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Civil 3DでFBXファイルを扱う方法|読み込み・書き出し手順と注意点を解説

1. はじめに

土木設計の現場では、3Dモデルによる合意形成や可視化の重要性が年々高まっています。中でも Autodesk Civil 3D は、道路・河川・造成などのインフラ分野で広く使われる定番ツールです。
3Dデータを他ソフトとやり取りする際によく使われるのが FBX フォーマット。Civil 3D単体ではFBXを直接入出力できないため、Navisworks・InfraWorks・3ds Max などの中間ツールを介して連携するのが現在の標準的な運用です。

ただし、FBXを使いこなすにはコツがあります。たとえば 座標系や単位(スケール)の整合、読み込み・書き出し時の設定、マテリアルやテクスチャの扱いを理解していないと、モデルの位置ズレや見た目の破綻、無駄な再作業につながりがちです。

本記事では、Civil 3D × FBX 連携の基本として、

  • 中間ツール(Navisworks/InfraWorks/3ds Max)を使った 実務的な手順
  • 座標・スケール・見た目 を崩さないための注意点
  • よくあるトラブルと 対処のコツ

を、専門用語をかみ砕きながら分かりやすく解説します。ポイントを押さえれば、データ共有やプレゼン資料の作成がぐっとスムーズになります。さっそく、失敗しないための具体的なワークフローを見ていきましょう。

2. Civil 3DとFBXファイルの基本概念

この章ではまず、Civil 3Dがどのような役割を持つソフトウェアなのか、そしてFBXファイル形式がどのような特徴を持ち、なぜ土木分野で幅広く活用されているのかをわかりやすく整理します。
Civil 3D は、道路・造成・上下水道などのインフラ設計を三次元的に扱えることが大きな特長です。従来の2D図面作成に比べて、設計内容を立体的に確認でき、数量計算や施工検討まで一貫して行える点が高く評価されています。
一方で FBXファイル形式 は、Autodeskが開発した汎用3Dフォーマットで、異なるソフトウェア間で3Dデータをやり取りするための橋渡し役を担います。建築・土木・CGなど多様な分野で利用されており、InfraWorksやNavisworks、Twinmotion、3ds Maxといったツールと組み合わせて使うことで、Civil 3Dで作成したモデルをスムーズに可視化・共有できます。

設計者同士の協働だけでなく、クライアントや発注者へのプレゼンテーションにも3Dモデルは効果的です。FBX形式を使えば、Civil 3Dのデータを他のアプリケーションに渡し、リアルな景観シミュレーションや施工検討を行うことができます。このように、FBXは設計から可視化、合意形成までをつなぐ重要なデータフォーマット と言えるでしょう。
以降のセクションでは、FBXを介したCivil 3Dの連携がどのようなメリットを生み出すのか、より具体的に見ていきます。

2.1. Civil 3Dの概要とその役割

Civil 3D は、Autodesk社が提供する土木設計専用のCADソフトウェアです。道路設計、造成設計、上下水管網の計画など、インフラ整備に必要なさまざまな要素を3Dで設計・管理できるのが特長です。
たとえば、サーフェスを作成して地形を可視化したり、コリドーを生成して縦断・横断形状を分析したりするなど、施工図面の作成から数量計算、解析までを一気通貫でサポートします。

近年のCivil 3D(2022以降)では、BIM/CIMへの対応がさらに強化され、クラウド共有やデータ管理機能も充実しています。ただし、AutoCAD系の製品では2019以降、FBXの直接入出力機能(FBXIMPORT/FBXEXPORT)が削除 されているため、Civil 3D単体ではFBXを直接扱えません。
そのため、Navisworks・3ds Max・InfraWorksなどの中間ツールを経由してデータ連携を行うのが安全で確実な方法 です。これらを活用することで、プレゼン資料の作成や干渉チェック、施工シミュレーションなどを安定的に行えるようになります。

