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竹中工務店のstreamBIMを用いた取り組みについて

建築業界において、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するため、さまざまな企業でBIMを活用した取り組みが行われています。
今回は、竹中工務店にスポットを当てて、詳しく触れていきたいと思います。

建築業界では建設技能者不足が深刻化する一方で、改正労働基準法における「法定外労働時間の上限規定(2024年4月から建設業適用)」など、働き方改革を目指す法改正もあり、今後建設業界には、技能者不足を解消するための働き方改革と、生産性の向上が求められます。

竹中工務店では「竹中新生産システム」を掲げ、BIMを活用したさまざまな取り組みを行なっています。
2021年4月、竹中工務店はノルウェーのRendra社が開発した「streamBIM」を用いて技術開発の連携を発表しました。(※1)
この記事では竹中工務店のstreamBIMを用いた取り組みについてまとめていきます。

この記事を読むことで以下の3つのことがわかります。

  1. 竹中新生産システムとは?
  2. streamBIMとは?
  3. 竹中工務店のstreamBIMを活用した取り組み

竹中新生産システムとは?

竹中工務店では、建築業界の環境変化として「建設技能者不足」「働き方改革」「適正工期の発注者義務」「法定外時間労働の上限規制」「ニューノーマルなワークスタイル」「デジタル社会変革」「SDGs」を掲げ、これに対応するための取り組みを「竹中新生産システム」としてさまざまなことに取り組んでいます。(※2)
特にBIMを用いた生産性の向上に力を入れています。
竹中工務店のBIM活用の特徴として、オープンBIMを採用しており、特定のBIMソフトに依存しないIFC形式での共有を軸としています。

IFCとはBIMの中間ファイル形式で、JW-cadとAutoCad間におけるDXFファイルのようなものです。これにより、設計、施工、外部の協力会社がそれぞれのニーズに合ったBIMソフトを使っていても、データの共有が可能になります。

国土交通省のBIM推進会議の「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン」(※3) によれば、BIM活用の課題として、設計段階のみ、施工段階のみの利用となっていることが挙げられています。
その原因の一つとして、各部門や協力会社によって使用するBIMが違うとデータのやり取りがスムーズにできないことがあります。
竹中工務店の取り組みでは、IFC形式を利用したオープンBIMを使うことで、設計段階のBIM、施工図段階のBIMなどのデータのやり取りが可能となるので、それらを重ね合わせることで、整合性の高い検証を行うことができたり、共通のデータを共有できるため、維持管理においても利用することが可能です。(※4)

また、竹中工務店ではモデルプロジェクトを定め、静岡営業所、岡山営業所の建て替え計画において、RC造及びS造におけるBIMの効果的活用を検証しました。
このプロジェクトは、国土交通省の「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」でも採択され、国土交通省の定めるBIM標準フローに対する検証も行なっています。(※5)
報告によると、打ち合わせ時間の削減や、確認申請における申請図の作成業務工数の削減、積算業務時間の削減、施工時の不整合、不明瞭箇所の削減など、さまざまな場面での生産性の向上、業務時間の削減が実現しました。(※6)

stream BIMとは?

streamBIMとはノルウェーのRendra社が開発したシステムで、BIMモデルを中心として、2D図面や、PDFなどのドキュメント管理、業務の進捗管理なども行うことができるBIMクラウドプラットフォームです。(※1)
streamBIMでは、PCだけではなく、スマートフォンやタブレットなど、様々なデバイスでBIMモデルやドキュメントなどの情報を、現場や事務所、どの場所にいても確認することが可能です。
そのため、設計施工での活用はもちろん、維持管理まで同じ情報を共有し活用することができます。streamBIMは、プロジェクトに関わるすべての人のコミュニケーション、情報共有を円滑にし、やり取りを可視化することができるツールです。

前述の通り竹中工務店では、DXに向けた取り組みをさらに加速させるため、2021年4月にstreamBIMとの技術開発の連携を始めました。

次に、竹中工務店のstreamBIMを活用した取り組みについて触れていきます。

竹中工務店のstreamBIMを活用した取り組み

発表によると、竹中工務店ではstreamBIMと他のサービスとの連携を強化し、様々なソフトウェアが繋がるエコシステムの構築を目指すとのことです。
連携するソフトウェアとしては、元々竹中工務店でオープンBIMの中心として使用していた、意匠・構造・設備のIFCモデルを読み込み、表示、干渉チェック、整合性チェック、空間分析を行うことができるサービスの「Solibri」とIFCモデル上にテキストやスクリーンショットを追加するための統一フォーマットのBCFを介したコラボレーション機能の強化や、「dRofus」というBIMデータ管理ソリューションとの連携、建設現場で撮影された360度写真を整理・共有するクラウドサービスの「HoloBuilder」などとの連携が挙げられています。
「Solibri」とBCFを使った作業では、各部門で作成したBIMモデルの重ね合わせはもちろん、そこに2D情報なども併せて重ね合わせて確認することで、より整合性の高いものを作成、共有することが可能です。
また、「HoloBuilder」では、建設現場で撮影された360度写真により、建設現場の状況がよくわかる写真を保管することができ、現場の情報共有が遠隔でも行いやすくなるので、コミュニケーションの円滑化に役立ちます。定期的に現場を撮影し、記録を残すことで、建物の保守運用においても活用できます。さらにBIMモデルと現場写真をリンクすることで、工事の進捗管理、検査業務の効率化など、現場での生産性向上にも活用できます。(※7)

このように、streamBIMを他サービスとの連携を高め、巨大なデータベースとして使えるシステムにすることで、各関係者へのスムーズなデータ連携の実現を可能にし、BIMモデルの重ね合わせチェック等により、整合性の高い、完成度の高い仕事ができるようになるでしょう。

まとめ

建築業界では、他業界に比べて仕事量が多く、労働時間も長いイメージがあるかと思います。
筆者も建築業界で働いていますが、やはり労働時間、作業量共に多く、図面作成作業においては各部門でそれぞれ作成するため、手戻り作業が多くなっている印象があります。
竹中工務店の目指すエコシステムが、この先さらに進み、建築業界全体としてももっともっとDXを意識して取り組んでいければ、生産性向上による労働時間の削減、アフターコロナによる働き方の変化への対応などの、さらなる働き方改革が進むことで、建築業界の魅力が上がり、人手不足などの現状抱える問題が、解消されていくことを期待します。

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参考文献
※1 「Rendra社とBIMを活用したDXに向けた技術開発で連携」
https://www.takenaka.co.jp/news/2021/04/02/index.html
※2 「新しい建築生産のかたち」
https://www.takenaka.co.jp/solution/shinseisan/index.html
※3 「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001473764.pdf
※4  「竹中新生産システムのコンセプト」
https://www.takenaka.co.jp/solution/shinseisan/concept.html
※5  「RC造及びS造のプロジェクトにおけるBIM活用の効果検証・課題分析」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001473047.pdf
※6 「令和3年度 BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業 検証結果報告書」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001482010.pdf
※7 「HoloBuilder社と日本の建設市場に向けた技術開発で連携」
https://www.takenaka.co.jp/news/2020/03/05/index.html

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