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なぜSOLIDWORKSの2Dは使いにくく感じる?AutoCADユーザー目線で検証!

1. はじめに|SOLIDWORKSの2Dは本当に“使いにくい”のか?

近年、設計現場では2Dから3Dへの移行が進み、CADソフトも多様化しています。その中で「AutoCAD」と「SOLIDWORKS」は、それぞれ2Dと3Dの代表格として広く使われてきました。どちらも実績あるツールですが、長年AutoCADに慣れたユーザーがSOLIDWORKSに乗り換えたとき、「SOLIDWORKSの2Dって、なんだか使いにくい…」と感じることが少なくありません。

実はこの違和感、ユーザーのスキル不足ではなく、ソフトウェアの設計思想そのものの違いから来ているケースが大半です。AutoCADは「描く」ことに特化した2D製図ソフト。一方、SOLIDWORKSは3Dモデリングが主軸であり、2D図面は“モデルの結果”として扱われます。つまり、図面の扱い方や目的が根本から異なるのです。

本記事では、AutoCADユーザーの視点からSOLIDWORKSの2D機能を見直し、「なぜ使いにくく感じるのか」「その背景には何があるのか」を丁寧に紐解いていきます。また、後半ではSOLIDWORKSで2D作業をスムーズに進める工夫や、AutoCADとの上手な使い分け方もご紹介します。

違いを知れば、きっとSOLIDWORKSの2Dも「使いにくい」ではなく「使いどころが違う」ものとして捉えられるはずです。

2. AutoCADとSOLIDWORKSの基本的な違い

ここでは、AutoCADとSOLIDWORKSの設計思想や操作体系の違いについて解説します。これらの根本的な違いを理解しておくことは、「SOLIDWORKSの2Dは使いにくい」と感じる原因を紐解くうえで、とても重要です。

操作画面やアイコンの配置といった見た目だけでなく、それぞれのソフトが前提としている作業フローや思想が大きく異なっています。特に、2D製図に慣れたAutoCADユーザーにとって、3Dを主軸とするSOLIDWORKSの考え方は最初こそ戸惑うかもしれませんが、その違いを知っておくことで、操作に対する納得感が得やすくなります。

以下では、設計思想、ユーザーインターフェース、操作方法の観点から、両ソフトの違いをわかりやすく比較していきます。これらを理解することで、SOLIDWORKSを使いこなすための視点を養い、ソフト選定や業務適用の判断にも役立てられるはずです。

2.1. 設計哲学:2D対3D中心のアプローチ

AutoCADは、長年にわたり2D CADのスタンダードとして利用されてきたソフトウェアで、作図作業そのものに特化した設計思想を持っています。レイヤー管理や寸法注記、ハッチングといった製図作業に欠かせない機能が豊富で、2D作図における操作効率を高める工夫が随所に施されています。

これに対してSOLIDWORKSは、3Dパラメトリックモデリングを前提に設計されており、部品やアセンブリのモデルから図面を“派生させる”という考え方が基本にあります。図面はモデリング結果を補足する手段として位置づけられ、個別に2D作業を行うという発想とは異なります。

そのため、AutoCAD的な「まず線を引いて形を整える」という自由度の高いアプローチをSOLIDWORKSで再現しようとすると、「意図どおりに動かない」「余計な制約がつく」といったストレスを感じる場面が多くなります。このギャップの正体こそが、両者の設計哲学の違いに由来するものなのです。

2.2. ユーザーインターフェースと操作性の違い

AutoCADの操作体系は、コマンドライン入力やショートカットの活用を前提として構築されています。作図コマンドをキーボードで直接入力することで、スピーディーに作業できるのが特徴で、マウス操作よりもキーボード主体で効率よく作業を進める設計者も多いです。

