BIMのプロパティを自動入力する方法|Revit・IFC・APIを活用した効率化を紹介

1. はじめに

BIMを活用するプロジェクトでは、形状だけでなく、各要素に付随する属性情報を適切に管理することが重要です。こうした情報は一般にプロパティや属性情報と呼ばれ、Revitでは主に「パラメータ」として管理されます。

プロジェクトの規模が大きくなるほど、扱う要素やパラメータの数も増えていきます。それらを一つひとつ手作業で設定・入力すると、入力漏れや表記のばらつき、新旧情報の取り違えなどが起こりやすくなり、確認や修正にも時間がかかります。

そのため、パラメータの追加や値の入力・更新、IFCへの書き出しを効率化する仕組みが求められます。Revitでは、複数のファミリやプロジェクトで共通利用できる共有パラメータのほか、Autodesk Interoperability Toolsに含まれるShared Parameters Tool、IFC書き出し時のパラメータマッピング、Revit APIを活用した独自の自動化などを利用できます(参照*1参照*2参照*4参照*6)。 

本記事では、BIMプロパティの入力・管理を効率化する具体的な方法と、運用時のポイントを紹介します。適切に設計した仕組みを活用することで、入力作業の効率化や入力漏れの抑制、情報の標準化につなげられます。

2. BIMプロパティとは?自動入力の必要性

本記事では、建物の各部材や設備などに付与される属性情報を「BIMプロパティ」と呼びます。例えば、扉の寸法や材質、仕上げなどが挙げられます。BIMソフトウェアでは、こうした属性情報を各要素に関連付けて管理します。Revitでは、要素の寸法や材質、識別情報などを主にパラメータとして管理しており、集計表の作成、要素の分類や絞り込み、数量の把握、IFC形式を介した他のソフトウェアとの情報交換などに活用できます(参照*4)。 

実際のプロジェクトでは、集計や情報連携に利用するプロパティを正しく入力することが重要です。例えば、設備機器の管理番号や仕様区分、材料名称などが未入力または誤入力のままだと、集計表や外部システムとの連携結果に不足や不整合が生じる可能性があります。後から多数の要素を確認・修正する手間を減らすためにも、入力ルールや参照データを事前に整備し、必要に応じて一括入力や自動更新を取り入れることが大切です。

手作業による入力では、情報のばらつきや入力漏れが発生しやすくなります。例えば、初期段階で必要なパラメータが入力されていないと、IFC出力時に必要な情報が欠落し、他のソフトウェアで十分に活用できなくなるおそれがあります。また、入力ミスが発生すると、担当者による確認や修正に追加の作業が必要となり、集計やIFC連携、維持管理など後工程での情報活用にも影響する可能性があります。

こうしたリスクを抑えるには、入力項目の標準化に加え、パラメータの一括追加や値の自動入力、IFC書き出し時のマッピングなどを目的に応じて使い分けることが重要です。Revitの機能やAutodeskが提供するツールを利用する方法に加え、Revit APIを活用して独自の自動化ツールを開発する方法もあります。これらを適切に組み合わせることで、入力・確認作業の効率化と情報品質の安定化につなげられます。

3. RevitでBIMプロパティの入力・管理を効率化する方法

BIMプロパティの入力・管理を効率化するには、それぞれの機能がどの工程を支援するのかを理解することが重要です。

方法主な役割利用する場面
Shared Parameters Tool共有パラメータをまとめて追加・設定 共通パラメータを複数のモデルやファミリへ適用したい場合
IFCパラメータマッピングRevitパラメータをIFCプロパティへ対応付けるIFCで他ソフトウェアと情報を受け渡す場合
Revit APIパラメータ値を一括入力・更新する独自ルールに基づいて入力・更新を自動化したい場合

以下では、それぞれの方法について詳しく解説します。 

どの方法を利用する場合も、「標準化」と「運用ルールの明確化」が欠かせません。必要な項目や命名ルールを整理しないまま仕組みを導入すると、後から大規模な設定変更や再入力が必要になる可能性があります。まずは利用目的に応じて必要なパラメータを洗い出し、それぞれの手法をどの工程で活用するかを決めましょう。

