AutoCADでアングルを描く方法と買い方|設計初心者にもわかる実務の基本
1. はじめに
設計初心者にとって、AutoCADを使ってアングル材(山形鋼)を図面に描き、その部材を実際に購入するまでの流れを理解することは、とても重要です。アングル材は、建築や機械設計など幅広い分野で使われる基本的な部材のひとつであり、補強やフレーム構造に欠かせません。
本記事では、アングル材の基礎知識から始めて、AutoCADでの作図手順、図面上の寸法表記や注記の入れ方、レイヤー管理など、設計に必要な操作をわかりやすく解説します。さらに、作図したアングル材をどうやって購入するのか、購入時に必要な情報や注意点、発注ミスを防ぐためのチェックポイントまでを丁寧に紹介します。
特に、AutoCAD初心者の方は「正しく描いたつもりなのに、伝わらない」「どこで買えばいいかわからない」といった不安を抱きがちです。この記事では、専門用語をできるだけ避け、やさしい表現で実務に役立つポイントを整理しました。
読み終えるころには、アングル材の設計から購入までの一連の流れを把握でき、実際の現場で役立てられる基礎力が身についているはずです。さっそく、アングル材とは何か、その基本から確認していきましょう。
2. アングル材の基本知識
2.1. アングル材とは何か?
アングル材とは、断面が「L字型」に曲げられた鋼材のことで、「山形鋼」とも呼ばれます。建築や機械設計の分野で、補強材やフレームの一部として幅広く使用されています。形状はシンプルですが、軽量でありながら高い強度を持つため、非常に使い勝手の良い部材です。
JIS規格では、アングル材は「等辺山形鋼」と「不等辺山形鋼」の2つに大別されます。等辺タイプは両方の辺の長さが同じで、不等辺タイプは片方の辺が長くなっています。たとえば、L-50×50×5という表記では、両辺が50mmで、厚みが5mmであることを意味します。一方、不等辺であれば、L-40×50×5のように、辺の長さに違いがあることを示します。
こうした寸法表記は設計図面において非常に重要です。特に初心者の方は、AutoCADで部材記号や数値を入力する際に誤記しやすいため、JIS規格を正しく理解したうえで図面に反映させることが大切です。
アングル材は、設計現場で非常に多く使われる基本的な部材のひとつです。たとえば、補強用のフレームを追加したいときや、荷重のかかる箇所に強度を持たせたいときなど、さまざまな状況で採用されています。強度と扱いやすさを兼ね備えた、実用性の高い素材といえるでしょう。
2.2. アングル材の主な用途
アングル材は、そのL字型の構造を活かして、主に建築物や産業機械の補強やフレーム部材として利用されます。もっとも代表的なのが、建築分野における補強材としての使用です。たとえば、階段の手すりの下地や梁の補強、あるいは荷重が集中する部分の補強などに使用されることが多く、耐久性と加工のしやすさが評価されています。
また、機械設備や各種産業機械のフレーム構造にも広く使われています。装置の架台を構成する骨組みや、可動部を支える脚部などに組み込まれることが多く、工場や製造ラインなどでも日常的に採用されています。こうした現場では、規格化された寸法や材質のアングル材が、大量に安定供給されているため、設計段階での採用がしやすくなっています。
さらに、近年ではDIY分野や個人向けの工作にもアングル材が利用されるようになってきました。ホームセンターなどでは、小分けでの販売も行われており、初心者でも手軽に入手できる点が魅力です。実際の現場では、アングル材をどう調達するかを知っているかどうかが、作業効率や在庫管理にも大きく関わってきます。
このように、アングル材は設計や施工のあらゆるシーンで使用されている、極めて実用的な基本部材といえます。用途や使用目的を事前にしっかり把握しておくことが、図面作成時や材料手配時に重要なポイントとなります。
2.3. アングル材のサイズと材質
アングル材はJIS規格に基づき、さまざまなサイズ(辺の幅や板の厚み)で製造・販売されています。一般的には、6mなどの「定尺」で販売されているものが多く、必要に応じて切断や加工が可能です。設計図面を作成する際には、使用するアングル材のサイズを正確に把握しておく必要があります。
