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AutoCADの寸法線設定を標準化!チームで使える最適テンプレート作りガイド

1. はじめに

 AutoCADで図面を描いていると、人によって寸法線の見た目がバラバラ……という状況になりがちです。
文字の大きさやフォント、矢印の形、線の色や太さなどが担当者ごと・チームごとに違うと、同じプロジェクトの図面なのに統一感がなく、「どれが正しいルールなのか」が分かりにくくなってしまいます。

こうした不統一は、単に見た目の問題にとどまりません。
・図面の読み間違いによるミス
・チェックや修正作業の増加
・外注先やクライアントとの認識ずれ
といった形で、プロジェクト全体の品質やスケジュールにも影響してきます。新人教育のたびに「この現場の寸法のルールは…」と説明し直すのも、担当者の負担になります。

そこで重要になるのが、AutoCADの寸法線設定を「標準化」してしまうことです。
あらかじめルールを決めて寸法スタイルを作り、それをテンプレートとして登録・共有しておけば、誰が図面を描いても同じ寸法表現で仕上げることができます。

本記事では、

  • なぜ寸法線の標準化が必要なのか
  • どの設定項目をそろえるべきか
  • DIMSTYLE・DWT・DWSを使ったテンプレート化・標準化の手順

を、初心者の方にもわかりやすい流れで解説します。

CADマネージャーやリーダー層の方が、チーム全体のルールづくりに使える実務的なポイントも盛り込みました。
読み進めることで、手戻りを減らし、図面品質を安定させる「寸法線標準化」の考え方と具体的な進め方がイメージできるはずです。

自社・自部署でのAutoCAD運用を一歩レベルアップさせたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

2. AutoCAD寸法線の標準化が必要な理由

 寸法線の標準化は、単なる「見た目をそろえる作業」ではなく、プロジェクト全体の品質や進行管理にも大きく影響する重要な取り組みです。なぜ標準化が必要なのか理由を整理することで、導入の目的が明確になり、チーム全体のモチベーション向上にもつながります。

 特に規模の大きいプロジェクトや外注が絡む案件では、図面の「バラつき」が思わぬミスや誤解を引き起こすことが多く、品質保証の観点からも統一は欠かせません。

 ただし、一度にすべての設定を変えようとすると現場の負担が大きくなるため、まずは寸法線の標準化から取り組むことで、小さく効果を実感しつつ段階的に広い範囲の統一へつなげる方法が現実的で効果的です。

 以下では、標準化がもたらす「一貫性」「品質向上」「教育負担の軽減」といったメリットを順に見ていきます。

2.1. プロジェクトの一貫性と品質向上

複数の作業者が関わるプロジェクトでは、寸法線の色・フォント・矢印形状などが人によって異なり、統一感のない図面が生まれがちです。こうした差異はクライアントや協力会社に不信感を与えるだけでなく、確認作業や修正で余計な手間を生む原因にもなります。

 そこで寸法線や文字表記、フォーマットをあらかじめ統一しておくと、図面の読みやすさが向上し、見落としや確認漏れのリスクが大幅に減少します。全員が同じルールのもとで作業することで、図面の品質は自然と安定し、プロジェクト全体の信頼性も高まります。

 加えて、寸法スタイルが統一されていると、図面に補足説明を描き足したり、口頭で補う手間が減り、情報伝達がスムーズになります。クライアントとの打ち合わせでも、統一された図面は理解のしやすさが段違いで、コミュニケーションの質を大きく高めてくれます。

 このように、統一した寸法線設定は単なる作業効率化にとどまらず、プロジェクト品質そのものを底上げする重要な要素となります。

2.2. 作業効率の向上と教育時間の削減

寸法線やDIMSTYLE(寸法スタイル)を標準化することで、作図時の設定変更がほぼ不要になり、作業効率が大幅に向上します。例えば標準テンプレート(DWT)を導入しておけば、新規図面のたびに設定をやり直す必要がなく、作図に集中できる環境を整えられます。

 また、教育面でも大きなメリットがあります。統一された寸法スタイルがあれば、新人は「これを使えばよい」と迷わず作業でき、経験者側も細かな設定説明を繰り返す必要がありません。こうした教育コストの削減は、長い目で見れば組織全体の負担軽減に直結します。

 加えて、標準化された運用はCADマネージャーにとってもありがたい仕組みです。チームの作業がそろっていれば、パフォーマンスの改善点が見つけやすく、新しい施策やルール整備に時間を割く余裕も生まれます。

