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Inventorで部品の動きを作る方法|ジョイント・拘束・モーション設定を徹底解説

1. はじめに

本記事では、Inventorを使って部品の動きを作り、シミュレーションを行う方法を解説します。特に、アセンブリ内でのジョイント設定や拘束設定、そしてモーション機能をどのように活用すれば、より正確な動きの再現と効率的な機構設計を実現できるかを中心に取り上げます。

理解しやすいように、なるべく専門用語を分かりやすくかみ砕いて説明します。初心者がジョイントや拘束、モーション設定を習得すれば、実際の製品設計での動作確認や干渉チェックがスムーズになり、設計ミスの早期発見やプレゼンテーション効果の向上につながるでしょう。

この記事を通じて、機構設計に携わるエンジニアの方が抱える「Inventor 動き」のテーマに関する顕在ニーズ、つまり「正確な動作シミュレーションによる設計最適化」「設計プレゼンテーションの質向上」「効率的な設計フローの確立」などに応えることができれば幸いです。また、潜在ニーズとしてのコスト削減やコミュニケーション向上にも寄与するでしょう。

最終的には、動画出力やInventor Studioなどを用いたアニメーション機能の活用まで視野に入れ、部品の動きを理解し、より説得力のある設計を目指すステップをご紹介します。そして、動的シミュレーションで力とトルクを把握し、Excel出力を用いた解析結果の共有にも触れていきます。ぜひ最後までお読みいただき、これからの学習や機構設計の実務にお役立てください。

2. Inventorで部品の動きを作る基本

ここでは、Inventorで部品を動かすために必要となる基礎的な知識と操作フローを整理します。ジョイントの種類や拘束の活用方法、さらにモーション環境の概要を理解することで、効率的な機構設計が可能になります。

初心者の場合、まずはアセンブリの作成方法とそれぞれの部品に対するジョイント・拘束の与え方をしっかり把握することが大切です。これによって、実際に動かすときの自由度や回転軸の向きが正しく設定され、干渉チェックや力学解析がスムーズに進みます。

以下の小見出しでは、ジョイントと拘束を使い分けるポイントやモーション環境のメリットを解説します。自動機構やリンク機構など、複雑な構造のアセンブリでも役立つため、しっかり要領を押さえておきましょう。

Inventorを用いた機構設計では、最初に部品間の動き方を明確にイメージすることが肝心です。これによって、ジョイントや拘束で何をどこに設定すればよいかを簡単に導き出せるようになるでしょう。

2.1. ジョイントの種類と基本的な使い方

ジョイントは、2つの部品間の動きの種類を直感的に定義する機能です。回転ジョイントやスライダージョイント、円筒ジョイントなどがあり、それぞれで違った動きを表現できます。

まず、回転ジョイントはヒンジのように特定の軸周りで部品を回転させるイメージです。たとえば、ドアの開閉動作やロボット設計のアーム回転などに応用できます。次にスライダージョイントは線上のスライド、つまり直線移動を可能にします。これはピストン設計やシャフトの出し入れをモデル化するときに利用されます。

ジョイント設定では、アセンブリ上で軸や面を選択するときに、正確に位置合わせを行うことがコツです。例えば、部品の働く方向や軸を正しく拾わないと、部品が思わぬ方向に動いてしまいます。

チュートリアルでもよく紹介されますが、ジョイントウィザードを使うと設定画面で軸や面を簡単に指定できます。加えて、角度制限や移動範囲を設定すると実機検証に近い状態で動作シミュレーションできます。

2.2. 拘束の設定方法と活用

拘束は、古くからあるアセンブリの結合方法です。面や軸を合わせる「一致」、孔とシャフトの組み合わせに重宝する「挿入」、所定の角度を保つ「角度」など、幾何学的な関係性を定義できます。

たとえば、2枚の板を一定の距離だけ離して保持する場合は「オフセット付き一致拘束」を使うと便利です。面がぴったり合わさるわけではなく、微妙に隙間を開けた状態を再現できます。これがあると複数の部品同士での干渉チェックをより正確に行えます。

注意すべきは、拘束をかけすぎると部品が全く動かなくなることです。設計で回転やスライドなどの自由度を意図的に残したいときは、必要最小限の拘束にとどめるのがコツです。特に機構設計の段階では、過剰拘束は避け、動かす要素をあらかじめ見極めましょう。

初心者のうちは、どの拘束をどこに使うか迷うかもしれません。最初は面と面を合わせる「一致」や軸と軸を合わせる「平行」などから慣れていくと、徐々に応用範囲が広がっていきます。

