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ARESカスタマイズ入門|初心者でもできる便利設定と効率化のコツ

1. はじめに:ARESカスタマイズの魅力と基本

「操作がちょっと遠回り」「毎回同じ設定をやり直している」——そんな小さなムダは、ARESのカスタマイズでまとめて解消できます。ARESはAutoCADと高い互換性を持つDWGベースのCADで、軽快な動作と柔軟なユーザーインターフェースが特長。自分の作業スタイルに合わせて最適化しやすいのが大きな魅力です。

本記事では、初心者の方でもすぐに取り組める実用的なカスタマイズを、やさしい手順でまとめます。具体的には、

  • UIの調整(リボン/ツールバー配置、ワークスペースの保存・切替)
  • ショートカット&エイリアス設定(よく使う操作を最短で)
  • DWTテンプレートの活用(レイヤー・注釈・寸法スタイルの標準化)
  • ブロックとツールパレットの再利用(定型部品の即時配置)
  • マクロ/スクリプトによる自動化(繰り返し作業の短縮)

といった“効くところ”から順に解説します。まずは小さな調整から始めるだけで、作図時間の短縮や操作ミスの減少といった効果を実感できるはずです。チームで設定を共有すれば、図面の品質も安定します。

「自分にとって使いやすいARES」を作ることが目的です。専門用語はできるだけかみくだいて説明しますので、記事を読み進めながら、あなたの業務に合う最適な操作環境を一緒に整えていきましょう。

2. ARESの基本操作とインターフェース

ここでは、ARESを使い始めるうえで欠かせない基本操作とインターフェースの構成について整理します。最初は「どこに何があるのか」を把握するだけでも効率が大きく変わります。特に、ツールバーやリボンの表示場所、背景色の設定、そしてワークスペース(リボン/クラシック表示など)の切り替えは、毎日の作業に直結する重要なポイントです。

2.1. ARESのインターフェース概要

ARESの画面は、リボンメニュー、ツールバー、作図エリア、コマンドライン、ステータスバーといった要素で構成されています。リボンには「作図」「注釈」「修正」といったコマンドグループがまとまっており、目的に応じて必要な機能を探しやすい仕組みです。さらに、ツールバーを同時に表示しておけば、リボンを切り替えずによく使う機能を呼び出せるため、AutoCADから移行したユーザーでも違和感なく操作できます。

コマンドラインは入力型の操作を好む人に便利で、ショートカットキーやコマンドエイリアスと組み合わせることで、よりスピーディに作業を進められます。リボンとコマンドラインを状況に応じて使い分けることで、柔軟な操作環境を整えることが可能です。

ステータスバーには、スナップ、正交、グリッドなどの切り替えボタンが並んでいます。たとえば「スナップを有効にしたまま直線を引きたい」といったシーンでは、このエリアを知っておくとワンクリックで切替でき、迷わず操作できます。

さらに、インターフェースの外観も自由に変更可能です。背景色は [オプション] → [システムオプション] → [表示] → [要素の色] から変更でき、テーマ(ライト/ダーク)は UISTYLE コマンド または [オプション] → [システムオプション] → [表示] → [User Interface Style] から切替可能です。長時間の作業では、目に優しい色やテーマを選ぶことで作業負担を軽減できます。

2.2. 基本的なファイル操作と設定

ARESでファイルを扱うときは、DWG形式で新規作成するか、既存の図面ファイルを開くだけです。DWGをベースにしているため、AutoCADとのファイル互換性も高く、職場内でAutoCADユーザーとデータを共有する場合も問題なくやり取りできます。

保存に関しては、こまめにバックアップをとるのが安心です。予期せぬトラブルでデータを失うリスクを減らすために「別名保存」でバージョンを管理しておくのも効果的です。また、クラウドサーバーやネットワークドライブに保管しておけば、場所や端末を問わずアクセスできるメリットがあります。

設定面で見落としやすいのが「ユーザーデータフォルダ」の管理です。ショートカットキー、ツールパレット、ワークスペースといった個別の設定情報は、このフォルダに保存されます。万が一のトラブルに備えて定期的にバックアップしておくと安心です。さらに、必要に応じてプロファイルやワークスペースを切り替えることで、異なる環境でも同じ設定を再現できるようになります。

