Forge CIM、最新の活用事例でその機能を確認
今や私達は当然のように、スマートフォンやタブレット等のデバイスでクラウドと繋がり、クラウドに保管されているビッグデータを活用しています。
しかし設計/デザインやデザイン業界はその専門性ゆえに、クラウドに保管されたビッグデータを活用できずにいました。
そんな設計/デザインやデザインに携わる人達とクラウドを繋ぐプラットフォームが、Forgeです。
Forgeは、オートデスク(Autodesk)が提供しているクラウドサービスが利用している基本要素を抽出して、個別のWebサービスAPIとして公開したものです。
BIM/CIMだけに特化したプラットフォームではありませんが、最も採用が進んでいるのが、BIM/CIMの分野です。
一方、CIM(シム)が「Constriction Information Modeling/Management」の略称であることは皆さんもご存じのことと思います。
BIMが日本の建築業界を効率的・質的に飛躍させる概念であり技術であるなら、CIMはそれを土木業界に活用するものですね。
では以下、3つの項目で「Forge CIM」について詳述します。
①国土交通省、建設現場の生産性革命
②国土交通省、CIM導入ガイドライン
③事例に見るCIMの機能
国土交通省、建設現場の生産性革命
2016年4月、国土交通省は「i-Construction~建設現場の生産性革命~」を公表しています。
引用URL_i-Constructioc ~建設現場の生産性革命~ 国土交通省pdf
上記はその目次ですが、特に注目すべき点を挙げてみます。
1.「1.今こそ生産性の向上に取り組むチャンス」
「1.今こそ生産性の向上に取り組むチャンス」で掲げるのは、以下の項目です。
(1)労働力過剰を背景とした生産性の低迷
(2)労働力過剰時代から労働力不足時代への変化
(3)安定と成長を支える建設産業
(4)安定的な経営環境
(5)生産性向上の絶好のチャンス
これらはバブル崩壊後の投資の減少で過剰になった建設労働者~団塊の世代が定年期を迎え、加えて少子化で、労働力が減少する日本と、それを建設産業がどう解決していくかの縮図です。
注目すべきは(5)で、国土交通省は、世界有数のICTを有するわが国が生産性向上のためのイノベーションに突き進むチャンスに直面していると謳っています。
それの切り札が、CIMという訳ですね。
2.「8.i-Constructionを促進するために」
次に注目するのは「8.i-Constructionを促進するために」です。
以下の項目が掲げられています。
引用URL_i-Constructioc ~建設現場の生産性革命~ 国土交通省pdf
その中の「(3)i-Constructionに伴うビッグデータの活用」には、次のようなイメージ図があります。
引用URL_ CIM導入ガイドライン(案)第1編 共通編 国土交通省 CIM導入推進委員会pdf
ビッグデータの活用でいかに土木業界が変わるかが、想像できます。
それは、近年インターネットの普及で私達の日常・生活が大きく変わったことを思えば明らかです。
国土交通省、CIM導入ガイドライン
2017年3月、国土交通省は「CIM導入ガイドライン(案)第1編 共通編」を公表しました。
CIMに求められていること=CIMができること、のイメージを更に明確にするため、その一部をご紹介します。
引用URL_ CIM導入ガイドライン(案)第1編 共通編 国土交通省 CIM導入推進委員会pdf
引用URL_ CIM導入ガイドライン(案)第1編 共通編 国土交通省 CIM導入推進委員会pdf
また、CIMに期待されていることとして、以下が明記されています。
引用URL_CIM導入ガイドライン(案)第1編 共通編 国土交通省 CIM導入推進委員会pdf
こうした国土交通省の構想に対し、次章では、実際の事例でCIMの機能・効果を確認します。
事例に見るCIMの機能
もともとCIMは、2012年、国土交通省によって「Constriction Information Modeling」として提言されました。
しかし実際に試行される中で、CIMには、その機能をより優れたものにするために、モデルに情報を集約するだけでなく、建設ライフサイクル全体を見通したアセットマネジメントや業務・工事それぞれについてのプロジェクトマネジメントの機能が必要であると考えられました。