 このようなメリットは、小規模なチームでも大規模なプロジェクトでも同じように得られ、組織の枠を越えて共有できる有効な手法といえるでしょう。

3. 標準化すべき寸法線設定の基本項目

 ここでは、寸法線を標準化する際に「どの設定を決めておくべきか」を整理します。あらゆる図面で安定して使える寸法スタイルを作るためには、いくつか押さえておくべき共通のポイントがあります。

 扱う業種が建築・機械・土木などによって異なる場合、求められる精度や採用する単位(mm・inchなど)も大きく変わります。そのため、まずは自分たちがどの用途で図面を使用するのかを整理し、それぞれのジャンルに合った標準化項目を選択することが重要です。

 一度、設定項目を一覧として洗い出し、チーム全体で内容を確認して合意を取っておくと、後の作業で迷うことが減り、トラブル発生の予防にもつながります。限られた作業時間の中で品質を安定させるためにも、まずは寸法スタイル全体を俯瞰し、どの設定を標準化するかを明確にしていきましょう。

3.1. 寸法スタイルの選定基準

寸法スタイルはAutoCADにおける注釈設定の中心となる重要な項目です。「標準(Standard)」や「ISO-25」といった既存のスタイルが用意されていますが、企業やプロジェクトに合わせて独自の設定を持つ場合も少なくありません。

 例えば、建築図面では基本的に整数寸法が求められるのに対し、機械図面では小数点以下の桁数を細かく設定する必要があります。こうした要件は業界・案件ごとに異なるため、各プロジェクトで必要とされる精度や納品先のルールを踏まえて、適切な寸法スタイルを選定することが欠かせません。

 標準化の対象となる項目には、文字高さ、矢印の形状、補助線の長さ、単位表記などが含まれます。特に文字高さは、注釈尺度(Annotative)を使用するかどうかで設定の考え方が大きく変わるため、チームとして方針を決めておく必要があります。

 これらの基準を事前に整理し、最も頻繁に使うスタイルをベースにカスタマイズしていくことで、効率よく統一された寸法スタイルを構築できます。

3.2. 重要な設定項目の解説

AutoCADのDIMSTYLE(寸法スタイル)には多くの設定項目がありますが、まずは以下の要素を中心に標準化を進めると効果的です。

1)線と矢印
寸法線や補助線の色・線種・太さ、矢印の形状や大きさを統一します。図面の視認性に直結する部分であり、チーム内で一定のルールを定めることが重要です。

2)文字スタイルと文字高さ
フォントの種類や文字高さを統一するだけで、図面の読みやすさが大きく変わります。単位表記や精度に関わる部分でもあるため、チーム基準として明確に設定しておきましょう。

3)単位と精度
機械図面では小数点以下の桁数を揃える必要があり、建築や土木では整数の寸法表記を使う場面が多くなります。用途に応じた単位・精度設定を事前に決めておくことで、図面の整合性を保ちやすくなります。

4)オフセットや余白の設定
寸法線とオブジェクトの距離、文字と寸法線の間隔など、見やすさや配置バランスを決めるための項目です。こうした細かい設定を統一することで、作図者によるばらつきを抑え、より安定した仕上がりを実現できます。

これらの項目をすべて洗い出し、チーム内で合意をもって統一しておくことで、後々の作業効率や品質の安定につながります。

4. DIMSTYLE設定の基本

 ここでは、寸法スタイルをどのように作成し、プロジェクトに合わせて整えていくかを具体的に説明します。AutoCADでは DIMSTYLE コマンドを実行すると「寸法スタイルマネージャー」が開き、ここから各種設定を行うことができます。この画面が、寸法線を標準化するための最初の作業ステップとなります。

 一般的には、既存の「Standard」や「ISO-25」などのスタイルを複製し、それを基準にチームの運用ルールへ合わせて調整していく方法がよく使われます。たとえば、複製したスタイルに「TEAM_STD」などのわかりやすい名前を付け、そこから線の太さ・矢印の大きさ・文字設定などを編集することで、効率よく独自の標準スタイルを構築できます。

 ただし、寸法スタイルを大量に作りすぎると、メンバーがどれを使うべきか迷ってしまい、結果として図面が混乱する原因にもなります。そのため、最初は使用頻度の高いスタイルを1~2種類に絞り、チーム内で徹底的に使いこなす運用から始めるのがおすすめです。