一方、SOLIDWORKSはGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を重視した操作スタイルが中心です。アイコンやリボンパネルからコマンドを選んで操作する形式で、マウス操作の比重が高く、初期状態ではショートカットキーも少なめです。そのため、慣れるまでは「必要な機能がどこにあるか分からない」と感じてしまうこともあります。

このように、操作の出発点や重視される操作スタイルが根本から異なるため、AutoCADでのキーボード中心のスピード感に慣れているユーザーにとっては、SOLIDWORKSのインターフェースが遠回りに思えるかもしれません。まずはこの操作体系の違いを理解し、それぞれの特徴をうまく使い分ける意識が大切です。

2.3. コマンドとショートカットの対比

AutoCADの魅力のひとつは、コマンドエイリアスを活用したショートカット操作にあります。L(LINE)やC(CIRCLE)、TR(TRIM)など、覚えておくと非常に効率的に作図を進められるショートカットが多数用意されており、操作のスピード感が非常に高い点が特徴です。

対してSOLIDWORKSでは、最初から割り当てられているショートカットの種類が限られており、効率的に使うにはユーザー自身がカスタマイズする必要があります。特に2Dスケッチに関しては、作図専用コマンドがAutoCADほど豊富に用意されているわけではなく、機能の一部は3D設計を前提に構成されています。

このような操作感の違いは、「SOLIDWORKSの2Dは思ったより不便だ」と感じさせる原因になります。ただし、SOLIDWORKSのショートカットやキーボード操作も柔軟にカスタマイズできるため、AutoCADの操作感に近づけることも可能です。どちらが優れているかではなく、操作の“慣れ”や“目的に応じた使い分け”が重要であるという視点を持つと、無用なストレスを軽減できます。

3. SOLIDWORKSでの2D作図における理解すべきポイント

ここからは、実際にSOLIDWORKSで2D作図を行う際に、特にAutoCAD経験者が直面しやすい課題や違和感について詳しく見ていきます。操作そのものの習熟度というよりも、ソフトウェアの設計思想や操作体系の違いが原因となって、思うように作業が進まないケースが多く見受けられます。

この違和感は、単に操作に慣れていないからではなく、設計に対する考え方そのものの差に起因するものです。寸法や拘束を自動で付加するパラメトリック設計の概念、レイヤー管理の方法の違いなど、AutoCADとは異なる前提のもとで設計が進むため、AutoCADの感覚で作業を始めると戸惑いが生じます。

ここでは、そうしたギャップを具体的に3つの観点から整理し、SOLIDWORKS 2Dに対する理解を深めていきます。

3.1. 直感的でない操作感

まず最初に挙げられるのが、「スケッチモード」と「それ以外のモード」の切り替えを意識しながら操作しなければならないという点です。AutoCADでは、画面上のどこでも自由に線や図形を描いたり、トリムや移動といった編集をシームレスに行うことができます。そのため、操作フローに“段階”を意識する必要はあまりありません。

しかしSOLIDWORKSでは、図形を描くにはまず「スケッチモード」に入る必要があり、作図が終わったら「スケッチを終了する」操作も明示的に行わなければなりません。最初はこの“モード切り替え”が煩雑に感じられ、自由に描きたいだけなのに操作が回りくどいと感じてしまうことが多いです。

また、寸法を追加するときにも注意が必要です。AutoCADであれば、単に寸法線を引いて視覚的な補助とすることができますが、SOLIDWORKSでは寸法を付けた瞬間に拘束がかかり、図形が“定義済み”の状態になります。この拘束によって、意図しない変形や移動が発生する場合があり、「なぜ動かないのか」「どこが制限されているのか」がわかりにくくなることがあります。

こうした直感性の違いは、AutoCADにおける自由な2D作図スタイルに慣れている人ほど強く感じる傾向があります。SOLIDWORKSでは一見面倒に思えるこれらの操作も、設計ミスの防止や一貫性のある図面生成を目的とした合理的な仕組みとして捉えることで、使いづらさに対する理解が深まるでしょう。

