Inventorでモデル内部を埋める方法|STL・STEPが空洞になる原因とソリッド化手順を解説
1. はじめに
3Dプリンタ用のモデルを作成したり、解析用の形状を準備したりしていると、STLやSTEPファイルを読み込んだはずなのに、中身が空洞になっていて困った…… そんな経験はありませんか。
これは珍しいトラブルではなく、データ形式の性質やインポート時の設定によって起こりやすい現象です。たとえば、Autodesk Inventorでは STLは3Dメッシュ(メッシュボディ)として扱われる ため、そのままではソリッドモデルになりません。また、STEPファイルでもわずかなギャップや精度の違いによって、ソリッドとして取り込めずサーフェス扱いになり、内部が空洞のように見えるケースがあります。
本記事では、こうした「モデル内部が埋まらない」問題に悩む方に向けて、
- Inventorで空洞が発生する本当の理由
- ソリッド化に必要な基本操作
- 実務に役立つ修復テクニック
をわかりやすく解説します。
特に、パッチ(Boundary Patch) や スティッチ(Stitch) といったInventorの修復機能は、空洞化したSTL・STEPをソリッドへ復元するうえで欠かせない重要要素です。メッシュ修復やトラブルシューティングも含め、効率よくモデリングを進めるための実践的なノウハウをまとめました。
この記事を通じて、Inventorでの「内部埋め」の考え方と操作手順を体系的に理解し、3Dプリントや解析の準備をスムーズに進められるようになっていただければ幸いです。
2. STL・STEPファイルが空洞になる原因
STLやSTEPファイルをInventorで開いたときに、モデルが中実の塊ではなく内部がスカスカで貫通していたり、表面の面だけが存在するように見える状態になってしまった経験のある方は多いと思います。見た目は形ができているのに、断面を切ってみると中身が空洞だったり、ソリッドとして認識されていなかったりするのは、主にデータ形式の性質とインポート設定が関係しています。ここでは、そうした「空洞モデル」が生じる代表的な原因を、STLとSTEPそれぞれの観点から整理して解説します。
2.1. STLファイルの空洞化の理由
STLファイルは、三角形ポリゴン(メッシュ)の集合として形状を表現するフォーマットであり、本来のCADソリッドのように体積情報を持っているわけではありません。そのため、Inventorに読み込むと「ソリッドボディ」ではなく、まず「3Dメッシュ(メッシュボディ)」として認識されることが一般的です。
このようなメッシュデータは、見た目上は表面がすべてつながっていても、あくまで「殻」を表現しているだけなので、CAD側からは「中身を持たないオブジェクト」として扱われがちです。3Dプリンタ モデル修正の現場でも、STLの状態のままでは肉厚や密度を直接評価できず、「STL空洞修復」やメッシュ修復を行わないと、シミュレーション上の計算や強度検討に支障が出るケースが少なくありません。
とくにスライサーとの連携を意識する場合、Inventor内で3Dメッシュやサーフェス扱いのままにしておくと、スライサー側で形状エラーやノンマニホールド判定が出てしまい、造形が正常に進行しない原因になります。そのため、必要に応じてメッシュやサーフェスを修復し、ギャップのない閉じた形状(ソリッド相当)に整える一連の工程を押さえておくことが重要です。
2.2. STEPファイルの空洞化のケース
STEPファイルは、本来ソリッド情報を保持できる汎用3Dフォーマットであり、条件が整っていればInventorでも問題なくソリッドとして読み込めます。しかし、元のCADでモデルを作成した際に、サーフェス同士がわずかに合っていなかったり、トリムの結果としてごく小さな隙間(ギャップ)が残っていたりすると、インポート時にソリッドとしては解釈できず、サーフェスモデルの集合として扱われてしまうことがあります。その結果、断面表示をすると内部が空洞のように見える状況が発生します。
Inventor側でSTEPファイルの空洞問題を解消しようとしても、単にパッチでふさぐ作業や、Inventorメーカー独自の自動修復オプションだけでは完全に直せないことがあります。たとえば、形状が非常に複雑だったり、元データのトレランス設定が粗かったりすると、スティッチ機能で自動的に面同士を接合できず、一部のギャップが残ったままになってしまうことがあるからです。
こうした場合でも、CAD データ 修復の基本的な手順を理解しておけば、状況に応じて境界パッチを追加したり、インポート時の公差・ヒーリング設定を調整したりしながら、徐々にサーフェスを閉じた形状に近づけることができます。その結果として、STEPデータからソリッドへ変換するプロセス(STEPソリッド変換)を、よりスムーズかつ確実に進められるようになります。
