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BIM運用を加速させるIFC.jsの効果とは?機能をご紹介

建設DXの要ともされているBIMですが、そのメリットとは裏腹に運用障壁も立ちはだかるため、急速な普及は進んでいないのが現状です。このようなBIM運用に伴う課題の解消に役立つとして期待されているのが、IFCと呼ばれるフォーマット、そしてIFC.jsと呼ばれる技術です。

今回は、IFCが持つ効果や課題、そしてIFCの問題点を解消できるIFC.jsの概要について、ご紹介します。

目次:
①IFCとは
②IFCの問題点
③IFC.jsが提示するソリューション
④IFC.jsの強み

IFCとは

そもそもIFCは、BIM運用を支援するbuildingSMART社が開発した独自のBIMモデル運用フォーマットです。3Dモデリングにおける構造物の定義づけは、これまで行われてこなかったため、コンピュータに3Dデータを読み込ませると、人間からすれば明らかに「窓」の性質を持ったオブジェクトでも、線分の集合体としてしか認識されませんでした。

しかしIFCのフォーマットを活用することで、オブジェクトを「窓」として定義づけることができるようになります。特定のツールだけでなく、共通規格としてあらゆるソフトで「窓」と認識してもらえるようになるため、BIMモデルの共有を一段と円滑に行えるポテンシャルを含みます。

BIM運用において課題とされてきたのが、プラットフォームやツールを跨いだデータの共有です。異なるツールを用いてモデリングされたBIMモデルは、互換性がないと正しく認識されず、複数のツールを用いているコラボレーションにおいては正しく情報共有が行われない可能性があります。

そこで活躍するのがIFCという規格で、設備設計や施工、そして施設管理に至るまで、あらゆるシーンにおける効果的なBIMモデル活用を実現します。

IFCの問題点

その特徴を聞くと非常に便利な印象を受けるIFCですが、運用に当たっては課題も抱えています。それがIFCデータの読み書きに関する問題で、このフォーマットはあまりにもデータ量が多く、容易に読み書きすることができないという欠点を抱えています。

IFCの場合、一つのデータに対して何十万行もの情報が含まれており、それぞれを細かく解析していかなければなりません。メモリ管理やジオメトリ生成を実現する上でも効率が悪く、気軽に運用することは極めて困難です。

建設業界はDX人材が特に不足しており、運用を進められるマネージャーやエンジニアの存在があらゆる企業で枯渇しています。このような状況下で、IFCのような手間のかかるフォーマットを運用する環境を整備することは難しく、IFCの運用は先延ばしにされてきました。

IFC.jsが提示するソリューション

このようなIFC運用の課題を解消するべく、新たに誕生したのがIFC.jsと呼ばれるJavascript向けのライブラリです。このライブラリを導入することで、IFCデータを非常に簡単に読み書きできるよう環境をアップグレードすることができます。IFC.jsを導入することで、建設・建築関連のアプリケーション開発に取り組んでいるエンジニアは、作業効率を向上させ、BIM運用の付加価値を最大化することに注力できるようになります。

IFC.jsの運用において、特に焦点を当てているのが、ジオメトリとデータの2点です*1。

ジオメトリ

IFC.jsは実用性を重視したBIM運用特化のライブラリであるため、はじめからThree.jsやBabylon.jsなどの3Dライブラリに対応しています。開発者が手動で設定を行わなくとも、導入してすぐに3DのBIMツールを作成できるよう設計されています。

データ

建築物の構成要素やその材料、熱特性、構造強度などのデータ群に対して、IFC.jsを活用することで、容易にアクセスすることが可能です。ジオメトリに関連するすべてのプロパティへのアクセスが実現しているため、効率良いデータ活用を推進できます。

IFC.jsの強み

上記の機能性を最大限に活かすことで、IFC.jsは独自の強みを存分に発揮できるよう設計されています。IFC.jsの運用において活かしたい強みが、以下の3点です。

Javascript向けライブラリなので運用が簡単

1つ目に、IFC.jsはJavascript向けに開発されているため、運用難易度が非常に低い点が挙げられます。同ライブラリを運用するための要件として、JavaScript、HTML、CSSの基本的な知識が最低限求められています。しかしながら、このライブラリはBIMアプリケーション開発を志している開発者向けに提供されているため、ある程度経験のあるプログラマであればこれらの扱いは難しいものではありません。

エンジニアを志す人の多くが最初に触るJavascriptやHTMLに対応しているライブラリなので、初学者の方でも気軽に利用できます。Webブラウザ、デスクトップアプリケーション、モバイルアプリケーションとの互換性を備えているので、オリジナルのホームページを作成するのと同じくらいの難易度で運用できると考えれば、そのハードルの低さが分かるのではないでしょうか。

マルチプラットフォームで対応可能

IFC.jsは、フロントエンドおよびバックエンドのWebアプリ、デスクトップアプリ、モバイルアプリなど、マルチプラットフォームで運用ができるライブラリです。サーバー通信に頼ることなくIFCファイルを読み書きできるので、Webブラウザ上で簡単にオープンなBIMアプリをリリースできます。

また、IFC.jsはWebGLのコードをネイティブのOpenGLにマッピングするReact Nativeもサポート対象となっています*2。AndroidやiOSとモバイルバージョンもOSに左右されることなく、BIMアプリを運用可能です。

スピーディなパフォーマンスを実現

IFCファイルの読み書きをサポートするIFC.jsの運用懸念として、そのパフォーマンスが挙げられます。IFC.jsそのものはC言語によって開発され、高いパフォーマンスが保証されています。IFC.jsで作成されたオープンBIMアプリケーションの重量は1MB以下となり、軽量で軽快な動作を実現し、大容量ファイルからデスクトップアプリケーションと同等の速度でデータ読み込みを行えます*3。

ブラウザ上で60fpsで動作する3Dジオメトリをスムーズに生成できるので、負荷の大きいコラボレーション業務にも問題なく対応可能です。

まとめ

IFCフォーマットはその可能性に注目されながらも、運用難易度が高く、未だ広範な普及には至っていません。しかしJavascriptで運用できるライブラリであるIFC.jsが登場したことによって、運用障壁は大きく下がり、BIMアプリ開発の一層の加速が進むと期待できます。

ユーザーと開発者が参加するオンラインコミュニティの活動も活発で、導入も容易であるため、今後の発展と普及に注目が集まります。

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*1 IFC.js「はじめに」
https://ifcjs.github.io/info/ja/docs/Introduction/
*2 上に同じ
*3 IFC.js「Docs」
https://ifcjs.github.io/info/ja/

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