3.2. 制約とパラメトリック設計の理解

SOLIDWORKSにおける2Dスケッチでは、「寸法拘束」や「幾何拘束」を使って図形の形状と関係性を明確に定義する必要があります。線が水平である、2点が一致している、中心線を基準に対称であるといったルールが、図形の安定性と整合性を担保します。

一方で、AutoCADではこれらの拘束を意識せず、自由に図形を配置してから必要に応じて寸法を加えるスタイルが主流です。どのような順序でも描き直しや調整が可能で、寸法が図形の制御要素になることはありません。

この違いにより、SOLIDWORKSに初めて触れるAutoCADユーザーは、拘束が勝手に追加されたり、図形が意図どおりに動かなくなったりすることで、戸惑いを感じることが多くなります。「この線を少しだけ動かしたいのに動かない」「位置を微調整しようとしたら全体が崩れてしまった」といった現象に直面し、ストレスを感じてしまうのです。

しかしこの拘束ベースの設計方式は、図面とモデルの一貫性を保つうえで非常に重要です。後から数値を変更するだけで図形全体が自動的に再調整されるため、設計変更や再利用に強い柔軟性を発揮します。慣れてしまえば、むしろAutoCADより効率的に図面の変更が行えるようになるでしょう。

3.3. レイヤーと属性管理の違い

レイヤー管理は、AutoCADユーザーにとって非常に馴染みのある考え方です。線の色や太さ、種類をレイヤー単位で管理し、設計内容や工程ごとに図面を分けて整理することで、大規模な製図でも混乱せずに作業を進められるようになります。

ところが、SOLIDWORKSではレイヤーという概念がやや薄く、線ごとの属性設定や「注記スタイル」「シートプロパティ」といった設定で図面全体の見た目や構成を制御するスタイルが取られています。図面全体で共通のフォーマットを適用することに重点が置かれているため、レイヤーによる柔軟なコントロールには向いていません。

この差異により、AutoCADで細かくレイヤーを使い分けていたユーザーは、SOLIDWORKSの属性管理に違和感を覚えることがあります。「線の色を分けたいのに、一括設定しかできない」「レイヤーを切り替えて要素を整理したいのに、そんな仕組みがない」といった不満に繋がるのです。

ただし、SOLIDWORKSがこうした仕様を採用しているのは、3Dモデルとの連携や図面の一貫性を保つという3D CAD特有の設計思想に基づいているためです。モデルとの整合性を重視することで、設計変更に強く、図面ミスも減らせるという利点があります。慣れるまでには時間がかかるかもしれませんが、違いを理解して目的に応じた使い方をすれば、SOLIDWORKSでも十分に効率的な2D作図が可能になります。

4. SOLIDWORKSの2D機能を効果的に使用するためのヒント

引用:SOLIDWORKS Blog:https://blogs.solidworks.com/japan/solidworks-blog/3dexperience/20221122/

SOLIDWORKSの2D作図が「使いにくい」と感じる理由の多くは、設計思想や操作体系の違いからくるものでした。しかし、これらを理解し、適切な工夫を取り入れることで、SOLIDWORKSの2D作業もスムーズに進められるようになります。

この章では、SOLIDWORKS 2Dを効率的に扱うための実践的なヒントを紹介します。カスタマイズ、テンプレートの活用、3Dモデルとの連携といった具体的なアプローチを理解し、日常の設計作業で役立ててください。

4.1. カスタマイズ可能なツールバーとショートカット

SOLIDWORKSを効率的に使うための第一歩は、自分の作業スタイルに合わせたインターフェースのカスタマイズです。初期状態のSOLIDWORKSは、2D作図向けのショートカットやツールバーが最適化されていないため、これを使いやすく調整することが重要です。

