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フォートナイトを巡るバトルで注目される「Apple税」

 今年の夏、突然巻き起こったフォートナイトとAppleのバトルをご存じでしょうか?。
かつて、コンピューター市場を独占していたIBMに挑んだ若き日のAppleを彷彿とさせる演出もあり、かなり胸熱な展開が繰り広げられています。

この騒動のきっかけとなったのがいわゆる「Apple税」と呼ばれる「App Storeの手数料」です。
今回、この「Apple税」を巡る争いについて、フォートナイトとのバトルを中心にまとめてみました。

この記事でわかること
 ・Apple税と揶揄される悪名高い手数料とは何か
 ・フォートナイトとAppleのバトル
 ・Apple税への反発

Apple税と揶揄される悪名高い手数料

 当たり前のことですが、国家ではないAppleが企業や個人に対して徴税ができるはずはありません。
あくまで開発者から「Apple税」と揶揄しているのは、AppleがApp Storeのアプリに対して徴収している手数料のことです。
基本的には、アプリの金額に対して一律30%の手数料がアプリが売れるたびに発生し、Apple側に支払われるようになっています。

 アプリ開発者側からすれば、世界中にユーザーがいる魅力的なプラットフォームに参加するための手数料ということになります。
有料アプリのDLのときにだけ支払えば良いのであれば、それほど高くはありません。
しかし、実はこのApple税について
「サブスク形式で毎月定額使用料を支払うようなケースや、アプリ内課金についても徴収する」
というのがAppleの方針です。開発者側からの評判が悪いのは、どうやらこの部分のようです。*注1

 多くのゲームアプリでは、ゲーム内でアイテムを獲得したり、有利なポジションを得たい場合などに課金される仕組みが用意されています。
開発者・運営者からすると、課金は重要な収益となっています。
そのため、継続的に使用料やアプリ内の課金からApple税が徴収されるのは、できれば避けたいというのが本音ではないでしょうか。

実際、一旦ダウンロードしたゲームで遊ぶ段階において、App Storeの役割はそれほど重要ではありませんので、Apple税を支払う事に対して負担に感じる理由の一つとなっています。

 もちろんApple側にも言い分はあります。
 ・App Storeで配信されているアプリは、厳正な審査を通過したアプリであり、ユーザーが安心して利用できる。
 ・Appleの作ったiPhoneなどのプロダクトを中心としたエコシステムを利用している。
 ・バグフィックスやバージョンアップなどでも、App Storeを通じてユーザーに即座にアプローチできる

 など、「Appleが支配する国(プラットフォーム)で安全に商売(アプリの配信)ができるのだから、当然それなりの税金(手数料)は払うべき。」という主張です。

 同じApp Storeからダウンロードできるアプリの中でも、現実世界で提供されるサービスや商品の代金に対してはApple税は課税されません。
例えば、フィットネスクラブの予約アプリを使って予約し、実際にトレーニングを受けて支払った代金については、Appleは全く関知しません。
ウーバーイーツやネットショップアプリなど、課金対象とならないカテゴリーに属するアプリも多く存在しています。

 あくまでApple税の対象となるのは、アプリを使って「オンライン上で提供されるサービスの代金」に限定されています。
この場合、オンラインゲーム運営者にとっては「全ての売上に対して徴税される」とほぼ同じ意味になってしまいます。
「Apple税さえなければ、、、」と決算をするたびに思っている運営者も少なくはないでしょう。

 そのため、オンラインサービスを提供することで収益を上げている事業者は、出来るだけApp Storeを介さないで料金を徴収する仕組みを構築するようになりました。
自社のサイトで申し込みと決済ができるシステムを運用するだけですので、それほど難しいことではありません。
アプリ上で決済を行いませんので、Apple税の対象にもなりません。
完全に「合法的(Apple国のという意味で)」な手段であり、多くの事業者が取り入れています。

 一方、App Storeにアプリを出してはいるものの、基本的な収益は現実のサービスで得ている事業者は、これまでApple税の影響をあまり受けていませんでした。
アプリを無料で配信し、予約だけをアプリ上でできるようにして、決済をアプリ以外の場所で実施すれば、Apple税の対象とはなりません。
ところが、新型コロナの影響でこのような事業者にも、影響が出始めています。