4.1. 寸法スタイルマネージャーの操作方法

寸法スタイルマネージャーを開くには、コマンドラインで「DIMSTYLE」と入力するか、リボンの「注釈」タブ内の関連メニューからアクセスします。画面を開くと、現在の図面で使用されているスタイルや、既存の標準スタイルの一覧が表示されます。

 新しい寸法スタイルを作成する場合は、「新規作成」または「修正」ボタンを使用します。既存の設定をベースにしたい場合は、「新規作成」から既存スタイルを選び、それをコピーして名前を付けなおすとスムーズです。これにより、基本設定を引き継いだまま、自分たちの運用に合わせたカスタマイズが行えます。
各タブでは「線」「記号と矢印」「文字」「フィット」「一次単位」など、寸法線の見た目と動作に関わる詳細な項目を設定できます。最初はすべてを把握しようとすると負担が大きいため、よく使う項目から順に調整していくことで、無理なく覚えながら作業を進めることができます。

 また、寸法スタイルマネージャーを使いこなせるようになると、図面ごとに異なる寸法表現が混在している場合でも、どのスタイルが違うのかを簡単に比較・修正できるようになり、全体の整合性を保つ大きな助けになります。

4.2. 推奨される寸法スタイル設定

ここでは、多くの現場で採用されている代表的な寸法スタイル設定例を紹介します。まず、文字スタイルは「Arial」もしくはチームが普段使っている日本語フォントに統一しておくと、図面全体の可読性が安定します。文字高さは、注釈尺度(Annotative)の運用方法に合わせ、一般的に2.5mm〜3.0mm程度に設定しておくと使いやすくなります。

 矢印の形状については、視認性が高い「閉じた矢印(クローズ塗りつぶし)」がよく使われ、図面の種類を問わず幅広い環境で安定しています。補助線は長すぎると図面が煩雑になりやすいため、オフセット量や延長長を適度に短めに設定すると、寸法値がすっきり見えます。

 単位と精度の設定は、扱う業種によって大きく異なります。機械設計では小数点以下1~2桁といった細かい精度が必要ですが、建築や土木では整数表記で十分な場合が多く、プロジェクトごとのルールに沿って最初に決めておくことが重要です。

 最も大切なのは、チーム全体が同じ寸法スタイルを理解し、常にそのスタイルを選んで作業することです。複数のスタイルを作りすぎず、まずは“基本となるひとつの標準スタイル”をしっかり固めることが、標準化成功の第一歩となります。

5. DWTファイルの作成とテンプレート化

 寸法スタイルをチーム全体で統一して運用するためには、「DWTファイル」(テンプレートファイル)の整備が欠かせません。DWTは、図面作成時の初期状態を決める“設計の出発点”であり、ここに標準化済みの寸法スタイルを登録しておけば、新規図面を開いた瞬間から誰でも同じ設定で作業を始められます。

 テンプレート化を適切に行うことで、作図ミスの防止、チェック時間の短縮、メンバー間の設定差異の解消など、チーム全体に大きな効率化効果が生まれます。特に「図面テンプレート作成」は、初心者からベテランまで全メンバーの負担を軽減する重要な工程であり、標準化の中核となる取り組みです。

 ここでは、DWTファイルの作成方法から運用上の注意点まで、押さえておきたいポイントを具体的に説明します。

5.1. 新規図面のテンプレート作成手順

最初に、寸法スタイルマネージャーでチーム標準としたい寸法スタイルをすべて整えます。必要に応じてレイヤー構成・文字スタイル・印刷設定なども準備し、標準化したい項目を一通りまとめておきます。

 準備が整ったら、「名前を付けて保存」を選択し、保存形式を「AutoCAD 図面テンプレート(*.dwt)」に指定して保存するだけでテンプレート化が完了します。 ファイル名は「Company_Standard.dwt」など、誰が見ても用途が分かる名前にすると混乱を避けられます。

 作成したテンプレートは、AutoCAD起動時の「テンプレートを使用」や、新規作成ダイアログから簡単に選択できます。これにより、作業者は毎回ゼロから設定を作り直す必要がなく、標準化されている寸法スタイルを自動的に利用する状態で作図を開始できます。