  • ツールバーのカスタマイズ:よく使うコマンド(スケッチ、寸法、トリム、エクストルードなど)をドラッグ&ドロップで追加し、常にアクセスしやすい位置に配置しましょう。これにより、毎回メニューを探し回る手間が省けます。
  • ショートカットキーの設定:AutoCADで慣れたショートカット(L = LINE、C = CIRCLE、TR = TRIMなど)をSOLIDWORKSでも再現できます。設定は「ツール」→「カスタマイズ」→「キーボード」から行え、作図のスピードを大幅に向上させられます。
  • ジェスチャーリングの活用:マウスジェスチャーリング(右クリック+ドラッグで表示)は、頻繁に使うコマンドを即座に呼び出せる便利な機能です。4方向または8方向にカスタマイズでき、特に2Dスケッチ作業で威力を発揮します。

カスタマイズは、操作感を自分好みに整えられる強力な手段です。AutoCADの感覚に近づけるも良し、独自のワークフローを構築するも良し。自分の作業スタイルに合わせて柔軟に調整しましょう。

4.2. 効率的なスケッチ技法とテンプレートの活用

次に、SOLIDWORKSでの2Dスケッチを効率化するためのテクニックです。スケッチを効果的に活用し、無駄なく作図を進めるためのポイントを紹介します。

● スケッチテンプレートの作成

SOLIDWORKSでは、あらかじめ寸法スタイル、線種、注記方法などを設定した「スケッチテンプレート」を作成できます。これにより、新規スケッチを開始するたびに設定を変更する手間が省け、一貫した図面品質を保つことが可能です。

  • 寸法スタイルの統一:使用する寸法のフォント、線の太さ、単位をあらかじめ設定しておくことで、作図後に手動で調整する手間を削減できます。
  • 参照ジオメトリと中心線の活用:スケッチには、基準線や中心線を積極的に使用し、対称性や位置関係を明確にしましょう。これにより、後から修正する際にも寸法や形状が整合性を保ちやすくなります。

● 頻繁に使う図形は「ブロック」として保存

よく使う図形(例えば標準部品の輪郭や図面枠など)は、ブロック化して再利用しましょう。挿入時もサイズや位置を調整でき、時短に繋がります。

● 拘束の理解を深める

パラメトリックモデリングを前提とするSOLIDWORKSでは、「寸法拘束」「幾何拘束」の活用がカギです。AutoCADのような自由な配置は難しいかもしれませんが、拘束を適切に使えば、変更時も一貫性が保たれ、効率的な修正が可能になります。

4.3. 3Dモデルからの2D図面抽出の最適化

SOLIDWORKSを使用する最大のメリットは、3Dモデルから自動的に2D図面を生成できることです。この機能を正しく活用することで、2D作図の手間を大幅に削減できます。

● 図面ビューの自動生成

3Dモデルをもとに「図面ビュー」を自動配置できます。正面、側面、平面、断面などの標準ビューはもちろん、任意の角度からのビューもワンクリックで追加可能です。

  • モデルに基づく寸法の自動表示:モデルの寸法をそのまま図面に引き継げるため、わざわざ2D図面で寸法を付け直す必要がありません。
  • アノテーション(注記)の効率化:ボルト穴の位置や径など、3Dモデルで設定した要素を自動で図面に反映できます。これにより、手動で注記を追加する手間が減ります。

● ビューの更新で図面とモデルを常に同期

SOLIDWORKSでは、モデルを変更すると図面も自動的に更新されます。これにより、設計変更があっても図面が最新の状態を保て、手動で修正する手間が省けます。

  • ビューのロック機能:変更したくないビューは「ロック」して固定可能。これにより、不要な修正リスクを防げます。
  • 関連付けの確認:図面とモデルが正しくリンクされていることを定期的に確認し、不意のリンク切れを防ぎましょう。

3Dモデルからの図面生成をうまく活用することで、SOLIDWORKSの2D作図はAutoCADにはない効率性を発揮します。正確で一貫性のある図面を素早く作成できるのは、3D CADならではの強みです。