インフラ設計を担う技術者にとって、Civil 3Dは単なる作図ツールではなく、設計から解析・共有までを統合する中心的なソフトウェア と言えるでしょう。

2.2. FBXファイル形式の特徴と利点

FBX(Filmbox) は、Autodeskが開発を続けている3Dデータ交換フォーマットです。
モデルの形状データだけでなく、マテリアル・テクスチャ・アニメーションといった付随情報までを1つのファイルにまとめて扱えるのが特徴です。そのため、3Dモデリングソフトやゲームエンジン、建設系のBIMツールなど、幅広いソフトウェアで互換性を保ちながら運用できます。

たとえばFBXを利用すれば、他のソフトウェアにデータを移してもマテリアル情報が保持されやすく、リアルな質感や照明効果を再現できます。また、座標系を明確に扱える点も重要です。土木設計では位置精度が求められるため、FBXの座標情報を正確に設定しておくことで、InfraWorksやNavisworks上でもモデルの位置やスケールを正しく維持できます。

さらにFBXは、3Dアニメーションデータも格納できるため、将来的には施工工程や作業ステップの可視化(4Dシミュレーション) にも応用可能です。
このように、Civil 3DとFBXの連携は、BIM/CIMの流れが進む現在において、設計・可視化・シミュレーションを一体化させる強力な手段 となっています。

3. Civil 3DでのFBXファイル読み込み手順

ここでは、Civil 3DでFBXファイルを読み込む際の基本的な流れを詳しく説明します。
FBXファイルの読み込みでは、座標・スケール・マテリアル情報を正確に取り込めるかどうかが成功の鍵です。事前の設定や確認を怠ると、モデルの位置ずれやスケールの不一致、見た目の崩れが発生する可能性があります。そこで本章では、準備段階から読み込み後の確認まで、実務に役立つポイントを順に整理して解説します。

なお、Civil 3DやAutoCAD系の旧バージョンではFBXのインポートが非対応の場合があります。そのため、Navisworks・3ds Max・InfraWorksなどの中間ツールを経由するのが一般的です。
(※補足:ReCapは点群処理や写真測量データの変換を目的としたツールであり、FBX変換の中継用途としては推奨されません。)
また、FBXファイルはソフトウェアやリリース年ごとに仕様が異なるため、バージョン互換性を事前に確認することがトラブル防止の第一歩です。

3.1. 事前準備と必要な設定

まず押さえておきたいのは、Civil 3DではFBXを直接入出力できないという点です。
AutoCAD系の製品では2019以降、FBXIMPORT および FBXEXPORT コマンドが廃止されており、Civil 3Dも同様の仕様となっています。したがって、FBXデータを扱う場合は以下のいずれかのルートを選択する必要があります。

  • Navisworks でFBXを読み込み、必要に応じて再出力またはNWD/DWG形式に変換
  • 3ds Max を経由してFBXを開き、DWGやSATなどのCivil 3D対応形式へ変換
  • InfraWorks でFBXを表示・共有し、座標位置を確認したうえでレビュー

また、FBXファイルを受け取る際には、作成元ソフトのバージョンとFBXフォーマットのリリース年を確認しておくことが重要です。バージョンが一致していないと、読み込み時にエラーや欠落が発生する場合があります。
必要に応じて、Navisworksや3ds Maxで一度変換して互換性を確保するのが安全です。
(※旧Autodesk提供の「FBX Converter」も存在しますが、すでにサポートが終了しており、最終手段としてのみ使用が推奨されます。)

さらに、座標系と単位系の整合性も忘れてはいけません。Civil 3D図面内の座標設定と、読み込むFBXファイルの基準点や単位が異なると、モデルが意図しない位置やスケールで配置されます。
読み込み前にCivil 3D側で図面の座標系を確認し、FBX側の情報(緯度・経度・高さ・単位)と照らし合わせることで、後の調整を最小限に抑えることができます。

