AutoCADのPDF変換はどれが最適?おすすめツール&アドオン徹底比較!
はじめに
AutoCADを使う設計者にとって、PDF変換は日常的な業務のひとつです。図面をクライアントや同僚と共有したり、印刷用データとして保存したり、アーカイブとして長期保管したりと、その用途は多岐にわたります。しかし、AutoCADの標準機能だけでは、すべてのニーズを満たせないことも少なくありません。例えば、変換後のPDFで線の解像度が低くなる、レイヤー情報が保持されない、フォントが正しく表示されないといった問題が発生することがあります。特に、精密な設計図面を扱う場合、こうした変換精度の低さが業務に支障をきたすこともあります。
こうした課題を解決するために、多くのユーザーが外部ツールやアドオンを活用しています。高精度な変換が可能なツールを使えば、レイヤー情報を保持したままPDF化できたり、細かな線のズレを防いだりすることができます。用途や業務フローに応じて適切なツールを選べば、変換作業の効率を向上させるだけでなく、設計品質の維持にもつながります。
本記事では、AutoCADのPDF変換について、標準機能と外部ツールの違いを詳しく解説し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。さらに、用途別におすすめのツールを紹介し、最適な選択ができるようサポートします。AutoCADのPDF変換をよりスムーズにし、業務効率を向上させるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
AutoCAD標準機能でのPDF変換
AutoCADには標準でPDF変換機能が搭載されており、追加のツールを導入しなくても図面をPDF形式で出力できます。この機能は「印刷」機能を利用して実行され、手軽に変換できるのが特徴です。しかし、設定次第では期待通りの品質にならないこともあるため、適切な手順や調整が重要になります。本章では、標準機能でのPDF変換の方法と、設定のポイント、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
AutoCADの基本的なPDF変換の手順
AutoCADでPDFに変換するには、「印刷」機能を使用します。以下の手順で、PDFを作成できます。
引用:Autodesk:https://help.autodesk.com/view/ACD/2025/JPN/?guid=GUID-264D3513-0D22-4461-82D6-14F391BC5CDE
- 変換したい図面を開く
PDFに変換したいDWGファイルをAutoCADで開きます。 - 印刷メニューを開く
メニューバーの「ファイル」から「印刷」を選択するか、ショートカットキーCtrl + P
を押します。 - プリンターの設定を変更する
印刷ダイアログで「プリンター/プロッター」の選択肢から 「DWG To PDF.pc3」 を選びます。この設定により、PDF出力が可能になります。 - 用紙サイズや範囲を設定する
必要に応じて用紙サイズ(A4、A3など)や印刷範囲(「表示範囲」「ウィンドウ指定」など)を設定します。図面のサイズに適した設定を選ばないと、縮尺が合わず正しく出力されないことがあるため注意が必要です。 - プロパティで詳細設定を調整する
「プロパティ」ボタンを押すと、PDFの解像度や品質を詳細に設定できます。解像度(DPI)は通常200~300DPIが標準ですが、細かい図面の場合は600DPI以上が推奨されます。ベクトル品質やラスター品質も高く設定すると、より鮮明な出力が可能です。また、線の太さやカラー設定を適切に調整することで、図面の視認性を向上させることができます。 - レイヤー情報の保持を設定する
デフォルトでは、PDFに変換するとレイヤー情報が失われる設定になっています。レイヤー情報を保持するには、「印刷設定」→「カスタムプロパティ」→「レイヤー情報を含める」にチェックを入れる必要があります。 - フォント情報を保持するための設定を行う
AutoCADのSHXフォントはPDF変換時にベクトル化され、文字化けや意図しない表示になることがあります。フォントを適切に保持するには、「SHXテキストをコメントとして埋め込む」オプションを有効にすることで、PDF内にテキスト情報をコメントとして記録できます。 - PDFを出力する
設定を確認したら「OK」をクリックし、保存場所を指定すればPDFが生成されます。
標準機能を使えば、追加のソフトウェアなしでPDF変換が可能ですが、AutoCADのバージョンや設定によっては期待した結果にならない場合があります。次に、この機能のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
