討しておきましょう。

3.2. 無料と有料ソフトウェアの比較

3D CADを始めるにあたって、無料ソフトを使うか、有料ソフトを導入するかは、多くの初心者にとって重要な選択ポイントです。どちらにもメリット・デメリットがあるため、用途や目的に応じて適切に選ぶことが求められます。

まず、無料の3D CADソフトは、初期費用がかからない点が大きな利点です。たとえば、「Fusion 360」の個人利用プランは無償で提供されており、基本的な設計作業は十分にこなせる内容になっています。また、「FreeCAD」のように完全に無料で使えるソフトもあり、CADを試してみたい方や学習用にとりあえず触ってみたい方にとっては非常に良いスタート地点になります。

ただし、無料ソフトには一定の制限があることも覚えておく必要があります。たとえば、Fusion 360の無償プランでは商用利用ができなかったり、一部の高度な解析機能が使えなかったりする場合があります。また、サポート体制が限定的であったり、アップデートのタイミングが選べなかったりといった制約も存在します。したがって、仕事で本格的に活用したい方や、より専門的な設計が必要な方には、有料ソフトの導入を検討する価値があります。

有料ソフトの代表格である「SOLIDWORKS」は、導入費用こそ高めですが、その分プロフェッショナル向けの機能が充実しており、業務用としての信頼性や安定性が確保されています。また、教育機関向けのライセンスやトレーニングプログラムも豊富で、体系的にスキルを習得できる点もメリットの一つです。

もちろん、無料と有料のどちらが絶対に良いということはありません。はじめは無料ソフトで基礎を身につけ、必要に応じて有料版にステップアップするという進め方もおすすめです。まずは実際に触れてみて、自分にとっての使いやすさや機能の必要性を見極めることが、失敗しないソフト選びの第一歩といえるでしょう。

4. 基本操作をマスターしよう

引用:https://www.autodesk.com/jp/solutions/autocad-3d#3d-model

ここからは、3D CADを使ううえで欠かせない基本操作について解説していきます。最初にソフトウェアを起動すると、画面上には多数のアイコンやメニューが並び、どこから手をつけてよいのか戸惑うかもしれません。しかし、基本的な構成やよく使う操作の意味を理解しておくことで、不安はぐっと減り、スムーズに作業へ移ることができます。

まずは、新規ファイルの作成や保存方法など、ソフトを起動してからの初期操作に慣れることが大切です。加えて、マウスやキーボードを使った視点操作、ズーム、パン(平行移動)など、画面内で3Dモデルを自在に動かすための基本的な操作方法も押さえておきましょう。これらの操作はすべての3D CADに共通する重要な部分であり、後の作図や修正の効率にも大きく影響します。

次に重要なのが「スケッチ」や「拘束」「寸法」といった、2D図形を正確に描くための操作です。スケッチは立体化の土台となる作業であり、この時点で寸法を正しく設定し、図形の形や位置をしっかりと定義することで、精度の高いモデルが作れるようになります。ここでの操作を丁寧に行うことが、後の工程のトラブルを防ぐことにもつながります。

以下では、基本操作をさらに細かく分けて解説していきます。インターフェースの見方や操作方法、作図ステップなど、一つずつ丁寧に理解することで、3D CADへの苦手意識が薄れていくはずです。初心者が最初につまずきやすいポイントにも触れながら、着実にスキルを習得していきましょう。

4.1. インターフェースの理解と操作方法

まずは、3D CADソフトの画面構成を把握することから始めましょう。どのソフトでも共通して、上部にはコマンドが並ぶ「リボン」や「メニューバー」があり、左側や右側には、スケッチやフィーチャーの履歴が表示される「ブラウザツリー」や「プロパティパネル」が配置されています。このような画面構成を理解することで、作業全体の流れが見えやすくなります。

特に重要なのが視点操作です。3Dモデルを確認したり編集したりするには、マウスやキーボードを使ってモデルの向きを自在に切り替える必要があります。一般的には、マウスの中ボタンを押しながらドラッグすれば回転、ホイールを回せばズームイン・アウト、右ボタンをドラッグすればパン操作が可能です。初めのうちは動きすぎて混乱することもありますが、慣れてくると感覚的に扱えるようになります。