3.2. 読み込みの具体的手順と設定

準備が整ったら、FBXファイルをCivil 3Dで扱う実際の手順に進みます。
前述の通り、Civil 3D本体ではFBXIMPORTコマンドが廃止されているため、中間ツールを経由して読み込む手順を取ります。代表的な例を以下に示します。

  • Navisworksを使用する場合
     FBXをNavisworksに読み込み、必要に応じて再出力します。NWD形式やDWG形式に変換してからCivil 3Dで開くとスムーズです。
  • 3ds Maxを使用する場合
     FBXを3ds Maxで開き、Civil 3D対応形式(DWGやSATなど)に変換します。マテリアルやテクスチャ情報を保持したまま変換できるのが利点です。
  • InfraWorksを使用する場合
     InfraWorksにFBXをインポートして位置情報を確認し、Civil 3Dモデルと整合を取ります。可視化を目的としたレビューにも便利です。

読み込みが完了したら、座標とスケールが正しく一致しているかを確認しましょう。ズレが生じている場合は、基準点や単位設定を再確認し、エクスポート元の調整を行うことで解決できます。
また、マテリアルやテクスチャ情報が欠落するケースも多いため、見た目の調整は3ds MaxやInfraWorksなど、受け側のソフトで再設定するのが一般的です。

3.3. 読み込み後の確認事項とトラブルシューティング

FBXファイルの読み込みが完了したら、以下の項目を順番にチェックしておきましょう。

  1. モデルの位置・高さが正しいか
     地形や道路の高低差がずれている場合、施工計画や数量計算に影響します。基準点・座標系・単位を再確認しましょう。
  2. マテリアル・テクスチャが正しく反映されているか
     ビジュアル面を重視するプロジェクトでは、質感や色味の欠落が品質低下につながります。マテリアル設定を再リンクすることで修正可能です。
  3. モデルが表示されない・極端に離れた位置にある場合
     座標値の誤差やファイルサイズの過大化が原因です。モデルが遠方にある場合は基点を合わせ、サイズが大きすぎる場合は不要なポリゴンを削減して軽量化しましょう。

また、FBXのバージョン差異によって読み込みがうまくいかないケースもあります。
その際は、NavisworksのFBX出力設定(バージョン指定・単位変換・ポリゴン数制限など)を利用するか、3ds Maxを介して形式変換を行うと安定します。
(※旧「FBX Converter」はサポート対象外のため、利用は控えるのが望ましいです。)

これらのポイントを押さえておけば、Civil 3DでFBXファイルを安全かつ正確に読み込むことができ、他ソフトとの連携もスムーズに進められるでしょう。

4. Civil 3DからFBXファイルを書き出す手順

FBXファイルの書き出し(エクスポート)は、Civil 3Dで作成した設計データを他の3D可視化ソフトや施工シミュレーションツールで活用するために欠かせない工程です。
ここでは、書き出し前の準備から実際の操作手順、そして出力後のデータ最適化までを順に解説します。

まず押さえておきたいのは、Civil 3D単体にはFBXエクスポート機能が存在しないという点です(AutoCAD 2019以降、FBXEXPORT コマンドが削除)。そのため、Navisworksの「出力 → FBX」機能やInfraWorksのFBX書き出しを利用するのが実務的で安全な方法です。
プロジェクトの目的に応じて、可視化・共有・施工工程(4D)検討など、用途に適した中間ツールを選ぶようにしましょう。

FBX形式での書き出しをマスターすれば、InfraWorksやTwinmotionでリアルなプレゼンテーションを行ったり、Navisworksで施工手順の確認を行ったりと、データ活用の幅が大きく広がります。設定を正確に行えば、クライアントや関係者への説明資料作成もスムーズに進むでしょう。

4.1. 書き出し前の準備と確認

まずは、書き出しに入る前のデータ整理と軽量化が重要です。
不要なオブジェクトや不要なサーフェスを削除し、図面をできる限りシンプルにしておきましょう。特に大規模なサーフェスや複雑なパイプネットワークを含むモデルでは、FBX出力後のファイルサイズが非常に大きくなり、後続ソフトでの読み込み時間が長くなる傾向があります。

