1. TOP
  2. ブログ
  3. RevitのWork Sharingとは?使い方の前に知っておきたい基本仕組みを解説

RevitのWork Sharingとは?使い方の前に知っておきたい基本仕組みを解説

1. はじめに

建築プロジェクトでは、設計者やエンジニア、施工担当者など、複数のメンバーが同じRevitモデルを共有しながら作業を進める場面が多くなっています。特にBIMを活用したプロジェクトでは、役割の異なるメンバーが同時に作業することが前提となるため、スムーズなチーム連携が欠かせません。

しかし、単独作業を前提とした運用のまま複数人で作業を始めてしまうと、モデルファイルの上書きや編集内容の競合など、思わぬトラブルが発生しやすくなります。「誰がどこを編集しているのかわからない」「変更内容がうまく反映されない」といった経験をした方も多いのではないでしょうか。

こうした課題を解決するために用意されているのが、Revitの Work Sharing(ワークシェアリング) 機能です。Work Sharingを使うことで、中央モデルを基点に各メンバーがローカルで作業しながら、変更内容を安全に共有できるようになります。適切に運用すれば、複数人での同時並行作業を効率よく進めることが可能です。

本記事では、RevitのWork Sharingについて、「どのような仕組みなのか」「なぜ必要なのか」といった基本から、運用時に押さえておきたいポイントまでを、専門用語をできるだけ避けてわかりやすく解説します。これからワークシェアリングを始める方はもちろん、チーム運用を見直したいプロジェクトリーダーの方にも役立つ内容を目指します。

2. RevitのWork Sharingとは?

RevitのWork Sharingとは、複数のメンバーが同じ建築モデルを共有しながら、同時並行で作業を進めるために用意されたデータ共有機能です。単独でモデルを作成する場合と比べて、作業を分担しやすくなり、同期操作を通じて各メンバーの変更内容を共有しやすくなる点が大きな特徴といえます。

もしWork Sharingを使わずに複数人で作業を行うと、誰かの作業内容を上書きしてしまったり、修正内容をうまくまとめられなかったりといった問題が起こりがちです。こうしたトラブルを防ぐために、中央モデルとローカルモデルを使い分ける仕組みが用意されています。これにより、データの整合性に配慮しながら、複数人で同じモデルを編集できる環境を整えることが可能になります。

ここではまず、Work Sharingを使う目的や基本的な考え方について大まかに整理していきます。具体的な操作手順に入る前に仕組みを理解しておくことで、実際の運用時に起こりやすいトラブルを事前に防ぎやすくなります。

2.1. Work Sharingの定義と基本概念

Work Sharingは、Revitでチーム作業を行うための基本的な仕組みです。作業の中心となるのが、サーバーやネットワーク上に配置された中央モデル(セントラルモデル)です。各ユーザーは、この中央モデルをもとに自分専用のローカルモデルを作成し、そのローカルモデル上で作業を進めていきます。

重要なのは、複数人で編集できる自由度を確保しながらも、データの一貫性や整合性を保つためのルールがあらかじめ組み込まれている点です。各ユーザーはローカルモデルで編集を行い、その内容を同期(Synchronize with Central)という操作によって中央モデルへ反映します。一方で、他のメンバーが行った変更内容も、同じ同期操作を通じて自分のローカルモデルに取り込まれます。

この仕組みにより、プロジェクト全体のBIMデータを最新に近い状態で共有しやすくなり、整合性を保ったままチームで協働作業を進められるようになります。

2.2. Work Sharingの目的とメリット

Work Sharingの目的は、単に「複数人で同時に編集できるようにする」ことだけではありません。プロジェクトの規模が大きくなるほど、設計・検討・修正といった作業を複数人で分担しながら進める必要があります。その際に、作業スピードと品質の両立を支える基盤としてWork Sharingが重要な役割を果たします。

主なメリットとして、複数人が同時並行で作業を行い、同期によって変更内容を共有できる点が挙げられます。これにより、作業時間の短縮や、設計ミス・入力ミスといったエラーの早期発見につながりやすくなります。さらに、中央モデルを基点に同期のタイミングを揃えることで、モデルを最新に近い状態で共有しやすくなり、個別にデータを管理する場合と比べて情報共有の遅れを抑えやすくなります。

また、編集の所有権やワークセットといった考え方を取り入れることで、複数人が同じ要素を同時に編集してしまうといった競合も、一定のルールに沿って整理できます。運用が適切に行われれば、手戻りの削減や情報伝達の円滑化を通じて、結果としてリードタイムの短縮やミス防止につながる可能性のある仕組みだといえるでしょう。

3. Work Sharingの基本構造

ここからは、Work Sharingを構成する重要な要素について詳しく見ていきます。特に理解しておきたいのが、中央モデルとローカルファイルの関係、そしてワークセットの役割です。加えて、同期という操作がどのようにデータをやり取りしているのかを把握しておくことで、運用時のトラブルを減らしやすくなります。

