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清水建設がシミズ・ドリームで描く未来都市の概要

国内最大手の建設会社である清水建設では、「シミズ・ドリーム」と呼ばれる未来構想を公開し、そのビジョンの先見性の高さから注目を集めています。
陸と海、そして宇宙に至る清水建設の未来構想の内容について、ご紹介していきます。

目次:
①深海未来都市構想 “OCEAN SPIRAL”

②環境アイランド “GREEN FLOAT”

③宇宙にも広がる「シミズ・ドリーム」の世界

深海未来都市構想

 “OCEAN SPIRAL”
清水建設が目指す未来都市構想の目的地の一つが、海です。
それも海面だけにとどまらず、深海にも構造物を建造することで、地球の未来につながる都市の構築を目指しています。

清水建設が深海を目指す理由

深海は人間にとって「地球上の最後のフロンティア」とも呼ばれる、未知の領域です。
宇宙と同じくらいに広く、そして未解明のことも多い深海ですが、清水建設は海面と深海をつなぐプロジェクトを掲げています。
清水建設が深海を目指す理由としては、食糧、エネルギー、水、CO2、資源という5つのポテンシャルを備えていることが挙げられます*1。

世界的な人口爆発により、世界は食糧危機や水不足、環境破壊によるエコシステムの崩壊が懸念されています。
そこで深海という無限の生態系の質と量のポテンシャル、そして水温と栄養に可能性を見出すことで、高級魚の養殖などによる漁業の再生が可能とされています。
エネルギー分野における懸念も食糧危機と同様、地上での電力不足などに応えられるポテンシャルが期待されています。
深海に眠る未利用のエネルギーや、温度差を活用した新たな発電システムを構築し、都市への供給が想定されています。

CO2は温暖化を促進するガスとして考えられていますが、深海の二酸化炭素処理能力は無限とも言われています。
CO2排出を減らすのではなく、深海を利用してエネルギー生産などの新たな活用法を見出すことにも期待できます。
資源を採掘するだけでなく、新たに育てることもできる深海の可能性を省みると、新たに都市を建設するに足るポテンシャルを備えていることがわかります。

海面と海底の垂直統合を試みる

深海に都市を建設するにあたり、清水建設が構想しているのが、海面と海底の垂直統合です*2。
“BLUE GARDEN”と名付けられた、直径500メートルにもなる球体を海中に沈めることで、地上都市のような温度変化や自然災害のない都市を開発するプランです。
この球体の中に都市圏を構築し、そのさらに下、500メートル以下から海底2500メートルまではゴンドラが繋がっています。
ここで浮力の制御やエネルギー発電、研究活動などが行えるよう設計されているのです。

深海のポテンシャルを活用して人々が生活し、新たなライフスタイルやビジネスの形成に必要なすべての要素を集約することで、地上の資源に頼らない世界を構築可能です。
目下の課題としては、球体で水圧を受け止める強度、錆びない樹脂配筋、リサイクル材の活用などが挙げられています。
しかしどれも十分に実現可能な課題となっており、近い将来この構想が現実のものとなる可能性はあるでしょう。

環境アイランド “GREEN FLOAT”

深海のみならず、清水建設では地上における新しい都市構想も提案しています。
“GREEN FLOAT”と名付けられたこのプロジェクトでは、「植物質な都市」をコンセプトに掲げ、新しい課題解決のあり方を提供します*3。

植物質な都市がもたらすイノベーション

清水建設の提唱する植物質な都市とは、すなわち自然のエコシステムに抗わない都市のあり方です。
CO2ゼロどころか、カーボンマイナスを実現し、食物廃棄ゼロで完全自給自足可能、そして100%再生可能エネルギーの活用で、地球への負担ゼロを目指します。

また、地上とはいえ陸地での都市の建造に拘らず、赤道直下の海上のような新たな生活圏に可能性を見出すことで、陸に囚われない海上都市の実現も構想に取り入れます。
海面の上昇によって沈みゆく島々や大陸が生まれつつある中、地震や津波の影響も受けず、安全に暮らせる都市の構築を目指しています。

清水建設がそんな「環境アイランド」の候補地として赤道直下を選んだのは、一つに太陽の恵みを十分に得られる場所であるためです。
台風の影響も少なく、植物の育成に最適な環境を構築することで、豊かな生態系を確保し、人間の生活に応用します。

GREEN FLOAT実現に向けた技術

最大で3万人が暮らせるというこの環境アイランド構想ですが、それを下支えする技術が海水から造る構造材料、マグネシウム合金です。
海水に含まれるマグネシウムから合金を生成することにより、陸上の資源に頼る必要はないばかりか、海から無限に生成することができるため、枯渇の心配はありません。
また、多くの人間が暮らしても問題がないような強度を実現するため、人工地盤としてハニカム接合構造を活用します。

航空宇宙分野でも活用されるこの技術を使って、強度と軽量性を共に実現しながら海上に人が住める陸上を形成するというわけです。

宇宙にも広がる「シミズ・ドリーム」の世界

清水建設がシミズ・ドリームで掲げる未来都市の可能性は、地球上にとどまりません。宇宙における人間の活躍を促す施設の提唱で、新しい人類の生活様式を模索していきます。

月太陽光発電 “LUNA RING”

月面で太陽光発電を行う “LUNA RING”構想は、地球のエネルギー問題を大きく解決に向けて前進させる可能性を秘めています。
月の赤道上に太陽電池を敷き詰め、地球を向いている方面からマイクロ波レーザー光線を放ち、エネルギーを伝送する手法です*4。

月に発電機、地球にエネルギー変換装置を設置する様子は、さながら送電線と発電所の関係を彷彿とさせますが、無線で送電を行うという技術力の高さには脱帽です。

宇宙ホテル

人類の宇宙進出が当たり前となった世界では、人々が自由に宇宙で滞在できる施設も必要になるでしょう。
清水建設が提唱する宇宙ホテル構想は、宇宙産業が当たり前となった時代のコンセプトとして提唱されています*5。
展開型の太陽光パネルを備え、エネルギーの確保はもちろんのこと、モジュール化された客室を104室も搭載し、遠心力で重力を形成。
地球と同じように客室では過ごすことができます。

大勢に開かれたパブリックフロアでは、自由に宇宙遊泳を楽しめるだけでなく、エンターテイメントから食事まで、地上と同様のサービスはもちろんのこと、宇宙環境ならではの体験も得られます。

月面基地

宇宙開発の拠点として、多くの国や企業から注目されているのが月面です。
清水建設もまた人類の宇宙開発の一歩として月面基地の開発を提唱しており、重要なインフラとして機能することを期待しています*6。

清水建設では、これまでも宇宙環境で活用できるコンクリートの研究や、構造物の開発をプロジェクトとして進めてきました。
月面基地では地球から運搬した資源だけでなく、月にある資源を利用して新たな部材の精製や建造物の建設を研究し、地球から持ち込めないような重量のある材料の代替研究を進めていくとしています。

おわりに

シミズ・ドリームの中で提唱されているプロジェクトは、いずれも夢に溢れており、多くの若者や研究者、そして清水建設社員を勇気付けるプランです。
これらがいつ実現するかはわかりませんが、その日が来ることを夢見て、清水建設は日夜新しいプロジェクトに取り組んでいるという姿勢がうかがえます。

 

 

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出典:
*1 清水建設「深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL」
https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content01/
*2 上に同じ
*3 清水建設「環境アイランド GREEN FLOAT」
https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content03/
*4 清水建設「月太陽発電 LUNA RING」
https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content02/
*5 清水建設「宇宙ホテル」
https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content04/
*6 清水建設「月面基地」
https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content05/

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