材質についても複数の選択肢があります。もっとも一般的に使われているのは、汎用鋼材の「SS400」です。これはバランスの良い強度とコストパフォーマンスが特徴で、多くの構造物で採用されています。そのほか、耐食性に優れた「ステンレス鋼(SUS304など)」や、軽量で加工しやすい「アルミニウム材」などもあり、用途に応じて最適なものを選ぶ必要があります。
たとえば、屋外で使用するフレームなら、錆に強いステンレスを選ぶのが適切ですし、軽さが求められる装置の部品にはアルミ材が適しています。材質によって加工性や強度、耐候性が大きく異なるため、使用環境を踏まえて選定することが大切です。
設計図面では、サイズ情報とあわせて「どの材質を使うか」を明記しておくことで、購入担当者や加工業者にとっても判断がしやすくなります。後工程でのミスや手戻りを防ぐ意味でも、図面における材質の記載は欠かせません。
このように、アングル材のサイズと材質に関する基本的な理解を持っておくことで、AutoCADでの作図や、購入・加工の各工程が格段にスムーズになります。
3. AutoCADでアングルを描く前の準備
アングル材の基本を理解したところで、次は実際にAutoCADで図面を描いていくステップに進みましょう。ですが、いきなり作図を始めるのではなく、まずはAutoCADの基本操作を確認し、作図に必要な情報を整理しておくことが重要です。
初心者の方ほど、初期設定や作図環境が整っていないことで作業が進まず、途中でつまずくことがあります。事前準備をしっかり行っておくことで、設計の精度や効率を大きく向上させることができます。
ここでは、設計初心者が最初に押さえておくべき「AutoCADの基本操作」と、「図面作成前の情報整理」についてわかりやすく解説します。
3.1. AutoCADの基本操作
まずは、AutoCADを起動した際の作業画面の構成を把握するところから始めましょう。メニューの位置やリボンの表示、コマンドラインの場所と役割など、基本的な操作環境に慣れておくことが作業効率に直結します。
初心者の方には「Drafting & Annotation」ワークスペースの使用をおすすめします。このモードは2D設計に適しており、よく使う機能が分かりやすく配置されています。
続いて、基本的なコマンド操作にも慣れておきましょう。たとえば、線を引く「LINE」、円を描く「CIRCLE」、線をオフセットする「OFFSET」などが基本操作として頻繁に使われます。アングル材のようなL字形状を描くには、「POLYLINE(ポリライン)」や「RECTANGLE(長方形)」といったコマンドも役立ちます。
また、正確な作図をするために重要なのが「オブジェクトスナップ」や「極トラッキング」などの補助機能です。これらを使えば、図面上の基準点や角度を簡単に捉えることができ、寸法のズレを防ぐことができます。
すべての機能を一度に覚える必要はありません。最初のうちはAutoCADのチュートリアルや操作ガイドを参考にしながら、基本操作を繰り返し実践することで、自然と作図スキルが身についていきます。
3.2. 図面作成に必要な情報の整理
作図作業を始める前に、「どんなアングル材を、どこに、どのように使うのか」という情報を整理しておくことが非常に大切です。これを怠ると、設計中に迷いが生じたり、手戻りの原因になります。
まずは、以下のような項目を明確にしておきましょう:
- 使用する部位(どこに設置するのか)
- 必要な本数と長さ
- 材質(例:SS400、SUS304など)
- 寸法(辺の長さ、厚み)
- 使用するJIS規格の種類
特に、アングル材が機械フレームのように他部材と接合する場合には、接合位置やボルト穴の位置などを事前に検討しておく必要があります。全体構造との兼ね合いを意識して、設計に必要な寸法や形状を具体的に考えておくことがポイントです。
また、レイヤー管理の準備も忘れてはいけません。AutoCADでは、レイヤーごとに異なる要素を管理できます。たとえば、「アングル材用レイヤー」「補助線レイヤー」「注記用レイヤー」などに分けておくことで、表示の切り替えや印刷設定が格段にしやすくなります。
レイヤー名は「ANGLE」「DIMENSION」「NOTE」など、誰が見ても分かるように命名しておくと、チーム作業や図面修正の際に非常に役立ちます。きちんとしたレイヤー管理は、設計初心者にとっても図面全体の見通しを良くする効果があります。
