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AutoCAD LT 2024はまだ使える?販売終了後の現状と代替CADを解説

1. はじめに

1.1 AutoCAD LT 2024の現状と読者への影響

「AutoCAD LT 2024はまだ使えるの?」「今から買えるの?」
そんな疑問を持ってこのページを訪れた方も多いのではないでしょうか。

AutoCAD LTは、長年にわたり中小企業の設計現場や技術者に支持されてきた2D CADソフトです。特にコストパフォーマンスに優れ、AutoCADと同じDWG形式を扱える点が評価されていました。しかし、Autodesk社はこのAutoCAD LTの新規販売をすでに終了しており、これから新しく導入しようと考えている方や、長年使ってきた方々にとっては大きな転換点を迎えています。

現在、すでにサブスクリプション契約中のユーザーは、契約を更新することで引き続きAutoCAD LT 2024を利用できますが、新規ユーザーが正規ルートでこのソフトを導入することはできません。実質的に、代替CADソフトの検討が避けられない状況となっています。

この背景には、業界全体で進むサブスクリプションモデルへの移行や、BIM・3D・クラウドといった新たな技術への対応が求められている現実があります。企業にとっては、これまでの永久ライセンス中心の運用から、新しい契約形態やソフトウェアの選択に迫られているのです。

1.2 この記事の目的と構成

本記事では、AutoCAD LT 2024の現状と販売終了の背景をわかりやすく整理し、今後どのような選択肢があるのかを具体的にご紹介します。

  • AutoCAD LT 2024が今どのような立場にあるのか
  • 既存ユーザーと新規ユーザー、それぞれにとって何ができるのか
  • AutoCAD本体や他社製の代替CADにはどんな違いがあるのか
  • 乗り換えの際に気をつけたいポイントとは?

DWG互換性や学習コスト、サポート体制など、重要な検討材料も交えながら解説していきます。AutoCAD LTユーザーの方やこれから2D CADを導入したい方にとって、最適な判断材料になるよう、実用的な情報をまとめました。

2. AutoCAD LT の販売終了について

2.1. 販売終了の経緯と背景

AutoCAD LT の新規販売終了は、Autodesk社が長期的に進めてきた製品ラインの統合と整理の一環として位置づけられています。これにより、同社はこれまでのように用途ごとに細かく分かれたソフトを展開するのではなく、よりシンプルで包括的な製品体系を目指す方針を打ち出しました。

この背景には、Autodeskがサブスクリプション型ライセンスへの移行を加速させたいという狙いがあります。多くのユーザーが従来の買い切り型(永久ライセンス)を使っていた中で、今後は継続的にアップデートが受けられるサブスクリプションモデルを主軸とすることで、常に最新機能とセキュリティを提供しやすくなるというメリットがあります。

また、近年は2D設計のみならず、3Dモデリング、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)、クラウド連携など、設計業務そのものが多機能化・高度化しています。これに伴い、Autodeskとしては2D専用のAutoCAD LTではなく、より多機能なAutoCAD本体への一本化を進めることで、ユーザーの業務範囲拡大にも対応しやすくなります。

こうした方針により、AutoCAD LTは新規提供が終了しました。従来からのユーザーにとっては突然の変更と映るかもしれませんが、これはAutodeskに限らず、業界全体で見られるライセンスや機能の統合・再編の流れの一部でもあります。

2.2. サブスクリプションと永久ライセンスの違い

AutoCAD LTをはじめとしたCADソフトウェアでは、かつては「永久ライセンス」が主流でした。これは一度ソフトを購入すれば、その後もずっと使用し続けることができるという方式です。企業にとっては初期投資が大きい反面、長期的にはコストを抑えられるというメリットがありました。

しかし近年は、月額または年額で料金を支払う「サブスクリプション型」が主流になっています。この方式では、契約期間中であれば常に最新版のソフトを利用できるほか、自動的にアップデートが提供されるため、セキュリティや機能面での安心感があります。さらに、サポートサービスも利用しやすくなるなど、全体としての運用のしやすさが評価されています。

一方で、永久ライセンスには注意すべき点もあります。例えば、ソフト自体は使用可能でも、OSのアップデートに対応しきれなかったり、DWGなどのファイル形式が新しくなった場合に互換性に問題が生じたりすることがあります。特にWindowsのバージョンが変わった際には、動作しなくなるリスクもあるため、長期的な運用を考える上では慎重な判断が必要です。