必要に応じて、サーフェスをリデュース(面の数を削減)したり、不要なエッジを減らしてメッシュ構造を軽くすることも有効です。
また、座標系の正確な設定も欠かせません。Civil 3D図面の測地系や単位が不正確なまま書き出すと、他ソフトで読み込んだ際にモデルがずれたり、スケールが合わなくなる恐れがあります。

さらに、チームで同じデータを扱う場合は、命名規則の統一とバージョン管理の徹底が必要です。どの図面が最新版なのかを明確にしておくことで、書き出し後の混乱や誤差の発生を防ぐことができます。こうした準備を行うだけで、エクスポート時のトラブルを最小限に抑えられます。

4.2. 書き出しの具体的手順と設定

次に、実際の書き出し手順を見ていきましょう。
繰り返しになりますが、Civil 3D単体ではFBX形式への出力はできません。そのため、NavisworksまたはInfraWorksを経由して書き出しを行います。

Navisworksを使用する場合:

  1. Civil 3Dで作成したDWGファイルをNavisworksに統合します(.NWDまたは.NWC形式)。
  2. メニューバーの [出力] → [シーンをエクスポート] → [FBX] を選択します。
  3. ダイアログボックスで、単位変換・FBXバージョン・テクスチャやライトの有無・ポリゴン制限などを設定します。
  4. [保存] をクリックしてFBXファイルを生成します。

InfraWorksを使用する場合:

InfraWorksでは、[エクスポート] → [3Dモデル] → [FBX/OBJ/DAE] を選ぶだけで簡単に書き出しが可能です。
InfraWorksはCivil 3Dとの親和性が高く、座標情報を保持したまま出力できるため、地形を含む大規模モデルの共有にも適しています。

書き出し後は、Twinmotionや3ds Maxなどのツールで開き、座標・スケール・マテリアルが正確に反映されているかを確認しましょう。
万が一ズレや欠落が見つかった場合は、再度Navisworks側で単位やバージョン設定を調整し、再出力すると安定します。

4.3. 書き出し後のデータ確認と最適化

書き出しが完了したら、必ず他のソフトでFBXを開いて確認しましょう。
InfraWorksでインポートして、モデルの位置・スケール・マテリアルの反映状況をチェックします。Civil 3DとInfraWorksを併用している場合、この確認プロセスを取り入れるだけで、CIM/BIMワークフロー全体の精度と信頼性が向上します。

もし書き出したファイルを開いた際に動作が重い場合は、サーフェスのポリゴン数をさらに削減したり、テクスチャ画像を低解像度に変更するなど、軽量化を検討してください。
この「FBX軽量化」は、ビジュアライゼーションの段階で高精度データを保持する必要がない場合に非常に有効です。

また、NavisworksやTwinmotionなどでプレゼンや干渉シミュレーションを行う場合も、データ量が適切に抑えられているほど動作が安定します。
プロジェクトの目的に応じて、データ容量と精度のバランスを最適化することがポイントです。

こうした最適化を行うことで、FBXファイルを使ったビジュアル共有や設計検証がよりスムーズになり、チーム全体の作業効率向上にもつながります。

5. FBXファイルを使用する際の注意点とベストプラクティス

FBXファイルを運用する際は、事前準備や設定ミスがトラブルの原因になることが少なくありません。
たとえば、テクスチャが正しく表示されなかったり、座標がずれてモデルが意図しない場所に配置されたりするケースです。これらは小さな設定の不一致から生じることが多く、後の修正作業に大きな時間を取られることもあります。

ここでは、読み込み・書き出しの両面で注意すべきポイントを整理し、よくあるエラーと解決策もあわせて紹介します。これらを押さえておくことで、プロジェクト全体の合意形成や設計レビューをより効率的に進め、無駄な再作業を防ぐことができるでしょう。