2.3. 読み込み時の確認ポイント
まず最初に取り組みたい確認事項は、Inventorにおけるインポート設定(翻訳オプション)の見直しです。自動縫合(Automatic Stitch)のオン/オフや、取り込み単位(ミリ・インチなど)の指定、公差設定や元データの精度の扱いによっては、面同士がわずかにずれて解釈され、ギャップとして表面化し、結果的にソリッド化できず空洞モデルになってしまう場合があります。インポート時のダイアログでどのオプションが有効になっているかは、必ず一度確認しておきましょう。
インポートが完了したら、ブラウザ(モデルツリー)を開き、ボディが「ソリッドボディ」ではなく「サーフェスボディ」やメッシュボディになっていないかをチェックすることも重要です。あわせて、表示オン・オフの切り替えや断面解析機能、ワイヤーフレーム表示などを活用し、どの部分に隙間や欠損がありそうか、Inventor 内部埋めの対象となる箇所をあらかじめ把握しておくと、その後の作業が格段に進めやすくなります。
3D CAD モデリング技術者としては、インポートの段階で多少時間をかけてでも、これらの初期チェックや異常検知を丁寧に行っておくことが、後工程での手戻りや原因調査の時間を大きく削減する近道です。結果として、Inventor トラブルシューティングに追われる時間を減らし、ソリッド化・修復作業全体の効率を高めることにつながります。
3. Inventorでのソリッド化手順
ここからは、Inventor上でサーフェスボディをソリッドモデルへ変換し、空洞部分を確実に埋めるための基本的なプロセスを紹介します。局所的な穴の補修から、面同士をつなげて閉じた形状を作る工程まで、実務で頻繁に使用するパッチ・スティッチ・スカルプトといった主要機能もあわせて整理します。
3.1. サーフェスかソリッドかの確認方法
作業を始める前に必ず行いたいのが、モデルブラウザで 現在のボディ状態を確認すること です。「ソリッドボディ」として認識されていれば内部を持つ完全な立体として扱われますが、「サーフェスボディ」の場合は外側の“面”だけで構成され、中身のない空洞構造となっています。
この確認を怠ると、サーフェスなのにソリッドとして操作しようとしてうまくいかなかったり、逆にソリッドなのにパッチ機能で余計な補修をしてしまうなど、無駄な作業につながる恐れがあります。
Inventorでモデル修復を行う際には、まず ボディの種類を正しく把握し、そこから適切な修正手順を組み立てること が効率化の第一歩です。
3.2. 境界パッチの活用
Inventor パッチ機能(Boundary Patch)は、開口したエッジに新しい面を貼り付けて穴を塞ぐための非常に便利なツールです。STEPファイルの読み込みでできた小さな隙間や、メッシュデータを変換した際に発生する欠損部分の補修に特に効果を発揮します。
操作方法はシンプルで、「サーフェス」タブからパッチを選択し、隙間となっているエッジをクリックするだけで新しい面が生成されます。ただし、複雑な曲面の場合やエッジ方向が乱れている場合は、法線方向の確認やトリム境界の調整が必要になることもあります。
パッチで面を追加した後は、その部分だけが孤立しないように、スティッチ機能と併用して段階的に整えていく方法 が現実的です。穴を一つずつ丁寧に塞ぎ、最終的にまとめてソリッド化へ進めるのが基本となります。
3.3. スティッチ機能でサーフェスをソリッドに
スティッチ(Stitch)は、複数のサーフェスを縫い合わせて一つの閉じた形状にまとめるための、Inventorにおけるソリッド化の中心となる機能です。サーフェスモデル修復やSTEPファイルを読み込んだ後のソリッド変換では、ほぼ必ず利用すると言ってよいほど重要です。
スティッチの設定画面で「作成された閉じたボディをソリッドに変換する」にチェックを入れておくと、必要な面がすべて接合されていれば自動的にソリッドボディへ変換されます。もしごく小さなギャップが残っている場合は警告が表示され、その位置を特定して追加補修する手がかりになります。
精度の低い面や位置がずれたサーフェスが混在していると、縫い合わせ時に誤差が発生することがあるため、事前にエッジ状況や面の精度を確認しておくことが、成功率を高めるポイントです。
3.4. スカルプト機能の応用
スカルプト(Sculpt)は、サーフェスやソリッドを組み合わせて自由に変形したり、部分的にトリミング・削除したりできる高度なモデリングツールです。入り組んだ形状をそのまま修復するのが難しいケースや、Inventor 解析用モデルの肉付けが必要な場面で効果的に活用できます。
スカルプトでは、サーフェスを周囲のソリッドに自然に溶け込ませたり、不要な領域を切り離して空洞部分を大胆に排除したりと、パッチ&スティッチでは対処しにくい複雑な修復処理を行えます。ただし、操作量が多く判断も必要なため、メッシュデータ修復を含む複雑形状ではある程度のInventor経験が求められます。
