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AutoCADライセンスは複数台で使える?利用ルールと違反を防ぐ運用法

1. はじめに

AutoCADは、建築・製造・土木など幅広い分野で使われている代表的なCADソフトです。設計や製図の効率化に大きく貢献する一方で、ライセンスの使い方を誤ると法的リスクや会社の信用低下につながる可能性があります。
特に、「複数のパソコンにインストールしたい」「複数人で使い回したい」といった場合は、契約内容や運用ルールを正しく理解していないと、意図せずライセンス違反になってしまうことがあります。

本記事では、AutoCADライセンスを複数台で利用する際の正しいルールや注意点をわかりやすく解説します。さらに、違反を防ぐためのライセンス管理方法や、実務で活用できる運用の工夫も紹介します。専門用語はできるだけかみ砕き、中学生でも理解できる内容にしています。

1.1. AutoCADライセンスの基本とは?

AutoCADを使うには、正規の「ライセンス(使用許可)」が必要です。Autodeskが提供するライセンス形態の中心はユーザーベース(指名ユーザー)ライセンスです。
これは、特定のユーザーが自分のAutodeskアカウントでサインインすることで、ソフトを利用できる仕組みです。アカウントの共有やパスワードの使い回しは契約違反となり、厳しく取り締まられることがあります。

現在の主流はサブスクリプション型ライセンスで、契約期間中は常に最新の機能やセキュリティ更新を利用できます。ほかにも、シングルユーザーライセンスやネットワークライセンス(マルチユーザーライセンス)といった形態がありますが、それぞれルールや運用方法が異なります。契約前・運用前に内容をしっかり確認しておくことが大切です。

1.2. この記事の目的と読者へのメリット

本記事は、中小企業のIT担当者や設計部門の管理者など、AutoCADを複数台利用したいと考えている方を主な対象としています。この記事を読むことで、次のようなメリットがあります。

  • ライセンス契約のルールを正しく理解し、法的リスクを回避できる
  • 社内のライセンス運用を改善し、コンプライアンス意識を高められる
  • ライセンスコストの最適化や管理効率化のヒントを得られる

また、実際の管理方法やトラブル防止策も具体的に紹介しますので、読後すぐに自社のライセンス運用改善に役立てられます。結果として、業務効率化と法令遵守の両立が可能になります。

2. AutoCADライセンスの種類と特徴

AutoCADにはいくつかのライセンス形態があり、利用できる環境や管理方法、同時使用の可否などに違いがあります。
代表的な形態としては、シングルユーザーライセンス、ネットワークライセンス(マルチユーザーライセンス)、そして主流となっているサブスクリプションライセンスがあります。

これらのライセンスは、契約書や利用規約に基づいて正しく運用する必要があります。契約内容を誤解したまま複数台にインストール・利用すると、ライセンス違反になる可能性があるため注意が必要です。ここからは、それぞれのライセンスの特徴と運用方法を詳しく解説します。

2.1. シングルユーザーライセンスの概要

シングルユーザーライセンスは、特定の1人のユーザーに紐づくライセンス形態です。利用者は、自分のAutodeskアカウントでサインインすることで、契約対象ソフトを使用できます。
このライセンスは同一人物であれば複数台のPCにインストール可能ですが、同時に複数の端末で利用することは禁止されています。たとえば、オフィスのデスクトップPCと自宅のノートPCにインストールし、用途に応じて使い分けることはできますが、同時稼働はできません。

この仕組みは、テレワークや外出先での作業など、柔軟なワークスタイルに対応できるメリットがあります。ただし、別の社員とアカウントを共有したり、複数人が同時に使ったりすると、契約違反となるため厳重な管理が必要です。

2.2. ネットワークライセンスとその運用

ネットワークライセンス(マルチユーザーライセンス)は、複数ユーザーが同時に利用できる上限数をライセンスサーバーで管理する仕組みです。
社内ネットワーク上にライセンスサーバーを設置し、そこから利用者が「ライセンスを借りる」形でAutoCADを起動します。上限数までは複数人で同時利用できますが、枠を超えると新たなユーザーは起動できません。

この形態は、多くのユーザーが断続的に利用する環境に適しています。例えば設計部門全員が常にAutoCADを使うわけではない企業では、必要なときだけライセンスを借りて使えるため、コスト効率が高まります。
ただし、ライセンス枠を超える利用が続くと作業の遅延やエラー発生につながるため、使用状況の監視や利用ルールの策定が欠かせません。

2.3. サブスクリプションライセンスのメリット

サブスクリプションライセンスは、契約期間中に常に最新バージョンを利用できるのが最大の特徴です。新機能の追加やセキュリティアップデートが随時提供されるため、常に最新の作業環境を維持できます。
契約は月単位や年単位で行われ、必要に応じて契約期間やライセンス数を調整できるため、導入コストや運用の柔軟性も高いです。

さらに、Autodesk Flexのような従量課金型サービスもあり、利用頻度が低いユーザーにはコスト削減効果が期待できます。
契約終了後はソフトを利用できなくなりますが、Autodeskアカウント上でライセンスを一元管理できるため、資産管理や利用状況の把握が容易という利点もあります。