5.1. 読み込み時の注意点

読み込み時で最も重要なのは、FBXファイルの座標系を正しく理解しておくことです。
Civil 3Dで使用する図面座標(地域座標や平面直角座標)と、FBXファイルが採用している座標基準が異なると、モデルが大きくずれた位置に配置されてしまいます。特に土木設計では数センチ単位の誤差が重大な影響を及ぼすため、スケール設定と座標系の整合性を徹底的に確認することが欠かせません。

また、FBXファイルの容量が大きい場合は、読み込み時間が長くなったり、操作が重くなる場合があります。不要な要素を削除したり、細分化されすぎたメッシュを減らすことで、Civil 3Dでの動作を軽くできます。特に、可視化だけを目的とする場合は、ポリゴン数を適度に削減することが推奨されます。

さらに、テクスチャやマテリアル情報の参照パスにも注意が必要です。
フォルダ構成が複雑だったり、ファイルの場所が移動していたりすると、正しく読み込まれないことがあります。絶対パスと相対パスの違いを理解し、必要な画像データが確実に参照できるように整理しておくとトラブルを防げます。

5.2. 書き出し時の注意点

書き出し時には、Civil 3D特有のオブジェクト構造をどこまでFBXに反映できるかを意識することが大切です。
たとえば、Civil 3Dのサーフェスやパイプネットワークなどは独自の構造で保存されており、FBX形式に変換する際に属性情報が失われることがあります。必要に応じて、ソリッド化して出力するなど、変換精度を高める工夫が必要です。

また、FBXバージョンの互換性にも注意しましょう。
相手側のソフトウェアが対応していないバージョンで出力すると、「ファイルを開けない」「データが壊れている」といったエラーが発生します。
出力時にバージョンを指定できる場合は、受け取り側での読み込み実績がある安定版(例:FBX 2018)を選ぶのが安全です。

見た目を重視する場合は、可能な範囲でマテリアル設定や色分け情報を付与して書き出すと、他ソフトでの再現性が高まります。
ただし、マテリアルやテクスチャの表現はソフト固有の仕様に依存するため、最終的な見た目の調整は受け側のツールで行うのが一般的です。

5.3. よくあるエラーと解決策

FBXファイルを扱う際によくあるトラブルには、以下のようなものがあります。

  • ファイルを開けない/読み込めない
     原因はバージョンの不一致やファイル破損です。Navisworksや3ds Maxを使って別形式(DWG、OBJなど)に再出力すれば解決できる場合があります。どうしても開けない場合、旧「FBX Converter」で変換を試すことも可能ですが、現在はサポート外のため推奨されません。
  • マテリアルやテクスチャが欠落している
     パスの設定ミスや、統合されていない外部参照が原因です。エクスポート前にテクスチャを統合しておく、または読み込み時にパスを再指定することで改善します。
  • スケールや座標がずれる/モデルが歪む
     単位設定の不一致や基準点のずれが主な原因です。Civil 3DとFBX双方で単位系(メートル・ミリメートルなど)と座標原点を確認し、再エクスポートしてみましょう。

特に、測量データや地形モデルを扱う際には、座標合わせの精度が最も重要です。
小さな設定ミスが全体の位置ずれにつながるため、読み込み・書き出しの双方で座標とスケールを慎重に確認することが、安定した運用への第一歩です。

6. 実務での活用例と他ソフトウェアとの連携

FBXファイルを活用することで、土木設計の枠を超えて建築・CG・可視化分野まで幅広い連携が可能になります。
特にCivil 3Dユーザーにとっては、InfraWorks・Navisworks・3ds MaxといったAutodesk製ツールとの連携が強力な武器になります。さらに、VR/ARなどの次世代コンテンツにも応用できる点が魅力です。

こうした中間ツールを経由して3Dモデルを共有すれば、設計提案の説得力向上や施工リスク分析の効率化につながります。
また、プロジェクト関係者との情報共有がスムーズになり、合意形成のスピードも大幅に向上します。ここでは、代表的な連携例と実務での活用ポイントを紹介します。