このように、基本操作やインターフェースを理解しておくことが、スムーズなカスタマイズを進めるための最初の一歩となります。

3. カスタマイズの基礎

ここからはいよいよ本格的にカスタマイズについて解説します。「カスタマイズ」と聞くと難しく感じる方も多いかもしれませんが、実際にはユーザーインターフェース(UI)の配置を少し見直したり、ショートカットキーを変えるだけでも十分に効果を実感できます。ちょっとした工夫で、作業効率を大幅に向上させることができるのです。

3.1. ユーザーインターフェースのカスタマイズ

まず取り組みやすいのが、ワークスペースの保存や切り替えです。ARESには、(例:ドラフティング向けのレイアウト、3Dモデリング用、クラシック表示など)複数のワークスペースがあらかじめ用意されています。たとえば2D図面の作業が中心であれば、2D作図用ワークスペースをベースに不要なパレットを外し、必要なツールだけを配置することで作業がスムーズになります。

さらに、自分専用のツールバーを作成し、よく使うコマンドをまとめておく方法もおすすめです。ボタンの大きさや配置場所を調整して、見やすく押しやすいレイアウトに変えることで操作性が向上します。これらの編集はARESのユーザーインターフェースカスタマイズメニューから簡単に行えます。

また、リボンの表示方法も工夫次第で快適になります。折りたたみ表示や最小化にしてアイコンのみ表示させれば作図エリアを広く確保でき、必要なときだけ展開する設定も可能です。こうした調整は画面の見通しを良くし、マウスの移動量を減らす効果につながります。

このようにUIを最適化することで、視覚的なストレスを軽減しつつ、コマンドを探す時間も短縮できます。

3.2. ショートカットキーとエイリアスの設定

操作をスピーディに行うために欠かせないのが、ショートカットキーとコマンドエイリアスの設定です。特にAutoCADに慣れている方は、普段使い慣れたコマンド名をそのままエイリアス登録しておけば、スムーズに移行できます。

ショートカットキーは「Ctrl + 任意のキー」や「Alt + 任意のキー」といった組み合わせで複数設定できます。例えば、「新規作成」「上書き保存」「元に戻す」「やり直し」など頻繁に使う操作を手になじむキーに割り当てておけば、視線移動やマウス操作を減らせます。さらに、マウスジェスチャー(コマンド GESTURE で有効/無効を切り替え可能)を使えば、クリックとドラッグだけでコマンドを呼び出せるため、より直感的に操作できます。

コマンドエイリアスは、「L」=Line(線分)、「C」=Circle(円)といった短縮コマンドのことです。設定フォルダ内のファイルを直接編集したり、設定ダイアログから1つずつ割り当てたりと、複数の方法で編集可能です。自分にとって覚えやすい文字や略称を使えば、入力スピードと正確性が一気に上がります。

このようにショートカットやエイリアスを調整するだけでも、作業効率が目に見えて向上します。初心者でも取り組みやすいので、まずはここから始めるのがおすすめです。

3.3. テンプレートとワークスペースの最適化

次に効果的なのがテンプレートとワークスペースの最適化です。テンプレートファイル(DWT形式)には、レイヤー構成、注釈スタイル、文字スタイル、寸法設定などを事前に登録しておくことができます。例えばレイヤー名を「建築」「配管」「電気」などと用途ごとに整理しておけば、作図後の整合性が取りやすくなります。

独自テンプレートを準備しておくと、打ち合わせ時に「文字サイズが違う」「ハッチのパターンがずれている」といった細かい修正に悩まされる回数が減ります。テンプレートを活用し、さらに自分に合ったワークスペースと組み合わせることで、ARESを起動した瞬間から最適な環境を呼び出せるようになります。

また、チームで作業を行う場合はテンプレートやワークスペースの共通化が特に効果的です。設定を共有フォルダに置くことで、全員が同じレイヤー規則や注釈スタイルを使えるため、図面の品質を統一しやすくなり、不要なトラブルも減らせます。