Revitでワークシェアリングを行う際には、「セントラルモデルとローカルモデルの関係性」を正しく理解することが欠かせません。また、ワークセットという論理的な枠組みでモデル要素を管理する仕組みが、チーム作業の効率化を支えています。これらの要素はそれぞれ独立しているように見えますが、実際には密接に関係していますので、順を追って確認していきましょう。

この章では、中央モデルの役割、ローカルファイルを使う意義、そしてワークセット管理の考え方について順番に解説します。あわせて、同期(Synchronize)操作の重要性についても確認していきます。

3.1. 中央モデルとローカルファイルの関係

Revitでは、プロジェクト全体の基準となるセントラルモデル(中央モデル)を、あらかじめネットワークやサーバー上に配置します。各メンバーはその中央モデルを参照し、自分専用のローカルモデルを作成したうえで編集作業を行います。

ここで重要なのが、「なぜ直接中央モデルを編集しないのか」という点です。複数人が同時に中央モデルを直接編集してしまうと、編集内容の衝突や、通信障害が発生した際のデータトラブルが起こりやすくなります。ローカルモデル上で作業し、定期的に同期を行って中央モデルへ反映することで、こうしたリスクを抑えた運用がしやすくなります。

また、ローカルモデルを使用することで、ネットワーク越しに常時アクセスし続ける必要がなくなり、作業環境によっては操作の安定性が向上する場合もあります。

3.2. ワークセットの役割と管理

ワークセットは、Revitモデルを論理的に区分けして管理するための仕組みです。たとえば、「外壁」「屋根」「設備配管」といったように、要素の種類や役割ごとにグループを分け、その単位で管理を行います。これにより、誰がどの要素を編集しているのかを把握しやすくなります。

ただし、ワークセットを「担当者名」で分けてしまうと、担当変更が発生した際に管理が煩雑になることがあります。そのため、要素種別や建築要素ごとの分類を基準にワークセットを構成したほうが、運用面ではわかりやすく、プロジェクト全体の進行管理にも役立ちます。

運用ルールとしては、ワークセットをチェックアウトして編集範囲を確保する方法と、個別の要素を借用(所有権を取得)して編集する方法があります。どの方法を採用するかは、プロジェクトの規模やチーム体制に応じてあらかじめ決めておくと、編集競合を防ぎやすくなります。

3.3. 同期のプロセスとその重要性

Work Sharingにおいて非常に重要な操作が、同期(Synchronize with Central)です。同期は単なる「保存」ではなく、ローカルモデルで行った変更を中央モデルへ反映すると同時に、他のメンバーが行った変更内容を自分のローカルモデルに取り込むための操作です。

作業を終えたタイミングだけでなく、ある程度作業が進んだ段階でも定期的に同期を行うことが推奨されます。こうすることで、チーム全体が最新に近い情報を共有しやすくなり、競合が発生した場合にも早い段階で気づけるようになります。

一方で、同期のタイミングが不十分だと、作業内容の食い違いや同期エラーなどのトラブルが起こりやすくなります。特に集中して作業しているときほど、意識的に同期を行うことが安定した運用につながります。

4. Work Sharingの運用とベストプラクティス

Work Sharingを活用してチーム作業を円滑に進めるためには、初期設定から日常的な運用ルールまで、いくつかのベストプラクティスを意識しておくことが重要です。ネットワーク環境やRevitのサーバー設定を含め、プロジェクト開始時にファイル管理の方針を明確にしておく必要があります。

この章では、プロジェクト開始時の準備から、日常的なデータの流れ、さらに競合が発生した際の対処方法までを整理して解説します。適切に進行管理を行うことで、RevitのWork Sharingはその効果を十分に発揮します。

また、競合をどのように回避し、トラブルが起きた場合にどのように対応するかは、プロジェクトリーダーにとって重要なテーマです。ここでは、そのための具体的な考え方や実践ポイントを、いくつかの観点から説明します。

4.1. プロジェクトの設定と開始

プロジェクトを始める前に、まず中央モデルをどこに配置するかを決めておく必要があります。LAN環境で作業する場合は、全員がアクセスできる共有フォルダを用意するのが一般的です。一方、クラウド上で協働作業を行う場合には、Autodesk Docs 上で提供されている Revit Cloud Worksharing(BIM Collaborate Pro など)を利用します。また、ネットワーク内での運用や広域環境では、ファイルベースのワークシェアリングや Revit Server を選択するケースもあります。

Worksharingを有効化して中央モデルとして作成(保存)したファイルについては、チーム全員が正しく参照できることを必ず確認してください。あわせて、ローカルモデルの保存先となるフォルダ構成やファイルの命名規則を事前に決めておくと、運用開始後の混乱を防ぎやすくなります。

この初期設定が不十分なまま作業を進めてしまうと、同期エラーや編集競合の解決に余計な時間がかかる原因になります。スムーズなプロジェクト進行のためにも、最初の段階でファイル管理環境とチームルールをしっかり整えておくことが重要です。

4.2. データの流れと管理

日常的な作業では、各メンバーがローカルモデルを開き、それぞれの担当範囲を編集していきます。編集の過程で必要に応じて要素を借用(所有権を取得)し、作業が一区切りついたタイミングで同期を行い、変更内容を中央モデルへ反映します。