3. 複数台でのAutoCAD利用ルール

AutoCADを複数台のPCで使いたい場合は、契約書や利用規約の内容を正しく理解することが必須です。
ライセンスによっては複数台へのインストールが認められていますが、同時使用の可否や利用条件には厳しい制約があります。特に、同じアカウントを複数人で同時に使うことはほぼすべての契約で禁止されており、意図せず違反になるケースも少なくありません。

ここでは、複数台での利用に関する基本ルールと、許可される条件、そして違反時の影響について解説します。

3.1. インストール可能台数と同時使用の制限

現在のシングルユーザー(指名ユーザー)ライセンスでは、インストール台数に明確な上限はありません。これは2024年6月のAutodeskライセンスルール改定により、以前の「最大3台まで」という制限が撤廃されたためです。
そのため、同一人物が使う前提であれば、オフィス用PC、自宅用PC、ノートPCなど、複数台にインストールして利用できます。

ただし、同時に複数の端末で使用することは契約違反となります。例えば、オフィスのPCでAutoCADを起動しながら、自宅のPCでも同じアカウントで作業することはできません。
複数の端末を使い分ける場合は、使用が終わった端末からは必ずサインアウトしておくなど、同時稼働を防ぐ運用ルールを徹底しましょう。

3.2. 複数台利用の許可される条件

複数台利用が許可される主な条件は、以下の2つです。

  • 同時稼働しないこと
  • 同一人物による利用であること

例えば、在宅勤務時は自宅PC、出社時はオフィスPCというように、使用する場所や端末を切り替えるケースは問題ありません。
しかし、これを誤解して単一ユーザーライセンスを複数人で使い回すと、契約違反になります。
また、ネットワークライセンスやマルチユーザーライセンスのように、同時利用が一定数認められている形態でも、その枠を超える利用は違反です。

複数台利用を安全に行うためには、使用者と端末の紐づけを明確化し、利用状況をリアルタイムで把握できる管理体制を整えることが重要です。

3.3. 違反例とその影響

複数台利用に関する違反で多いのは、1つのライセンスを複数人が同時に使うケースです。
小規模な会社や部署では「少しの時間だけだから」とアカウントを貸し借りしてしまうことがあり、これが契約違反に該当します。

違反が発覚した場合、著作権侵害として警告や損害賠償請求を受ける可能性があります。さらに、ライセンス認証の強制停止やソフトの利用制限が発生し、業務が止まってしまうリスクもあります。
また、一度違反歴が付くと、将来的なライセンス更新や契約交渉で不利になることがあり、企業の信用低下にも直結します。

こうした事態を避けるためには、社内ルールの明文化と徹底、そしてライセンス利用状況の継続的な監査が欠かせません。

4. 違反を防ぐための運用法

AutoCADライセンスの違反を防ぐには、日常的な管理体制の整備と従業員への意識付けが欠かせません。
単に契約条件を知っているだけでは不十分で、実際の運用で違反を防げる仕組みが必要です。社内ルールを定めても、それが現場で守られなければ意味がありません。
ここでは、違反防止のための具体的な運用方法を3つの観点から解説します。

4.1. ライセンス管理のベストプラクティス

ライセンスを安全に運用するためには、まず現状を正しく把握できる管理ツールの導入が効果的です。
ライセンス管理ソフトを活用すれば、どのPCにAutoCADがインストールされ、誰がどのくらい利用しているのかを一覧で確認できます。これにより、不要な端末での利用や、無断インストールを早期に発見できます。

また、Autodeskアカウントは管理者用と一般ユーザー用を分けて運用することをおすすめします。管理者がライセンスの配布や回収を一元管理すれば、誤った共有や利用権限の乱用を防ぎやすくなります。

さらに、利用頻度が低いユーザーにはAutodesk Flexのような従量課金型プランを導入すると、コストの最適化にもつながります。定期的に使用状況を確認し、ライセンス数やプランを見直すことも重要です。

4.2. 従業員への教育と意識向上

ライセンス違反は、多くの場合、意図的ではなく知識不足や思い込みから発生します。
例えば「少しの時間なら同時使用しても大丈夫」という誤解や、「アカウントを借りれば作業が早く終わる」といった安易な判断が、違反の原因になります。

これを防ぐには、定期的な研修や周知活動が効果的です。新入社員やAutoCADの新規利用者には、ライセンス契約の基本ルールをわかりやすく説明しましょう。
社内向けに簡潔なガイドラインや手順書を作成し、インストール方法やサインイン・サインアウトの流れを明文化しておくと、誤った使い方を防ぎやすくなります。

特に中小企業では、経験豊富な先輩社員の慣習が新人に引き継がれやすく、その中に誤った使い方が含まれてしまうことがあります。そうした「慣れ」の中のリスクを取り除くことが重要です。