2.3. モーション環境の理解と設定

モーション設定を活用すると、アセンブリに動力源や重力などの物理要素を与えて、より現実的な動作を見ることができます。これは「Inventor 動き」のリアルさを高める重要な機能です。

モーション環境では、モーターやギアを定義して部品同士を連携して回転・スライドさせたり、接触セットで面同士の衝突を再現したりできます。たとえば、ギア設計の検証やリンク機構を用いた自動機構の動作チェックにも有効です。

また、シミュレーション機能には力学解析の要素も含まれており、動力伝達時のトルク計算や摩擦力を考慮した動作など、実機に近い挙動を確認することができます。こうした設定は、学習を進めるうえで難易度が高いですが、覚えると幅広い機構設計に応用できるでしょう。

初期段階では、モーション環境を立ち上げて、基本的な重力のオンオフやモーター速度の調整などから始めるのがおすすめです。複雑な設定を一度に盛り込むのではなく、段階的に操作に慣れていくと理解しやすいでしょう。

3. 動作シミュレーションの実行

この章では、実際に部品を動かしてみる具体的な手順を紹介します。基本的な動作テストや記録方法、さらには発生しやすいトラブルとその対処法をまとめます。

動作シミュレーションをスムーズに進めるためには、ここまで紹介したジョイントや拘束の設定が正しく行われていることが前提です。もし正しく設定できていないと、アセンブリが希望通りに動かない、あるいは完全に固まってしまう場合があるので注意してください。

シミュレーションは、最初に小規模なアセンブリでトライし、徐々に部品点数を増やしていくと理解が深まります。動作を確認する際は、接触による摩擦や衝突の影響もチェックしておくと、より完成度の高い設計につながります。

次の小見出しでは、具体的な操作手順、動作の録画・再生、トラブルシューティングのポイントを順番に紹介します。ここをマスターすれば、より高品質な機構設計とイメージ通りのアニメーション機能の活用ができるようになるでしょう。

3.1. 基本的な動作テストの手順

最初にデータを準備し、アセンブリファイルを開きます。各部品のジョイントや拘束が正常に組み合わさっているかを確認しましょう。

・アセンブリの自由度をチェック: この時点で、余計な拘束や矛盾する拘束がないかを調べます。過剰拘束があると動かないことが多いので、分析機能を活用して修正します。

・部品をドラッグして可動範囲をおおまかに確認: マウスドラッグで動作させると、回転やスライドがスムーズか、変な引っかかりや干渉がないかが分かります。

・リミットや角度制限の設定: 動きの振れ幅が大きすぎる場合は、ジョイント設定画面で「最大○度まで回転」などのリミットを指定します。この制約があることで実機に近い挙動をシミュレートでき、部品が予期せず飛び出すのを防げます。

3.2. 動作の記録と再生

操作中に確認した動きを保存したい場合は、Inventorのアニメーション機能や動画出力を使って記録しましょう。具体的には、Inventor Studioを用いてレンダリングとアニメーションを組み合わせる方法が一般的です。

・タイムラインに動作を設定: モーター動力や角度変更の時間変化を指定して、どの時点でどのように動かすかを決めます。

・プレビューモードで動作確認: 動画に書き出す前に、モーションがスムーズかどうか、カメラワークも含めて最終チェックします。

・動画出力フォーマットの選択: AVIやWMVなどの形式で、解像度やフレームレートを設定できます。プレゼンテーション用に高解像度で出力するのがおすすめです。

3.3. シミュレーションのトラブルシューティング

動作シミュレーションでよくある不具合としては、「部品が思ったように動かない」「突然止まってしまう」「衝突が暴走して部品が飛んで消える」などがあります。

1. 拘束の競合: 同じ方向の動きを異なる条件で拘束していると競合が起き、動作しなくなります。不要な拘束を削除し、軸方向や距離オフセットを再設定しましょう。

2. 接触セットの設定ミス: 接触セットを使い、衝突や摩擦をシミュレートするとき、パラメータが現実と大きく乖離していると挙動が極端になります。接触面の摩擦係数や剛性値は建設的な範囲に収めてください。

3. 力やトルクの過大設定: モーター出力や重力の値を大きくしすぎると、部品が一瞬で飛び散ることがあります。シミュレーションで実機検証の精度を上げたい場合は、力とトルクの数値を現場の実測やカタログ値を参考に設定するとよいでしょう。

4. 実践的な活用方法

ここでは、設計やプレゼン、解析などでさらに深く使える応用的な活用方法を解説します。これまでに学んだジョイント・拘束・モーション設定を踏まえ、シミュレーションを最大限に活かす事例を見ていきましょう。