また、各手法は単独で使うだけでなく、プロジェクトの段階やBIMデータ管理の目的に応じて組み合わせることが重要です。数量算出、IFC連携、施工管理、維持管理など、BIMデータの利用目的によって必要となるパラメータの種類や詳細度は異なります。将来の活用まで見据えて入力・管理する項目を決め、Revitの各機能を活用しながら効率的にプロパティを管理しましょう。

以下では、3つの方法について、それぞれの概要やメリット、注意点を紹介します。プロジェクトの規模や導入段階に応じて、最適な組み合わせを検討してみてください。

3.1. Shared Parameters Toolを使用した共有パラメータの追加

Shared Parameters Toolは、Autodesk Interoperability Toolsに含まれるツールです。標準化した共有パラメータをRevitのモデルやテンプレート、ファミリへまとめて追加し、対象カテゴリやタイプ/インスタンスの設定を適用できます(参照*1参照*6)。ファイルごとに同じパラメータを手作業で追加する手間を減らし、設定漏れや適用カテゴリの不統一を抑えるのに役立ちます。  

共有パラメータを利用する主なメリットは、複数のプロジェクトやファミリで共通の情報項目を利用しやすくなることです。例えば、工事区分や材料名称に使用するパラメータの名称やデータ型、適用カテゴリを統一することで、担当者やプロジェクトによる設定のばらつきを抑えられます。ただし、共有パラメータで共通化されるのはパラメータの定義であり、あるプロジェクトで入力した値が別のプロジェクトへ自動的に引き継がれるわけではありません。

Shared Parameters Toolを利用する際は、事前に共有するパラメータを整理し、Excelなどで管理台帳を作成しておくと管理しやすくなります。複数の部門や担当者が同じパラメータを利用する場合でも、ファイルごとに追加・設定する作業を減らし、名称や適用条件の不統一を抑えやすくなります。ただし、Shared Parameters Toolはパラメータ定義を追加するためのツールであり、各要素の値を自動入力する機能ではありません。

共有パラメータをIFCで利用する場合は、対象パラメータに値を入力したうえで、IFC書き出し設定やパラメータマッピングを確認する必要があります。Autodeskでは、値のないパラメータは書き出されず、通常の方法で出力されない場合はユーザー定義プロパティセットを使用する方法を案内しています(参照*3)。共有パラメータを追加しただけでは、すべての情報が自動的にIFCへ書き出されるわけではありません。書き出し後は、IFCビューアやチェックツールを使って、必要な値が出力されているか確認しましょう。 

3.2. IFCパラメータマッピングの活用

IFCパラメータマッピングは、Revitモデルに入力されているパラメータ値を、IFC書き出し時に対応するIFCプロパティへ割り当てる仕組みです。IFCは、異なるBIMソフトウェア間で形状や属性情報をやり取りするために利用されるオープンなデータ形式です。

Autodeskでは、パラメータマッピングテーブルを使用して、Revitパラメータを対応するIFCプロパティへ書き出す方法を案内しています(参照*2)。この機能はRevitモデル内の値を新たに入力するものではありません。独自のプロパティセットをIFCへ出力する場合は、ユーザー定義プロパティセットを設定します。 

IFCパラメータマッピングを適切に設定することで、Revitで使用しているパラメータ名とIFCで求められるプロパティ名が異なる場合でも、書き出し時の対応関係を整理できます。Revit 2027では、定義済みのIFCプロパティセットへのマッピングに加え、ユーザー定義プロパティセットを画面上で作成・管理できる機能が用意されています(参照*5)。マッピング設定が曖昧なまま書き出すと、やり直しが発生し、BIMデータ管理が煩雑になる可能性があるため、事前に十分な検証を行いましょう。 