現在では、Autodeskも新たな永久ライセンスの提供は行っておらず、サブスクリプション型への移行を前提とした製品展開となっています。そのため、これから新しくCADソフトを導入する場合や、既存のソフトを更新する場合には、この新しいライセンス体系を前提に比較・検討することが求められる時代になっています。

3. 現在のAutoCAD LT 2024の利用状況

3.1. 既存ユーザーの利用可能性

現在すでにAutoCAD LT 2024を利用しているユーザーであれば、サブスクリプション契約を継続している限り、引き続きソフトを利用することが可能です。契約期間中は最新版の状態が維持され、サポートやアップデートも受けることができます。ただし、契約更新のタイミングで料金プランや提供条件が変更されることもあるため、更新前には必ず内容を確認しておくことが重要です。

一方、過去にAutoCAD LTを買い切り型の永久ライセンスで導入したユーザーも、ライセンスが有効であれば引き続き使用することは可能です。しかし、ソフトが古くなることで、将来的には対応OSが限られたり、Autodeskによる公式サポートが終了することも考えられます。その場合、トラブルが発生してもサポートが受けられなかったり、DWG形式の図面ファイルに互換性の問題が生じたりするリスクが高まります。

とくに、中小企業で設計業務を担っている技術者にとっては、「あと何年、問題なく使い続けられるか」という点が切実な問題になります。AutoCAD LT 2024が今後のWindowsアップデートに対応しきれない場合や、社内で使っている他ソフトとの連携が難しくなるケースもあるため、運用リスクと費用対効果のバランスを見極めながら慎重に判断する必要があります。

3.2. 新規ユーザーの選択肢

現在、新規でAutoCAD LT 2024を導入することは基本的にできなくなっています。Autodeskは既にAutoCAD LTの新規販売を終了しており、正規ルートでは新しいライセンスの取得ができない状況です。これから2D CADソフトを新たに導入しようと考えている方は、AutoCAD LTを選ぶことができないため、代替となるソフトウェアの検討が必須となります。

もし、業務でどうしてもAutoCADの機能を必要とする場合は、現在提供されているAutoCAD(本体)のサブスクリプション契約を選択する方法があります。これはAutodeskが提供する正式な後継ツールであり、DWGファイルとの互換性も非常に高く、安心して使用できます。ただし、AutoCAD本体はLTと比べて高機能である反面、価格も高くなる傾向があります。

特に、2D図面の作成のみを行う業務であれば、AutoCAD本体の機能すべてを使う機会は少ない場合もあるため、費用対効果を考慮して別の2D CADソフトを選ぶ企業が増えています。たとえば、BricsCADやZWCAD、ARES CADといったDWG互換ソフトは、AutoCAD LTに近い操作性を持ちつつ、コストを抑えて導入できる選択肢として注目を集めています。

さらに、社内の図面作成業務のボリュームやチーム構成、使っているデータ形式の互換性などを総合的に見極めることが、ソフト選定のカギとなります。無料で使えるCADソフトも存在しますが、業務利用には機能やサポート面で不足が生じる可能性があるため、慎重な検証が欠かせません。導入後の安定運用まで見据えた上で、自社に合ったCADソリューションを選ぶことが重要です。

4. AutoCAD LT 2024の代替CADソフトウェア

4.1. 主要な代替CADの紹介

AutoCAD LTの新規導入ができなくなった今、2D CADを必要とする企業や技術者は、代わりとなるソフトウェアを選定する必要があります。まず最初に挙げられるのが、Autodeskが提供するAutoCAD(本体)のサブスクリプション契約です。これは、開発元が同じため、操作感やファイル互換性に優れており、これまでAutoCAD LTを使っていたユーザーでも違和感なく移行しやすいという特徴があります。また、2Dだけでなく3D設計やカスタマイズ機能も搭載されており、より高度な設計ニーズにも対応できます。ただし、ライセンス料金はAutoCAD LTより高くなるため、費用面では慎重な検討が求められます。

次に注目されているのが、BricsCAD、ZWCAD、ARES CADといった他社製の2D CADソフトです。これらはAutoCAD LTと同じくDWG形式に対応しており、操作性も類似しているため、乗り換え時の学習コストを抑えやすいというメリットがあります。加えて、多くの製品では買い切り型ライセンスとサブスクリプション型の両方が用意されており、導入形態に柔軟性があるのも利点です。

