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AutoCADを快適に動かすための推奨スペックとは

 CADソフトのディファクトスタンダードといえば、まず「AutoCAD」で異論はないでしょう。事実上の最高峰であり、連携するソフトも多く、頻繁なバージョンアップで常に最新の機能を取り入れています。
 「AutoCAD」は3Dモデリングまで視野に入れると、要求されるマシンスペックも高いため、使用には注意が必要です。今回の記事ではAutoCADを快適に動かすためのスペックについて、まとめていきましょう。

この記事でわかること
 ・Windows版AutoCAD(2024)に必要となる各種スペックについて
 ・Mac版AutoCAD(2024)に必要となる各種スペックについて
 ・その他の機能を利用する際の各種スペックについて

Windows版AutoCAD(2024)に必要となる各種スペック

 AutoCADにはいくつかのバージョンが存在します。3D機能を持たないLTというものもありますが、すでに販売を終了しています。また、今後CADを導入するのであれば3D機能は必須になりつつあることなどから、本稿ではLTは除外して説明することとします。

 AutoCADのサポートページには「AutoCAD 2024 including Specialized Toolsets」として、最低スペックと推奨スペックが紹介されています。「AutoCAD ncluding Specialized Toolsets」は「AutoCAD Plus」とも呼ばれることがあり、1年間のサブスクリプションを表しています。
 契約には3Dモデリング可能なAutoCADと業種別ツールが含まれます。*注1

 Windowsマシンは購入の際にCPUやメモリなどの選択肢が多く、購入後にメモリの増設やグラフィックボードの追加が可能なものもあります。WindowsマシンはMacと比べると自由度が高いのですが、できれば購入時点である程度のスペックを整えておく方が良いでしょう。

Windowsマシンの基本と推奨スペック

◯OS

 ・64ビット版 MicrosoftR WindowsR 11 および Windows 10 ver1809以降

 OSは現行品であれば対応しています。Windows10より前のOSは対応外となっていますので注意してください。詳しいサポート情報については、AutoDesk「製品サポートのライフサイクル」を参考にしてください。

AutoDesk 「製品サポートのライフサイクル」

◯CPU

 ・基本: 2.5 ~ 2.9GHz のプロセッサ(ベース)
     ※ARM プロセッサはサポートされていません。
 ・推奨: 3GHz 以上のプロセッサ(ベース)、4GHz 以上(ターボ)

 CPUはコンピューターの頭脳であり、性能が高いほど高速な処理が可能です。3GHzはクロック周波数を表し、この数値が大きいほどコンピューター内部での信号のやりとりが早くでき、結果的に処理が高速になります。

 最近のコンピューターでは、クロック周波数が可変となるものが多いことにも注意が必要です。AutoCADを快適に動作させるための推奨スペックは「ベースで3GHz以上のクロック周波数を持つCPU」です。そのため、通常は2.8GHzであり条件によって3GHzを超えるものは推奨スペックを満たしません。

 ちなみにARMプロセッサとは、一般的なコンピューターに搭載されているCPUとは異なり、単純な命令を高速かつ省エネルギーで処理することができるものです。IoT機器やスマホ・タブレットなどに多く採用されています。

◯メモリ

・基本: 8GB
・推奨: 32GB

 メモリは多ければ多いほど快適な作業ができます。あとで追加できるタイプのものもありますが、できればギリギリの8GBではなく、最低でも16GBは搭載したいところです。
 もちろん、余裕があれば推奨である32GBを搭載するのが理想でしょう。

◯ディスプレイ カード

・基本: 2GB の GPU、帯域幅 29GB/秒、 DirectX 11 互換
・推奨: 8GB の GPU、帯域幅 106GB/秒、DirectX 12 互換

 ディスプレイカードはグラフィックボードなど、いくつかの呼び方があり統一されていません。画面出力するデータ処理に特化したボードであり、3D描画をするようなタイプのソフトでは最も重要と考えても良いでしょう。

 ゲーム用PCなどでも重要なパーツであることから、さまざまな種類が発売されており、購入する際に一番迷うものかもしれません。メモリと同じく、できれば推奨である8GBのGPUを選択する方が快適に作業できると思われます。

 また、高速な処理を実行するため、メモリとは独立した専用のVRAMを搭載したモデルが推奨されています。動作確認が取れているディスプレイカードの一覧はAutoCADのサイトに掲載されていますので、それを参考に選択すれば良いでしょう。

AutoCAD 認定グラフィックス ハードウェア

◯ディスク空き容量

 ・10.0GB (SSD を推奨)

 SSDを推奨との記載ですが、HDDではデータの読み書きスピードが遅いことから、快適な作業にはSSDは必須と考えた方が良いでしょう。
 HDDは価格が安いため外付けで大量のデータをストックする目的で使用し、実際の作業に必要なデータは内蔵のSSDに展開するのが現在では一般的でしょう。現行品のPCであればほとんどSSDになっているとは思います。