AutoCAD標準機能のメリットとデメリット
AutoCADの標準PDF変換機能は、手軽さや互換性の面で大きなメリットがあります。一方で、いくつかの制限もあるため、用途に応じて注意が必要です。
標準機能のメリット
- 追加ツールが不要で手軽に使える
AutoCADに標準搭載されているため、追加のインストールなしにすぐ利用できます。また、AutoCADのライセンスを持っていない場合でも、無料の「DWG TrueView」を使えば、同様の方法でPDFを作成できます。 - 印刷機能の延長として使えるため、操作が簡単
通常の印刷機能を活用するため、特別な知識がなくてもスムーズにPDF変換ができます。レイアウトごとに印刷設定を保存できるため、業務フローに組み込みやすい点もメリットです。 - ファイルサイズの最適化が可能
解像度や品質の調整によって、用途に応じた最適なファイルサイズでPDFを出力できます。特に、メール添付やクラウド共有を前提とする場合、ファイルサイズを抑えることで利便性が向上します。
標準機能のデメリット
- レイヤー情報の保持がデフォルトではオフになっている
設定を変更しないと、変換後のPDFでレイヤーが統合され、個別のレイヤー編集ができなくなります。必要に応じて、レイヤー情報を保持する設定を手動で有効にすることが求められます。 - 解像度の調整に限界がある
AutoCADの標準機能では、DPIやラスター品質の調整は可能ですが、高精細な図面には限界があります。より細かい線や小さな文字を正確に出力するには、DPIを600以上にするか、より高性能な外部ツールを使用する必要があります。 - SHXフォントはデフォルトではベクトル化され、埋め込むことができない
SHXフォントは、PDF変換時にベクトル図形として出力されるため、テキスト情報としての再利用ができません。「SHXテキストをコメントとして埋め込む」オプションを有効にすることで、テキスト情報をPDF内のコメントとして記録することは可能です。
標準機能が適している場面
AutoCADの標準機能は、基本的なPDF変換には十分な性能を備えています。特に、次のような場面では標準機能でも十分に対応可能です。
- 単純な図面をPDF化し、編集せずに閲覧・共有する場合
- 追加コストをかけたくない場合
- 高精度な変換が求められないシンプルな図面(簡単な寸法図やフローチャートなど)を扱う場合
- ファイルサイズを最適化したい場合(軽量なPDFを作成する必要があるとき)
一方で、次のような場合には標準機能では対応しきれない可能性があるため、外部ツールの利用を検討するとよいでしょう。
- PDFのレイヤー情報を保持して、後から編集したい場合
- 高解像度のPDFを作成する必要がある場合
- OCRを活用し、スキャンデータをCADデータとして再編集したい場合
- 文字フォントの完全な再現が必要な場合
次の章では、標準機能の限界を補うための外部ツールについて、詳しく比較していきます。
外部ツールの比較
AutoCADの標準機能でもPDF変換は可能ですが、レイヤー情報の保持や高精細な変換、フォントの完全再現など、一部の要件を満たすのが難しい場合があります。こうした課題を解決するために、多くのユーザーが外部ツールやアドオンを活用しています。
外部ツールを導入することで、変換の精度や利便性が向上し、設計業務の効率化にもつながります。しかし、市場には多くのPDF変換ツールが存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。本章では、代表的なツールを有料ツールと無料オンラインツールに分類し、それぞれの機能やメリット・デメリットを比較しながら解説します。
有料ツール比較
AutoCADの標準機能では、基本的なPDF変換が可能ですが、より高度な変換が求められる場面では、専用のPDF作成ツールを活用すると精度が向上します。有料のツールを導入することで、レイヤー情報の保持、高解像度出力、フォントの正確な埋め込みなどが可能になり、設計業務の効率を向上させることができます。
ツール名 | 価格 | レイヤー 保持 | 高解像度 出力 | フォント 埋め込み | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
AutoDWG PDF Converter | 有料 | 〇 | 〇 | 〇 | AutoCADから高精度なPDFを 作成できるツール |
Bluebeam Revu Core | 有料 | 〇 | 〇 | 〇 | 建築・エンジニアリング向けに最適化された PDF編集ツール |
Adobe Acrobat Pro | サブスク | × (一部対応) | 〇 | 〇 | 一般的なPDF作成・編集に適し、 CAD図面にも対応 |
