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ソニーのロボティクス技術を活用したドローン「AirPeak」の可能性

海外では様々なメーカーがドローンを発表し、様々な企業や分野への導入が進む中、日本の企業も積極的なドローン開発を進めています。

中でも日本のものづくりの第一人者であるソニーは、この度プロフェッショナルに特化した空撮ドローン「AirPeak」を発表し、大きな注目を集めています。AirPeakの魅力はどのようなところにあるのか、要点をまとめました。

目次:
①ソニー「AirPeak」の概要
②プロ向けのドローンとしての強み
③AirPeakが持つ空撮以外の可能性

ソニー「AirPeak」の概要

ソニーのAirPeakは、2021年1月に発表された最新のドローンで、同年春のリリースを予定しているプロダクトです*1。家庭用ではなく、プロの現場における撮影機材としての運用を想定しており、高いパフォーマンスの発揮が期待されています。

プロフェッショナル映像制作向けのドローン

従来のドローンにおける空撮能力は、GoProなどのアクションカメラや、小型のカメラの搭載に限定されてきました。しかし今回のAirPeakの場合、一般的なサイズのドローンでありながら、フルサイズの一眼カメラも搭載できます。

フルサイズのカメラを搭載できるとなれば、これまでドローンの課題とされてきた撮影能力の低さは大きく払拭されます。ダイナミックな角度から撮影できるだけでなく、美麗な描画力も確保したことで、シネマティックな撮影ニーズにも確実に答えてくれるでしょう。

AirPeakの発売にあたっては、ソニーが独自に開発を進めている電気自動車「VISION-S」の公道走行試験映像の撮影に同ドローンが使われていることも発表されました*2。高速で走行する自動車の撮影を、一眼カメラで難なく実施しているだけでなく、ドローンならではの疾走感と臨場感を伝えられる映像に仕上げており、そのポテンシャルの高さが映像からうかがえます。

独自開発の「回るもの」

AirPeakの開発にあたり、ソニーが特にアピールしているのが「回るもの」の独自開発技術です。もともと精度の高いものづくりが特徴のソニーですが、今回AirPeakに採用しているのは、独自のモーターです。ドローンに関心の強い技術者が集って生み出されたモーターは、クアッドコプターを備えるドローンを駆動させるパワーはもちろん、制御に対して機敏に反応できる対応力も備えます。

単なる馬力の大きさだけではなく、強風時にも本体のバランスを失わない制御能力の高さは、あらゆるシチュエーションでのドローン活用の可能性を押し広げてくれます。独自設計のプロペラと相まって、推進力と安定性の両方の向上に役立ちます。

プロ向けのドローンとしての強み

プロ向けのドローンとして開発されたAirPeakですが、多くのポテンシャルが垣間見える期待のモデルであることは間違いありません。

ミラーレス一眼カメラの「α」シリーズを搭載可能

AirPeakの強みは、フルサイズの一眼カメラを搭載できるという点です。今回の発表では同社のミラーレス一眼である「α」シリーズが搭載されていましたが、インタビューでは別会社のフルサイズ一眼の搭載が可能であることもほのめかしています*3。

フルサイズの一眼レフは非常に重量があり、これらを制御することは生半可な技術ではありません。従来のドローンも一眼レフを搭載することは可能でしたが、あくまでも「積載可能」なだけにとどまり、完璧な撮影ができるような制御能力はありませんでした。そのため、ドローンを用いた撮影には専用のカメラや、アクションカメラのような小型カメラを用意する必要があったのです。

しかしAirPeakであれば、手持ちのカメラをそのままドローンに搭載し、撮影を敢行可能です。カメラの分の費用がかからなくなるため、安価なドローン導入のきっかけにもつながるでしょう。

目視外の自律飛行も視野に

また、AirPeakは現状目視によるリモコン操作を前提としていますが、将来的には目視外での自律走行も検討が進んでいます。人の目が及ばない場所での飛行が可能になれば、人命救助や測量、点検など、さらに運用可能な現場の事例は増えることが期待されます。現在は許諾の都合上、目視での運用に限定されていますが、許可が得られ次第、すぐにでも自律走行のアップデート対応が行われるでしょう。

実際、AirPeakの開発にはVISION-Sと同じAIロボティクスの開発チームが携わっており、自律飛行をアシストするAI制御機能は非常に高いレベルで行われると考えられます。周囲の状況を自動的に判断し、行動できる制御能力の高さは、自動運転技術に近しいパフォーマンスを発揮できるでしょう。今後同モデルが大量生産可能になれば、国内のドローン需要はこれ一台で賄えるほどのポテンシャルを備えています。

AirPeakが持つ空撮以外の可能性

AirPeakはプロの空撮を実現するために開発されたモデルですが、この技術は空撮ドローン以外にも、様々な用途への転用が期待されています。

測量・点検のマーケットへ参入

例えば、AirPeakの撮影能力と制御能力の高さを生かし、測量や点検の市場へ参入することは十分に考えられます。これらの業務には単なるカメラではなく、一眼カメラ並みに高精度なセンサーとレンズを備えた機器を導入する必要がありますが、AirPeakならこれらの業務も難なく引き継げます。

また、物流においても重量のある荷物を問題なく制御し輸送できるため、事故のリスクを大幅に低減できます。大型の荷物を単に運ぶだけでなく、ダメージを最小限に抑え、落下事故の防止に努められることが重要ですが、AirPeakの技術なら可能です。

別デザインへの転用可能性も高い

AirPeakは撮影用としてクアッドコプターとカメラ搭載能力を備えていますが、現在とは全く異なる形状での運用も可能とされています*4。例えば本体重量とプロペラの数を減らし、大量導入を可能にしたモデルの登場です。

パワーこそ本家に劣るものの、高い制御能力を生かし、海岸線の監視のように大量の導入が必要な場面に活用するなどが想定されます。あるいはさらなる小型化やスケールダウンによって家庭用ドローンを普及し、ドローンの文化的な普及に貢献することもできます。

海外のメーカーに頼ることなく、国産でドローンを賄えるようになれば、国防における自衛能力の向上にもつながるかもしれません。

おわりに

ソニーが開発を続ける国産ドローンのパフォーマンスは、世界でもトップクラスに達しています。今後製品化と普及が進めば、さらなるドローンの多様化にも期待ができるでしょう。

 

 

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参考:
*1 価格.comマガジン「ソニーがドローン「Airpeak」発表。「α」シリーズを搭載可能」
https://kakakumag.com/camera/?id=16438
*2 BUSINESS INSIDER「ソニーのプロ撮影ドローン「Airpeak」が生まれた理由…開発責任者が語る「すべては、迫力ある映像のために」【CES2021】」
https://www.businessinsider.jp/post-227974
*3 上に同じ
*4 上に同じ

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