実務ではまずパッチとスティッチで対応し、それでも難しい場合にスカルプトを使うという流れが一般的ですが、モデル全体を再構築するような発想で活用すると、作業効率が劇的に向上するケースもあります。
4. STLやメッシュモデルのソリッド化
STLをInventorへ取り込むと、多くの場合「メッシュボディ」として認識されるため、通常のソリッドフィーチャをそのまま適用できず、思うように形状編集が進まないことがあります。ここでは、Mesh Enablerを活用したメッシュデータ修復の流れや、どうしてもソリッド化できない場合の代替策まで、実務で役立つ方法をまとめて紹介します。
4.1. Mesh Enablerでのメッシュからソリッドへの変換
Autodeskが提供している「Mesh Enabler」は、STLなどのメッシュ形式データをソリッド化したい場合に非常に有効なツールです。STL ファイル 修復作業の中でも、ソリッドモデル作成を試みる際にまず検討したい手段の一つと言えるでしょう。
インストールすると、「メッシュボディを変換」という専用コマンドが追加され、メッシュをサーフェスボディへ、さらにスティッチ(縫合)によってソリッドへと変換する処理が実行できるようになります。ただし、メッシュが極端に重い場合やポリゴン数が膨大な場合は、コンピュータへの負荷が大きく、変換が途中で停止したり失敗したりすることもあります。
そのような場合は、Meshmixerなどのツールを併用し、あらかじめポリゴン数を減らしたり、不要なノイズやギャップを取り除いたりしてからInventorに読み込むことで、変換の成功率を高めることができます。
4.2. 面の修復とメッシュ問題の解決策
Mesh Enablerのみではソリッド化できないケースでは、まずSTL モデル修正ツールを使用してメッシュの問題箇所を洗い出し、必要に応じて穴埋めや断面形状の修正を行う方法が有効です。Inventor単体ではメッシュ編集機能がやや限定的であるため、MeshmixerやNetfabb、さらにはFusion 360など外部ソフトと組み合わせて修復を進めると、作業が非常にスムーズになります。
修復作業では、特に大きな穴や欠けている部分に対してポリゴンを追加し、水密性(閉じたメッシュ)を確保する工程が重要です。また、法線方向がバラバラなポリゴンが混在している場合は、方向をそろえる自動修正機能を活用するとよいでしょう。
最終的には、Inventorに戻してサーフェスとして扱える状態にし、スティッチを用いてソリッド化する工程まで到達できれば、ソリッドモデルとして扱える形状に仕上げられます。
4.3. ソリッド化できない場合の代替案
どうしてもソリッド化が成功しない場合は、外部ツールで一度別形式に変換してから再インポートするという方法も有効です。たとえばFusion 360やMeshmixerには強力な自動修復機能が備わっており、修復後にSTEPやIGES形式で再出力することで、Inventorで扱いやすいデータへ変換できます。また、他のCADソフトウェア 修復ツールを試してみるのも十分な選択肢になります。
さらに、目的が3Dプリント用データの準備である場合は、スライサーソフト側でインフィル(中実率)設定を調整することで、モデル内部が完全なソリッドでなくても問題なく造形できるケースがあります。最終成果物がプリントであるなら、無理にInventor内部でソリッド化を進めるより、スライサーで調整した方が効率的なことも珍しくありません。
一方で、アセンブリ全体が破損しているケースや、どうしても修復が難しい場合には、ParasolidやSTEP AP242など別形式での再出力を依頼し、より健全なデータを入手するほうが結果として早く解決できる場合もあります。こうしたアプローチは、プロフェッショナルなトラブルシューティングとして広く採用されています。
5. モデル内部が埋まらないときのトラブルシューティング
サーフェスをスティッチしても一部が空洞のまま残ったり、ギャップの警告が表示されたりすることは、Inventorでサーフェス修復を行う際によく発生する問題です。このセクションでは、そうした状況に直面したときに役立つ、代表的な原因別の対処方法を整理して紹介します。
5.1. ギャップの修正
Inventorでモデルを修復する際の基本は、まずわずかな隙間(ギャップ)を発見し、確実に埋めていくことです。スティッチ機能を実行した際に「ギャップが残っています」と警告が出た場合、その近くに小さな穴やエッジの不一致が潜んでいる可能性があります。
