生成AIの台頭はデザイナーの仕事にどんな変化をもたらすのか?懸念と活用ポイントを解説
生成AIは強力な業務効率化が期待できる魅力的なテクノロジーですが、同時に既存の職業に従事する人々の仕事が失われてしまうとして、その将来性が危惧されている技術でもあります。
生成AIは本来プロの仕事をサポートするために開発が進められてきたはずが、プロの居場所を奪ってしまうことがあるというのは、どういった理由があるのでしょうか。
この記事では、そんな生成AIの台頭がデザイナー職に与える大きな懸念や、どのように活用すればAIとデザイナーの共存が可能であるのかについて、紹介します。
目次:
- 生成AIとは
- 生成AIの強み
- 生成AIの登場がデザイナーにもたらす懸念
- 生成AI活用のデメリット・課題
- デザイナーは生成AIとどのように共生すべき?
生成AIとは
そもそも生成AIとは、自然言語で命令される何らかのコンテンツ制作を、人間の手を介さずゼロから成し遂げられるAIのことを言います。代表的なものとしてはOpenAIのチャットボット「ChatGPT」や、画像生成AIとして知られる「Midjourney」などが挙げられます。
これまで、AIの仕事はあくまでルーティンワークを効率化させるものにすぎず、クリエイティブな仕事は人間の業務と言われてきました。しかしChatGPTなどの生成AIが驚異的なスピードで進化したことにより、もはやクリエイティブな業務の多くを生成AIが担えるようになってきているのが現状です。
まだ完璧に人間の仕事に取って代わることはできないものの、数年のうちにそれに近いクオリティの業務を実現できる可能性は非常に高いと言えるでしょう。
生成AIの強み
それでは生成AIは、どのような点において人間のそれよりも優れたパフォーマンスを発揮しているのでしょうか。ポイントとしては、以下のような強みが挙げられます。
高速・大量に出力できる
生成AIの強みは、なんといっても高速でアウトプットができる点です。人間であれば何時間、あるいは何日もかけて出力するアイデアやコンテンツを、生成AIはわずかな時間で生み出すことができます。
短期間で生成ができるということは、それだけ多くのコンテンツを半永久的に生み出し続けることができることでもあります。時間単位での出力効率だけを見れば、もはや人間がAIに勝つことは極めて難しい段階に入っていると言えるでしょう。
人件費がほぼかからない
生成AIは単に生産性の面で人間に優っているだけでなく、コストの面でも非常に優秀です。AI導入に際しては確かに設備投資などが発生するものの、人間のように給料を払う必要もなければ、人材獲得のための採用コストもかかりません。
適切なメンテナンスと電力供給さえ行っていれば、24時間365日、いつでも稼働し続けられます。
最低限のスキルで運用できる
生成AI技術の進化に伴い、注目されているのがユーザビリティにおける進歩です。これまでAIの活用は専門のスキルを持った人物でなければ難しいと考えられてきましたが、近年は誰でも簡単に扱える生成AIサービスが多数登場しています。
まだある程度はAIを扱うための最適化やスキルセットの取得は必要なものの、従来のような専門性は求められないため、導入ハードルは非常に低いと言えます。
生成AIの登場がデザイナーにもたらす懸念
このような強力な生成AIの強みが注目される中で、特に大きな影響を懸念されているのが人間のデザイナーです。
生成AIの登場によって、デザイナーはどのような悪影響を想定しなければならないのでしょうか。
業務を丸ごと生成AIに代替される可能性がある
デザイナーが最も懸念すべきは、やはり業務が生成AIに丸ごと置き換わってしまう事態です。
特に個性的なクリエイティビティや技術が求められないデザイナーについては、生成AIによってその業務がそのまま代替されてしまう可能性が極めて高いと言えるでしょう。
日本ではまだこのような事例は聞かれませんが、すでに海外では生成AIの登場によってイラストレーターが解雇されるようなケースも見られます*1。今後数年以内に、日本でも似たような事案が発生することは想像に難くありません。
給与が下がる・上がらなくなる可能性がある
生産性だけで見れば、人間のデザイナーと生成AIでは圧倒的に後者の方が有利です。そのため、数をこなせることが強みであるデザイナーについては、いずれ生産性においてアドバンテージを持つ生成AIに強みが奪われてしまう可能性があります。
そうなるとキャリアアップの手段が失われてしまい、現状よりも多くの給与を期待することができなくなったり、あるいは今よりも単価の低い案件を受けざるを得なくなったりするケースもあるでしょう。
生成AI活用のデメリット・課題
このように、生成AIの活用は多くの懸念をデザイナーにもたらす一方、運用に当たっては課題も残ります。
著作権・肖像権侵害のリスクをはらんでいる
まず、既存の生成AIは不特定多数のデータを学習させられているケースが多く、その中には版権などを無視したデータが含まれている可能性もあります。
結果、生成されるコンテンツが意図せずして著作権や肖像権を侵害しているリスクを抱えており、後になって多大な損害賠償を支払わなければならないこともあるでしょう。
意思決定には専門家が必要
また、生成AIから生み出されたコンテンツの良し悪しを判別するのは、人間がやらなければなりません。上記の著作権の問題もそうですが、生成されたコンテンツが良いものか、そうでないかを判断するのは人間の仕事であり、それを手直しする必要もまだまだ残ります。
新しいアイデアやアートが生まれる可能性は低い
クリエイティブな仕事を任せられる生成AIですが、0から1を生み出すような、高度な創造性を発揮することはAIには難しいのも現状です。
AIが得意とするのは、学習データから得られた知見をもとにした過去の焼き増しであり、自ら新しいことを実践することは困難です。
デザイナーは生成AIとどのように共生すべき?
上記のような生成AI活用のメリットとデメリットを踏まえると、これからのデザイナーが持っておくべきスキルや心構えとしては、以下のようなポイントが挙げられるでしょう。
ツールの一種として使いこなす
まず、生成AIはデザイナーと対立するものではなく、デザイナーが使いこなすべき最新技術であるということです。
面倒な作業や時間のかかる作業はAIに任せて、最終的な意思決定や仕上げは人間が行うという役割分担が実現できれば、従来よりも高度なコンテンツ作りが可能です。
生成AIには生み出せないオリジナリティを追求する
また、真にクリエイティブな仕事もまだまだAIには難しい以上、オリジナルな創造性を発揮できるデザイン制作に取り組むのも、デザイナーの仕事と言えます。
生成AIを適宜活用しながら、新しいアイデアの創出に取り組みましょう。
まとめ
この記事では、生成AIがデザイナーに与える脅威と可能性、そしてデザイナーが生成AI時代で活躍するためのポイントについて、解説しました。
生成AIの登場により、デザイナーはその仕事を奪われてしまう可能性もある反面、今よりも仕事の幅が広がったり、仕事のあり方をより盤石なものにしたりできる可能性も秘めています。
生成AIへの理解を深め、プロのデザイナーとしてのスキルアップを図りましょう。
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出典:
*1 GIGAZINE「AIが中国で既にイラストレーターの仕事を奪い始めている、現場の悲鳴と実際にどのようにAIが用いられているのかをまとめたレポートが公開」
https://gigazine.net/news/20230412-ai-taking-game-illustrators-jobs-china/