AutoDWG PDF Converter
引用:AutoDWG:https://www.autodwg.com/PDF/user_guide.html
- 概要: AutoCADの標準機能を補完し、より精度の高いPDF変換を実現するツール。
- 主な特徴
- レイヤー情報を保持したままPDFを作成可能
- SHXフォントの埋め込みや線種の調整が可能
- 高解像度PDFの最適化機能を搭載
- 適している用途
- 標準機能ではレイヤー情報が欠落してしまう場合
- 高解像度の設計図面をPDF化したい場合
Bluebeam Revu
引用:BLUEBEAM:https://www.bluebeam.com/jp/product/markups-and-data/
- 概要: 建築・エンジニアリング業界で広く使用される、PDF作成・編集ソフト。
- 主な特徴
- 高精度なPDF変換に加え、図面のマーキングや共同作業機能を搭載
- レイヤー情報の保持と、高解像度での出力に対応
- 施工現場や設計レビューのプロセスを円滑化
- 適している用途
- 建築・土木分野での設計図面のPDF変換
- チームでの設計レビューや共同編集が必要な場合
Adobe Acrobat Pro
引用:Adobe:https://www.adobe.com/jp/acrobat/acrobat-pro.html
- 概要: PDF作成・編集のスタンダードツール。AutoCADのPDF変換にも活用可能。
- 主な特徴
- フォントの埋め込みやテキスト編集機能を搭載
- PDFから直接注釈を追加し、チームでのレビューを効率化
- レイヤー情報の完全保持には対応していないが、一般的なCAD図面には十分な精度
- 適している用途
- 一般的な設計業務でのPDF作成・共有
- 施工者やクライアントとのやり取りに活用
標準機能で十分な場合
AutoCADの標準機能でも、基本的なPDF変換には十分対応できます。例えば、単純な図面をPDF化し、編集せずに閲覧・共有する場合は、外部ツールを使わなくても問題ありません。建築図面や簡単なフローチャートをクライアントや社内メンバーと共有する際には、AutoCADの標準機能で十分対応できます。
また、追加コストをかけたくない場合も、標準機能を活用するのが合理的です。フリーランスや小規模な設計事務所では、コストを抑えつつ基本的なPDF変換ができるため、有料ツールの導入を検討する前に、まず標準機能を試す価値があります。
さらに、高精度な変換が求められないシンプルな図面では、特別なソフトウェアを導入しなくても十分な品質のPDFを作成できます。例えば、機械部品の概要図や概略スケッチをPDFとして保存する場合、標準機能を使えば問題なく作業を進められます。
また、ファイルサイズを軽量化したい場合にも標準機能が役立ちます。大量のPDFを一括で保存するプロジェクトでは、クラウドやメールでの共有をスムーズにするために、解像度やDPI設定を調整することでファイルを軽量化できます。
標準機能を活用することで、基本的な業務要件を満たすことができます。ただし、レイヤー情報の保持や高精度な変換が必要な場合には、外部ツールを導入したほうが効率的です。
有料ツールを導入すべき場合
AutoCADの標準機能でもPDF変換は可能ですが、業務の精度や効率を向上させるためには、有料のPDF変換ツールの導入を検討する価値があります。特に、レイヤー情報を保持したPDFの作成、高精度な変換、フォントや線種の正確な再現が求められる場合には、専用ツールを使用することでより良い結果を得ることができます。
例えば、レイヤー情報を保持したい場合には、AutoDWG PDF Converterが有効です。AutoCADの標準機能ではレイヤーが統合される可能性がありますが、このツールを使用することで、レイヤー構造をそのまま保持し、後の編集作業をスムーズに進めることができます。
高精度なPDF変換が求められる場合には、Bluebeam Revuが適しており、施工管理や設計レビューの場面で活躍します。
さらに、フォントや線種の完全な再現が必要な場合には、Adobe Acrobat Proが最適です。フォント埋め込みやテキスト編集機能を備えており、設計データを正確にPDF化できるため、施工者やクライアントとのやり取りにも役立ちます。
このように、有料ツールを導入することで、AutoCADの標準機能では対応しきれない細かな設定が可能になり、設計業務の品質向上と効率化を実現できます。建築設計や精密機械設計では、状況によって標準機能の限界を超えた高品質な変換が求められるため、適切なツールを選択することが重要です。
どのツールを選ぶべきか?