 例えばフィットネスクラブなど、室内のアクティビティが主であり三密が問題となるようなサービスでは、新型コロナの自粛期間中に営業ができない時期が続きました。
そのため、新たにオンラインサービスを提供するなど、それぞれの業界でさまざまな工夫がされています。
しかし、そこで問題となるのがApple税です。
それまでApple税とは無縁だった業界あっても、オンラインでのサービスを開発した途端、Appleから「オンライン決済は課税対象」と言われ、大きな負担となりました。

 現在新型コロナによる自粛などの影響で、ネットショップを筆頭とするオンラインサービスが世界的にも大きく成長しています。
当然、App Storeを通じた関連サービスも大きな成長の可能性があり、Appleとしては「ドル箱」として大きな収益をもたらす重要な事業となるはずです。
そのため、Apple側としては簡単に譲歩するはずはないですし、実際にApple税に対する事業者の不平・不満に対しても、「のれんに腕押し」「糠に釘」的な回答に終始しています。

Apple側の言い分として
 ・条件を明示した契約書にサインされている事
 ・世界中の開発者、運営者に莫大な売上を提供している事
 ・AppleがApple税よって得た収益は決して多すぎることはない

などがあり、Apple税に対して交渉できる余地はなさそうです。*注2

フォートナイトとAppleのバトルについて

 こうした中、App Store王国の王であるAppleに対して、反旗を翻す孤高の騎士が登場しました。
それがオンラインゲーム「フォートナイト」を運営する「Epic Games」です。
今回、Appleの30%手数料が独占禁止法違反であるとして裁判を起こしました。
AppleだけでなくGAFAに代表される世界的IT企業は、このような訴訟は常に抱えていますので、それだけであれば珍しくない話です。
しかし、今回のEpic Gameとの争いについては、いくつかの意味で注目されるものとなりました。

 フォートナイトは世界中で大人気のオンラインゲームです。
モバイル版のリリースからわずか2年ほどで10億ドルを売り上げるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いがあるゲームです。
またEpic Gamesは、「Unreal Engine」という3Dゲーム製作プラットフォームもリリースしています。
ハイクオリティでリアルな3Dを、個人レベルで製作できる優れたツールであり、世界中で750万人ものゲーム製作者が使用しているなど、非常に人気のあるエンジンとなっています。

 フォートナイトもこのUnreal Engineを使って製作されており、非常にクオリティの高い映像表現と独自の世界観で、人気の高いゲームです。
Epic Gamesは、ゲーム内の課金についてApple税を回避するため、自社のオンライン決済に誘導するボタンをアプリに設置したことがAppleの逆鱗に触れてしまいました。
自社でオンライン決済を準備すること自体は制約されていませんが、それに誘導するような情報をアプリ内に設置することは、契約で禁じられていたからです。

 多くのゲーム運営事業者の場合、Appleのガイドラインにしたがって、アプリ内から他の決済システムに誘導するようなことは避けています。
ところが、Epic GamesはAppleのこの方針に真っ向から反旗を翻しました。
「App Storeを使った決済だと自社決済に比べて手数料の分だけ料金が割高になる」ことをユーザーにわかる形で明記し、自社サイトへ誘導するボタンまで設置したのです。
これは誰が見ても明らかな規約違反です。

 その結果、フォートナイトはApp Storeから削除されることになりました。
iPhoneはApp Storeを通したアプリのインストール以外はできない仕様になっています。
そのため、iPhoneユーザーはこの先、フォートナイトを新規インストールすることが不可能になってしまいました。
また、既存のユーザーであっても、アップデートすることはできません。
世界中のフォートナイトファンに衝撃が走ったと言っても過言ではないでしょう。

 Androidユーザーの場合はどうでしょうか。
実はAppleと違い、Android端末はGoogle Play以外からのアプリのインストールについて、制約がありません。
フォートナイトについても同様で、Google Playからのダウンロードができなくなっても、Epic Gamesの運営するサイトからアプリのインストールが可能です。
実は、GoogleもAppleほど厳しくはないにしても同じような規約を設けており、Appleに同調する形でGoogle Playからもフォートナイトは削除されています。