そのような時は、該当箇所を拡大表示し、パッチ機能で直接面を貼り付けるか、問題のあるサーフェスを一度削除してロフトなどで新たに面を作り直す方法が効果的です。境界パッチを適切に使い分けることで、サーフェス全体の整合性をより確実に保つことができます。
また複数のギャップが生じている場合は、一つずつ丁寧に場所を特定しながら修正を進めることが重要です。特に実務で頻繁に扱うデータでは、モデル履歴を見直して形状精度やトレランス設定を見直し、根本的に改善できる点がないか検討することも大切です。
5.2. サーフェスの法線方向の修正
サーフェスの“表裏”にあたる法線方向が混在していると、Inventorのスティッチ機能が正しく動作しない場合があります。法線方向が整っていないと、表面同士がうまく接合されず、ソリッド化が失敗する原因になります。
もし法線の向きに問題があると疑われる場合は、対象のサーフェスを選択し、反転または再生成を行って方向を揃えてから縫合処理を行いましょう。特に、別ソフトからのSTEP データ解析やMesh Enablerを用いた変換後のデータでは、法線がバラバラの状態で取り込まれるケースが多く見られます。
Inventorでは法線が逆向きでも見た目では判別しにくいため、気づかないまま作業を進めてしまうこともあります。面が選択しづらい場合は表示スタイルを変更して見やすくするなど、可視化の工夫を加えながら調整すると良いでしょう。
5.3. 複雑なメッシュのソリッド化の対応
精細な3Dスキャンデータや、多角形が過密に配置されたメッシュの場合、Inventor内でのソリッド化が難航することがあります。このような状況では、まずメッシュを複数のセグメントに分割し、領域ごとにスティッチを適用するなど、処理を細分化して行う方法が効果的です。
さらに、メッシュ削減(リダクション)ツールを利用してポリゴン数を減らし、Inventorの処理負荷を下げることも非常に有効です。形状精度に大きく影響しない部分は簡略化し、より扱いやすいメッシュに変換することで、内部埋めの作業を大幅に効率化できます。
特に3Dプリントを目的としたモデル調整では、ディテールをあえて落とすことでソリッド化の成功率を高め、結果として準備時間の削減につながるケースが多くあります。造形物の特性を踏まえ、最適なバランスを探ることが重要です。
5.4. 形状が壊れている場合の対処
外部から受け取ったCADデータに、そもそも面の重複やエッジの不連続といった破損が含まれている場合、Inventorだけでは修復しきれないことがあります。そのような場合は、形状の単純化や再構築を行うか、提供元へ修正を依頼するのが最も安全で確実な方法です。
自力で修復を試みる場合には、まず修復ツールを使って問題箇所を洗い出し、リストアップします。そのうえで、破損しているサーフェスを削除し、ロフトやパッチを用いて新しい面を作成し、スティッチ機能で再度縫合する方法が有効です。ただし、多くの修正を積み重ねると履歴が複雑になりやすいため、スカルプト機能で思い切って切り離し、再度パーツとして構築し直すというアプローチも検討できます。
最終的にどうしても修復が難しい場合は、MeshmixerやNetfabbといった外部の強力な修復ツールを利用し、問題箇所を補正したうえでソリッドボディとして再エクスポートする方法が解決策となることもあります。
6. 実務で役立つ応用テクニック

Inventorでモデル内部を埋める手法を理解しておくと、モデリングだけでなく解析や試作、派生形状の管理など、さまざまな実務シーンで効率が大きく向上します。ここでは、内部を埋めたモデルと空洞モデルの切り替え、解析用の簡易化モデリング、さらに肉厚モデルの再構築など、ワンランク上の応用テクニックを詳しく紹介します。
6.1. 内部を埋めた状態と空洞状態の切り替え方法
Inventorの多体パーツ(マルチボディ)機能を活用すると、1つのファイル内で「空洞版モデル」と「内部を埋めたソリッド版モデル」を簡単に切り替えられます。たとえば、元のボディをコピーし、一方はシェル機能で空洞状態に、もう一方はスティッチやパッチで穴埋めしソリッドボディとして保持することで、用途別の形状管理が容易になります。
設計段階では軽量な空洞モデルを使って検討を進め、3Dプリント時や強度検討時には内部を埋めたモデルに切り替えるなど、目的に応じた運用が可能です。また、Inventorのモデル履歴を活用すれば、派生形状を一つのファイル内で整理できるため、ファイル分散や管理コストの増大を防ぎ、開発工数の削減に直結します。
切り替えを頻繁に行う場合は、モデル名やボディ名称にルールを設けたり、ブラウザ内でフォルダ管理を導入したりすることで、作業ミスを減らし、見通しのよいデータ構造を維持できます。
6.2. 解析用に内部を簡易化するモデリング
