LoRaセンサーとは?LPWA方式の強みや他の通信規格との違いを解説
業務のDXに伴い、注目を集めている技術の一つがIoTです。高度なセンシング技術と通信技術の融合によって成立するIoTは、今や多様な業界で採用されるようになってきました。
そんな最先端のIoTを実現する上で、期待されているのがLoRaと呼ばれる通信規格を採用したセンサーです。この記事では、そんなLoRaセンサーとLPWA方式の関係、そして他の通信企画との違いなどに触れながら、LoRaセンサーのメリットについて解説します。
目次:
- LoRaとは
- LoRaセンサーについて
- LPWAとは
- LPWAの強み
- LoRaセンサーならではのメリット
- LoRaセンサーのデメリット・課題
- LoRaセンサーのIoT活用から期待できること
LoRaとは
LoRaとはLong Rangeの略称で、LPWA (Low Power Wide Area) と呼ばれる通信規格の一種として知られています。
アメリカのSEMTECH社が開発したことで知られるこの通信規格は、スペクトラム拡散変調と呼ばれる技術を採用し、長距離の通信を可能にしているのが特徴です。
他の無線通信技術では電波が届かない、あるいは微弱になってしまうような環境でも、LoRaであれば安定した通信を確保できる可能性があります。
LoRaセンサーについて
LoRaセンサーとは、その名の通りLoRa通信規格に対応したセンサーの総称です。
センサーといえば従来では現実世界の情報をデジタル化するための手段ですが、最近では幅広い通信規格に対応したモデルが重宝されています。
というのもIoT技術が広く普及したことで、各種センシング技術の開発と現場への導入需要が急激に高まっているためです。
LoRaセンサーは中でも安定したセンシングを広範囲で運用しやすいことから、IoT時代を支える中核技術としての運用に注目が集まっています。
LPWAとは
LPWAは、LoRaを含む低速での通信でありながら、低電力かつ遠距離の通信を可能とする通信技術の総称です。
LPWAは特定の技術を指す言葉ではなく、LoRaを含め様々なアプローチで低電力・遠距離通信を可能としているものが含まれます。
ここでいう低速通信とは、通信速度が100kbpsの物を指します。基本的に通信速度は早ければ早いほど良いものですが、特段早さを必要としない分野においては、LPWAで賄うことも可能です。
LPWAにはLoRa以外にも、LTE-MやNB-IoT、ZETA、Sigfoxなど非常に多様で、無線通信技術の中核を担う存在となりつつあります。
LPWAの強み
LPWAは他の無線通信技術と比べて低速通信であるため、5Gのような高速回線の実現による恩恵を受けることは難しい技術です。
ただLPWAの最大のメリットは、電力の消費が小さく、それでいて長距離の通信が可能なことにあります。
一般的なスマホであれば、新品の製品でも2〜3日の連続使用が限界で、すぐにバッテリーの充電が必要です。これは高速回線を使用する上で多くのエネルギーを使用していることも背景にあり、頻繁な充電を前提とした使用が求められます。
一方のLPWAを採用したデバイスなら、単三電池2本さえあれば1年間取り替えをしなくとも運用ができるような節電の仕組みを作ることができます。
ソーラーパネル搭載のバッテリーを採用すれば、たとえ発電量が小さくとも半永久的に充電不要で動かし続けることもできるでしょう。
また、LPWAは他の通信手段と比べて遠距離の通信を安定して確保しやすいというメリットもあります。
具体的な通信距離は使用環境やデバイスにもよりますが、数kmから100kmまで、基地局を介さずとも通信できる可能性を秘めており、様々な使い方が検討で決まるでしょう。
LoRaセンサーならではのメリット
このようなLPWAの強みを踏まえつつ、独自のメリットを有しているのがLoRaセンサーです。
LoRaセンサーならではの強みは、メーカー間の互換性に優れ、相互運用が行いやすいという点が挙げられます。
上でも紹介した通り、LPWAには様々な通信規格があるものの、その全てが相互に運用できるとは限りません。
一方でLoRaはLPWAの中でも共通性に優れている規格であり、LoRa Allianceと呼ばれる世界で500社以上が加盟しているフォーマットです*1。
このようなオープンな環境を生かして、LoRaセンサーは多様なデバイスと自由に相互運用し、強力なネットワークを世界中に張り巡らせることができます。
またLoRaセンサーに用いるゲートウェイの確立に際しては、特定小電力無線局として扱われるため、無線局免許の取得が必要ありません。
無資格で利用でき、それでいて利便性に優れた無線技術はまだ限られているため、LoRaはその点でもオープンな技術であると言えるでしょう。
LoRaセンサーのデメリット・課題
ただLoRaセンサーの利用に際してはデメリットも残ります。
まず、LoRaを含めたLPWAは低速通信であるため、動画や画像といった大きなファイルを扱う通信に使用することは現実的ではありません。単純な数字や文字情報を送信するに止まるので、大規模データ通信には5Gなどの併用が求められます。
また、LoRaセンサーは技術的には開かれたテクノロジーということができますが、本格的な運用を自主的に行う場合、まとまった設備投資が求められる点も気をつける必要があるでしょう。
日本全国にLoRaネットワークを張り巡らせるためにはそのための基地局設置コストがかかるため、結局使用できるシーンは限定的です。
今後LoRaセンサーが広く普及することになればその限りではありませんが、現状では本格的な技術の定着までにもう少し時間がかかります。
LoRaセンサーのIoT活用から期待できること
とはいえ、LoRaセンサーの普及はIoT活用の面から見れば多くの可能性を秘めていると言えます。
LoRaセンサーを使ったIoTネットワークを構築できれば、人里離れた場所での情報収集をメンテナンスコストを最小限に抑えて実施できるため、多くの領域で多大な効果を発揮します。
山間部の雪崩や土砂崩れを事前に検知できるシステムを低コストで確立したり、全国にIoTデバイスを設置し、より正確な天気予測を実施できたりします。
また、物流拠点や道路交通にセンサーを設置して、その情報を元に渋滞情報の把握や運行状況の把握に役立てられるでしょう。
IoTをより便利に、身近に利用するための重要性を秘めているのがLoRaセンサーです。
まとめ
この記事では、LoRaセンサーとは何かについて、LPWAのポテンシャルを解説しながら紹介しました。
IoTの活用はまだはじまったばかりですが、それに役立つ通信技術は国内でも次々と確立されつつあります。
実用化にあたって課題もあるLoRaですが、IoTが今以上に普及すれば、現実的なネットワーク構築手段として身近に普及する将来性もあると言えそうです。
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出典:
*1 マスプロ電工「LPWA(LoRa®ソリューション)」