IFCを書き出した後は、IFCビューアやチェックソフト、実際に連携する数量算出ツールなどを使って、意図したプロパティ名と値が反映されているか確認しましょう。読み込み結果はソフトウェアごとのIFC対応状況にも左右されるため、実際の受け渡し環境で検証することが重要です。こうした確認を運用に取り入れることで、書き出し後の手戻りを抑えやすくなります。

3.3. Revit APIを利用したカスタム自動入力

Revit APIを利用して独自のアドインを開発すれば、より柔軟な自動入力を実現できます。AutodeskのRevit API開発者用ガイドでは、Revitのアプリケーションプログラミングインターフェースを利用するための仕組みが解説されています(参照*4)。Revit APIでは、要素やパラメータへプログラムからアクセスし、値の取得や設定などの処理を実装できます。標準機能だけでは対応が難しい処理や、社内システムと連携したプロパティ更新などに活用できます。 

例えば、モデル内の対象要素を抽出し、社内データベースの情報と照合してパラメータ値を一括設定するアドインなどが考えられます。実現できる処理は、要素の識別方法や外部データの構成、Revit APIの仕様によって異なります。適切に設計・実装すれば、定型的な入力や更新作業をアドインの操作に集約できます。

Revit APIを活用した自動化は、定型的な入力・確認作業を減らし、担当者の負担軽減や入力ルールの統一につながる可能性があります。また、変更対象を識別するルールや外部データとの照合処理を実装することで、対象となる要素だけを更新することも可能です。ただし、誤った条件で処理すると、多数の要素へ誤った値が反映されるおそれがあるため、テストや確認手順を含めて設計する必要があります。

導入のハードルは他の方法より高めですが、BIM自動化を進める手段の一つとして検討する価値があります。特に大規模プロジェクトや、社内で高度な標準化を進めたい場合には、Revit APIによる独自カスタマイズが有効です。

4. IFC出力時のプロパティ管理のポイント

BIMプロパティを正しく設定していても、IFC書き出し時の設定やマッピングが適切でないと、後工程で不具合が生じるおそれがあります。特に共有パラメータは、IFC書き出し設定やマッピングが適切でない場合、書き出されなかったり、意図したIFCプロパティへ対応付けられなかったりする可能性があります。

そのため、必要な属性とIFC側の出力先を整理し、既定のIFCプロパティへのマッピングやユーザー定義プロパティセットの利用を検討することが大切です。Revit 2027では、IFC書き出しに使用するユーザー定義プロパティセットを画面上で作成・管理し、Revitのプロパティとのマッピングを設定できます(参照*5)。使用するプロパティセットの選択や編集を画面上で行えるため、従来の設定ファイルを利用する方法より管理しやすくなっています。 

設定項目役割
パラメータマッピングRevitパラメータを既定のIFCプロパティへ対応付ける 
ユーザー定義プロパティセット 独自に構成したプロパティセットをIFCへ書き出す 

また、IFCパラメータマッピングテーブルを活用し、Revitのパラメータを標準のIFCプロパティへ適切に対応付けることも重要です。

例えば、複数のパラメータをマッピングする際は、名称や対応先プロパティを誤らないよう注意しましょう。IFC仕様とプロジェクトの受け渡し要件に沿って設定することで、他のIFC対応ソフトウェアでも意図した属性情報を参照しやすくなります。ただし、表示や読み込み結果はソフトウェアごとのIFC対応状況にも左右されるため、実際に利用するソフトウェア間で検証することが重要です。

最終的なIFCファイルの品質は、入力されたBIMプロパティの正確性やマッピング設定の整合性に大きく左右されます。IFC出力後は、チェックツールなどを使って属性が適切に書き出されているかを確認する工程を組み込むことで、BIMデータ管理の信頼性を高められます。

5. BIMプロパティの自動入力を成功させるポイント

BIMプロパティの自動入力を成功させるには、ツールを導入するだけでなく、運用ルールや設計方針をあらかじめ整理しておくことが重要です。まずは命名ルールを統一しましょう。同じ項目でもプロジェクトごとに異なる名称が使われていると、IFCや他システムとの連携時に不整合が発生しやすくなります。