また、よく使うコマンドにすばやくアクセスするには、ショートカットキーの活用も有効です。たとえばFusion 360では「S」キーを押すと、よく使うスケッチや押し出しコマンドを検索・選択できるウィンドウが表示されます。SOLIDWORKSであれば、「Ctrl+N」で新規作成、「Ctrl+S」で保存など、Windows系の操作と共通したキーも多く、覚えておくと作業がよりスムーズになります。

さらに、使用頻度の高いコマンドを右クリックメニューに追加したり、ツールバーを自分好みに並び替えるといったインターフェースのカスタマイズも可能です。これにより、自分の作業スタイルに合わせた効率的な環境を構築することができます。最初のうちはデフォルトの設定で十分ですが、慣れてきたら積極的にカスタマイズしてみるとよいでしょう。

こうした基本的な操作やインターフェースの理解は、3D CADを使いこなすうえでの土台となります。最初のうちにしっかり身につけておくことで、今後の学習や作図作業が格段に進めやすくなるでしょう。

4.2. 基本的な作図手順

3D CADでの作図は、主に「スケッチ→立体化→加工」という一連のステップに沿って行われます。ここでは、それぞれの工程を具体的に紹介し、初心者が確実に基本を押さえられるようにわかりやすく説明していきます。

最初のステップは「スケッチ」です。これは、XYやXZなどの作業平面上に2D図形を描く作業で、立体モデルの元となる形状を定義します。たとえば、長方形や円を描いたり、寸法や拘束条件(水平、垂直、対称など)を加えることで、正確で安定した図形が作成できます。スケッチの段階で形があいまいだったり、寸法が未定義のままだと、後のモデリングでエラーが出ることもあるため、ここを丁寧に行うことが重要です。

次に、完成したスケッチを押し出したり回転させたりして立体化するのが「モデリング」の工程です。たとえば、四角形を押し出せば直方体に、円を軸に回転させれば円柱や円錐になります。こうした操作が、3D CADで形をつくる基本となります。押し出しの方向や距離、回転の角度などを指定することで、立体を自在にコントロールできます。

その後、「フィレット」や「面取り」「穴あけ」などの加工を加えて形状を整えていきます。フィレットは角を丸める処理で、見た目を滑らかにしたり応力集中を避けたりする効果があります。穴あけはボルトやピンを通すための加工として多用され、規格に合った寸法で配置する必要があります。これらの加工をどの順番で行うかによっても、最終的な形状が変わることがあるため、操作の履歴を意識しながら進めるのがコツです。

最後に、完成した3Dモデルから2D図面を生成し、寸法や注記を追加することで、製造用の図面として仕上げます。図面ビューの自動生成機能を使えば、正面図・平面図・断面図などをすぐに呼び出すことができ、作図作業の効率が大きく向上します。さらに「CAD クラウド保存」などを活用して、データを安全に保管・共有することで、作業ミスやデータ紛失のリスクも軽減できます。

このような基本の流れを繰り返し練習していくことで、3D CADの操作に慣れていくことができます。まずはシンプルな形状で練習を重ね、徐々に複雑なモデリングにもチャレンジしていきましょう。

5. 3Dモデリングの実践

引用:https://www.autodesk.com/jp/solutions/autocad-3d#3d-model

ここからは、実際に3D CADを使ってモデリング作業を進める具体的な手順を紹介していきます。ここまでに説明してきた基本操作をもとに、簡単な図形の作成からスタートし、少しずつ複雑な形状へと発展させていくことで、着実にスキルを高めていけます。最初の段階では、直方体や円柱といった単純な形状を使い、反復的な操作を通して3D空間での感覚を身につけていくことが大切です。

モデリング作業で重要なのは、部品の形をただ作るだけでなく、あとから修正しやすいように履歴や構造を意識しながら設計を行うことです。3D CADでは、スケッチやフィーチャーと呼ばれる加工操作がツリー構造で保存されており、いつでも編集・削除・再適用が可能です。この履歴機能を活用すれば、設計変更にも柔軟に対応でき、設計全体の管理も容易になります。

一方、初心者がつまずきやすいポイントもいくつかあります。たとえば、スケッチに必要な寸法や拘束が足りていなかったり、フィーチャーの順序に問題があると、意図しないモデルになったりエラーが発生したりします。こうしたトラブルを回避するには、工程ごとに目的を明確にし、モデル全体の構成を意識しながら進めることが重要です。

