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構造図の概要と種類|図面の作成手順も解説

構造図とは意匠図や設備図などの実施設計図に分類されます。しかし、それぞれの実施設計図はどのような違いがあるのかを把握しきれていないという方もいるのではないでしょうか。

本記事では構造図の概要と種類、実施設計図との違いを詳しくみていきます。また、図面の作成手順にもふれていくため、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと、以下のことが分かります。

1.構造図の概要と種類

2.実施設計図との違い

3.作成手順

構造図の概要と種類

構造図とは建物を建築するために必要な設計図面の1つです。建物の構造の詳しい情報が示されています。ここでは、構造図の概要と種類を詳しくみていきましょう。

概要(*1)

構造図とは柱や壁など建物の骨組みに関する情報を共有するための図面です。一般的に建物の外観や間取りの決定後に作成されるため、建築図面の中でも比較的後半に作成されます。構造図に記載された情報をもとに、材料を発注し、施工する手順で工事が行われるため、高い正確性が求められます。

図面を作成するためには建物の構造を理解し、適切な材料の発注や構造計算を行わなければならないため、高度な知識が必要です。建物の規模によるものの、構造設計一級建築士が設計や確認業務に携わらなければならないケースもあります。

意匠図と設備図との違い

構造図は実施設計図に含まれる図面です。実施設計図とは建築会社に工事を依頼する際に必要な図面です。構造図だけでなく、次の図面が含まれます。

・意匠図:建物の完成イメージを伝える図面

・設備図:建物に設置する設備の情報を伝える図面

・構造図:建物の骨組みの情報を伝える図面

意匠図とは平面図や立面図、断面図などを作成し、建物の外観や間取りなど完成のイメージを伝える図面です。意匠図をもとに、設備図および構造図の作成に進みます。設備図とは設備の配置や配線、配管の経路などの情報を伝える図面です。電気設備や空調換気設備、給排水衛生設備などさまざまな設備の情報を記載します。

4つの種類

構造図はいくつかの種類の図面があり、代表的なものは次の4つです。

・伏図

・標準施工図

・軸組図

・詳細図

伏図とは建物の構造を上部から下部を見ている状態を表現した図面です。基礎や床、屋根の構造に応じて、「基礎伏図」「各階床伏図」「屋根伏図」などを作成します。図面には構造材の大きさや長さなどが記載されているため、材料の発注時や数量の確認時などのシーンでチェックされます。建物の建築時のみではなく、リフォーム時にも活用されるケースも多くある図面です。

標準施工図には構造部材の標準的な納まりを記載します。設計および施工の作業を効率的に実施する目的で作成する図面です。具体的には構造部材の接続方法やサイズなどの情報を記載します。

軸組図とは構造部材を垂直に切断した図面です。基礎や柱、梁、継ぎ手などの断面を図面化し、構造部材の位置関係や寸法などの情報を記載します。平面図の伏図では表せない箇所を確認できるため、構造をより深く理解するために重要な図面といえます。

詳細図は標準施工図に記載しきれていない細かい情報を示す図面です。難解な箇所をわかりやすく図面化します。

構造図の作成手順

意匠図や設備図と比較すると、構造図は少量の線で作成しやすい図面といえます。しかし、専門的な知識や作成手順を把握していない場合、簡単に作成できません。作成の手順を理解しておくことが大切です。ここでは、構造図の作成手順をみていきましょう。

1.平面図のデータの作成

まず、構造図の土台となる平面図のデータを作成しましょう。構造図は平面図をもとに作成します。土台となる平面図がなければ作成できません。また、平面図のデータの作成により、寸法やモジュールのミスが軽減されるでしょう。

2.基準線の記載

次に基準線の記入を行います。基準線は図面における寸法および位置の基準として明示する線です。XおよびYの方向に指定された寸法で入れた基準線の情報を土台として、柱や構造部材の位置が定まります。なお、基準線の記入は一点鎖線を使用します。

3.構造材の記載

柱の配置が定まったら、梁や基礎などの構造材を記載しましょう。構造材の大きさを記載し、それぞれの配置が重ならないように注意します。木造建築の場合、梁のサイズが4mを超える設計では構造部材を金物などの継手で固定する必要があります。構造部材とともに、継手の配置も確認し、記載しなければなりません。

4.部材の記載

構造部材の記載後、補強金物や部材の記載を進めましょう。補強金物とは構造部材の補強または脱落防止を目的として使われる金物です。具体的には次のような金物があります。

・ホールダウン金物

・羽子板ボルト

・山形プレート

・火打ち金物

補強金物は接合金物または構造金物と呼ばれるケースもあります。部材の配置は構造計算を行う場合にサイズが既に決められているケースも珍しくありません。事前にサイズが決められている場合、確認してから記載するようにしましょう。

5.寸法の記載

最後に寸法の記載を行います。東西南北の4つの方向と必要な場所に記載しましょう。とくに設計時に綿密な指示がある場所やモジュールからずれている寸法などに注意し、記入を進めていく必要があります。

CADソフトで構造図を作成するのも選択肢の1つ

構造図は建築の知識と作成手順を理解しなければ、正確性の高い図面は書けません。記載している内容を1つずつ把握し、正しい図面を書く必要があります。そのため、手作業では時間と手間がかかってしまい、人的なミスも発生しやすいでしょう。手作業ではなく、CADソフトの活用も選択肢の1つです。

多種多様のCADソフトが販売されており、中でも汎用性が高く高機能なAutoCADを推奨します。AutoCADはAutodesk社が提供している2Dおよび3D図面の作成に特化したCADソフトです。AutoCADは図面作成に必要な基本的な機能が搭載されています。

また、Autodesk社は建築図面の作成に特化したソフトも提供しています。とくに建築図面の作成および設計に特化したソフトを使用したい場合、AutoCAD PlusやAutodesk Revitの利用がおすすめです。(*2)

まとめ

本記事では建築図面における構造図の概要および作成手順を解説しました。構造図は柱や梁などの構造部材の情報を伝えるために必要な図面です。細分化すると、伏図や標準施工図など4つの図面に分かれます。構造図の作成により、構造計算や部材の発注が行われるため、正確性の高い図面を作成しなければなりません。

建築の専門知識と図面作成手順を理解する必要があるため、手間と時間がかかってしまいます。図面作成においては、AutoCADなどのCADソフトの利用により、効率的に作業を進められるでしょう。構造図を含む図面作成が負担に感じている場合、AutoCADなどのCADソフト導入も検討してみてください。

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*1

「東建コーポレーション|建築用語辞書|構造図」

https://www.token.co.jp/estate/useful/archipedia/word.php?jid=00016&wid=29249&wdid=01

*2

「Autodesk|建築図面作成ソフトウェア」

https://www.autodesk.com/jp/industry/architecture/architectural-drawing

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