大林組が取り組むワンモデルBIMとその事例


この記事を読むと以下の3つのことがわかります。

①ワンモデルBIMとは
②大林組が取り組むワンモデルBIM
③大林組が受注したワンモデルBIMによる北の大地の新球場

ワンモデルBIMとは

ワンモデルBIMとは、建築の企画・設計・施工及び管理までをBIMソフトウェアを活用して行うソリューションのことを言います。
今までは企画・設計・施工それぞれのフェーズで必要な図面を必要な数だけ書き起こしたり、前段階で作成した図面をより精密な情報に書き直したりなど、データ連携という観点から見るとあまり効率の良いものとは言えませんでした。
ワンモデルBIMを活用することにより、建築物はBIM上に構築され、必要な図面はそこから抜き出すことが可能です。また、設計や施工段階で修正があった場合も、BIM上のデータを修正することでリアルタイムに反映されます。
さらにこのBIMデータはクラウド上に保存されており、適切なアクセス権をもった関係者であれば、いつでもどこでもBIMデータを閲覧・修正などの作業をすることが可能です。

大林組が取り組むワンモデルBIM

大林組がBIMに取り組み始めたのは2013年。この年、建築本部にBIM推進を担うPDセンターを構築しました。
当時はワンモデルBIMという明確な考え方はありませんでしたが、企画設計から施工に至る過程で、一つのデータを共有していくことを目指していました。
ワンモデルBIMとして立ち上げたのは2017年4月のことです。
BIM標準ソフトウェアにAutodesk社のRevitを選定し、2017年11月には本支店にBIMマネジメント課が発足して本格的にワンモデルBIMが動き出しました。
そして、ワンモデルBIMのパイロットプロジェクトに指定されたのが「大阪みなと中央病院工事」でした。
この工事は担当者が設計開始時からRevitでBIMモデルを構築していたこともあり、パイロットプロジェクトに指定されたのです。
プロジェクトのBIMデータはクラウド上に保存され、設計担当、現場の生産設計担当、外部の協力会社などにもアクセス権が与えられ、閲覧、修正などが行われていきました。
その結果、現場関係者はつねに最新情報を入手することができ、手戻りなどの工数削減に寄与しました。
また、顧客との合意形成にもワンモデルBIMが大きく貢献しました。
設計段階ではもちろん、施工段階の修正箇所の打合せでもBIM3次元モデルを使用することで、よりわかりやすく、よりリアリティのある提案ができるようになりました。
このことは、顧客との合意形成に大きく役立っています。(※1)

大林組が受注したワンモデルBIMによる北の大地の新球場

そして2018年11月、大林組は北海道日本ハムファイターズのホームグラウンドとなる「北海道ボールパーク(仮称)建設工事」を受注しました。
設計は大林組とメジャーリーグスタジアムの設計実績を持つアメリカの設計事務所HKSが担当し、施工は大林組が行う工期約33ヶ月の工事です。(※2)
※球場名は後に「S CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールド北海道)」に決定しました。

この「S CON FIELD HOKKAIDO」は、札幌市に隣接している北海道北広島市にある「きたひろしま総合運動公園」内に施工され、延べ面積10万平方メートル、野球場としては収容人数35,000人、天然芝フィールドで屋根が開閉式になっています。
完成すれば、日本初の天然芝と開閉式の屋根を同時使用した球場になります。

天然芝フィールドでの新球場は、選手の怪我が少ないなどのメリットが多いことから、球団が早くから要求仕様の一つに含めていました。
しかし、寒冷地の北海道では芝の養生が難しいことから設計段階で難航していましたが、大林組と京都大学が開発した「ターフシュミレーター」が活躍します。
結果、芝の育成をコンピュータで再現し、それに基づいたBIM設計による開閉式の屋根によって解決することができました。(※3)

また、大林組とHKSはコンペ段階からBIMを導入しており、様々な検討がBIMモデル上でシミュレーションされています。
さきほどの屋根の開閉と天然芝の育成はもちろん、打球の飛球経路と観客席の安全性のシミュレーションによる観客席の配置計画、3Dモデルによるエントランス周りをVRデータで疑似体験した顧客との合意形成にもBIMモデルが活用されています。
さらに、人流シミュレーションでは退場時、イニング間でのトイレや売店の混み具合といった人の流れを可視化して、エレベータや階段の配置を検討しました。(※4)
設計段階のBIMモデルは、そのまま施工BIMで利用できるので、鉄骨やコンクリート、仕上材の必要量の算出などにも活用されます。

特に施工段階では様々な関係会社や協力会社が関わっていきます。従来の工程では、印刷した図面を使用する場合もあり、その図面を最新版に修正する工数がかかっていました。
ワンモデルBIMでは、クラウドに保存されたBIMデータを使用することで常に最新のデータを確認することができ、また、各担当者が更新したデータはリアルタイムでBIMデータに反映されます。

大林組では、新球場の設計と並行して、ワンモデルBIMのワークフロー体制の強化も図っています。中央のiPDセンターには約100人体制でBIM活用の推進を行っており、15社のモデリング会社にモデル作成を支援する仕組みも構築しています。

BIMデータ上では新球場は既に「竣工」しており、球場が建設される北広島市役所庁舎5階には、実物の1/360のサイズで作られた精巧な模型が展示されています。

新球場の周囲は、緑豊かな自然を残しつつ、エンターテイメント施設や飲食店舗を段階的に建設する予定です。
完成するとエリア全体の敷地面積は約31万平方メートルもの広大なボールパークとなります。

まとめ
大林組はワンモデルBIMの先駆者として、日本のBIMを牽引しています。
他社大手ゼネコンもBIMを活用しており、BIMは建築業界では必須のスキルになっていくでしょう。
今はコンピュータの性能も上がっているので、タブレット端末でBIM3Dモデルを表示する、ノートパソコンを使って現場でBIMデータをリアルタイムで修正するといった作業が当たり前の時代になると思います。
今後もBIMのソフトウェアや活用事例の最新情報をチェックしていく必要性を感じます。

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参考URL
(※1)
http://bim-design.com/catalog/pdf/Oobayashi-CaseStudy.pdf
(※2)
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20181105_1.html
(※3)
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1901/10/news078.html
(※4)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/na/18/00104/050700002/

新球場「S CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールド北海道)」を核とした「HOKKAIDO BALLPARK F★VILLAGE」の概要はこちら
https://www.hkdballpark.com/

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