動作シミュレーションは先ほど述べたように、単なるアニメーションとしての魅せ方のみならず、実際の設計品質向上にも大きく寄与します。干渉チェックから安全性評価まで、Inventorの機能を組み合わせればミスを減らし、プロジェクト全体の効率を高めることができます。

また、ロボット設計やギア設計など、実機を組み立てる前にトルクや加速度を解析しておくことで、後工程の大幅な時短やコスト削減が期待できます。最終製品の品質にも直結するため、ぜひ積極的に活用してみてください。

それでは、実践的に役立つ3つの応用シーンを小見出しに沿って確認していきます。

4.1. プレゼンテーション用の動画作成

もしクライアントや社内で企画提案をする際に、動作確認の場面を動画で示せば説得力が大きく向上します。既存の2D図面や静止画では伝わりにくい部品の動きも、アニメーション機能なら一目で理解してもらえます。

・Inventor Studioでレンダリング: リアルな質感を持たせたまま、部品が動く映像を作成できます。光源やマテリアルを調整し、完成製品に近い見栄えを追求しましょう。

・Cameraアングルの工夫: 大事な動きがしっかり映るようにカメラを配置するだけでなく、適度にズームやパンを入れると、部品の特徴が引き立ちます。

・簡易モーション設定でお試し: 動画編集に詳しくなくても、Inventorのアニメーションパネルから手軽に移動・回転を時間軸に設定できます。まずは短いクリップを作るところから始めると無理なく習得できます。

4.2. 干渉チェックと安全性評価

干渉チェック機能を動きを伴わせて使用すると、部品が実際に動いたタイミングでぶつかる箇所を検出できます。静止状態では問題がなさそうに見えても、回転中のアームが他部品と接触する場合があるため注意が必要です。

・タイムラインを用いた衝突チェック: 動作シミュレーションの時間経過に合わせて干渉を自動検出することで、安全性評価を効率的に行えます。

・部品の強度や応力確認: 力学解析と連携させれば、衝突点に応力が集中していないかも把握できます。これにより、設計変更が必要な箇所を早期発見できます。

・人の安全を考慮した設計: 自動機構内で作業者が操作する箇所の手挟みや接触リスクを想定し、動く範囲を変更するなどの工夫も可能です。

4.3. 動的シミュレーションでの応用

シミュレーション機能の中でも、さらに高度な動的シミュレーションを活用すると、力とトルク、加速度やエネルギー消費などを定量的に分析できます。

たとえば、リンク機構やギア設計では、単に回転しているように見えても、予想外の大きな荷重がかかるポイントが存在します。これらを事前に把握し部品強度や駆動モーターの選定に役立てると、プロジェクトでのトラブルを減らせます。

また、シミュレーション結果をExcel出力することで、数値データとして詳細に検証できます。回転数やトルクの変動グラフを分析し、設計方針を明確に議論できるのは大きなメリットです。

このように、単なる見た目のアニメーションを超えて、動作シミュレーションは実機検証に近い部分まで設計プロセスを支援してくれるのです。

5. まとめと次のステップ

以上、Inventorで部品の動きを作る方法について、ジョイント、拘束、モーション設定を中心に詳しく解説してきました。動きのメカニズムを理解することで、設計段階での動作確認や、動作シミュレーションに基づいた干渉チェック、安全性評価が飛躍的にやりやすくなります。

まずはアセンブリを正確に組むところからスタートして、ジョイントや拘束を丁寧に設定してみましょう。離れた部品を合わせるにも、ギアを噛み合わせるにも、アセンブリでの自由度管理が要になります。次にモーション機能を使い、力やトルクを意識した高度なシミュレーションへ進むと、実際の現場に近い検証が行えるようになります。

今後は、ドアヒンジ設計やピストン設計など、身近な事例から練習を始めてみるとよいでしょう。さらにロボット設計や自動機構、複数のリンク機構などを組み合わせると応用範囲は無限に広がります。最終的にはInventor Studioを使ったレンダリングや動画出力でプレゼン力を高めるなど、幅広い活用が可能です。

本記事で挙げた手順や考え方を参考に、ぜひ学習を深めてください。正確な動作シミュレーションは、プロジェクトのコスト削減や品質向上、さらにはアイデアを理解しやすい形で周囲に伝えるための強力な手段となるはずです。

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<参考文献>

・Autodesk Inventor ソフトウェア | Inventor 2026 の価格と購入(公式ストア)

https://www.autodesk.com/jp/products/inventor/overview

・Autodesk Inventor ジョイント関係を定義および管理するには

https://help.autodesk.com/view/INVNTOR/2025/JPN/?guid=GUID-21DC3336-5C51-42C1-90FB-4299CD66E0C6

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