このようにテンプレートやワークスペースの整備は、カスタマイズの中でも取り組みやすく、効果を実感しやすいポイントです。まずはここから一歩踏み出してみてください。

4. 実践的なカスタマイズ例

ここからは、実際に活用されているカスタマイズ例をご紹介します。ここで挙げる方法は現場でもよく使われているものが多いため、すぐに取り入れられるヒントになるはずです。慣れてきたら、自分の業種や業務の特性に合わせて応用してみてください。

4.1. ツールバーとリボンの効率的な配置

ツールバーやリボンの配置を工夫するだけで、作業スピードは一段と向上します。たとえば、リボン内で使用頻度が高いコマンドを独自のパネルにまとめたり、あまり使わないパネルを非表示にすることで、作図エリアを広く確保できます。

ARES初心者向けのガイドなどを参考にすると「よく使うコマンドの傾向」が見えやすくなり、どの機能を前面に配置すべきかイメージしやすいでしょう。よく使うボタンを視線の届きやすい場所に置いておけば、探す手間が減り、直感的に操作が進みます。また、ツールバー同士の間隔を狭めることで視線の移動範囲が小さくなり、長時間作業でも疲れにくくなるメリットがあります。

さらに、他のCADソフトに慣れている場合は、そのレイアウトを再現するのも一つの方法です。特にAutoCAD互換を意識した配置にすれば、新人エンジニアの学習コストを下げられるため、教育効果も期待できます。

最終的には「どのボタンがどこにあるか」を無意識で操作できるようになるのが理想です。そのためにも、自分の手や視線に合わせて配置を少しずつ調整していくと良いでしょう。

4.2. マクロとスクリプトを使った自動化

ARESには、マクロやスクリプト(LISPなど)を利用して定型作業を自動化する仕組みがあります。例えば、図面を開いたときに特定のレイヤー設定をまとめて切り替えたり、図面枠を自動で挿入したりといった操作を一度に処理できるため、繰り返しの入力作業を大幅に減らせます。

初心者にはやや難しそうに感じられるかもしれませんが、最初はシンプルなものを真似するのがおすすめです。たとえば「レイヤーをワンクリックでオン・オフにする簡単なマクロ」や「文字スタイルと寸法スタイルをまとめて設定するスクリプト」などから始めれば、少しずつ仕組みを理解できます。成功体験を積むことで、自分のアイデアを活かした自動化にも挑戦しやすくなるでしょう。

また、作成したマクロはツールパレットやショートカットキーに登録しておくと便利です。ワンクリックやキー入力だけで処理を呼び出せるようになれば、本来の設計作業に集中できる時間が増えます。

マクロやスクリプトは、慣れてくれば高度な機能拡張にもつながります。小さな一歩でも積み重ねていけば、長期的に見て大きな効率化を実現する基盤となります。

4.3. カスタムブロックとツールパレットの活用

CAD作業の効率を飛躍的に上げる定番の方法が「ブロックの再利用」です。ARESでは、カスタムブロックやツールパレットに登録しておくことで、同じ形状を何度も描き直す必要がなくなります。特に部品図や繰り返し利用が多い要素を扱う場合に効果的です。

カスタムブロックは、ブロック定義にパラメトリック機能や複数の表示状態を持たせられるのが特長です。例えば、ドアの左開き/右開きやサイズ違いをひとつのブロックにまとめておけば、都度別ファイルを呼び出す手間が省けます。

また、ツールパレットにカスタムブロックやよく使うハッチパターン、注釈スタイルなどを登録しておけば、ドラッグ&ドロップだけで配置できるようになります。これにより、図形配置の時間を大きく短縮できます。さらに、ツールパレットはAutoCADでエクスポートしたパレット(.xtp形式)をARESにインポートできるほか、ARESの設定ファイルをコピーして別のPCに移すことも可能です。ただし、互換性には一部制限があるため、設定内容によっては完全に移行できない場合がある点に注意が必要です。

現場では、企業独自の標準パーツや社内規格に合わせたブロックをまとめてツールパレット化するケースも少なくありません。これにより作業スピードが上がるだけでなく、社内全体の図面品質を一定に保つ効果も期待できます。

