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台風のパワーを電気に。新型風力発電機とIoTで実用化目指す台風発電システム

ここ数年来、きわめて勢力の強い大型台風が日本列島に接近したり上陸したりすることが多くなりました。こうした台風には、風速50m/sといった激しい暴風を伴っているものもあります。今、台風のもつ強い風を利用して発電をしようと、従来とは異なる新しい風力発電機と、IoTを駆使した管理システムの開発が進められています。実用化されれば「台風発電」が実現し、再生可能エネルギーの発展に一役買いそうです。

従来のプロペラ型風力発電機は台風が天敵

風力発電機といえば、プロペラが3枚ついた細長い風車を想像するでしょう。そして、強い風が吹くほど大きな電力を発生できると思いがちです。実は、このような形状の風力発電機は穏やかな風が吹いているときにしか使えず、強い風が吹くと稼動できないのです。理由は、風の力を受けるプロベラ(ブレード)は強い風を受けると破損する恐れがあるためです。もしブレードが破損すれば、発電効率は大きく下がるばかりか、修理のためのコストもかかってしまいます。

従来型の風力発電機にとって、台風はまさに天敵です。それゆえ、台風の被害を受けやすい地域では風力発電が思うようにできないのです。

台風に適した新型風力発電機が開発

台風のもつ強風を風力発電に利用できれば、大きな電力を発生できることが期待できます。そして、従来の設備では困難だった風の強い地域での風力発電が実現できます。そのためには、強風に適した風力発電機が必要です。

ベンチャー企業のチャレナジーは、強風でも発電できる新しい風力発電機の開発を進めています。同社が開発しているのは、強風に弱いプロペラを使わず、円筒を垂直に取り付けてマグナス力と呼ばれる気流から発生する力を用いて発電する「垂直軸型マグナス風力発電機」です。

垂直軸型マグナス風力発電機は次のようなしくみで動作します。回転式の円筒3本を垂直に立てて同心円状に配置しておきます。この状態で強い風を当てると円筒が回転します。すると、円筒側面に気流の圧力差による力(マグナス力)が発生して、円筒を固定している中心軸を回転させることができます。この回転力をモーターに伝達して発電をするのです。

マグナス力を用いた風力発電機はすでに開発されていて、チャレナジーが世界初ではありません。チャレナジーが開発したマグナス型風力発電機は動力源となる円筒を垂直に置くことにより、狭い敷地にも設置できるだけでなく、どんな方向からの風でも受けられるようにしたのが既存品との大きな違いです。そのため、台風の多い地域にある住宅地や離島でも風力発電を導入できる強みをもっています。

IoTを活用して新たな風力発電システムに

チャレナジーが試作した垂直軸型マグナス風力発電機は、風洞実験室で風速20m/sのもとで動作することを検証しています。今後は、屋外での実証実験を進めながら、実用化に向けた取り組みが行われようとしています。その一環として進められているのが、チャレナジーの風力発電機とIoTを組み合わせた新たな風力発電システムの開発です。

日本ユニシスはチャレナジーと提携して、次世代の発電システムの共同開発を目指しています。これは、チャレナジーの風力発電機にセンサーを取り付けてIoT化し、発電機ごとに送られてくる稼働状況や発電量などの情報をビッグデータ解析して、効率的な発電サービスを行おうとするものです。実用化できれば、日本全国に設置したチャレナジーの風力発電機を遠隔操作したり、稼働情報から強風の多い地域を割り出して設備増設を図ったりするなどの効率的な風力発電ができるようになるでしょう。

最近の気候変動により、今後も日本に大型の台風が頻繁に接近・上陸する可能性は高まっていくでしょう。防災対策も大切ですが、台風のエネルギーを活用した風力発電システムの開発も大いに意義があります。IoTは、これまで実現できなかった台風発電を下支えする基盤技術として寄与するでしょう。

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