AutoCADでPDFを作成する際には、用途や業務の要件に応じて適切なツールを選択することが重要です。基本的なPDF変換であれば、AutoCADの標準機能で十分ですが、より高度な変換が求められる場合には、専用のツールを活用することで業務の効率が大幅に向上します。
目的 | おすすめツール | 理由 |
---|---|---|
基本的なPDF変換 | AutoCAD標準機能 | 操作が簡単でコスト不要 |
レイヤー情報を保持 | AutoDWG PDF Converter | レイヤー構造を正確に再現 |
高精度な変換 | Bluebeam Revu | ベクターデータのズレを最小限に抑える |
フォントや線種の正確な再現 | Adobe Acrobat Pro | フォント埋め込みやテキスト編集が可能 |
例えば、レイヤー情報を保持しつつ正確なPDFを作成したい場合には、AutoDWG PDF Converterが最適です。このツールを使用することで、AutoCADのレイヤー情報を維持したままPDFを出力でき、後の編集作業を容易にすることができます。また、高精度な変換が求められる場合には、Bluebeam Revuが有力な選択肢となります。特に建築・エンジニアリング分野では、PDFのマーキングや共同作業機能が設計・施工プロセスの効率化に貢献します。一方、設計図面をクライアントや施工者とスムーズに共有したい場合には、Adobe Acrobat Proが有効です。このツールは、PDFのテキスト編集や注釈の追加が可能であり、設計の意図を正確に伝える手助けをします。
このように、目的に応じた適切なツールを選択することで、PDF変換の精度と利便性を向上させることができます。AutoCADの標準機能では対応しきれない細かなニーズに応じて、最適なソリューションを選びましょう。
AutoCADにおけるPDF変換作業のポイント
AutoCADのPDF変換は、単純な作業に見えますが、適切な設定や注意点を押さえておかないと、意図しない出力結果になってしまうことがあります。特に、解像度やフォント、線の太さなどの細かい調整を怠ると、変換後のPDFが見づらくなったり、情報が欠落したりすることがあります。
本章では、PDF変換の成功率を高めるために、事前設定の最適化・変換時の注意点・変換後の最適化の方法を詳しく解説します。
変換前のAutoCAD側の設定
AutoCADでPDF変換を行う際には、事前の設定が最も重要です。適切な設定を行うことで、変換後のPDFの品質を大幅に向上させることができます。
尺度の設定
PDF変換時に図面の縮尺が適切でないと、印刷時にサイズがずれてしまうことがあります。正しい尺度を設定することで、PDFを開いた際に正しい寸法で表示され、印刷時の調整も不要になります。
- 手順:
UNITS
コマンドを使用し、尺度が適切になっているか確認 - 推奨設定: 必要に応じて尺度を1:1に設定し、実寸で出力
線の太さと色の調整
AutoCADの線の太さや色は、PDF変換時に見え方が変わることがあるため、適切な設定が必要です。
- カラー設定
- モノクロで出力したい場合は、「プリントスタイルテーブル(CTB)」を「monochrome.ctb」に設定
- 色付きで出力したい場合は、適切なカラープロファイルを選択
- 線の太さの調整
- 細すぎる線はPDF化すると認識しづらくなるため、
PLOT
コマンドで適切な線幅を設定 - 推奨値: 最低0.13mm以上(印刷時の可読性を考慮)
フォント設定
AutoCADのフォントには「SHXフォント」と「TrueTypeフォント(TTF)」があります。PDF変換時に文字化けやフォントの置き換えが発生する可能性があるため、フォントの設定を確認しておくことが重要です。
- TrueTypeフォント(TTF)の使用を推奨
- SHXフォントはベクトル化されるため、文字として再編集できなくなる
- TrueTypeフォントなら、PDF変換後もテキストとして保持可能
- フォント埋め込みの設定
PLOT
コマンドの「カスタムプロパティ」内で、「SHXテキストをコメントとして埋め込む」にチェックを入れる- これにより、SHXフォントがPDFの「コメント」として保存され、検索可能な状態に
レイヤー情報の保持
デフォルトでは、PDF変換時にレイヤー情報が削除されることがあります。PDF内でレイヤー情報を保持したい場合は、以下の設定を確認してください。
- 手順:
PLOT
コマンドの「カスタムプロパティ」→「レイヤー情報を含める」にチェックを入れる - メリット: PDFでレイヤーを表示・非表示できるため、相手が必要な情報だけを確認しやすくなる
PDF変換時の注意点
