オンラインで使えるAutoCAD Webの強みとは?機能を解説
AutoCADは強力な2D・3DCADソフトとして知られていますが、オフラインでの運用のみならず、オンラインでも使用ができる点が評価されています。
この記事では、そんなAutoCADのオンライン版とも言えるAutoCAD Webについて、その仕様や機能を解説します。
目次:
- 3DCAD運用の課題
- AutoCAD Webとは
- AutoCAD Webの強み
- オンラインで活躍するAutoCAD Webの主な機能
- AutoCAD Webのライセンス料金
3DCAD運用の課題
3DCADは現代の建築設計やプロダクトデザインなどの業務において、欠かせない技術となっています。詳細かつ規模の大きな設計にも対応できる柔軟性の高さが便利ではあるものの、課題を抱えているのが複数人でのコラボレーションの進め方です。
3DCADデータをオフラインで共有する場合、一つのデータを設計者が順番に触って編集を試みたり、分担を分けてデータを作成し、後で統合したりといった方法が挙げられるでしょう。
ただ、この方法だとリアルタイムでの共同作業が難しく、お互いの進捗管理が難しく、擦り合わせの段階で修正作業が多く発生したり、仕様変更があるたびに作業をし直したりといった負担がかかります。
また、そもそもデータの共有のためにUSBストレージやメールといった媒体を使用しなければならず、データの共有作業が面倒である点も難点と言えるでしょう。
AutoCAD Webとは
このような3DCAD運用に関する課題解決に役立つのが、AutodeskがAutoCAD機能の一環として提供している、AutoCAD Webと呼ばれるサービスです。
これは、その名の通りAutoCADをオンラインで使用することができるというもので、通常のAutoCADはソフトをインストールしておかなければ利用できないところ、AutoCAD Webではクラウドでのサービス利用が可能となっています。
AutoCADの基本的な編集機能は一通り揃っているこちらのサービスは、AutoCADのサブ機として運用するのはもちろん、共同作業が必要なプロセスをこれ一台で完結させられるほどのポテンシャルを秘めているのが強みです。
AutoCAD Webの強み
AutoCAD Webが持つ主な強みとしては、以下のようなメリットが挙げられます。
オンラインでどこからでも利用できる
まず、AutoCAD Webはクラウドで動作するサービスであるため、インターネット環境さえあれば誰でもどこからでも利用できます。
一般的なAutoCADの場合、利用に際してはあらかじめソフトをPCにインストールしておく必要があり、なおかつインストール先はそれなりのスペックを備えたマシンである必要がありました。
そのためAutoCADの利用はパワーのあるマシンからに限定されていたのですが、AutoCAD Webなら外出先や出張先から、自由にアクセスして快適にソフトを動かせます。ソフトが動作するのはベンダーのサーバー上であるため、ユーザーの利用するマシンに依存しないからです。
モバイルデバイスから利用できる
AutoCAD Webはただオンラインで利用できるだけでなく、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスからのアクセスにも対応しているのが特徴です。
手元にデスクトップPCやラップトップPCがなくとも、スマホ一台でいつでもCADデータを閲覧・編集することができます。モバイルデバイスからの利用に際してはあらかじめ専用のアプリをインストールしておく必要がありますが、こちらもオンライン環境さえあればいつでも行えるので、大きな負担にはならないでしょう。
関係者間のコラボレーションを強化できる
AutoCAD Webの最大の強みとも言えるのが、関係者間のコラボレーション効率を飛躍的に高められる点です。データを展開して、オンライン上でリアルタイムで共同編集ができるので、共有の必要があるたびにデータをダウンロードしてメールで送ったりのような手間がかかりません。
また、常に一つのデータを使って作業が行えるので、どのバージョンが最新のデータかわからない、といったアクシデントを回避する上でも有効です。
クラウドストレージからシームレスにデータを利用できる
AutoCAD Webは、Autodeskのクラウドストレージなどを含め、主要なクラウドストレージから直接データを利用できる機能を備えているので、データのダウンロードとアップロードを繰り返す必要もありません。
あちこちにデータをオンライン上で移動させる手間もかからず、手元に不要なデータが散乱しない、スマートな運用環境で利用できます。
オンラインで活躍するAutoCAD Webの主な機能
AutoCAD Webは通常のAutoCADよりも機能性では劣るものの、実装されているものは通常版に劣らないレベルのクオリティを維持しています。
基本的な図面編集機能
上でも紹介した通り、AutoCAD Webにはオンラインで業務を遂行する上で必要な、AutoCADの主要機能のいくつかを実装しています。図面の基本的な編集操作ならどこからでも行えるようになるため、非常に便利です。
トレース機能を実装したレビュー機能
直接図面を編集しない、トレース機能を使ってレビューを行える、便利な機能もAutoCAD Webの特徴です。
図面が意図せず編集される事態を回避しながら、安全にDWGファイルへ直接フィードバックを書き込むことができ、関係者間のコラボレーションを強化します。
視認性に優れたコマンドライン
作図画面のすぐ下に設けられたコマンドラインも、オンラインで利用可能です。プロンプトや実行されているオプション、付与されたメッセージなどを簡単に確認できます。
図面整理に役立つ画層機能
AutoCAD Webでは図面内に画層を作成し、要素を整理することもできます。図面情報の煩雑化を防ぐことができるので、データの理解が阻まれる心配がありません。
限定的なオフライン作業機能(モバイルのみ)
AutoCAD Webのモバイル版では、機能こそ限定されているものの、インターネット環境がなくとも利用することができます。一時的に圏外の場所などでAutoCAD Webを利用したい場合、あらかじめアプリをインストールしてライセンスを認証しておけば、オフライン作業が可能です。
インターネット接続がない間はローカルでデータを保存し、編集内容はオンラインに接続されてから自動で適用されるので、便利な機能と言えます。山奥などの電波の届かないところでの作業が多く発生する場合、便利なサービスです。
AutoCAD Webのライセンス料金
AutoCAD Webを利用するにあたっての料金ですが、AutoCAD、あるいはAutoCAD LTを利用しているユーザーであれば、無料で利用可能です*1。
AutoCAD Web単体での利用にも対応しており、その場合は1ヶ月で1,100円から利用することができます。AutoCAD本体は必要ないが、AutoCAD Webだけサブ機として使いたいような場合に活躍する料金プランと言えるでしょう。
まとめ
この記事では、AutoCADのオンライン版であるAutoCAD Webについて解説しました。AutoCADをオンラインで利用できるこのサービスは、関係者間のコラボレーションなどに活躍する便利な機能です。
通常のオフライン版とうまく使い分けて、生産性向上を実現しましょう。
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出典:
*1 Autodesk「AutoCAD Web」
https://www.autodesk.co.jp/products/autocad-web/overview?term=1-YEAR&tab=subscription