特にBricsCADは、2Dから3Dへのシームレスな移行を可能にし、将来的な設計ニーズの変化にも対応できる点が評価されています。また、ZWCADは高いコストパフォーマンスと軽快な動作が特長で、複数ライセンスを導入したい企業にも適しています。ARES CADは、クラウド対応や柔軟な運用が可能で、リモートワークとの相性が良い点でも人気を集めています。

さらに、日本国内で広く使われているIJCADも有力な選択肢のひとつです。日本語でのサポートが受けられるほか、ユーザーインターフェースがAutoCAD LTに非常に近いため、社内の教育コストを抑えたい企業には特におすすめです。価格帯も比較的リーズナブルに設定されており、コストと操作性のバランスが取れたCADソフトとして評価されています。

このように、AutoCAD LT 2024の代替CADにはさまざまな種類があり、ニーズや予算に応じて選択できる環境が整ってきています。それぞれのソフトに特徴がありますので、自社の業務内容や導入環境に応じて、最適なツールを選定することが求められます。

4.2. 代替CADの選び方

代替CADを選ぶ際には、まずDWG互換性の高さを重視することが重要です。既存のAutoCAD LTで作成した図面データをそのまま使い続けたい場合、ファイルを開いたときにレイアウト崩れやフォントの表示不具合が起こらないかどうかを、あらかじめ確認する必要があります。ペーパー空間や外部参照、ブロック構成などの要素が正しく表示されるかも、業務への影響が大きいため注意深くチェックしましょう。

次に注目すべきなのが操作性とカスタマイズ性です。これまでAutoCAD LTを使い慣れていた場合、操作手順やショートカットが大きく異なると現場で混乱を招くことがあります。そのため、移行先のCADソフトがどれだけAutoCAD LTのUIや操作感に近いかを確認することが大切です。画面構成やコマンド体系が似ていれば、移行後のトレーニング時間も大幅に短縮できるでしょう。

また、導入後のサポート体制も選定時の大きなポイントです。特に中小企業では社内に専任のIT担当者がいないことも多く、トラブルが発生した際に迅速な対応が受けられるかどうかが安定運用の鍵となります。電話やメールでの問い合わせ対応、マニュアルの充実度、日本語サポートの有無なども事前に確認しておきましょう。

さらに、コストの見積もりも忘れてはなりません。CADの価格を比較する際は、ソフトウェアの初期導入費用だけでなく、ライセンス更新費や年間保守費用も含めたトータルコストで検討することが大切です。サブスクリプション型は初期費用を抑えられる一方で、長期運用すると結果的に高くなる場合もあります。反対に、買い切り型は初期費用はかかりますが、その後の維持費が安定するため、中長期的な視点で判断するとメリットが大きいケースもあります。

最後に、自社のCAD利用環境や将来的な業務の拡張性も考慮しながら、必要な機能を過不足なく備えているかを見極めることが大切です。導入前に無料トライアル版などで操作性を実際に試しておくと、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。複数の製品を比較しながら、自社の業務に本当に合ったCADソフトを選ぶことが、円滑な移行と安定した運用への第一歩となります。

5. 移行時の検討ポイント

5.1. データ互換性と操作性

AutoCAD LT 2024から別のCADソフトに移行する際には、まず最優先でデータの互換性を確認する必要があります。とくにDWG形式の図面データを日常的に扱っている場合、移行先のCADソフトがそれらのファイルを問題なく開けるかどうかは非常に重要なポイントです。DWG互換をうたっているソフトであっても、ペーパー空間の表現、外部参照(Xref)の読み込み、レイヤー構成、寸法スタイルなど、細部にわたって正確に再現されるかを事前にテストしておくと安心です。

また、社内で使用している図面テンプレートやカスタム設定の引き継ぎにも注意が必要です。独自の枠やフォーマット、印刷スタイル(CTB/STB)、ブロック、ハッチングパターンなどがある場合、それらを再設定する作業には時間がかかることがあります。とくに大量のテンプレートを運用している場合は、あらかじめ変換や再作成の手間を見積もっておくことが重要です。

操作性の面では、従来のAutoCAD LTに慣れているユーザーほど、新しいソフトに対して違和感やストレスを感じやすくなります。そのため、移行先のソフトがどれだけAutoCAD LTに近い操作感を持っているかが、移行の成否を左右するカギになります。コマンド体系やショートカットキー、画面構成の違いが少なければ、移行にともなう社内教育の負担も軽減できます。