適切な設定を行った後でも、変換時のミスによって意図しないPDFが作成されることがあります。以下のポイントを押さえておくことで、トラブルを防げます。
文字化けの防止
AutoCADのフォント設定が正しくないと、PDF変換時に文字化けが発生することがあります。特に、日本語フォント(MSゴシック・MS明朝など)が変換時に置き換えられることがあるため注意が必要です。
- 対策
- TTFフォントを使用する
- PDF変換時のフォント置き換えを防ぐため、「フォント埋め込み」を有効にする
PLOT
設定で「文字を図形として出力」にチェックを入れる(SHXフォント使用時)
背景色の調整
AutoCADの背景が黒の場合、そのままPDFに変換すると黒地に白線の図面ができてしまい、印刷時に見づらくなることがあります。
- 対策
PLOT
コマンドで「背景を白にする」を設定- カラープロファイルを適切に設定し、見やすいコントラストに調整
不要なオブジェクトの削除
変換時に不要なオブジェクト(補助線や参考線)が含まれていると、PDFファイルのサイズが大きくなり、データが重くなることがあります。
- 対策
PURGE
コマンドを使用して不要なオブジェクトを削除- 変換前に
LAYISO
コマンドで必要なレイヤーのみ表示しておく
変換後の最適化
PDF変換が完了した後でも、最適化を行うことで、ファイルの利便性を向上させることができます。
ファイルサイズの削減
AutoCADで出力したPDFは、解像度やフォントの設定によってはサイズが大きくなりすぎることがあります。ファイルサイズを適切に抑えることで、共有やクラウド保存がスムーズになります。
- 方法
Adobe Acrobat
などのPDF編集ツールで「最適化」機能を使用- 解像度が不要に高い場合、DPIを300以下に調整
- 不要なメタデータや埋め込みフォントを削除
パスワード保護の設定
外部との共有を行う場合、PDFにパスワードを設定することで、不正な編集や閲覧を防ぐことができます。
- 設定方法
Adobe Acrobat
の「プロパティ」からパスワードを設定- 閲覧用と編集用で異なるパスワードを設定するとより安全
再編集しやすいフォーマットでの保存
PDF変換後に再編集の可能性がある場合、CADデータとしての再利用を考慮した保存方法を検討することが重要です。
- おすすめの保存形式
- PDF/A(アーカイブ用):長期保存向け
- PDF/X(印刷用):カラープロファイルを保持
- DWGバックアップ(DWG + PDF併用):後で再編集できるようにオリジナルのDWGも保存しておく
まとめ
AutoCADのPDF変換は、設計業務において頻繁に行われる作業ですが、適切な設定やツールの選択によって、その精度や利便性が大きく変わります。標準機能を活用すれば、基本的なPDF変換には十分対応できますが、レイヤー情報の保持や高精度な変換が求められる場合は、有料の外部ツールを検討するのが有効です。
PDF変換を成功させるためには、変換前にAutoCADの設定を最適化し、尺度の調整やフォント設定、レイヤー情報の保持などを適切に行うことが重要です。また、変換時には、フォントの文字化けや背景色の影響、不要なオブジェクトの削除を意識することで、より見やすく、扱いやすいPDFを作成できます。さらに、変換後のファイルサイズを削減したり、パスワード保護を施したりすることで、共有や管理の利便性を向上させることも可能です。PDFの用途や業務の要件に応じて、適切な設定とツールを選択することで、作業の効率化だけでなく、設計情報の正確な伝達も実現できます。
AutoCADのPDF変換は、単なる作業の一つではなく、設計の品質や業務の効率に直結する重要なプロセスです。適切なツールと設定を活用することで、図面の視認性や共有の利便性を大幅に向上させることができます。用途に合った最適な方法を選び、PDF変換の精度と効率を最大限に引き出しましょう。
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参考資料
・AutoCAD 公式ヘルプ
https://help.autodesk.com/view/ACD/2025/JPN/?guid=GUID-EC9C6D47-814E-476D-840F-04104CF72B78
・AutoDWG 公式サイト
https://www.autodwg.com/pdf/
・Bluebeam Revu 公式サイト
https://www.bluebeam.com/jp
・Adobe Acrobat Pro 公式サイト
https://www.adobe.com/jp/acrobat/acrobat-pro.html