シンガポールの地下鉄に大きなAIの波がやってくる
改札の入り口は顔認証方式、出口は自動支払が実現する日が近い
日本はIT大国であることは間違いなく、日本人も当然そう思っているでしょうが、実はアジア諸国でおそらくITテクノロジーの応用が一番大胆に進んでいるのは、日本ではなくシンガポールではないでしょうか。
日本ではいまだに定期券を更新する記事に駅の窓口に並ぶ疲れたサラリーマンの方々の後ろ姿を見かけますし、Suicaをかざしても、誤認識して通りなおすという「ちぇ、まったく」という光景がよく見られます。しかしシンガポールでは近々これがゼロになるかもしれません。
顔認証システムで改札の通過を判別し、後払い方式で運賃を請求するシステムを導入
シンガポールでは電車・地下鉄をMRT(マス・ラピッド・トランジット、大量高速輸送)と呼びますがこのMRTでは「スタンダードチケット」「ez-linkカード」「シンガポール・ツーリスト・パス」の3種類のチケットがあります。
この3種類とも改札口を通って電車に乗る権利があることを証明するのは日本と同じなのですが、近々この改札口を通る時に切符やカードではなく「顔認証」でゲートを通過できるようになるということがSingapore Technologies Electronicsからアナウンスされました。
さらに通過時だけでなく、改札を出るときにもSingapore Technologies Electronics のシステムが改札を通過する利用客を顔認証システムで再度判別し、乗車経路と距離を自動判別しクレジットカードなどの後払い方式で運賃を請求するシステムになるそうです。
つまり、改札の入り口で切符を通したり、改札の出口でパスモのようなカードを挿入した知りする手間が一切なくなるというわけですね。
利用申込もオンライン端末で簡単に実現
これは「Advance Gate System」と呼ばれる画期的なシステムですが、基本的に誰でも利用できます。を利用するためには、利用者はセルフ方式の端末からアカウントを作成し、自身の写真を撮影する必要がありますが、面倒な対面での作業は不要です。
発行用の専用端末が用意されており、乗車券の購入や乗車カードへのチャージ、はその端末で完結します。もし分かりにくいところがあったら、端末付属のビデオチャットを通してカスタマーサービスとやり取りをすることもできるので、お年寄りや子供でも簡単に「Advance Gate System」を利用することが可能です。
定期券を買うために行列したり、定期を忘れて家に帰ったり・・・日本のそんな光景はシンガポールではもうすぐ完全に過去の世界になるようで、なんだか羨ましい限りです。
Singapore Technologies Electronics によれば、今のタッチ式乗車カードでは毎分で約40人の入改札、出改札の処理が性能的に限界ということですが、この新システムを使えば毎秒1人まで処理することが可能となる。
顔写真の撮影に抵抗があったり、後払い方式に頼りたくないという利用者は、「Advance Gate System」 の無線周波数による判別機能を利用することができるます。「顔面認証が嫌だ」という場合でも新システムによって、利用客は、改札機の読み取り部分に乗車カードを物理的にタッチせずともカードが鞄やポケット、財布に入っていても、それらを取り出すことなく運賃を支払うことができるようになります。
Singapore Technologies Electronics によると、Advance Gate System はすでに配備の用意が整っているということです。
通勤ラッシュも地獄ですが、あの定期券を通過させてゲートを出る時のイライラ感もまらたまりませんよね。
シンガポールではこうした世界がもうすぐ実現するということで、なんだか羨ましい限りです。