また、3Dモデリングは頭で考えるだけでなく、実際に手を動かして操作する中で理解が深まる分野でもあります。操作に慣れるまでは、ソフトの公式チュートリアルや解説動画を参考にしながら、同じ形状を何度も作成してみるのがおすすめです。自分の手でモデルを完成させたときの達成感は大きく、学習意欲の継続にもつながるでしょう。

以下では、初心者が最初に取り組みやすい基本図形の作り方や、少し難易度の高い複雑な形状を効率よく作成するテクニックについて紹介していきます。それぞれの操作がどのような場面で使えるのかを具体的に知ることで、実践的な設計力が自然と身についていきます。

5.1. 基本的な3D図形の作成

3D CADをはじめたばかりの方は、まず「プリミティブ」と呼ばれる基本図形の作成から練習すると良いでしょう。プリミティブとは、箱(直方体)・球・円柱・円錐といった単純な立体のことで、多くのCADソフトではワンクリックで簡単に呼び出せるようになっています。これらの図形に対して寸法を設定したり、向きを調整したりすることで、3D空間でのモデリング感覚を身につける第一歩となります。

ただし、実際の設計では、こうしたプリミティブだけで完結することはほとんどありません。基本図形の理解に加え、スケッチから形状を立ち上げる手法も重要です。たとえば、XY平面上に長方形を描いてそれを押し出せば、直方体と同じ形ができます。この「スケッチ→押し出し→加工」という一連の流れは、3D CAD操作の基本構造となるため、確実にマスターしておきたいところです。

さらに、円のスケッチを軸として回転させれば、円柱や円錐などが作れます。これは「回転(Revolve)」という操作で、機械部品のように対称性のある形状をモデリングする際によく使われます。また、スケッチの輪郭に沿って形を伸ばす「スイープ」や、異なる形状のスケッチ同士をなめらかにつなぐ「ロフト」など、より応用的な手法も覚えておくと設計の幅が広がります。

こうした基本図形の作成を繰り返し練習しておくことで、CADソフトの操作に対する不安が和らぎ、3D空間での立体的な思考も自然と養われていきます。最初は簡単な形からでかまいません。まずは自分の手でモデルを完成させる体験を重ねることが、スムーズなスキル習得への近道です。

5.2. 複雑な形状のモデリング技術

ある程度基本図形に慣れてきたら、次は複雑な形状のモデリングにも挑戦してみましょう。複雑といっても、操作そのものは基本の応用です。複数のスケッチやフィーチャーを組み合わせることで、より精密で実用的な形状を作ることができるようになります。

まず覚えておきたいのが、「フィレット」や「面取り」の使い方です。フィレットは角を滑らかに丸める処理で、強度面の配慮や安全性の向上に役立ちます。面取りは鋭い角を削ることで、部品同士が干渉しにくくなったり、組み立てがしやすくなったりします。これらは機械部品などで頻繁に使われる加工で、見た目にも自然で洗練された印象を与えることができます。

さらに、「穴あけ」操作も重要です。ねじ穴やボルト穴など、さまざまな機構に応じた穴を規格寸法で作成することで、実際の組み立てや製造に対応した部品が作成できます。3D CADでは一度設定した穴の寸法や位置を簡単に変更できるため、設計段階での試行錯誤もスムーズに行えるのが利点です。

また、「パターン」や「ミラー(対称コピー)」機能を活用すると、作業効率が大幅にアップします。たとえば、同じ穴を等間隔に複数並べたり、左右対称の形状を一瞬で生成したりすることができるため、部品点数が多い設計でも時間を短縮しながら精度を保つことができます。これらの機能は、複雑な形状を整理して効率的に作図するうえで非常に重宝されます。

ただし、操作が増えるにつれて、モデルの履歴ツリーも長くなっていきます。どのステップで何を行ったかが把握できなくなると、修正やトラブル対応が難しくなるため、スケッチやフィーチャーに名前をつけて管理する、複雑な形は段階的に分けて設計するなどの工夫が必要です。整理された履歴を維持しておくことで、設計変更やモデルの再利用もスムーズになります。

このように、複雑なモデリングも基本操作の延長線上にあるものです。はじめはうまくいかなくても、試行錯誤を繰り返すことで確実に上達していきます。経験を積むことで、思い描いた形状を自在に表現できるようになるでしょう。