5.2. テンプレートのカスタマイズと保存

プロジェクトごとに要件が異なる場合や、業種が変わる場合には、既存のDWTをベースにした派生テンプレートの作成が便利です。標準部分はそのまま活かしつつ、単位や文字高さなど必要な部分だけ変更して「プロジェクト専用DWT」として保存すれば、用途別の運用もしやすくなります。

 ただし、メンバーが自由にテンプレートを編集すると、どの設定が正しいのか分からなくなる恐れがあります。そのため、テンプレートの編集権限はCADマネージャーや担当者に限定し、修正内容を必ず確認したうえで正式版として共有フォルダにアップする運用ルールを徹底することが重要です。

 また、テンプレート更新時には、メンバー全員に周知する仕組みを作りましょう。チャットツールやメールで「最新版テンプレートの更新通知」を行い、旧版を使用しないよう促すことで、組織全体での統一運用が維持されます。

 このような「CADテンプレート共有」の仕組みを整えることで、図面の品質を長期的に安定させ、標準化の効果を継続して発揮させることができます。

6. DWSファイルでの寸法設定チェックと標準維持

 DWTファイルでテンプレートを整備しても、メンバーが作業中に設定を変えてしまえば、意図しないズレが生まれ、標準化が崩れてしまう恐れがあります。こうした“設定のばらつき”を防ぐために活用したいのが、AutoCADの「DWSファイル(標準仕様図面ファイル)」です。

 DWSを設定しておくことで、標準と異なる寸法スタイルやレイヤー設定が使用された際に自動で警告が出るようになり、間違いをその場で気づける環境を作れます。テンプレートだけではカバーしきれない“運用中の乱れ”を防ぐための強力な補助機能として、大規模チームや外注を伴うプロジェクトで特に効果を発揮します。

 ここでは、DWSを使って標準化を維持するための仕組みと、その実践方法について詳しく説明します。

6.1. 図面基準ファイル(標準仕様図面ファイル)の役割と設定

DWSファイルは、AutoCADで「標準仕様図面ファイル(図面基準ファイル)」として扱われます。寸法スタイルのほか、レイヤー・線種・文字スタイルなど、図面に関わるさまざまな基準値をまとめて管理・チェックできる便利な仕組みです。

 作成方法は簡単で、標準化したい設定を含むDWGまたはDWTを開き、「名前を付けて保存」でDWS形式を選択するだけで作成できます。このDWSを標準仕様として関連付けておけば、以降の図面作成時に設定の不整合を自動で検出できるようになります。

 重要なのは、DWSに設定をまとめておくことで、図面内で標準と異なる項目が使われた際に即座に検知できる点です。「寸法スタイルの値が違う」「レイヤー名が規定と合っていない」といった小さなズレでも、早い段階で気づければ大きな作業ロスを防ぐことができます。

 この“間違いに気づける仕組み”があるだけで、チーム全体のミス削減に大きく貢献します。

6.2. 寸法スタイルのチェックと警告システム

DWSファイルを運用するには、AutoCADの「CAD標準仕様(CHECKSTANDARDS)」機能を活用します。これは、図面を開く・作業を進める・レビューするなどのタイミングで、標準仕様のDWSと比較し、設定のズレをチェックしてくれる機能です。

 もし標準と異なる寸法スタイルが使われている場合には、ポップアップやステータスバーに「寸法線の設定が基準から逸脱しています」などの警告が表示されます。ユーザーはその場で修正内容を確認でき、ダイアログからワンクリックで標準設定に置き換えることも可能です。

 特に外注先や複数部門が参加するプロジェクトでは、図面表現のばらつきが起きやすいため、DWSによる設定チェックは非常に有効です。誰が描いた図面でも同じ品質基準に揃えられるため、再提出や修正依頼が減り、チーム全体の作図効率が大幅に向上します。

 一見すると厳しい仕組みに思えるかもしれませんが、運用してみると“設定の乱れを未然に防ぐ保険”として非常に有用で、結果としてトラブルや手戻りを減らす効果が期待できます。

7. チームでの標準運用ルールの確立

 テンプレートや図面基準ファイル(DWT・DWS)を整備するだけでは、標準化が完全に維持されるとは限りません。これらの仕組みはあくまで“道具”であり、それを正しく使い続けるためには、チーム全員が共通のルールを理解し、適切に運用することが不可欠です。

 どれほど完成度の高いテンプレートがあっても、作業者が独自の寸法スタイルを追加したり、設定を勝手に変更してしまうと、標準化はすぐに崩れてしまいます。また、ルールが曖昧なままだと、「少しくらいなら変えても平気だろう」という判断が積み重なり、気づいたときには図面表現がバラバラになっている……という事態も起こりえます。

