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竹中工務店も活用!オープンBIMで叶える自由な建築

BIMを積極的に取り入れる竹中工務店は、「オープンBIM」を活用したビル建設で世界からも注目されています。まるで難解なパズルのように複雑な建築を、BIMソフトのコラボレーションによって成功させたのです。

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
1.竹中工務店が手掛けた“超複雑”なビル設計の概要
2.竹中工務店がBIMで使った3Dモデリングツール
3. オープンBIMの概要とメリット

竹中工務店がオープンBIMで“超複雑”な設計に挑戦

大阪市の三栄建設鉄鋼事業本部新事務所ビル設計を手掛けた竹中工務店は、オープンBIMによって高度なBIM技術を証明しました。

さまざまなツールを使って設計されたデータは、“オープンBIM”によって1つの建築モデルとして統合できるのです。

“難解なパズル”みたいなビルを設計

竹中工務店は三栄建設の依頼を受け、大阪に自社ビルを建設しています。このビルはとにかく複雑なデザインが特徴で、竹中工務店の持つBIM技術やオープンBIMという技術が集結した最先端の建築物なのです。※1

三栄建設のビルは、「鉄骨加工業の未来を示すような建築の創造」がビジョンです。また「部署同士の交流を活発にしたい」という三栄建設の思いから、ビル内の空間自体を交流しやすいデザインにしました。

そこで使われたのが、「ボロノイ分割」という特殊な幾何学による手法です。

ボロノイ分割は、隣り合った母点を結ぶ直線に直角二等線分を引いて領域を分割する方法です。
自然界にも存在するパターンといわれていますが、建築で、しかも空間設計で応用するとなると複雑を極めます。

ボロノイ分割にすることで、直線の空間デザインよりも立体的な部屋割りになります。
壁も床も90度の部分がなく、難解なパズルそのものといった形状です。
耐震対策で不可欠となる「耐震壁」も、もちろん四角形ではありません。

直線がない?複雑な設計こそBIMの出番

直線がない、壁も床も90度ではない…
そんな複雑なボロノイ分割を使った設計は、人の手で行うと気が遠くなるほど膨大な労力が必要ですし、途方もない時間がかかるでしょう。
また、立体的な空間になるからこそ、2次元の設計図ではほとんどの人はイメージが湧きません。

そこで活用されるのが、BIMによる3Dモデリングなのです。

3Dモデリングで立体的な設計図が確認できれば、各関係者は「空間」として認識できるようになります。
複雑な図面を読み解く必要がないので、直感的に把握できるのがなによりもメリットです。

三栄建設ビルのような複雑な設計こそ、BIMによる3Dモデリング技術が活きるのではないでしょうか。

竹中工務店は多くの設計ソフトを活用

ビル建設では意匠設計や構造設計、設備設計など「設計」といってもさまざまな専門分野の技術が必要になります。
竹中工務店は以下のような複数の設計ソフトを使い、オープンBIMで1つのビルモデルを構築したのです。

竹中工務店は三栄建設のビル設計において、意匠設計ではARCHICAD、構造設計ではTeklaStructuresやMidas、設備設計はRebroを使用しました。
どれも3Dモデリングが行えるツールですが、メーカーはそれぞれ違います。※1

また、複雑なボロノイ分割による設計を行うためにアプリクラフト社のRhinocerosとGrasshopperというソフトも使用しました。

・Rhinoceros(ライノセラス)
竹中工務店は、3DモデリングソフトとしてRhinocerosを採用しています。
“ライノ”と呼ばれることもあるこのソフトは、モデリング機能と操作性が高い点が特徴です。
建築に限らず自動車や工業製品などの高性能な3Dモデリングが行えるもので、住宅設備機器メーカーの最大手TOTOが浴槽の設計にも使いました。※2

幅広いデータ形式をサポートしていて、DXFやIGESなどに対応しています。

・Grasshopper(グラスホッパー)
グラスホッパーはRhinocerosのプラグインで、アルゴリズムを活用した「アルゴリズム・デザイン」が行えるソフトです。従来のCADソフトよりも設計変更が行いやすいというメリットがあります。※3