 Epic GamesがAppleに対して実際に支払った手数料は、フォートナイトだけで3.6億ドル(約384億円)です。
これからも継続的に収入が見込める「高額納税者」を排除してでも、Appleは自社のシステムとルールを守る姿勢を見せました。
これまでの事業者は、この世界の圧倒的支配者であるAppleに従い、規約を守りながら粛々と納税を続けるしかなかったのですが、Epic Gamesは違いました。
堂々と反旗を翻し、孤高の戦いを開始した、、、と思ったら、なんと多くの有力な味方がEpic Gamesを支持する動きへと繋がってきたのです。

Apple税への反発が広がる事態に

 正確には、フォートナイト騒動よりも少し時間が遡ることになりますが、NetflixやSpotifyなどの動画・音楽配信サービスの大手企業による動きです。
App Storeを使った課金を回避し、Apple税の支払いを拒否する動きを見せています。Netflixといえば業界最大手であり、Appleのダメージも大きいのでは?と思いましたが、Apple側のコメントは「Netflixは全てのサービス収入に対して、0.3パーセント未満」とアナウンスしました。
まるで『大した影響はないですよ』とでも言ってるように聞こえます。*注3

 最近ではFacebookが、ライブ動画で有料のオンラインイベントを開催できる新機能を搭載した時に、Appleと一悶着起こしています。
Webブラウザを使って支払いをする場合に比べて、アプリ上から申し込み・支払いを行うとAppleが手数料30%を「中抜きする」と明記しようとしたためです。
Appleはこれに対して規約違反ということで拒否しました。

 Facebookほどの企業であれば、このような対応をするとAppleに拒否されるということを当然理解した上での行動ではないかと感じます。
「拒否された」という事実を公表することで、Apple税やAppleの硬直化した態度に対してアピールしたいというのが、真の狙いではないでしょうか。
フォートナイト騒動に時期を合わせていることからも、まず間違いないように思えます。*注4

【まとめ】
 この記事では、Appleのことを「悪役」に見立て、多少オーバーな表現を使ってきました。
しかし、実は筆者は長年のAppleユーザーであり、熱烈とまではいかないものの、多くのプロダクトや企業姿勢に対するファンの一人です。
Appleは、魅力的な製品とサービスで新しい世界を作り、それを発展させてきた驚異の企業です。
ただ今回の戦いは、自らの作った世界を守る戦いであり、Epic Gamesは既得権益に立ち向かう一人の勇者というポジションになっています。

 開発者にとって自由度が低く、厳しいルールに支配された上で、高額に思える手数料を払い続ける必要があるAppleのアプリ開発について、納得いかないことも多々あるでしょう。
しかし、ユーザーに対して安全と安心を提供するためには、ある程度の収益を確保し、安定した運営を行う事も必要です。
問題はそのバランスではないでしょうか。

今回の騒動は、かつて「俺と一緒に世界を変えてみないか?」と言い放った、かなり生意気で、しかし憎めない若者の姿をどうしても思い浮かべてしまいます。
当時の彼が今回の騒動を見たら、果たして何を感じるのでしょう?


 


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■参考文献
注1
engadget 「Netflixなど大手アプリがアップル税を回避してApp Store売上が落ち込む?著名アナリストが「心配ない」と否定」
https://japanese.engadget.com/jp-2019-01-20-netflix-app-store.html
注2
Apple Newsroom 「Apple、App Store経済圏を通じて、2019年には5000億ドル以上の規模の経済活動を促進」
https://www.apple.com/jp/newsroom/2020/06/apples-app-store-ecosystem-facilitated-over-half-a-trillion-dollars-in-commerce-in-2019/
注3
engadget 「Netflixなど大手アプリがアップル税を回避してApp Store売上が落ち込む?著名アナリストが「心配ない」と否定」
https://japanese.engadget.com/jp-2019-01-20-netflix-app-store.html
注4
IT Media News 「Facebook、「Appleが公式アプリ内でApple税について明示するのを却下した」」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2008/29/news021.html

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