同時に、他のメンバーが中央モデルに反映した変更内容があれば、それをローカルモデルに取り込み、モデルを最新に近い状態に保ちます。このように同期のタイミングを意識することで、チーム全体でモデルの状態を共有しやすくなります。同期プロセスを安定して回せるようになると、モデルの同時編集をより安全かつ効率的に行えるようになります。

集中して作業しているときほど、作業開始時や作業ブロックの終了時など、一定の区切りで同期を行う習慣をつけることが大切です。特に複数のワークセットを扱う場合は、どの要素を借用しているかを常に意識するようにしましょう。

4.3. 競合の解決とトラブルシューティング

複数人が同じモデル要素を同時に編集しようとすると、競合(コンフリクト)が発生します。Revitでは、先に要素を借用して編集状態になっているユーザーがその要素を操作できる仕組みになっており、他のユーザーは編集要求を送るか、権限が解放されるのを待つ必要があります。

納期が迫っている状況で同じ箇所を複数人が編集しようとすると、想定以上に時間を取られてしまうことがあります。そのため、チーム作業を円滑に進めるためには、あらかじめ担当範囲やワークセットの割り当てについて相談し、役割分担を明確にしておくことが重要です。意図せず競合が発生した場合でも、Revit上で編集の放棄や編集要求といった操作を行うことで、比較的スムーズに対応できます。

また、万が一のデータトラブルに備えて、定期的なバックアップやアーカイブを行い、復元手順を確認しておくことも欠かせません。こうした運用ルールとトラブルシューティングの知見を積み重ねることで、ワークシェアリング運用におけるリスクを最小限に抑えられます。

5. Work Sharingのメリットとデメリット

Work Sharingを導入することで、多くのメリットが得られます。複数人で同時に作業できるようになることで、プロジェクト全体の進行スピードが向上し、締め切りが厳しい案件でも効率的にリソースを配分しやすくなります。

また、中央モデルとの同期やワークセット管理を徹底することで、変更内容の切り分けがしやすくなり、エラーや不整合にも早い段階で気づけるようになります。チーム全体で最新に近いBIMデータを共有できるため、会議や設計検討もスムーズに進み、コミュニケーションロスの軽減にもつながります。

一方で、Work Sharingはネットワーク品質やサーバー環境の影響を受けやすいという側面もあります。通信が不安定な場合は同期が滞り、作業が中断されるリスクがあります。また、運用ルールがあいまいなままだと、所有権の混乱や競合が頻発する恐れもあります。プロジェクトリーダーは、チームルールの徹底やネットワーク環境の見直しなどを行い、こうしたデメリットを最小限に抑える工夫が求められます。

メリットとデメリットの両方を正しく理解したうえで運用すれば、Work SharingはBIMプロジェクトにおけるチーム協働を支える、非常に心強い仕組みとなるでしょう。

6. まとめと次のステップ

ここまで、RevitのWork Sharingについて、中央モデルとローカルモデルの関係をはじめ、ワークセットの役割や同期(Synchronize with Central)の重要性など、基本的な仕組みを中心に解説してきました。特に、複数人で作業を行う際に避けて通れない「編集競合の発生」や「所有権の管理」は、Revitでチーム作業を行ううえで必ず押さえておきたいポイントです。

Work Sharingを正しく理解し、適切に運用することで、複数人による同時並行作業が可能になり、プロジェクト全体の生産性や作業効率の向上が期待できます。中央モデルを基点とした明確なファイル管理や、同期を意識した情報共有を行うことで、作業ミスや手戻りを減らし、設計品質の安定にもつながります。

次のステップとしては、実際のプロジェクトに合わせてワークシェアリングの設定を行い、運用ルールを具体化していくことが重要です。たとえば、ワークセットの構成方法や担当範囲の分け方、同期を行うタイミングなどをチーム内で共有し、共通ルールとして整理しておくことで、日常業務がよりスムーズになります。また、Revit Server や Revit Cloud Worksharing など、利用する環境に応じた設定内容を把握しておくことも欠かせません。

ぜひ本記事の内容を参考に、Work Sharingの基本を押さえたうえで、自身のプロジェクトに合った運用方法を検討してみてください。仕組みへの理解が深まるほど、トラブルを未然に防ぎながら、より高度で柔軟なBIMコラボレーションを実現できるようになるはずです。

建築・土木業向け BIM/CIMの導入方法から活用までがトータルで理解できる ホワイトペーパー配布中!

❶BIM/CIMの概要と重要性
❷BIM/CIM導入までの流れ
❸BIM/CIM導入でよくある失敗と課題
❹BIM活用を進めるためのポイント
についてまとめたホワイトペーパーを配布中

<参考文献>

ヘルプ | ワークシェアリングについて | Autodesk

https://help.autodesk.com/view/RVT/2026/JPN/?guid=GUID-0FC44807-DF06-4516-905A-4100281AC486

    ホワイトペーパーDL誘導バナー①

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    ホワイトペーパーDL誘導バナー②

    新卒採用バナー

    中途採用バナー

    カテゴリ一覧

    PAGE TOP