 以下の項目を徹底することで、標準化を実際の運用の中で維持し、安定した寸法表現をチーム全体で守り続ける環境をつくることができます。

7.1. テンプレートの共有と展開方法

まずは、正式に認められたDWTとDWSを、共有フォルダやクラウドストレージ上に整理して配置します。格納場所は「\Server\CAD_Standards\Templates」など、誰が見ても分かるパスに統一し、チーム全員に周知しておくことが重要です。入社したメンバーには最初の段階でこの共有場所を案内し、必ずここからテンプレートを使用するよう徹底します。

 特に注意したいのは、各自のPCにテンプレートをコピーしてローカルで編集してしまうケースです。これが発生すると、どのテンプレートが最新版なのか分からなくなり、標準化が崩れる原因になります。したがって、ローカルへの複製利用は禁止し、「必ず共有フォルダの最新版を使う」運用ルールを明確にしておく必要があります。

 テンプレートを更新した際には、メールやチャットツールを使って「更新通知」を行い、変更点や利用ルールをメンバー全員に共有します。プロジェクトごとに異なる設定が必要な場合には、標準テンプレートと別に「プロジェクト専用テンプレート」を用意し、標準との違いを管理しておくことで混乱を防ぐことができます。

 この体制がきちんと整っているかを随時確認することが、「AutoCADをチームで使う」うえでの基本となります。

7.2. 運用ルールとチェックリストの作成

テンプレートがあっても、それを正しく使う運用ルールが曖昧だと、標準化の効果は十分に発揮されません。そこで、チーム内での運用ルールを文書化し、必要に応じてチェックリストを作成しておくことが重要です。

 たとえば、寸法スタイル名は「Comp_Std」(汎用)、「Comp_Mech」(機械用)のように用途別に明確な名称を付け、「Standard」スタイルは使用禁止とするルールを作ると迷いが減ります。また、Annotative(注釈尺度)を使用する場合は、その取り扱い方法をガイドラインとしてまとめ、どの場面でどう使うかをチーム全員と共有しておく必要があります。

 チェックリストには次のような基本項目を盛り込みます。

  • レイヤー設定は正しいか?
  • 文字サイズは規定値(mm)になっているか?
  • 寸法スタイルは標準スタイルに設定されているか?

こうした項目を簡潔にまとめておくだけでも、図面作成時のセルフチェックやレビュー時の確認がスムーズになり、標準化の精度が高まります。

 最終的には、これらの規約やチェックリストを「CADガイドライン」として体系化し、新規メンバーや外注業者にも共有することで、組織全体の図面品質を安定させることができます。

8. 標準化運用のトラブルと対処法

 標準化を進めていくと、実際の運用段階でいくつかの課題が浮き彫りになります。こうした問題を放置してしまうと、「結局、自分のやり方のほうが早い」と感じるメンバーが増え、標準化が形骸化してしまう恐れがあります。

 ここでは、よく現場で発生するトラブルとその対処法を整理します。実際の声を参考にすると、問題の根本に気づけることも多く、改善案のヒントにもなります。

 すべてを完璧に運用する必要はありませんが、問題が頻発しないように事前の予防策を整えておくことが、標準化を継続させるための重要なポイントとなります。

8.1. 一般的な問題とその解決策

1)「テンプレートを使っていないメンバーがいる」
対策: マネージャーが定期的に使用状況を確認し、テンプレートを使わない理由をヒアリングします。テンプレートが使いにくいと感じている場合は、運用改善や内容の見直しを行い、メンバーが納得して使える形に整えることで利用率が向上します。

2)「外注先からの図面だけ寸法スタイルが合わない」
対策: 外注先にも同じ基準を共有できるよう、DWS・DWTを事前に提供し、契約段階で使用ルールとして取り決めておきます。受領した図面は標準化チェックをかけ、差異がある場合は修正依頼が出しやすい仕組みを整えることで、後工程での手戻りを防げます。

3)「担当者交代で寸法表現がバラバラになった」
対策: 担当変更時には、必ず標準化ルールやチェックリストを引き継ぎ資料として渡し、口頭でも要点を説明します。新任担当者がテンプレートの使い方やルールを確実に理解できるようフォローすることで、作図のばらつきを最小限に抑えられます。

