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丹青社のDX推進に見る、建設事業者が目指すべきBIM活用の姿とは

建設業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)において、重視されているのがBIM導入関連の取り組みです。従来のCADモデリングとは一線を画す技術とされるBIMですが、実際にどうやって使えば良いのか、どのようなアプローチで導入すれば良いのかの知見はあまり普及していません。

今回は、商業施設の空間設計などを手がける丹青社におけるBIM活用の事例を参考にしながら、建設DXやBIM活用の進め方について、考えていきましょう。

丹青社のBIM活用状況について

丹青社では2016年よりBIM運用がスタートしており、試験的に多店舗展開の専門店の業務効率化を目的として導入されました。2020年になると社内でのスキル習得も進み、本格的に3Dソフトの導入を拡大するとともに、BIM推進委員会も立ち上げています*1。講習会を通じて、社内全体でのBIM導入とスキル習得が進んだことで、設計、制作などさまざまな部門のメンバーがBIMを使ったプロジェクト進行に携われるようになり、設計から工事まで一貫してBIMデータを活用できるフローが定着したということです。

すでに大手企業向け案件でのBIMプロジェクトをいくつも展開しており、自動車販売店や飲食店など、業界を問わずBIM活用が進められています。例えば自動車販売を手掛ける「Audi City 紀尾井町」の店舗内装では、3D画像やムービーを採用したBIM活用を展開し、海外にある本社とのコミュニケーションをスムーズに行い、イメージに則った店づくりを実現しています。また、デリバリーピザでお馴染みの「ドミノ・ピザ」では、多店舗展開を迅速に進めるべく、BIMモデリングによる意思決定の迅速化に努めました。3Dモデルと実際の店舗のズレをBIMによって極限まで小さくし、承認作業に時間を取らせないような工夫を施します*2。

2021年以降は更なるBIM活用に向けて、新たにBIM推進局をスタートさせています。大型商業施設や百貨店、オフィスなど、これまでよりも多様なプロジェクトへBIMを導入していく姿勢を見せています。

丹青社が考えるBIM運用のメリット

丹青社が積極的なBIM運用を進めている理由としては、やはり導入によって得られるメリットの大きさが挙げられます。丹青社ではBIM導入のメリットについて、以下の3つのメリットを挙げています*3。

意思決定を迅速化できる

BIM運用のメリットの一つ目は、意思決定の迅速化です。3Dモデリングソフトとレンダリングソフトを組み合わせ、設計の早期段階からモデリング画像からムービーまで、わかりやすいビジュアルイメージを提供できます。専門的なスキルを持たない関係者やクライアントに対して、感覚的な理解を促せます。

3Dモデルの品質を向上できる

二つ目のメリットは、3Dモデルそのものの品質向上です。BIMによって高い精度で納まりの検証や干渉チェックを行えるため、問題点の洗い出しを前もってスムーズに行えます。早い段階で問題点が見えてくれば、そのための解決方法の検討も早期に行えます。設計の初期段階で事前にあらゆる問題を回避しておくことで、施工プロセスに入る前の手戻りに伴う負担を軽減できます。

保全管理を効率化できる

BIMを使った3Dモデリングにおいては、あらゆる設備情報や機器情報が一つの3Dデータに一元化されているため、竣工後の修繕計画や点検作業にも活用できます。プロジェクトをデジタル管理することで、適切なタイミングでのメンテナンス時期の通知などにも対応しており、少しでも長く建物を使い続けられるプランを構築可能です。

3Dレーザースキャナを用意すれば、建物の点群データを速やかに取得し、3Dデータを迅速に生成できます。現場調査の早期終了、及び修繕計画策定の迅速化を促します。

丹青社が導入するBIMソリューション

ここで、実際に丹青社が導入しているBIMソリューションを見ていきましょう。同社では以下の二本を積極的に活用しているということです。

Vectorworks

Vectorworksは3Dモデリングやレンダリング、さらにはプレゼンテーションにも対応した、多機能なBIMツールです。丹青社では同サービスをデザイナーのイメージを正確に具現化し、設計作業を本格化していく上で活用しています*4。

質の高い、次世代にも通用する商業空間をデザインする上では、曲線を多用した空間などの案が出てくることも多く、設計業務の複雑化が課題となっています。Vectorworksはデザイナーの直感的なアイデアを、具体的な形に落とし込みやすく、ビジュアルで理解しやすいデザインのアウトプットを支援する能力に長けており、デザインの強みを最大限に発揮できます。

Photoruction

Photoructionは、建設・土木の業務効率を高めるべく登場した、専門性の高いクラウドサービスです。丹青社では工事写真管理や図面管理など、作業ごとに異なるツールを利用していましたが、頻繁に発生する修正作業や図面の差し替え業務などを対応するにあたり、アップロード処理に時間がかかり、業務の停滞を招いていました*5。

そこで導入されたのがPhotoructionで、情報共有の効率化を実現しています。スマホからでも利用できるクラウド共有機能を使って、アップロードやダウンロードをまとめて一つのツールから行えるよう改善しています。スマホ・PCを問わず利用できることで、オフィスや現場、自宅からでも利用できる利便性にも長けています。

丹青社の導入事例から学べること

上記のような導入事例を踏まえると、丹青社では以下のポイントからBIM活用を進めていることがわかります。

自社の強みが活きるソリューションを導入する

一つ目は、自社の強みを伸ばせるソリューションの導入です。Vectorworksによって、デザイナーの複雑なクリエイティブデザインをアウトプットできる能力を、そのまま具現化できるようモデリング技術を改善しています。

自社の課題解決につながるソリューションを精査する

二つ目は、自社の課題解決につながるソリューションの導入です。現在、自社はどのような課題を抱えていて、どうやって解決すれば良いのか、というプロセスを経てPhotoructionの導入が行われており、無駄のないツール導入と運用が実現しました。

おわりに

今回は、丹青社のBIM運用状況を例に、DX推進やBIMツールの導入をどうやって進めるべきかについて、ご紹介しました。BIM導入のアプローチが企業によって異なるのは、会社によって解消すべき課題や伸ばすべき強みが多様であるためです。

自社に最適なBIMツール導入を進めるためにも、自社の弱みや強みをしっかりと把握することが重要です。

 

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*1 JDN「BIMを活用した「こころを動かす空間創造」のこれからの可能性(1)」
https://www.japandesign.ne.jp/interview/tanseisha-bim-01/
*2 丹青社「BIMの活用推進による価値向上」
https://www.tanseisha.co.jp/solution/closeup/bim
*3 上に同じ
*4 A&A「ユーザー事例 & レポート|株式会社丹青社」
https://www.aanda.co.jp/casestudy/2019/2019-03.html
*5 建設ITワールド「タスクの共有により一定の水準で管理が可能に!丹青社」
タスクの共有により一定の水準で管理が可能に!丹青社 | サポーターズ・コーナー (ken-it.world)

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