5. カスタマイズの注意点とトラブルシューティング

ここまで紹介してきたカスタマイズはとても便利ですが、実践する際には注意が必要です。設定の方法を誤ったり、思わぬエラーが起こったりすると、逆に作業効率を下げてしまうこともあります。ここでは、よくあるトラブルや落とし穴、そしてその解決策について整理します。あらかじめ知っておけば、安心してカスタマイズを進められるでしょう。

5.1. 一般的なカスタマイズの落とし穴

まず注意したいのが、ショートカットキーやコマンドエイリアスの競合です。同じキーに別の機能を誤って割り当ててしまうと、思わぬ挙動を引き起こす可能性があります。設定を変更した後は、一度一覧で重複がないか確認しておくと安心です。

次に多いのが、ツールバーやリボンの編集で必要なコマンドが消えてしまうケースです。作業中にコマンドが見つからないと慌ててしまいがちですが、そんなときはワークスペースのリセット機能を使えばすぐに元の状態に戻せます。リセット方法を事前に知っておくと安心です。

また、テンプレートにレイヤーやスタイルを詰め込みすぎるのも注意が必要です。設定が多すぎると動作が重くなったり、管理しきれなくなることがあります。必要な要素を厳選して整理整頓を意識することが大切です。

これらの落とし穴を避けるためには、変更を加える前に必ず設定のバックアップを取ること、そして一度に多くを変えるのではなく少しずつ調整して動作を確認することが効果的です。

5.2. 設定のバックアップとリセット

ARESを安心してカスタマイズするために欠かせないのがバックアップです。設定ファイルを保存しておけば、問題が発生してもすぐに元の状態へ戻せます。特にショートカット(エイリアスファイル)、ツールパレット(設定ファイル+リソースフォルダ)、ワークスペース設定などは保存場所が異なるため、個別に複製しておくと安全です。クラウドストレージを利用すれば、複数の端末で同じ環境を再現できるメリットもあります。

さらに、リセット方法を覚えておくことも大切です。インターフェースが乱れたり、エイリアスが正しく動作しなくなったときに、初期状態に戻すことでトラブルを一気に解消できます。ただしリセットを実行すると、自分が加えたカスタマイズも消えてしまうため、必ずバックアップを先に用意しておきましょう。

このように、バックアップとリセットを上手に使い分けることで、安心して試行錯誤ができます。特に初心者のうちは設定を繰り返し調整することが多いため、こまめに保存しておくと不安なく取り組めます。

これらのポイントを押さえておけば、カスタマイズによるトラブルを最小限に抑えつつ、自分に合ったARESの操作環境を安心して作り込むことができるでしょう。

6. まとめ:カスタマイズで変わるARESの使い心地

本記事では、ARESの基本操作やインターフェースの概要から始まり、ショートカットキーやエイリアスの設定、テンプレートやツールパレットの活用、さらにマクロやスクリプトによる自動化まで、幅広いカスタマイズ方法を解説しました。

CAD初心者にとっても挑戦しやすい工夫は多く、ほんの少しの調整だけでも作業効率や操作の快適さが大きく変わります。特にショートカットキーやコマンドエイリアスは、学習コストが低く効果が高いため、最初に取り組むのに最適です。その次のステップとしてテンプレートやツールパレットを整備すれば、チーム全体の図面スタイルを統一でき、コミュニケーションや共同作業の質も高まります。さらに慣れてきたら、マクロやスクリプトによる自動化に挑戦し、繰り返し作業を効率化することで、作業時間を大幅に削減できるでしょう。

一方で、カスタマイズを積み重ねるほど設定は複雑になりやすいものです。だからこそ、バックアップやリセット方法をしっかり押さえ、少しずつ調整を加えていく姿勢が大切です。安全に試行錯誤を繰り返すことで、自分に最も合った環境を無理なく作り上げられます。

ARESの魅力は、ユーザーのスタイルに合わせて柔軟に変化できることにあります。自分だけの操作環境を構築していく過程は、単なるソフト操作の習得にとどまらず、設計スキルを深めるきっかけにもなります。ぜひ本記事を参考に、日々の作図を効率化しながら、質の高い成果物を生み出せるオリジナルの環境を育てていってください。

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<参考文献>

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https://www.graebert.com/ja/

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