また、入力項目を標準化することも大切です。例えば、同じ意味で使われている「扉幅」と「ドア幅」は、対象要素や値の定義、単位、データ型などを確認したうえで名称を統一すると、担当者による表記のばらつきを抑えられます。一方、「門扉幅」のように対象要素が異なる項目は、無理に統合せず、それぞれの用途や定義を明確に分けることが重要です。

入力項目を適切に整理することで、社内外の担当者が各項目の意味を理解しやすくなり、情報共有や集計、外部システムとの対応付けも行いやすくなります。また、変更対象となるパラメータを特定しやすくなるため、確認作業の効率化にもつながります。

APIや各種ツールを利用する際は、運用ルールに沿ってテストを実施し、想定どおりの結果が得られるかを確認することが重要です。自動化は便利な反面、誤った条件や参照データで処理すると、多数の要素に誤った値が反映され、修正に大きな手間がかかる可能性があります。

まずはモデルの複製や限定した範囲で処理を試し、更新対象や入力結果を確認したうえで、段階的に適用範囲を広げましょう。

さらに、IFCを活用するプロジェクトでは、IFC出力を前提にパラメータを計画することが重要です。受け渡し先で必要となるIFCエンティティやプロパティセット、プロパティ名、データ型などを事前に確認し、Revit側のパラメータとの対応関係を整理しておきましょう。

社内システムや他分野のソフトウェアとの連携に必要なプロパティをあらかじめ明確にしておくことで、IFC書き出し後の情報不足やマッピングの不整合を抑えやすくなります。

6. まとめ

要素数や管理項目が多いBIMプロジェクトでは、プロパティの入力・管理を効率化することが重要です。Revitでは、Shared Parameters Toolによる共有パラメータの一括追加、IFC書き出し時のパラメータマッピング、Revit APIによるパラメータ値の一括入力・更新など、目的に応じて活用できるさまざまな方法が用意されています。

ただし、それぞれの機能には役割の違いがあります。Shared Parameters Toolはパラメータ定義の標準化と一括追加、IFCパラメータマッピングは既存の値をIFCプロパティへ対応付ける設定、Revit APIは独自ルールに基づく値の入力・更新に適しています。目的に合わせて使い分けることが重要です。

自動化や一括処理を導入する際は、命名規則や入力項目、参照データ、IFCの受け渡し要件などを事前に整理しておきましょう。適切な仕組みと運用ルールを組み合わせることで、定型作業の削減や入力漏れの抑制、BIMデータの品質向上につなげることができます。

建設・土木業界向け 5分でわかるCAD・BIM・CIMの ホワイトペーパー配布中!

CAD・BIM・CIMの
❶データ活用方法
❷主要ソフトウェア
❸カスタマイズ
❹プログラミング
についてまとめたホワイトペーパーを配布中

<参考文献>
(*1)Shared Parameters Tool for Revit
https://interoperability.autodesk.com/sharedparameterstool.php

(*2)Revit で IFC パラメーター マッピング テーブルを使用する方法
https://www.autodesk.com/jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/REVIT-How-to-use-the-IFC-parameter-mapping-table.html

(*3)共有パラメーターを Revit から IFC に書き出す方法
https://www.autodesk.com/jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/How-to-export-shared-parameters-to-IFC-from-Revit.html

(*4)Autodesk Revit ヘルプ | Revit API 開発者用ガイド | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/RVT/2027/JPN/?guid=Revit_API_Revit_API_Developers_Guide_html

(*5)Autodesk Revit ヘルプ | ユーザ定義プロパティ セットの IFC 書き出しを管理する | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/RVT/2027/JPN/?guid=GUID-E6B1753C-7396-4176-995B-8306C4F50EF4

(*6)Autodesk Interoperability Tools
https://interoperability.autodesk.com/