4.3. ライセンス監査と更新の計画

ライセンスの適正利用を継続的に確保するためには、定期的な監査が不可欠です。
半年に1回、もしくは年度末などの節目に、導入しているライセンスの数と実際の使用状況を照合しましょう。使用されていないライセンスがあれば、解約や他のユーザーへの再割り当てを行い、コスト削減を図ります。

また、ライセンス監査ツールで自動チェックする仕組みを導入すれば、人手による確認よりも効率的に不正利用や無駄なライセンスを発見できます。
更新時期が近づいたら、利用状況を踏まえて契約内容を見直し、必要に応じて追加ライセンスの取得やプランの変更を行いましょう。

ライセンス環境を常に最新かつ最適な状態に保つことは、法的リスクを避けるだけでなく、業務効率の維持にも直結します。運用ルールと監査を組み合わせることで、違反の芽を事前に摘み取ることができます。

5. トラブルシューティングとサポート

どれだけ注意深くライセンスを管理していても、システムエラーやアカウント関連のトラブルは発生する可能性があります。
特にAutoCADのライセンスは、クラウド認証やネットワーク環境に依存しているため、思わぬ原因で利用できなくなることがあります。こうした場合、迅速かつ的確に対処できる体制を整えておくことが重要です。

ここでは、よくあるライセンス関連の問題とその解決策、さらに必要に応じてAutodesk公式サポートへ連絡する方法について解説します。

5.1. 一般的なライセンス問題とその解決策

AutoCADで発生しやすいライセンス関連のトラブルには、以下のようなものがあります。

  • ライセンス認証エラーが出て起動できない
  • サインイン状態が正しく反映されない
  • 同時使用禁止のルールに抵触し、利用制限がかかる
  • インターネット接続不良による認証失敗

これらの多くは、アカウントのサインイン・サインアウト操作や接続環境の見直しで解決できます。
例えば、利用していない端末でAutoCADがサインイン状態のままになっている場合、別の端末での使用がブロックされることがあります。この場合は、不要な端末から必ずサインアウトしましょう。

また、ウイルス対策ソフトやファイアウォールがライセンス認証通信を遮断しているケースもあります。その場合は、設定を一時的に緩和するか、必要な通信ポートを許可設定します。
これらの基本対処を行っても改善しない場合は、契約形態や運用ルールに問題がないか確認し、必要に応じて社内IT担当者やライセンス管理者に相談してください。

5.2. Autodeskサポートへの連絡方法

問題が解決しない場合は、Autodesk公式サポートの利用が最も確実な手段です。
サブスクリプション契約中であれば、契約期間内に基本的なサポートを受けることができます。

サポート依頼の流れは以下の通りです。

  1. Autodeskアカウントにログイン
  2. サポートメニューから「新しいケースを作成」を選択
  3. トラブルの詳細(エラーメッセージ、発生状況、試した解決策など)を入力
  4. 必要に応じてスクリーンショットやログを添付
  5. 送信後、サポート担当者からの回答を待つ

サポートからの返信はメールやポータル上で届きます。案内された手順を試し、解決しない場合は再度詳細を補足して返信します。
また、やり取りの中で契約条件や運用方法に不備があると指摘された場合は、早急に社内で周知し、ライセンス管理体制の見直しや監査を実施しましょう。

この流れであれば、トラブル発生時に慌てることなく、社内対応と外部サポートの切り替えがスムーズに行えます。

6. まとめ

ここまで、AutoCADライセンスを複数台で利用する際の正しいルールや注意点、そして違反を防ぐための管理方法について解説してきました。
複数台へのインストールや利用は便利ですが、契約条件を正しく理解しないまま運用してしまうと、ライセンス違反・業務停止・企業の信用低下といった深刻なリスクを招く恐れがあります。

しかし、適切なルールを守り、社内に定着させれば、法令遵守と業務効率化を同時に実現することが可能です。ライセンスの正しい運用は、単なるソフト利用の話ではなく、企業全体のコンプライアンスと信頼性を支える基盤とも言えます。

6.1. 適切なライセンス管理の重要性

AutoCADのライセンス契約では、多くの場合「同時使用をしない限り、同一ユーザーが複数環境で利用できる」ことが認められています。
しかし、このルールを誤解し、アカウントの貸し借りや複数人での同時使用を行うと、契約違反となり、場合によっては著作権侵害の対象になることもあります。

適切なライセンス管理は、企業の信用を守り、法的リスクを回避するための第一歩です。さらに、利用状況を正確に把握することで、不要なライセンスを減らし、コスト削減にもつながります。
特に利用者や端末が多い企業ほど、監査や管理ツールの活用が不可欠です。

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<参考文献>

使用規約 | 一般規約 | Autodesk

https://www.autodesk.com/company/terms-of-use/jp/general-terms

概要 | AutoCAD | Autodesk

https://www.autodesk.co.jp/support/technical/product/autocad

サブスクリプション シングルユーザーライセンス製品のインストール方法

https://www.autodesk.com/jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/kA93g0000000T0m.html

Autodesk Flex | 従量課金制 | 使った分だけお支払い

https://www.autodesk.com/jp/buying/flex

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