6. 作図のコツと注意点

この章では、3D CADをよりスムーズに活用するためのコツや、初心者が陥りやすい失敗例とその対処法について紹介します。基本操作を覚えて慣れてきた頃にこそ、効率よく作業を進めるための「ひと工夫」や「予防策」を知っておくことが大切です。作図スピードや精度を上げたいと思ったときには、操作テクニックだけでなく、設計の考え方やデータの管理方法も意識してみましょう。

まず意識したいのが、操作の効率化です。同じ作業を繰り返す中で、いかに少ない手順で正確に図形を描けるかが、設計者としての力量にもつながります。たとえば、ショートカットキーやマウス操作の活用、インターフェースのカスタマイズなどを取り入れるだけで、操作のテンポが大きく変わります。こうした効率化の工夫は、作業の快適さにも直結するので、早めに身につけておくと良いでしょう。

また、初心者がよくつまずくポイントとして、スケッチでの拘束不足や寸法の誤設定などがあります。いざモデルを作ろうとしたときに、思い通りに動かない、エラーが出るといったトラブルに直面しがちです。こうした問題を防ぐには、操作だけでなくCADソフト特有の概念や動作原理を理解しておくことが大切です。どこに注意すればトラブルを回避できるのか、事前に知っておくことで余計な手間を減らすことができます。

さらに、データの保存や管理も重要なポイントです。特に3D CADでは、履歴が残る構造のため、設計変更やファイルの差し替え時にミスが起こりやすくなります。「バージョン管理」や「クラウド保存」といった機能を上手に使いこなすことで、いつ・どの段階のモデルかを明確にしておけるため、チーム作業やトラブル時の対応がぐっと楽になります。

以下では、作業効率を高めるためのショートカットキーの使い方と、初心者が直面しやすいトラブルへの対処法について、具体的に説明していきます。事前に知っておくことで、作業スピードと完成度のどちらも高められるようになります。正しい操作とよい習慣を身につけて、CADの使いこなし度を一段階アップさせましょう。

6.1. 効率的な作図のためのショートカットキー

3D CADの作業を効率よく進めるには、ショートカットキーの活用が欠かせません。ソフトごとに用意されているショートカットを使いこなすことで、よく使う操作に素早くアクセスでき、わざわざメニューを開いて選択する手間を省くことができます。操作にかかる時間が短縮されるだけでなく、作図のリズムが整い、集中力を保ちやすくなるのもメリットです。

たとえば、Fusion 360では「S」キーを押すことで、よく使うコマンドを検索・呼び出せる便利なショートカットウィンドウが表示されます。この機能を使えば、「スケッチ」「押し出し」「フィレット」などの操作もすばやく選択でき、作図中の手の動きを止めることなく流れるように作業を進められます。SOLIDWORKSの場合も「Ctrl+N」で新規作成、「Ctrl+S」で保存といった、基本的なショートカットはWindows操作と共通しており、すぐに覚えられるものが多くあります。

ショートカットは種類が多いため、最初からすべてを覚える必要はありません。まずは、自分がよく使う3〜5個のコマンドだけを重点的に覚えるのがおすすめです。たとえば、「スケッチ開始」「寸法追加」「ビューの切り替え」「フィーチャー編集」など、日常的に繰り返す操作に絞ると、効率アップの実感が得やすくなります。

また、ソフトによってはショートカットキーを自分で自由に設定・変更できるカスタマイズ機能も備わっています。たとえば、右クリックメニューに頻繁に使うコマンドを追加するだけでも、作業効率がぐっと向上します。インターフェースそのものを自分仕様に調整することで、より快適な作業環境を構築できるでしょう。

このように、ショートカットキーや操作環境のカスタマイズは、作業の時短だけでなく、ストレスの軽減にもつながる非常に有効な手段です。初心者の段階から意識的に取り入れていくことで、将来的な作業効率に大きな差が出てきます。少しずつでも実践に取り入れていくことをおすすめします。

6.2. よくあるトラブルとその対策

3D CADを使っていると、初心者のうちは予期せぬエラーや思い通りにいかない場面に直面することが少なくありません。ここでは、よくあるトラブルの例と、それに対処するための基本的な考え方・具体的な対策を紹介します。トラブルを事前に知っておくことで、戸惑うことなく冷静に対応できるようになります。