6.1. InfraWorksとの連携例

InfraWorksは、大規模インフラ計画や都市スケールの景観検討を効率的に行える設計支援ツールです。
Civil 3Dで作成したモデルを直接FBX形式で出力するのではなく、InfraWorks側からFBX/OBJ/DAE形式で書き出して共有するのが基本的な運用方法です。

※なお、一部の古いInfraWorksヘルプでは「Civil 3DでFBXを開く」と記載されていますが、AutoCAD 2019以降は非対応です。現在は、Navisworks・InfraWorks・3ds Maxを介したデータ中継が標準的なワークフローとなっています。

InfraWorksにはクラウド共有機能が搭載されており、複数のステークホルダーがリアルな3Dビジュアルをオンラインで確認・検討できます。
また、モデルにCIMカラーやテクスチャを割り当ててプレゼン資料に活用すれば、BIM/CIM連携の中核ツールとして高い効果を発揮します。

このように、InfraWorksはCivil 3Dデータの可視化と情報共有を担うハブ的存在として機能し、計画段階の意思決定を支援します。

6.2. Navisworksでの活用例

Navisworksは、さまざまな3Dフォーマットのデータを統合できる統合ビューワー兼解析ツールです。
FBXのインポート/エクスポートの両方に対応しており、Civil 3DのモデルをNavisworks経由でFBXに変換することで、他分野のモデル(建築・設備・プラントなど)と重ね合わせた統合検証が可能になります。

特に、Navisworks独自の干渉チェック(Clash Detection)機能を使えば、設計段階での衝突リスクを可視化でき、施工前の調整作業を大幅に効率化できます。
また、4Dシミュレーション機能を利用すれば、施工ステップや工程計画(スケジュール連動)の検討も可能です。
このように、Navisworksは設計から施工管理までをつなぐ橋渡し役として非常に有用な存在です。

6.3. VR/ARコンテンツ作成への応用

近年、VR/ARによる可視化や住民説明への活用が急速に広がっています。
Unity、Unreal Engine、TwinmotionなどのリアルタイムレンダリングツールはFBX形式を標準でサポートしており、NavisworksやInfraWorksで書き出したFBXを読み込むだけで、Civil 3Dの設計データをVR/AR空間に展開できます。

こうしたツールを使えば、道路・橋梁・造成などのインフラ設計を、没入感のある形で体験でき、住民説明会やクライアントプレゼンで強い訴求力を発揮します。
ただし、VR/AR用途ではポリゴン数の削減やテクスチャの軽量化が不可欠です。データが重すぎると描画負荷が増し、動作が不安定になります。

Civil 3D → Navisworks/Twinmotion連携を確立しておくと、軽量で見栄えの良いVRモデルを効率的に作成できます。
現場説明・住民向けプレゼン・施工シミュレーションなど、さまざまな場面で活用できるでしょう。

※補足:現行バージョンのCivil 3DではFBXの直接出力は非対応です。NavisworksまたはInfraWorksを中継して運用するのが実務的な最適解です。

7. より効率的な運用のためのヒント

最後に、FBXファイルを効率よく扱うための実践的なヒントと運用の工夫を紹介します。
まず基本となるのは、データの命名規則とバージョン管理の徹底です。プロジェクトに複数のメンバーが関わる場合、ファイル名や保存場所、更新履歴を明確にしておくことで、編集内容の衝突や上書きミスを防げます。
特に、Civil 3DチュートリアルやAutodeskの公式ガイドを参考にしながら、社内で統一した運用ルールを策定することが、長期的な効率化につながります。