このように原因はさまざまですが、重要なのは“早期に気づき、対処すること”です。小さなズレの段階で直すことで、大きな手戻りを防ぐことができます。

8.2. 改善方法と現場の声

実際に運用していくと、「文字サイズをもう少し大きくしたい」「矢印の形状を変更したい」といった要望が現場から上がることがあります。こうした声を積極的に受け止め、必要に応じて標準スタイルへ反映していく姿勢が、チーム全体の満足度と運用安定性を高めます。

 不満が蓄積すると、メンバーが独自設定に戻ってしまう可能性があり、せっかくの標準化も意味をなさなくなってしまいます。そのため、定期的に意見を集める仕組みが必要です。

 たとえば、月に一度「標準化ミーティング」を開催し、気づいた点や改善案をリスト化する方法があります。出てきた要望を検討し、妥当であればテンプレートに反映することで、より使いやすい標準設定へ成長させることができます。

このようなプロセスを継続していけば、最終的に“全員が納得して使い続けられるテンプレート”を育てることができ、それが長期的な図面品質の安定と作図効率向上につながります。

9. まとめ

ここまで、寸法線の標準化がプロジェクト全体の品質と効率にどのような効果をもたらすのか、そして実践に向けた具体的な手順を段階的に解説してきました。最終的に目指すべき姿は、チーム全員が迷いなく使える「AutoCAD寸法線テンプレート」を整備し、それを日常業務の中で“当たり前の基準”として活用できる環境をつくることです。

 寸法線の標準化は、一度軌道に乗れば継続的なメリットを生み続けます。作図時間の短縮、手戻りの削減、外注先とのやり取りの円滑化など、「図面標準化」がもたらす恩恵は非常に大きく、組織全体の業務効率にも直結します。

 ただし、標準化は作って終わりではなく、常に運用しながらブラッシュアップしていくことが重要です。DWTやDWSを基盤にしつつ、現場からの意見を取り入れながら最適化を継続することで、プロジェクトの成功確率を高め、結果としてクライアントからの評価向上やメンバーの作業負荷の軽減につながっていきます。

 次の「9.1. 標準化の効果と次のステップ」では、今回の取り組みをさらに発展させるための視点を整理しています。これから標準化の幅を広げたい方や、より体系的なCAD運用を目指す方にとって、次のステップを考えるヒントになれば幸いです。

9.1. 標準化の効果と次のステップ

基本的な寸法線の統一だけでも、図面品質の向上や手戻りの大幅削減など、さまざまな効果が期待できます。特に、チーム内のコミュニケーションがスムーズになり、外注先や新人メンバーにも同じ基準を適用できる点は、大きな運用メリットと言えるでしょう。

 次に取り組むべきステップとしては、寸法線の標準化にとどまらず、社内全体の「CADガイドライン」を構築することが挙げられます。レイヤー設定、ブロック運用、注釈尺度の管理、印刷設定なども含めてルール化することで、より強固で再現性の高い運用基盤を整えることができます。

 こうしたガイドラインを維持するには、定期的な見直しやアップデートが欠かせません。技術の変化やプロジェクト要件の違いに合わせて柔軟に改訂することで、組織全体のCADレベルは着実に底上げされ、長期的には作業効率と品質の両面で大きな効果を発揮します。

 ぜひ今日から標準化の実践を始めてみてください。そして最終的には、すべての図面が「統一されたスタイル」で描かれる環境づくりを目指しましょう。それが、プロジェクト運営のスムーズ化とクライアント満足度の向上につながる、最短かつ最も確実な道です。

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<参考文献>
AutoCAD 2026 ヘルプ | 概要 – 寸法スタイル | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/ACD/2026/JPN/?guid=GUID-5469B348-3425-41C6-9CEC-F267BF6CCCA2
AutoCAD 2026 ヘルプ | 図面テンプレートを作成するには | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/ACD/2026/JPN/?guid=GUID-009D9EB3-DE3E-4107-BE48-56D907A7E9B7
AutoCAD 2026 ヘルプ | CHECKSTANDARDS[標準仕様を確認] (コマンド) | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/ACD/2026/JPN/?guid=GUID-F47E5F56-88BE-4FC2-A0D6-D35E8DFAC7A6
AutoCAD 2026 ヘルプ | 概要 – 注釈尺度 | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/ACD/2026/JPN/?guid=GUID-4F448A62-A99E-4AB5-AE50-9EAAC0485283

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