まず非常によくあるのが、スケッチに必要な拘束が足りないケースです。たとえば、水平線だと思っていた線が実は微妙に傾いていたり、寸法が不完全で形状が自由に動いてしまうことがあります。このような拘束不足のままモデリングに進むと、押し出しや回転の際にエラーが発生したり、形状が意図と違ってしまうことがあります。対策としては、スケッチ作成時に拘束アイコンや寸法設定をしっかり確認し、すべての要素を安定させることが重要です。

次に、アセンブリでよく起きるのが「干渉」の問題です。複数の部品を組み合わせたときに、意図せず重なり合ってしまう部分があると、実際の組み立てでは不具合の原因になります。多くの3D CADソフトには「干渉チェック」機能が用意されており、重なっている箇所をハイライト表示してくれるため、視覚的に問題を発見できます。定期的にこの機能を使って確認しておくことで、設計ミスを早期に防ぐことができます。

また、ファイルの保存や共有に関するトラブルも見逃せません。クラウド保存を使っている場合、ネットワークの不具合などでデータが正しく同期されなかったり、チームメンバーとのバージョンが食い違ったりすることがあります。こうした問題を防ぐためには、履歴の管理やバージョン分け、適切なファイル命名規則を決めておくことが効果的です。定期的なバックアップやエクスポートも、安全なデータ管理には欠かせません。

さらに、PCのスペックに関する問題にも注意が必要です。特にレンダリング処理や大規模アセンブリの操作では、CPUやメモリ、グラフィック性能が作業スピードに大きく影響します。CADソフトの動作要件を事前に確認し、必要に応じてハードウェアの強化や不要アプリの停止などの対策を講じましょう。

このように、3D CADではさまざまなトラブルが起こり得ますが、ひとつひとつは原因と対策が明確で、事前の理解と準備によって十分に回避できます。トラブルに遭遇した際は、エラーメッセージをよく読み、原因を切り分けながら冷静に対応することが、スムーズな解決への第一歩です。

7. 実践的な例

引用:https://www.autodesk.com/jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/Converting-Inventor-assembly-models-to-AutoCAD-blocks.html

ここでは、3D CADを実際に使って、部品やアセンブリ(組立品)を作成する具体的な流れを見ていきます。「難しそう」「自分には無理かも」と感じる方もいるかもしれませんが、手順を細かく分けて段階的に取り組めば、初心者でも無理なく理解できます。

まず重要なのは、はじめに簡単な部品からスタートすることです。最初から複雑な形状を選んでしまうと、スケッチの構造やフィーチャー(押し出しや穴など)の関係性が理解しきれず、途中で挫折してしまう可能性が高くなります。まずは成功体験を積み、「3D CAD ステップ」を着実に踏んでいくことが学習継続のコツです。

また、複数の部品を組み合わせて構造体を作る「アセンブリ」は、3D CADの魅力を最も実感できる操作の一つです。ジョイントやメイトなどの機能を活用すれば、部品同士の接続状態や動作の確認もでき、実際の製品構造に近い状態を画面上で再現できます。

こうした練習を通じて、「CAD テンプレート」や「CAD ライブラリ」の活用方法も自然と身についてきます。まずは単体部品で基礎を固め、その後で応用として他の部品や組み立て操作に挑戦することで、アセンブリ全体を段階的に構築できるようになるでしょう。以下、小見出しで実際の作成手順を具体的に見ていきます。

7.1. 簡単な部品の作成

はじめに作成する部品としておすすめなのは、箱型のブラケットや小さなプレートなど、シンプルで形状が明確なものです。たとえば、長方形のスケッチを描いて押し出し、数個の穴を開けるだけでも、立派な3Dモデリングの練習になります。

まずスケッチ平面を選び、長方形ツールを使って大まかな輪郭を描きます。その際には寸法を明確に指定し、必要な拘束条件(水平・垂直・同一線上など)を加えてスケッチを確定させるのがポイントです。寸法と拘束をしっかり設定しておけば、後からのサイズ変更もスムーズに行えます。

次に、押し出しコマンドで厚み(高さ)を与えて直方体を作成します。続いて、ドリルのように穴あけコマンドを適用すれば、簡単な機械部品が完成します。さらに、面取り(エッジのカット)やフィレット(角丸処理)を加えると、より実物に近い外観になり、モデリングの完成度が一気に高まります。

このようにして作成した部品は、後にアセンブリとして組み立てることも可能です。最初から曲面や複雑な形状、複数のフィーチャーを盛り込むのではなく、基本的な構造とコマンド操作に集中しながら、一つひとつ確実に覚えていくのがおすすめです。段階を追って理解することで、CAD操作に対する自信も自然と育まれていくはずです。

