モバイル vs パソコン:ユーザー行動に合わせた最適なUXとは?
1年前、モバイルユーザー数がパソコンのユーザー数を上回った。ユーザーは机に向かい合うのではなく、いつでもどこでもアクセス可能な状況に魅力を感じている。10年後になればこの傾向はさらに顕著となるのではないだろうか?
大手企業もモバイルへの需要の多さに対応し始めており、インテルはサービスをIoTを含めたモバイルへサービス転換の意向を示している。
商品購入までの複雑なユーザー行動
モバイルとデスクトップを比べるときに見る指標はセッション数だけではなく、コンバージョン率にも目を配らなければならない。
Wolfgang digitaの調査によると、Eコマースサイトでのモバイルとデスクトップのセッションが42%対41%とほぼ同率に対し、収入は21%対63%と実際に購入に至るのはデスクトップの方が多いという結果が出ている。
ユーザーの行動は複雑で、初めて目にする情報がモバイル上だったとしても、実際はデスクトップで購入する人が多いのである。63%収入がデスクトップからであったとしても、購入までに3回はモバイルから情報を得ているということが言える。
1人のユーザが複数のデバイスを所有し、モバイルデバイス上で決定を下してから、購入を行うために、デスクトップに切り替えるといった行動をするのである。
モバイルとデスクトップのUXの違い
それではモバイルとデスクトップそれぞれどういったUXを提供するのが良いのだろうか? これまでのモバイル開発は「ユーザー視点が欠けたモノづくり」が多く見られた。ほとんどはアプリ・デザインだけを中心に行われていたのだ。つまりスマホのテキスト・グラフィック等は改善したのに、実際のユーザー体験にはほとんど重点を置かれてこなかった。
今回はモバイルとパソコンの共通点・相違点を探り優れているのはどちらかを検証し、両方をどう使うのが最も効率がいいかについて考える。
パソコンとスマートフォンの共通点
- UIが良いものが好まれる:
デスクトップもモバイルも、ユーザーインターフェース(UI)が非常に重要である。読みにくいものはユーザーは読みたいと思わないからだ。ナビゲーションが悪く、いらいらすることがあるとユーザーは直ちにそのサイトを使うのをやめてしまう。インターフェースに対して寛容なのはパソコンユーザーだが、結局どちらのプラットフォームにしてもスタイリッシュでないサイトはすぐに飽きられてしまう。ユーザーがサイト内でやりたいことができないもはUIが悪いと評価されてしまう。 - 検索内容:
ウェブ検索をするとき、パソコンで行うときとモバイルで行うときには明らかなトレードオフが存在する。例えばノートパソコンを混んだ電車で読むことはタブレットやモバイル端末と比べて非常に難しい。一方で本を携帯で見ることは面白みに欠ける。しかしながら現在多くの作り手はどのようなデバイスにおいてもよいUXを提供する方法を見つけ出している。Yelp,Google,Kayak等の検索ツールはまさにその一例であり、直接的にユーザーに何をしたいか聞くような設定となっている。つまりこの内容自体はほとんど変わらないと言えるだろう。 - Email:
メールに関してはパソコンとモバイル端末を比べた時にどちらも利点があるといえるだろう。そしてユーザーは状況によって使い分けをしている。例えばプライベートな用事や素早い返信が必要な時はモバイルで行う。一方で、重要であったり長いメールを打つときはパソコンを使う。 - 写真編集:
写真を撮るのは明らかにモバイルの方がパソコンより簡単だろう。しかしながら編集となると話は変わってくる。初心者にとってはインスタグラムやスナップチャットのような編集の方が簡単でいいと思われる。しかしながら、本格的に編集を行いたい人はMacBookを用いてフォトショップを使うことが多いだろう。
パソコンとスマートフォンの相違点
- 位置情報機能:
最近SNSの次にもっとも使われるものとしてはGoogle Mapであるだろう。SNSの位置情報のタグ付け、天気情報、マップはほどんどの人はモバイルを使用している。 - 写真撮影:
共通点で写真編集について検証したが、写真撮影となると圧倒的にモバイル端末がパソコンより優れている。 - 持ち歩きやすさ:
これはモバイル端末がパソコンユーザーを追い抜いた最も大きな理由といえるだろう。誰がノートパソコンをビーチやハイキングに持っていくだろうか?人々は今世界のどこへ向かうときでもモバイルを手放さない。 - プッシュ通知:
モバイルアプリのプッシュ通知を利用することで、届けたい情報をすぐにユーザーへ届けることが可能である。プッシュ通知はEメールの代わりに使用することができ、パソコンの近くにいないユーザーに対してもリアルタイムで情報を知らせるツールとなっている。
実際にどちらがいいの?
検証結果からすると包括的にユーザーにとっていいのはモバイルであると言えるだろう。やはり持ち歩きやすさ・位置情報機能の2点はパソコンになかった強みであり、モバイルユーザーがパソコンユーザーを上回った理由もここにあるといえる。しかしながら複雑な作業をするときはまだモバイル端末は十分といえる機能・質を持ち合わせていない。そこでサービスを提供する際は以下のような使い分けを想定してユーザーエクスペリエンスを考えることを提案する。
モバイル端末: 日常生活(学校・通勤・空き時間等)・エンターテイメント系(旅行・ハイキング・ビーチ等)・SNS全般
パソコン: システム開発・論文執筆・プレゼンテーション作成・議事録作成・本格的な動画、写真編集
人々の生活の核にSNSが位置づいており、どこにいても気軽にインターネットを使うことができるモバイルはSNSをベースに人々の生活に浸透してきているといえる。複雑なタスクはまだパソコンが用いられるがタブレットの台頭によりそれも将来的には取って代わられていくかもしれない。
<参照>
Mobile dominates traffic but desktop dominates revenue
Mobile vs. desktop: Are you optimizing both experiences?
<画像>
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