CAE(解析)では、内部構造を忠実に表現する必要がないケースが多く、ソリッド形状を簡略化することで、解析精度の向上や計算負荷の軽減が実現できます。たとえば、Inventorの解析用モデルでは、薄肉部をソリッド化したり、細かいフィーチャーを削除したりするだけでも、メッシュ生成や計算が安定し、解析処理速度を大幅に向上できます。
サーフェスを閉じてソリッド化し、形状を整理してからCAEソフトへ渡すことで、エラー削減にも効果があります。さらに、解析目的に応じて貫通穴をふさぐ、リブや小突起を削除するなど、ルール化した簡易化作業を行うと、後のトラブルも防ぎやすくなります。
また、簡易化されたモデルは、ソリッド構造が明確になるためCAD ソフトウェア 修復ツールとしての観点でも扱いやすく、サーフェス修復作業が軽減されるメリットもあります。解析と設計を行き来する場面では特に有効な技術です。
6.3. 肉厚モデルの作り替え
3Dプリント用のモデル作成や、強度を高めるために肉厚化したい場面では、Inventorのシェル抑制や厚み付け機能を組み合わせた方法が役立ちます。既存のシェルフィーチャを編集または抑制し、元のソリッド状態に戻したうえで、指定した厚みを追加することで、安定した肉厚モデルを構築できます。
特に大きく曲面が多い形状では、薄肉のままプリントすると歪みや造形エラーの原因となるため、内部を埋めて強度を確保し、さらに適切な厚みを与えることで造形成功率を高められます。スライサー側のサポート材設定とも相性が良いため、プリント目的での最適化がしやすくなります。
肉厚化の前には、Inventorでギャップの解消や法線方向の整理を済ませておくことが重要で、これらの準備が整っていれば、スカルプト機能による形状調整もスムーズに進みます。最終的には、試作や解析に耐える実用的なモデルへと仕上げることが目的となります。
7. まとめ|目的に合わせて最適な「内部埋め」手法を選ぼう
ここまで、STLやSTEPファイルが空洞化してしまう原因から、Inventorでの修復方法、ソリッド化の具体的なステップ、さらに実務に役立つ応用テクニックまで幅広く解説してきました。
改めて整理すると、STLやSTEPが空洞になるのは、データがサーフェスや3Dメッシュとして扱われ、Inventorがソリッドボディとして認識できないことが根本にあります。こうしたケースでは、パッチ機能で欠損面を埋め、スティッチ機能でサーフェスを一体化することで、ソリッドモデルへと再構築するのが基本的なアプローチです。特にメッシュデータの場合はMesh Enablerや外部ツールの併用が効果的で、法線方向の統一や不要部分のトリムによって、より確実に内部を埋めることができます。
一方で、最終目的が3Dプリントや解析である場合、必ずしもInventor内部で完全なソリッド化を行う必要はありません。スライサー側でインフィルを調整して造形性を高めたり、CAE向けに単純化モデルを用いて計算の安定性を優先したりと、目的に応じて柔軟にアプローチを変えることが重要です。
最終的に大切なのは、「どの程度の精度が必要で、どこまで内部を埋めるべきか」を目的に合わせて判断し、最適な手法を選択することです。本記事で紹介したステップやテクニックを参考に、ぜひ現場のワークフローに応じたInventorでの内部埋め作業を実践してみてください。モデル精度の向上やデータの扱いやすさはもちろん、クライアントへの迅速なデータ提供や3Dプリントの成功率向上にも必ずつながるはずです。
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❸BIM/CIM導入でよくある失敗と課題
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<参考文献>
Inventor 2026 ヘルプ | 図面ビュー内のサーフェスを使用するには | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/INVNTOR/2026/JPN/?guid=GUID-C39BB0D4-CBF9-4F99-800E-E2F18156717A
Inventor 2026 ヘルプ | パッチ、ステッチ、ルールド サーフェスを作成するには | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/INVNTOR/2026/JPN/?guid=GUID-5A8568DF-5BDA-47B9-97FC-2722B8A78A89
Inventor 2026 ヘルプ | DXF、OBJ、STL、DWF、IDF ファイルをインポートするには | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/INVNTOR/2026/JPN/?guid=GUID-3F6D22A7-768F-4ABE-8DEE-C6B64C5A3B2A