5. AutoCADとSOLIDWORKSの2D機能の使い分け

ここまで、AutoCADとSOLIDWORKSの2D機能における違いを詳しく解説してきましたが、最終的に重要なのは、どちらのソフトをどんな場面で使うべきかを明確にすることです。どちらも優れたCADツールですが、それぞれに強みがあり、用途によって最適な選択が異なります。

この章では、AutoCADとSOLIDWORKSの2D機能を効果的に使い分けるための基準を示します。特に業務の特性やプロジェクトの要求に応じて、どちらのツールが適しているかを判断できるようになります。理解すべきは「使いにくい」のではなく、「用途に応じて使い分けるべき」という視点です。

5.1. どのタスクにどのツールを使うか

まずは、具体的な業務内容に応じたツールの選び方です。2D作図が主となる作業と、3Dモデルとの連携が求められる作業では、使用するべきソフトウェアが大きく異なります。

■ AutoCADに向いている業務

  • レイアウト設計や平面図作成:建築図面や設備図など、複雑なレイヤー構成で図面を管理する必要がある場合はAutoCADが優れています。レイヤーを活用して線の色や種類を自由に切り替えられるため、視覚的に情報を整理しやすいのが特徴です。
  • 自由な2D作図:設計アイデアを自由に描き起こしたり、簡易的なスケッチを行う場合もAutoCADが適しています。コマンドラインによる直接操作やショートカットが充実しており、短時間で多様な図形を作成できます。
  • 2Dデータの共有と編集:他社や取引先から提供される図面を修正するケースでは、AutoCAD形式(DWG)のファイル互換性が強みとなります。業界標準として広く使われているため、データ互換性も高く、他のCADソフトでの編集もスムーズです。

AutoCADは、2D図面に特化した効率的な作図環境を提供し、設計内容を視覚的に整理しやすいことが強みです。特に寸法や注記、レイヤー管理を駆使した正確な図面を迅速に仕上げることが求められる場合に力を発揮します。

■ SOLIDWORKSに向いている業務

  • 3Dモデルからの図面生成:機械部品や製品設計など、3Dモデルをもとに図面を作成する場合は、SOLIDWORKSが圧倒的に有利です。モデルから自動的に2D図面を生成し、寸法や注記もモデルに基づいて自動配置されるため、手動で図面を描く手間が大幅に省けます。
  • 設計変更に強い図面管理:SOLIDWORKSでは、3Dモデルを修正すれば図面も自動的に更新されるため、設計変更のたびに2D図面を手動で修正する必要がありません。これにより、設計の整合性が確保され、ミスのリスクが減ります。
  • パラメトリック設計が必要な場面:寸法拘束や幾何拘束を使ったパラメトリック設計が求められる場合も、SOLIDWORKSが最適です。図面内の寸法や形状は、定義された拘束に基づいて常に整合性を保つため、変更に強い設計が実現できます。

SOLIDWORKSは、3D CADを前提とした設計環境であり、図面は3Dモデルの派生物として効率的に作成されます。特に設計変更や修正に強く、再利用性が高いため、製品設計や部品図の整合性を維持したい場合に有効です。

5.2. プロジェクトの要件に基づく選択

ツール選びは、単に「2Dか3Dか」というだけでなく、プロジェクトの特性や関係者の構成にも大きく依存します。プロジェクトの規模やチーム構成、図面の受け渡し頻度など、実務的な観点から判断基準を確認しましょう。

■ チーム構成とスキルに合わせた選択

  • AutoCAD経験者が多いチーム:メンバーがAutoCADに慣れている場合、2D作図はAutoCADをメインに使用し、SOLIDWORKSは3Dモデル生成や製品設計に限定する形が適しています。短期間でチーム全体の生産性を維持しやすくなります。
  • SOLIDWORKSスキルが豊富なチーム:逆に、3Dモデリングに精通したメンバーが多い場合は、SOLIDWORKSで3Dモデルを作成し、そこから2D図面を生成するワークフローが効果的です。特に製品設計や部品図面の一貫性を保つうえで有利です。