 特に3Dデータはデータ量が大きくなる傾向がありますので、余裕を持っているに越したことはありません。空き容量が不足してくると、ソフトの動作も不安定になりますので初めから十分な容量を確保しておきましょう。

◯表示解像度(モニタ)

・従来のディスプレイ:1920 x 1080、True Color 対応
・高解像度および 4K ディスプレイ:最大 3840 x 2160 の解像度
  ※「推奨」ディスプレイ カードが必要

 できるだけ大画面で高解像度のモニタを採用するに越したことはありません。ノートPCでは選択できないかもしれませんが、デスクトップであればモニタにも気を遣いたいところです。
 ただし、大画面・高解像度になるほどディスプレイカードの性能が大きく影響します。ディスプレイカードが貧弱だと、モニタの性能を活かすことができませんので、バランスに注意しましょう。

 ここで「基本」に記載してあるスペックは、あくまで最低限のものであり『ギリギリ動かすことができる』レベルだと考えてください。
 「推奨」に記載してあるスペックであれば『快適に作業できる』水準です。せっかく高機能なソフトを導入するのですから、しっかりと環境も整えたいものです。

Mac版AutoCAD(2024)に必要となる各種スペック

 AutoCADはMacにも対応しています。Windowsと異なり、メーカーはApple一社だけですし、バリエーションもそれほど多くありません。
 Macは発売時点でメモリやストレージ、ディスプレイカードなどもあらかじめビルトインされているため、一部を除き、あとで追加することが困難になっています。そのため、購入時点で必要なスペックを満たしておく必要があります。

 また、AutoCADの動作環境として主流になっているのはWindowsPCだと思われます。日常的にMacを使っていて、その環境でAutoCADを動かしたいという特別な理由以外では、あまり積極的にMacの使用はお勧めできません。
 MacでAutoCADを動かす場合、Mac独自の操作、拡張性の低さ、対応するソフトの問題、データ移行などいくつかの課題に直面することがありますので、注意が必要です。

Macの基本と推奨スペック

◯OS

・Apple macOS Ventura v13
・Apple macOS Monterey v12
・Apple macOS Big Sur v11

 Big Sur以降のOSが対応しています。Macの場合、ハードウェアが対応していれば、OSはバージョンアップ可能です。MacBook Pro・MacBook Airであれば、2013年以降のモデルがBig Surに対応しています。とはいうものの、できるだけ最新モデルを準備した方が無難です。

◯プロセッサ

・64ビット Intel CPU
・Apple M シリーズ CPU

 プロセッサは、Apple独自開発のMシリーズがおすすめです。以前のモデルではIntel製のCPUを搭載していましたが、最新モデルでは独自開発のMシリーズが採用されています。

◯メモリ

・基本: 4GB
・推奨: 8GB 以上

 WindowsPCに比べて少ないメモリでも動作することが可能です。とはいうものの、メモリは多ければ多いほど快適に動きます。できるだけ余裕を持って搭載するようにしましょう。

◯ディスプレイ カード

・推奨: Macネイティブにインストールされたグラフィックス カード

 Macでは購入後にハードウェアを追加することは困難です。特にMacBookシリーズでは不可能と考えましょう。その代わり、標準的にセットされているグラフィックスカード(ディスプレイカードと同じ)で十分です。面倒なことを考えなくていいのはMacの利点と言えます。

◯ディスクの空き容量

・ダウンロードおよびインストール用に6GBのディスク空き容量が必要

 これもWindowsと同様に、空き容量が多ければ多いほど快適に動作します。6GBギリギリの空き容量でも動きますが、できるだけ余裕を持っていた方が良いでしょう。

その他の機能を利用する際の各種スペック

 AutoCADでは標準セット以外にもさまざまな機能を追加することができます。その内容によっては、さらに高スペックが要求されることもあります。いくつかの例をご紹介しましょう。

 ◯AutoCAD Map 3D
  ・ディスク空き容量: 20GB
  ・メモリ: 16GB

 ◯AutoCAD Electrical
  ・ディスク空き容量: 20GB

 ◯AutoCAD Architecture
  ・ディスク空き容量: 20GB
  ・メモリ: 16GB

などとなっています。詳しくはAutoCADの動作環境ページを参照してください。

AutoCAD 「AutoCAD 2024 including Specialized Toolsets の動作環境」

【まとめ】
 CADソフトは今や単なる2D設計ツールとしてだけではなく、優れたビジュアル表現を伴う3Dモデリング機能が必須となりつつあります。
 そのため、要求されるマシンスペックも高くなっており、十分な環境を準備しておかないと快適な操作ができません。初めて導入する際には、あらかじめハードウェア環境についても調べておくべきでしょう。
 せっかく優れたソフトを導入しても、環境が不十分でまともに動かないようでは、業務に支障が出てしまいます。

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■参考文献
注1
CAD百貨 「AutoCAD 2024 including specialized toolsets サブスクリプション新規 1年間」
https://www.cad100.jp/goods/syohin_535.php

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