受託開発をやっていたIT企業が、「自社製品」を出すときに乗り越えなければいけない壁とは。
受託開発をやっていた企業が、「自社製品を作りたいんだよね」とアプリ開発やウェブサービスを始めることが散見される。
受託開発はある程度まで人員数=売上となるため、売上を大きく伸ばすことが難しい。
なぜなら、景気が良くて人材確保が難しい時ほど仕事が多く、景気が悪くて人材確保が簡単なときには仕事は少ない、という矛盾をはらんでいるからだ。
そこで、多くのIT企業が考えることが「自社製品」である。
(売れる)自社製品を創ることができれば、通常売上の伸びよりも人員の伸びのほうが少なくて済む。収益性をかなり高めることができるのである。
一昔前は「パッケージソフト」を作りたい、という企業が多かったが、現在はアプリとWeb Servicesである。
しかし、昔も今もこれに成功した会社はとてつもなく少ない。一体なぜなのだろうか。
実際、自社製品を売れるものにするためには、いくつかの超えなければならないハードルがある。そのハードルを超えるのは、言うほど簡単なことではない。
そのハードルとは、
1.マーケティング
2.営業活動
3.社内リソース
の3つである。具体的に説明しよう。
1.マーケティングのハードル
エンジニアが、同時にマーケティングにも造詣が深いことは殆ど無い。だが、Web Servicesやアプリの成否を決めるのは、殆どの場合技術力ではなく、マーケティング力である。
顧客に興味を持ってもらい、行動してもらうための仕掛け作り、マーケティング部門を設置し、専門家の協力を仰いで、どうにかこなせる、というレベルの難しい仕事である。
2.営業活動のレベル
Web Servicesやアプリも、ウェブ上だけの活動で売れるようになることはまずない。セミナーをやったり、プロモーション活動を外部で行ったり、イベントを開催したり、そういったリアルでの地道な努力なしには、自社製品が売れることはない。
3.社内リソースの問題
新しい事業は、100に一つ程度の成功率である。そして、その間おおくの受託開発企業は「兼任」で、新商品の立ち上げをやらせる。
兼任でもできなくはないが、やはり専任に比べてコミットの度合いは低くなるし、既存事業を重視する可能性が高まってしまう。すると、画期的なサービスは生まれにくい。
したがって、新規事業の立ち上げをやる人々を、いかに既存事業の人間から、リソースを奪おうとする人々から守るかが、大きな課題となる。
通常、社長直轄で行い、周りの声が届かないようにするのが良いが、なかなかそう行かないのも現状としてある。
自社商品は、会社を大きく成長させるためには避けて通れない道である。
うまく変身した会社もあるのだから、不可能なわけではない。頑張ってほしい。