たとえば、IJCADなどのソフトはAutoCADに近いUI設計がされており、操作面でのギャップが少ないため、スムーズに切り替えられる可能性が高いです。実際に業務でよく使う作図機能や編集操作が、新しいソフトでどのように実現できるかを事前に試すことで、移行後のトラブルを減らすことができます。

5.2. コストとサポート体制

新しいCADソフトを導入する際には、コスト面とサポート体制の両方をバランスよく見極めることが大切です。まずコストについては、単純なライセンス料金だけではなく、導入後にかかる保守費用や年間の更新費用も含めて、トータルでのコストを見積もることが重要です。サブスクリプション型は初期費用を抑えやすい反面、契約を続けていくと数年単位で見ると支出が増える傾向があります。一方、買い切り型のライセンスは導入時に大きなコストがかかりますが、その後の運用コストは安定しやすいというメリットがあります。

とくに中小企業の場合、導入予算だけでなく、毎年の運用コストや更新スケジュールが経営に与える影響も考慮する必要があります。仮に一時的にコストを抑えられたとしても、長期的な費用がかさんでしまっては意味がありません。そういった意味でも、数年間の総費用で比較検討することが賢明です。

加えて、サポート体制の充実度もCADソフト選定においては見逃せない要素です。導入直後は設定や運用で疑問点が出てくることが多く、トラブル対応や操作説明をスムーズに受けられるかどうかが、日々の業務に直結します。たとえば、電話やメールによる問い合わせ対応の有無、対応時間帯、日本語でのサポートの可否などを確認しておくことが大切です。

また、導入時にはトレーニングサポートが用意されているかどうかもポイントです。社内に専門知識を持つ人材がいない場合、初期設定や操作教育を外部サポートに頼れるかどうかは、移行のスムーズさを大きく左右します。トラブル発生時の対応マニュアルやFAQが充実しているかも、あらかじめチェックしておくと安心です。

特に中小企業や小規模チームでのCAD導入では、サポート面が手薄なソフトを選ぶと、少人数の現場で大きな業務遅延が起こるリスクがあります。価格だけでなく、「どれだけ安心して使い続けられるか」を重視して選ぶことが、結果的には効率とコスト削減の両立につながります。

6. まとめ

AutoCAD LT は、新規販売が終了しているものの、既存ユーザーであればサブスクリプション契約を継続することで引き続き使用することが可能です。ただし、将来的にはOSのアップデートやサポート終了の影響により、安定した運用が難しくなるリスクがある点も考慮しなければなりません。とくに、長期間にわたって同じ環境で業務を続ける必要がある企業にとっては、事前の準備や移行計画がますます重要になります。

一方で、新たに2D CADソフトを導入したいと考えているユーザーにとっては、AutoCAD LT 2024を選ぶことは実質的にできません。そのため、今後はAutoCAD(本体)や他社製のDWG互換CADといった新しい選択肢の中から、自社に合ったソフトを見つけていくことが必要です。AutoCAD本体を選べば、3D機能やより高度なツールが使える一方で、コストが高くなるという面もあります。

代替CADとしては、BricsCAD、ZWCAD、IJCAD、ARES CADなどがあり、それぞれに特長や価格帯、ライセンス形態の違いがあります。どのソフトを選ぶにしても、互換性、操作性、サポート体制、導入コストなど、複数の観点から総合的に比較し、自社の業務内容や将来の拡張性に合ったものを選定することが大切です。
AutoCAD LTが使えなくなったことは確かに大きな変化ですが、それをきっかけにより柔軟で高機能なツールを導入する好機と捉えることもできるでしょう。

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❹建設業界におけるDX

<参考文献>

AutoCAD LT 販売終了 | サブスク更新・後継製品について | Autodesk

https://www.autodesk.com/jp/products/autocad-lt/end-of-sale

オートデスクで購入 | 購入オプション | Autodesk

https://www.autodesk.com/jp/buying/overview

AutoCADとLTの違いとは?新規販売が終了したLTの後継製品と移行方法も解説 | 株式会社キャパ

https://www.capa.co.jp/archives/45711

AutoCAD(オートキャド)と高い互換性のCAD IJCAD

https://ijcad.jp/

CADソフトウェア – 2D/3D CAD – Bricsys®

https://www.bricsys.com/ja-jp

「公式」ZWCAD – AutoCAD互換の最高の汎用2DCADソフト | ZWSOFT

https://www.zwsoft.co.jp/zwcad/

Graebert CADソフトウエア – デスクトップ、モバイル、クラウドの最新のDWG編集

https://www.graebert.com/ja/

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