Apple Pencilの登場で振り返るアップル社のペン入力の歴史


iPad pro 2の発売に合わせて、新型Apple Pencilの発売がウワサされています。Apple PencilはiPad Pro専用のペン入力デバイスです。圧力と角度の傾斜を読み取るセンサーを内蔵し、手書き入力を可能にします。まさにデジタルの「鉛筆(ペンシル)」です。新しいApple Pencil では、磁石でタブレットに装着可能になり、対応アプリケーションが増えると予想されています。

「タッチ入力で充分なのに、なぜペン?」と疑問に思う人も多いかもしれません。そこで、新型Apple Pencilの登場前に、あらためてペン入力の歴史を振り返ります。ちなみに、アップル社とペン入力のエピソードが中心で、パイナッポーの話はありません。PPAPのブームは過ぎ去り、忘却の彼方に葬られた印象ですが。

1990年代、PDAのスタイラス

ペン入力といえば、ニンテンドー3DSのスタイラスを思い浮かべる人が多いでしょう。画面にスタイラスと呼ばれるペンで入力する方法は、1990年頃に流行したPDA(携帯情報端末)で用いられていました。PDAはPersonal Digital Assistantの略で、スケジュール管理や電卓、時計、辞書など、ビジネス用の機能を持った手のひらサイズの端末です。スマートフォンの前身とも考えられます。しかし、通信機能がない製品もあり、現在のスマートフォンとはまったくかけ離れたガジェットでした。

PDAにはPalm OSを搭載したソニーのCLIEリーズ、シャープの電子手帳、カシオのカシオペアなどがありました。マイクロソフト社は90年代後半にWindows CEというモバイル向けOSを開発して参入します。

そしてアップル社にもPDAがありました。Newton MessagePad(ニュートン)です。そもそもPDAという言葉は、ニュートンの販売促進にあたって、コンセプトワードとしてアップル社が使い始めたといわれています。

ジョブズが嫌っていたスタイラス

アップル社はiPadやiPhoneで輝かしい成功をおさめましたが、その影でひっそりと失敗作も生み出しています。ニュートンも、ビジネス的な成功には至りませんでした。

失敗の理由はいくつか考えられますが、手書き入力の認識精度が低かったことはそのひとつです。Palm OS搭載機には、簡略化した独自のアルファベットを使って、速記のように手書きできるGraffitiという文字入力がありました。誤認識が少なく、一筆書きのようにして入力できることが特長でした。

ニュートンは手書き認識が遅く、高価な上に、筐体が大きく重さもありました。使えない、値段が高い、大きいでは、さすがに販売不振は逃れられません。発売当時のアップル社CEOは、スティーブ・ジョブズがアップル社に迎え入れ、彼を追い出したといわれるジョン・スカリーです。その後、ジョブズはアップル社に返り咲きます。

アップル社に戻ったスティーブ・ジョブズは、2007年のMacworldでiPhoneを初めて紹介します。そのプレゼンにおける強烈なスタイラス批判は有名です。

「Who wants a stylus?(誰がスタイラスなんて欲しがるんだ?)」

そんなものはすぐになくすだろうと吐き捨てた後で、「もっといい入力デバイスがある」と言って、指で液晶をタッチしているiPhoneを紹介します。天国のスティーブ・ジョブズが、Apple Pencilを知ったら、どう思うでしょうか。

なぜ、いまスタイラスなのか

しかし、スティーブ・ジョブズが存命の時代から、テクノロジは大きく進歩しました。グラフィックスの処理は高速化し、iPad Proは12.9インチと9.7インチの高精細で大きなディスプレイを搭載しています。イラストやデザインなど、クリエイティブ分野には最適な製品です。

もともとアップル社のPCは、フォントの豊富さ、ディスプレイで見たとおりに印刷できるWYSIWYG(ウィジウィグ:What You See Is What You Get)を特長として、DTPの分野で重宝されていました。さらにWeb制作や音楽・映像制作など、クリエイター向けの製品として、Macを所有していることがクリエイターのステイタスでした。ところがWindowsの進化によって、現在はWindowsでもMacと同等のクリエイティブな作業が可能です。

また、従来は独自フォントの問題があり、パンフレットなどの制作物では、Macのファイルによる入稿が前提で、印刷会社にないフォントはアウトライン化しないと受け取入れて。いまは、クリエイターのポリシーや操作性にこだわらなければ、MacでもWindowsでも構わない状況といえます。

PCの売上が下降し、タブレットの利用が増加している現在、アップル社がクリエイティブツールのブランド復権を目的として、市場に投入したツールがiPad ProとApple Pencilと考えることもできそうです。マイクロソフト社のSurfaceが「創造性」を売りにしていることも見逃せません。

独自GPU開発などにも取り組むアップル社

2017年4月3日、アップル社は半導体メーカーImagination Technologiesの契約を打ち切りました。今後、GPUを独自開発の方向に進展させるのではないか、と予測されています。AR、VRなど先端技術分野の遅れを取り戻し、画像処理分野に力を入れる方向性は自然な流れです。

スティーブ・ジョブズなき現在のアップルは、iPhone売上の伸びが鈍化し、新たな方向性を模索しているようにみえます。時代の変化に柔軟に対応していかなければなりません。ポインティングデバイスとして、ペン入力以外のインターフェースが登場する可能性もあります。

とはいえ、新型Apple Pencilが磁石付きというのは「スタイラスみたいなものはすぐになくすだろう」という、天国からのスティーブ・ジョブズの声に叱られて、あわてて追加したような印象が否めません。

いずれにしても、創造的な世界を「描く」新しいApple Pencilに期待しましょう。

 

 

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