竹中工務店は複雑な3Dモデリングを設計するために、少なくとも上記6つのソフトを使用しています。メーカーやデータ形式はそれぞれ違いますが、最終的には1つの3Dモデリングデータとして統合しなくてはいけません。

そこで活躍したのが、オープンBIMという技術なのです。

竹中工務店も活用する「オープンBIM」とは

BIM技術の1つにオープンBIMがあります。そのメリットや概要についてみていきましょう。

ARCHICADが掲げるコンセプト

オープンBIMとは、BIMソフトで世界的なシェアを持っているARCHICAD社が掲げるコンセプトです。
メーカーもデータ形式も違うBIMデータを自由にやり取りすることで、より自由な設計を目指しています。

日本ではBIM自体が新しいものと見られていますが、ARCHICADは10年以上も前からオープンBIMの取り組みを進めているのです。

オープンBIMの最大のメリットは、独立したアプリケーションをつないでくれる点です。
冒頭でご紹介した竹中工務店の事例のように、別々のデータ形式を持つBIMデータの互換性があればより円滑な連携が可能になります。

並列データ構造を持っているため、部署ごとや会社ごとの設計データを統合しても所有権が保たれます。
そのため著作権の面でも心配ありません。
よりワークフローの透明性が向上するので、BIMによる建築作業がもっとスムーズに進行できるのです。※4

最近ではオートデスク社のRevitともデータ互換できるようになり、さらに幅が広がりました。

IFCフォーマットを軸としている

オープンBIMは、データ形式の1つである「IFC」を軸として開発されています。
IFCとはIndustry Foundation Classesの略であり、.xlsや.jpgと同じ拡張子の1つです。
中立なCADデータモデルの拡張子であり、BIMデータを円滑に流通させる役割があります。※5

CADは線分表示の情報しか持てないため3Dモデリングは行えません。
しかしBIMの場合は壁や柱、窓といった建築物を構成する要素の立体的な図形表現を持てるので、3Dモデリングデータが作成できるのです。

さらにBIMの場合は属性情報まで与えられるので、組み立て方や素材など、より多くの情報をやり取りできます。

BCFフォーマットにも対応でデータ効率UP

オープンBIMでは、IFCだけではなくBCFフォーマットにも対応しています。
BCFとはBIM Collaboration Formatの略であり、構造計算ソフトウェア開発を行うTEKLA社と、IFCモデルチェッカーの開発元であるSolibri社を中心に制定したフォーマットのことです。※6

BCFは特定のプログラムでしか実行できないフォーマットでしたが、オープンBIMも対応したことでBFCファイルでのデータやり取りが可能になりました。

BCFに対応しているメリットは、データの効率化にあります。
3Dモデリングの修正箇所だけをやり取りできるため、修正のたびにIFCデータを直接やりとりする必要がありません。結果として、BIMモデルの修正を効率的に行えるのです。
ライバルメーカーとのコラボレーションも可能にするARCHICAD社のオープンBIMは、デジタルトランスフォーメーションが求められる今の時代にこそ必要な技術ではないでしょうか。

建築作業は専門技術の結集が不可欠ですから、このオープンBIMでデータが統合できればさまざまな作業の効率化が期待できます。
「データ形式が違うから」という理由で、最適なツールを諦める必要がありません。
さらに自由な設計が可能になるでしょう。

BIM技術の進出によって、建築業界は人の経験や感覚に頼った「職人気質」からの転換期を迎えています。ITによってこれからどう進化していくのか楽しみですね。

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参照:
※1 https://www.graphisoft.co.jp/users/special/takenakakoumuten_2019.html
※2 https://www.applicraft.com/products/rhinoceros/rhinoceros/
※3 https://www.applicraft.com/products/rhinoceros/grasshopper/
※4 https://www.graphisoft.co.jp/archicad/open_bim/
※5 https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/know/glossary/ifc.html
※6 https://www.building-smart.or.jp/old/download/files/20160614_2.pdf

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