■ プロジェクトの要求に基づいた選択

  • 3Dモデルが必須のプロジェクト:組立図や干渉チェックが必要なプロジェクトでは、3D CADであるSOLIDWORKSが必須です。設計変更に強く、構成部品の変更が図面に即時反映されるため、効率的に設計変更を管理できます。
  • 2D図面の正確性が求められるプロジェクト:建築図面、電気配線図、配置図など、2D図面が主役となるプロジェクトでは、AutoCADが最適です。レイヤーによる情報整理、ショートカットを使った効率的な描画が可能です。
  • データ共有と互換性が重要なケース:クライアントやパートナー企業と図面をやり取りする場合、業界標準であるAutoCAD(DWG形式)が安全です。多くの企業がAutoCADを使用しており、データ交換がスムーズに行えます。

■ 両者を組み合わせたハイブリッド運用

実務では、必ずしも「どちらか一方」を選ぶ必要はありません。2D作図はAutoCAD、3Dモデルや組立図はSOLIDWORKSといったハイブリッド運用も有効です。プロジェクトの特性に応じて使い分けることで、作業効率を最大化できます。

このように、AutoCADとSOLIDWORKSの2D機能は競合するものではなく、相互補完的なツールです。用途に応じた使い分けを意識し、それぞれの強みを引き出しましょう。

6. まとめ|SOLIDWORKSの2Dは「使いにくい」のではなく「異なる」

「SOLIDWORKSの2Dは使いにくい」と感じる理由は、単なる操作方法の違いだけではありません。実は、SOLIDWORKSとAutoCADは根本から異なる設計思想を持つソフトウェアです。AutoCADは2D製図に特化し、自由度の高い作図が可能です。レイヤー管理、ショートカット、コマンドライン操作を駆使し、効率的に図面を描けるため、建築図面やレイアウト設計などに強みを発揮します。

一方で、SOLIDWORKSは3Dモデリングを中心に設計され、2D図面は3Dモデルから派生するものです。これは単なる「描く2D」ではなく、3Dモデルの情報を正確に反映し、設計変更にも強い「モデル駆動型2D」です。パラメトリック拘束による寸法管理や、3Dモデルからの自動寸法生成、設計変更時の自動更新といった機能は、製品設計や部品図の作成において特に有効です。

この違いは、「どちらが優れているか」を論じるものではありません。むしろ、それぞれの強みを理解し、用途に応じて使い分けることが大切です。AutoCADは2D作図の自由度と視覚的な整理が得意で、素早く図面を作成できます。SOLIDWORKSは、3Dモデルに基づく正確で一貫性のある図面生成が強みです。設計変更があれば図面も自動更新されるため、変更管理が容易でミスも減ります。

実務では、これらの強みをうまく組み合わせるのが理想です。平面図やレイアウト設計にはAutoCADを、製品設計や部品図にはSOLIDWORKSを活用する。2D作図はAutoCAD、3Dモデルからの図面生成はSOLIDWORKSといったハイブリッド運用も有効です。チーム内では、AutoCADに慣れたメンバーには2D作図を、SOLIDWORKSに強いメンバーには3D設計と図面生成を担当させるのも効果的でしょう。

「SOLIDWORKSの2Dが使いにくい」と感じるのは、その設計思想や操作フローがAutoCADとは異なるからです。しかし、その違いを理解し使い分けられれば、SOLIDWORKSは強力な設計ツールとなります。用途に応じた選択で、効率的で質の高い設計業務を実現しましょう。

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参考情報

・SOLIDWORKS オンライン ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/r_welcome_sw_online_help.htm

・AutoCAD オンライン ヘルプ

https://help.autodesk.com/view/ACD/2026/JPN/

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