そしてCIMは、現在の「Constriction Information Modeling/Management」になりました。
BIMにおいてもそうでしたが、工事を効率よく高品質に完了するために重要なのは、情報を単に「見える化」し関係者間で共有することではなく、「見える化」、「共有」が計画から竣工までの全過程を見通す形で行えることだと分かります。
実際にどのように「見える」のか、一般社団法人日本建設業連合会が公開している事例をご紹介します。
工事には設計、施工など様々な過程がありますが、各段階でCIMの活用が多い例、紹介されているCIM画像が多い例をご紹介します。
1.ダム-安藤ハザマ:ウォノギリ多目的ダム・貯水池堆砂対策計画事業(II) 2-1 工区締切堤・越流堤建設 -
引用URL_2019施工CIM事例集 一般社団法人日本建設業連合会 インフラ再生委員会pdf
2.地下構造物-戸田建設株式会社:平成30年302号緑地共同溝内部構築工事 -
引用URL_2019施工CIM事例集 一般社団法人日本建設業連合会 インフラ再生委員会pdf
様々な映像が作成でき、また美しいので、大変分かりやすいですね。
3.報告された効果
ご紹介した2例含め公表された事例で報告されたCIM活用の効果は、以下の通りです。
・メインPCを経由してクラウドに蓄積された様々な施工情報を、インターネットを利用することで、関係者間で3次元可視化画面とグラフで共有できる。
・電流値または籍分電流値を用いてN値を推定する機能があるので、リアルタイムに施工中の地盤性状や支持層の評価ができる。
・設計照査の結果、部材に初期設計の変更が起きたが、コストUPが最小限に抑えられた。
・プレキャスト版割り付け検討と3D複合データの作成期間が、従来の1/3でできた。
・2次元モデルでは把握しきれない全体イメージが3次元で可視化されたことで、設計変更の合意がスムーズだった。
・CGアニメーションやVRで確認することで工事関係者や得意先に分かりやすく伝わり、「気付き」を生む。
・作業計画における詳細寸法の確認や安全性の確認、数量計算や資材管理にも利用でき、業務の効率化が図れた。
・現場検討の省力化・危険予知に有効。
まとめ
土木工事には、現場の状況に不確定要素が多々あります。
工事関係者はそんな現場で、安全に効率的に工事を進め、高品質なものを完成させることを目指しています。
そんな工事関係者にとって、リアルタイムで状況分析ができ、3Dで可視的に情報共有ができることは、速さにおいても正確さにおいても大きなメリットだと考えます。
しかし一方で、これらCIMの機能はソフトを導入しどれか1つのキーを押せば提供されるというものではありません。
以下のような課題も挙げられています。
・CIM用ソフトの専門的な知識や操作方法などの理解が必要となるため、技術者が限られる。
・操作方法を習得するための教育が必要であり、そのための時間と費用がかかる。
・3次元モデルを扱うため、操作するパソコンにも高い性能が必要。
・可視化システムのためにそれぞれの関係者がPCにシステムをインストールしなければならず、煩雑である。
・扱うデータが膨大なため、データを閲覧するのための設備の導入が必要。
・協力業者のCIMへの協力が必要。
CIMが導入され始めて、まだ数年。
幾つかの課題があるのはむしろ当然で、ForgeにおいてもCIMにおいても、より有効な技術をご提供するべく、開発され続けています。
実際に活用した関係者の意見は、リスク回避、生産性の向上において重要なツールである、前向きに課題解決に取り組むことが必要と、頼もしいものです。
参考URL
i-Constructioc ~建設現場の生産性革命~ 国土交通省pdf
CIM導入ガイドライン(案)第1編 共通編 国土交通省 CIM導入推進委員会pdf
2019施工CIM事例集 一般社団法人日本建設業連合会 インフラ再生委員会pdf
Autdesk Forgeとは?-Technoiogy Perspective from Japan
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