また、FBXのバージョン検証を定期的に行うこともおすすめです。Autodesk製品や連携ソフトによって安定して動作するFBXバージョンが異なるため、複数のバージョンで試験的にインポート・エクスポートを行い、最も互換性の高いものを確認しておきましょう。
特に大規模なモデルを扱う場合は、軽量化工程の最適化が欠かせません。たとえば、詳細な精度が必要な部分と大まかで十分な部分を明確に分け、モデリング精度や出力解像度をエリアごとに調整するだけでも、データ容量と処理速度のバランスを大幅に改善できます。

さらに、Autodesk製品間の連携機能を積極的に活用することで、作業の自由度が広がります。
NavisworksでのFBXエクスポート、3ds Maxでのフォーマット変換、Civil 3Dでのソリッド化やスライス機能を利用した形状再構成などをうまく組み合わせれば、より扱いやすく軽快な3Dデータを作成できます。

最後に、業務内容に合わせた最適な変換手順を整理し、ドキュメント化することを忘れないようにしましょう。
手順や設定を明文化して共有しておくことで、誰が担当しても同じ品質のデータを作成でき、チーム全体で安定した運用が実現します。
こうした工夫を積み重ねることで、FBXを中心としたCivil 3Dワークフローは、よりスムーズで信頼性の高いものへと進化していきます。

8. まとめ

ここまで、Civil 3DとFBXファイルを組み合わせた活用方法について、読み込み・書き出しの手順や注意点を中心に解説してきました。
FBXファイルは、3Dモデルを異なるソフトウェアやプラットフォーム間でスムーズに共有するための“共通言語”ともいえる存在です。BIM/CIMの推進が進む現在、Civil 3Dの設計データをFBX経由で他ツールに展開することは、土木業界のデジタルワークフローにおける重要な一手となっています。

特に重要なのは、座標系の整合性・スケール設定・ファイルサイズ管理・マテリアルの扱い方の4点です。これらを正しく理解して運用することで、データの位置ズレや見た目の崩れといったトラブルを未然に防ぐことができます。
さらに、トラブルシューティングの知識を身につけておけば、万が一エラーが発生した場合でも迅速に対応でき、業務の停滞を防ぐことが可能です。

また、Civil 3Dで作成したデータをFBX形式に変換し、InfraWorks・Navisworks・3ds Max・Twinmotion・VR/ARツールなどへ展開すれば、設計内容をよりリアルかつ直感的に伝えられます。
可視化や施工シミュレーション、プレゼンテーションなど、多様なシーンでデータの再利用価値が高まり、設計の説得力とチーム全体の理解度が大きく向上します。

継続的に適切な運用を行うことで、チーム内外でのデータ共有が円滑になり、プロジェクト全体の品質と効率が飛躍的に高まります。
これを機に、Civil 3DとFBXファイルを効果的に活用し、より先進的で生産性の高いインフラ設計ワークフローを構築していきましょう。

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<参考文献>

AutoCAD 製品における FBX ファイルの読み込み、書き出し操作

https://www.autodesk.com/jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/fbximport-and-fbxexport-removed-from-autocad.html?utm_source=chatgpt.com

Autodesk Civil 3D 2026 ヘルプ | 概要 – Autodesk Civil 3D と Autodesk InfraWorks 間でのデータ交換 | Autodesk

https://help.autodesk.com/view/CIV3D/2026/JPN/?guid=GUID-854F25B0-845A-44B2-91DD-8A45829C08E4

InfraWorks 360 ヘルプ: 3D モデル データを書き出すには

https://help.autodesk.com/view/INFMDR/2016/JPN/?guid=GUID-DAEEE753-535C-421F-98C2-BD1594FBBCCC

ヘルプ: FBX ファイルをエクスポートするには

https://help.autodesk.com/view/NAV/2016/JPN/?guid=GUID-853223FE-9DC2-4E8B-9AF4-2D5D1AB38E7F

3ds Max 2026 ヘルプ | Autodesk FBX ファイル | Autodesk

https://help.autodesk.com/view/3DSMAX/2026/JPN/?guid=GUID-26E80277-1645-4C4E-A6B2-44399376490F

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