図面作成は、事前準備の良し悪しで作業の質が大きく変わります。しっかりと必要な情報を整理してから作図に入るようにしましょう。次のセクションでは、実際にAutoCADを使ってアングル材を描く具体的な方法について詳しく解説していきます。
4. AutoCADでアングルを描く手順
ここからは、AutoCADを使ってアングル材を図面に描いていく具体的な手順を紹介します。作図の方法を理解しておくことで、実際の設計業務でもスムーズにアングル材を扱えるようになります。
とくに初心者の方にとっては、コマンド操作に慣れながら進めることが大切です。難しいと感じる部分もあるかもしれませんが、基本から順を追って作図していけば、誰でも正確な図面を描けるようになります。
ここでは、まずシンプルなアングルの描き方を説明し、その後に注記やレイヤー管理のポイント、そして効率よく描くための応用テクニックについて紹介します。
4.1. 基本的なアングルの描き方
アングル材の作図は、2D図面上にL字形状を正確に描くことから始まります。代表的な描き方は、まず外形を「RECTANGLE(長方形)」や「POLYLINE(ポリライン)」コマンドで作成し、そのあと「OFFSET(オフセット)」コマンドで板厚を内側にずらして描画する方法です。
たとえば、等辺アングル材(L-50×50×5)の場合は、まず50mm×50mmの正方形を描き、その内側に5mmオフセットしてもう一つの線を作成します。不要な部分は「TRIM(トリム)」コマンドで削除し、L字形状を完成させます。
不等辺アングル材(例:L-60×40×5)の場合は、最初から60mmと40mmの辺を手動で描く必要があります。ポリラインで二辺を直角に結んだ後、同じようにOFFSETを使って内側に厚みをつけていく流れです。
作図したアングルの断面には、寸法線を入れてサイズを明示しましょう。AutoCADの「DIMENSION(寸法)」コマンドを使い、各辺の長さや板厚を正確に記入することが重要です。また、単位(mmなど)をしっかり記載しておくと、図面を見る他の人にも意図が伝わりやすくなります。
さらに、断面図だけでなく、必要に応じて長さ方向の展開図も追加すると、より実際の形状がイメージしやすくなります。こうした基本手順を押さえることで、アングル材の作図に自信が持てるようになります。
4.2. 注記とレイヤーの管理
アングル材の形状を描いたら、次はその図面に注記を加えます。たとえば、アングル材のサイズや材質(例:SS400、SUS304など)、必要に応じて加工指示(穴あけ位置、切断角度など)を記載します。
このときのポイントは、注記が誰にとっても見やすく、わかりやすいレイアウトであることです。文字サイズや配置位置を整えておくことで、図面の読み取りやすさが大きく変わります。
さらに、端部処理の指示(切断面を斜めにカットするなど)を忘れずに描いておくことも大切です。実務では、こうした情報がないまま加工されてしまい、後で修正が必要になるトラブルも少なくありません。
レイヤー管理にも気を配りましょう。アングル材の主線、寸法線、注記、補助線などは、それぞれ異なるレイヤーに分けておくと便利です。たとえば、アングル材は「ANGLE」、寸法線は「DIMENSION」、注記は「NOTES」といった名称を使えば、図面の構造がより明確になります。
レイヤーごとに色や線種を設定しておけば、図面の視認性も高まり、他の設計者との共同作業もスムーズになります。こうした基本を丁寧に押さえておくことで、初めての図面でも質の高い成果物が得られるようになります。
4.3. 応用編:効率的なアングルの描き方
基本操作に慣れてきたら、次はより効率よくアングル材を描くための方法を取り入れてみましょう。代表的なのが「ブロック機能」の活用です。よく使うサイズのアングル材をブロックとして登録しておけば、新しい図面に素早く配置でき、作業時間の短縮につながります。
たとえば、「L-50×50×5」のアングル材をブロックとして登録しておけば、今後の設計図で再利用する際に毎回描き直す必要がなくなります。ブロックには寸法や注記を含めることもできるため、描き忘れ防止にもつながります。