7.2. アセンブリの作成

複数の部品を組み合わせて一つの製品を構成する「アセンブリ」の作成では、それぞれの部品の取り付け位置や座標関係をしっかり意識することが重要です。特に、可動する部品が含まれる場合には、軸の方向や回転の自由度など、動作を正確に再現するための設定が求められます。

たとえば、前のステップで作成したブラケット部品に、シャフトやボルトなどを挿入することで、簡単な機械構造を作ることができます。シャフトがブラケットの穴に通るように配置し、両者の位置を正確に合わせるには、CADソフトの「メイト」または「ジョイント」機能を使って拘束条件を設定します。これにより、部品の接続状態を固定したり、回転やスライドが可能な関係にしたりと、リアルな動作をシミュレーションできます。

アセンブリを構築すると、干渉チェックや動作確認といった便利な機能が使えるようになります。たとえば、部品同士が重なっていないか、動作範囲が設計どおりに確保されているかを確認できるため、製造前のミス防止に役立ちます。これにより、試作段階での手戻りを減らし、時間やコストの削減にもつながります。

初心者にとってアセンブリ作成はやや難しく感じられるかもしれませんが、二つの部品を組み合わせて動きを確認するだけでも、設計の考え方が深く理解できるようになります。まずは簡単な構成から始め、徐々に部品の数や複雑さを増やしていくことで、段階的に実力を高めていくことができます。アセンブリを通じて「設計の全体像」を学ぶことで、より実践的な3D CADの使い方が見えてくるでしょう。

8. まとめ

この記事では、3D CADの基本的な考え方から始まり、ソフトウェアの選び方、作図手順、よくあるトラブルへの対処法、そして実践的なモデリングやアセンブリ作成までを、初心者にもわかりやすく丁寧に解説してきました。

初めて3D CADを触るときは、操作方法や用語の多さに戸惑うかもしれません。しかし、一つひとつのステップを実際に手を動かして試していくことで、自然と慣れていくものです。「難しそう」と感じるのは最初だけ。シンプルな形を作るところから始めれば、確実にスキルは身についていきます。

3D CADの最大のメリットは、設計意図を立体的に可視化し、構造や寸法の検証を正確に行える点にあります。設計変更への柔軟な対応も可能で、エラーの発見や試作コストの削減など、実務においても多くの恩恵を受けることができます。今や製造業や建築、プロダクトデザインの分野では、3D CADは標準的なツールとなりつつあり、その活用はますます重要になっています。

本記事では、「スケッチの作成 → 押し出しや回転などの立体化 → 必要なフィーチャー追加 → 2D図面の出力」という基本的な流れをしっかりと押さえることを中心にご紹介しました。これができれば、3D CADの基本はほぼマスターできたと言えるでしょう。

この記事を通して、「CAD 図面ビュー」や「CAD 注記」といった要素の役割や意味についても理解が深まったはずです。あとは、今回学んだ内容をもとに、繰り返し実践しながら操作に慣れていくことが何より大切です。自分のペースでコツコツと進めていけば、やがて自信をもって3D設計に取り組めるようになります。

「できるようになった」「形になった」という小さな成功体験を積み重ねることが、継続の原動力です。ぜひ3D CADを使って、自分だけのものづくりを楽しみながら、実践的なスキルを育てていってください。

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<参考文献>

Autodesk Fusion | 3D CAD/CAM/CAE/PCB が1つに集約されたソフトウェア | 無料体験版

https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview#personal

3次元設計と製品開発ソリューション

https://www.solidworks.com/ja

FreeCAD: Your own 3D parametric modeler

https://www.freecad.org/

Fusion ヘルプ | Autodesk

https://help.autodesk.com/view/fusion360/JPN/

MySolidWorks – SOLIDWORKS 公式コミュニティ

https://my.solidworks.com/

メインページ – FreeCAD Documentation

https://wiki.freecad.org/Main_Page/ja

AutoCAD 3 D の機能と概念 【 初心者向け 】 | Autodesk

https://www.autodesk.com/jp/solutions/autocad-3d

AutoCAD 3D 作図方法 | 動画で学ぶ基本の3D機能

https://www.autodesk.com/jp/solutions/autocad-3d-video

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