また、同じ形状のアングル材を複数配置したい場合には、「ARRAY(配列)」コマンドを使うと便利です。たとえば、機械のフレームで等間隔にアングル材を配置する場合、このコマンドを使えば一括で配置できます。配置パターンを指定することで、繰り返し作業が大幅に効率化されます。
加工指示が必要な場面では、穴あけ位置や溶接位置などの詳細を記入することが求められます。図面上に記載しておくことで、加工ミスを防ぐだけでなく、業者とのやり取りもスムーズになります。
こうした応用的なテクニックを取り入れることで、作図の正確さとスピードが格段に向上します。AutoCADの機能をうまく活用し、作業を効率化していくことが、設計者としてのスキルアップにつながるのです。
5. アングル材の購入方法
AutoCADでアングル材の図面を作成した後は、実際の部材を購入する段階に進みます。図面通りに製作・施工するためには、適切な購入先を選び、必要な情報を正確に伝えることが重要です。設計者の意図が正しく伝わらないと、現場でのミスや手戻りが発生する可能性もあるため、ここからのプロセスにも丁寧に対応しましょう。
このセクションでは、アングル材をどこで購入すればよいのか、購入時に必要な情報は何か、そして伝達ミスを防ぐためのチェックリストについて順に解説します。
5.1. 購入先の選択
アングル材の購入先にはいくつかの選択肢があり、用途や数量、納期、コストなどによって適切な手段が異なります。
まず、業務用途での大量発注や特注加工が必要な場合は、鋼材専門の商社や加工業者に直接依頼するのが一般的です。こうした業者はJIS規格品を常備していることが多く、寸法カットや穴あけなどの追加加工にも対応しています。納品までのフローが整っているため、業務用としては最も安心できるルートといえます。
一方、少量購入や急ぎの場合には、ホームセンターやネット通販を活用する方法もあります。たとえば、カインズやコメリといった大型ホームセンターでは、1本単位で購入できるアングル材が用意されていることがあり、店舗によってはその場でカットサービスを提供している場合もあります。また、オンラインではMISUMI(ミスミ)やモノタロウなどの産業用通販サイトでも幅広いサイズや材質のアングル材を注文することができます。
ただし、オンラインでの購入では、材質や厚み、加工内容などの選定ミスが発生しやすくなるため、図面と仕様をよく確認してから注文するようにしましょう。また、長尺材を購入する場合は送料が高額になるケースも多いため、配送条件や送料込み価格の確認も忘れずに行いましょう。
5.2. 購入時に必要な情報
アングル材をスムーズに発注するためには、あらかじめ必要な情報を整理し、相手に正確に伝えることが大切です。とくに加工を依頼する場合には、設計図面の添付だけではなく、口頭やテキストでも仕様を補足しておくと、トラブル防止につながります。
以下は、発注時に伝えるべき主な情報の一覧です:
- 材質(例:SS400、SUS304、アルミなど)
- 寸法(辺の長さ、板厚)
- 定尺かカット品か(必要な長さの指示)
- 加工内容(穴あけ、斜めカット、バリ取りなど)
- 本数(数量の明示)
- 希望納期
- 図面の形式(PDF、DXF、DWG など)
加工を含む発注を行う場合は、AutoCADで作成した図面をPDFやDXFファイルで提出するのが一般的です。このとき、ファイル名にサイズや案件名を含めるなど、整理された状態で共有することで、確認作業がスムーズになります。
また、図面と仕様書の内容が一致しているかを事前に確認し、ダブルチェックを行うことが重要です。これにより、誤発注や納期遅れといったトラブルを未然に防ぐことができます。
5.3. 伝達ミスを防ぐためのチェックリスト
設計者が意図した仕様どおりにアングル材を調達するためには、図面や仕様のミスを極力減らす工夫が必要です。ここでは、発注前の最終確認に役立つチェックリストを紹介します。
- 寸法の単位(mm、inchなど)を正しく明記しているか?
- 不等辺アングルの短辺と長辺が正しく指定されているか?
- 材質と表面処理の記載に漏れがないか?
- 穴位置やカット形状の寸法が明確に記されているか?
- 注文数と使用数に食い違いがないか?
- 図面のバージョンが最新のものになっているか?
- ファイル名やフォルダが分かりやすく整理されているか?
上記のチェックを行ってから発注することで、図面を受け取った加工業者や発注担当者が内容を正しく理解しやすくなります。また、これらの確認項目を社内で共有ルールとして定めておくと、チーム全体の品質管理にもつながります。
小さなミスでも後工程で大きな手戻りになる可能性があるため、チェックリストを活用した確認作業は非常に有効です。安心して図面を渡せる状態にしておくことが、スムーズな調達と品質確保のカギになります。
6. よくあるミスとその防止法
AutoCADでアングル材を設計し、実際に購入・加工に進む際には、初心者に限らずベテランでも陥りがちなミスがいくつかあります。こうしたミスは、図面の誤読や仕様の食い違いといった形で現れ、納品トラブルや作業のやり直しにつながることも少なくありません。
ここでは、特によく見られる代表的なミスと、それを未然に防ぐための具体的な対策について解説します。事前にこうしたポイントを意識しておくだけでも、設計から発注までの流れが格段にスムーズになり、作業全体の信頼性が向上します。
ミス1:アングル寸法の記載ミス
等辺と不等辺の区別が曖昧なまま図面に記載してしまい、発注先に誤った情報が伝わってしまうケースがあります。たとえば、「L-50×40×5」と描きたかったのに、両辺が50mmであるかのように見える図面を提出してしまうと、発注先で誤認が起こります。
防止法: 寸法表記は「長辺×短辺×板厚」の順に統一し、注記で「等辺」または「不等辺」であることを明記します。断面形状が明確にわかるよう、簡単な断面スケッチを添付するのも効果的です。
ミス2:加工指示の伝達不足
「図面を見ればわかるだろう」と思って指示を書かずにいた結果、現場で思っていた通りに加工されなかった、というトラブルも多く見られます。特に穴あけ位置や角度切断など、図面内に明示されていない情報は見落とされがちです。
防止法: 図面とは別に、加工指示一覧をテキストまたは注記として添付し、具体的に「どの面に」「どの寸法で」加工が必要かを記載することが有効です。できれば加工業者との事前打ち合わせも行い、指示の意図を共有するようにしましょう。
ミス3:レイヤーの管理が不十分
複数の要素を同一レイヤーにまとめてしまうと、印刷時や後工程で何が主線か、どこが補助線かが分かりづらくなり、作業効率やミスのリスクが高まります。特に寸法や注記が他の要素と重なっていると、読み取りミスの原因になります。
防止法: レイヤーは作図時点で用途別に分類しておくのが基本です。たとえば「アングル形状」「寸法」「注記」「センターライン」などで明確に分け、各レイヤーに異なる色や線種を設定します。また、他者と共有する前に不要なレイヤーは削除し、図面を整理しておくことも大切です。
ミス4:材料の仕様抜け
アングル材の材質や表面処理の指示を忘れてしまい、思っていたよりも強度が不足していた、錆が発生してしまった、という事例もあります。図面だけでは判別が難しいことも多いため、仕様の明記が不可欠です。
防止法: 図面上に必ず「材質」と「表面処理(例:亜鉛メッキ仕上げ、塗装あり等)」を記載します。材料コードやメーカー仕様に合わせた記述にしておくと、購買担当者や業者とのやりとりがスムーズになります。
ミス5:図面のバージョン管理ミス
過去に修正した古い図面ファイルを誤って使用してしまい、最新の設計内容と異なるものが発注されるケースです。チームで図面を扱っている場合、こうしたバージョン管理のミスは発生しやすくなります。
防止法: ファイル名に日付やバージョン番号を明記し、最新版の図面だけを明確に管理するルールを定めましょう。AutoCADの「シートセットマネージャー」や、社内のファイル共有システムを活用することも効果的です。
このように、アングル材に関する設計から購入・加工に至るまでには、気をつけるべきポイントが多く存在します。しかし、あらかじめよくあるミスとその対策を知っておけば、業務上のトラブルは大きく減らすことができます。設計の品質を高め、発注先との信頼関係を築くためにも、こうした確認作業を丁寧に行う姿勢が大切です。
7. まとめ|AutoCADでアングルを描く方法と買い方
この記事では、アングル材の基本知識から、AutoCADを使った作図方法、図面の管理、実際の購入方法に至るまで、設計初心者の方でも理解しやすいよう順を追って解説してきました。
アングル材は建築や機械設計など、さまざまな分野で頻繁に使用される部材であり、正確な作図と的確な情報伝達が非常に重要です。AutoCADでは、ポリラインやオフセット、ブロック、配列といった基本機能を活用することで、効率的にL字形状のアングル材を描くことができます。また、図面に必要な注記や寸法、レイヤー管理を正しく行うことで、加工現場や取引先との認識のズレを防ぐことができます。
さらに、アングル材の購入においては、購入先の選定や発注情報の整理、ミス防止のチェックリストが実務の精度を左右します。図面作成と材料調達は別の工程であっても、密接に関わり合っているため、全体を見通した設計者の視点が求められます。
初めてAutoCADでアングル材を描く方にとって、本記事の内容が、実務の第一歩を踏み出すうえでの道しるべとなれば幸いです。正確な図面と確実な情報伝達が、スムーズなものづくりを支える基本です。ぜひ今回のポイントを実務に役立ててください。
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❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX

<参考文献>
AutoCAD サポート | Autodesk
https://www.autodesk.co.jp/support/technical/product/autocad
モノタロウ 現場を支えるネットストア
MISUMI(ミスミ) | 総合Webカタログ
CAD-DATA.com | CADデータ共有サイト