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竹中工務店が目指す次世代のBIM運用のあり方

BIMは建設業界において、今や導入が必須とされる技術となりました。ただBIMの導入が進むにつれ、新たな課題として注目されつつあるのが「どのようにBIMを運用するのか」といった問題です。

業界最大手の竹中工務店は早くからBIM運用に取り組んできた企業の一つですが、BIMの導入だけに留まらない、新しいBIM運用のあり方についても模索を始めています。

目次:
①BIM建築やBIM運用で実績を挙げてきた竹中工務店
②ロボットやIoTとの連携で、さらなる生産性の向上にも期待
③保守運用へのBIMの活用も進んでいくかもしれない

竹中工務店がBIMに求めるもの

竹中工務店におけるBIM運用の目的は、非常に明快です。BIM活用による生産性向上、そしてBIMの強みを最大限に活かすための技術革新の追求に、同社は取り組んできました。

設計から施工に至るまでの生産性向上

BIMがもたらすメリットとして最も注目されているのが、設計から施工、そして運用に至るまで、建設に関わる全ての工程で生産性向上につなげることができるという点です。建設業界において、生産性向上に向けた取り組みが一気に進んでいるのは、労働人口の減少や働き方改革といった取り組みが喫緊の課題であるためです。

減り続ける働き手を補うため、生産性の向上によって既存のリソースで賄うことを目指し、労働環境の改善によって、新しい人材の確保にも努めます。 竹中工務店ではこの課題にBIMを持って取り組み、特に設計から生産段階におけるプロセスのアップデートを行い、異次元の生産性の向上を目指すとしています*1。

ロボットやAIの導入による技術革新

BIM運用は単体だとそのパフォーマンスに限界がありますが、ロボットやAI、そしてIoTといった別のテクノロジーとの融合によって、さらなる技術革新を目指すことができます。 竹中工務店はかねてよりロボットなどを積極的に活用する機械化工法へ意欲的に取り組んできたこともあり、ロボティクス分野におけるBIMの運用が進んでいます。

オープンイノベーションによる四足歩行ロボットの導入実験や、AIソフトの開発、そしてアメリカのシリコンバレーにおけるスタートアップ支援にも取り組み、技術開発による業務の安全化、省人化を進めています*2。

竹中工務店のBIM運用の実績

竹中工務店にとって、BIM運用は未来の技術ではなく、すでにBIMを活用した多くの実績も残してきました。

ARCHICADを使った「鉄のショールーム」

竹中工務店が手掛けているBIM建築として名高いのは、大阪市にある三栄建設鉄鋼事業本部新事務所が挙げられます。 この建築ではグラフィソフトのARCHICADをベースに、いくつかのソフトウェアを組み合わせて使用する「Open BIM」であることからも、注目を集めています*3。

今回手掛けている建築で特徴的なのが、斜めの壁で囲まれた事務所ビルの各部屋です。 通常のビルでは一般的な直線構造はほとんど採用されておらず、一見すると無作為に形成された部屋が繋ぎ合わさっているかのような印象を受けます。 しかし、この建築にはボロノイ分割と呼ばれる幾何学的手法が採用されており、各部屋に求められる面積の条件をクリアしながらも、複雑な形状の部屋の最適配置を実現しているのです*4。

これは3Dモデルをデザインするソフトの「Rhinoceros」と、そのプラグインソフトである「Grasshopper」を活用することによって実現したもので、あらかじめ設定したパラメーターに基づき、空間を自動生成することができました。 アルゴリズムに基づいて生成した3Dモデルを、ARCHICADによってBIMモデル化。そして構造はTeklaStructuresを使い、設備はRebroで設計をしたというオールBIMデザインのプロセスは、まさにBIM建築を代表する取り組みであると言えるでしょう*5。

デジタル測定器との連携など、IoTとの連携も

BIMによる設計を強化している竹中工務店ですが、BIM活用の場は設計だけにとどまりません。 BIMデータは一貫したデータ活用が可能であるという特性を生かし、2019年にはBIMとデジタル測定機器を連携させた設備検査手法も構築しました*6。

設備工事においてはその品質を確保するため、風量測定や照度測定など、いくつもの設備検査を行う必要があります。 デジタル測定器を用いた検査は従来のアナログ測定よりも効率的ではあったものの、検査報告書の作成など、いまだにアナログ手法が使われていた部分があります。 そのため、必ずしも十分に効率的であるとも言えませんでした。

そこで今回採用されたBIMとデジタル測定器の連携では、検査の一連の流れを全てデジタルで完結することができるようになりました。 測定からデータ取り込みまではもちろんのこと、BIM連携によってデータを全てBIMに一元化することができるようになったことで、報告書の自動生成も実現可能になりました。 各検査における作業効率の向上、そして50%の人員削減効果も現れるなど、確実にBIM運用の成果を発揮していることがわかります*7。

これからの竹中工務店とBIM運用

竹中工務店のBIM運用はさらに発展し、本格的なロボット活用や、着工後の建設物運用に向けたBIM活用にも期待が集まります。

BIMとクラウドを連携させたロボットの活用

2020年2月、竹中工務店はさらなるロボットの運用に向けて、BIMを使った建設ロボットプラットフォームを開発しました*8。 建設現場におけるロボット活用において、竹中工務店はロボットの自律的な稼働、そして稼働状況を常に監視し、異常時には適切に制御できることを重視しています。

そこで今回、クラウドを活用した建設ロボットを一括管理するプラットフォームを構築し、BIM連携によって正確かつ複数のロボットの管理をクラウド上で行えるようにしました。 従来のように一人一台ロボットを監視、あるいは操作するのではなく少人数で大量のロボットを制御できるようになったことで、大幅なロボットの導入を一度に進めていくことも可能になっています。

同プラットフォームは2020年度中の導入を予定しており、今後さらなるロボットの活用が建設現場で顕著になっていくでしょう。

FM運用も視野に入れた施策にも期待

また、ロボットの活用やIoTとのBIM連携機能は、建物の保守運用においても活躍が期待できます。 これまで行ってきた日常的な点検業務や、セキュリティチェックは全てロボットで賄えるだけでなく、BIMデータを参照とした点検により、質の高い評価を行うことができるようになります。

また、IoTによって建物の機能を強化し、自動で室温調節やIDチェックが行えるような技術が搭載されていけば、建物の価値を高い水準で維持することもできます。 BIMと次世代技術の連携は、スマートシティの構築にも大きく貢献していくことになるでしょう。

おわりに

竹中工務店のBIM運用は、国内でも有数の高いレベルに到達しようとしています。 設計から施工、そして保守運用に至るまでをBIMでカバーできる体制は着実に整っており、今後の展開にも大きく期待することができそうです。


出典:
*1 竹中工務店「Takenaka Corporate Report 2019」
https://www.takenaka.co.jp/enviro/es_report/pdf/2019/p17_18.pdf
*2 上に同じ
*3 グラフィソフト「傾く壁、「鉄のショールーム」の意匠設計に ARCHICADを活用し、設計・施工BIMを連携 」
https://graphisoft.com/jp/case-studies/takenakakoumuten-2019
*4 上に同じ
*5 上に同じ
*6 竹中工務店「BIMとデジタル測定機器を連携させた設備検査手法を構築」
https://www.takenaka.co.jp/news/2019/01/01/index.html
*7 上に同じ
*8 BUILT「竹中工務店がロボット運用の「BIMプラットフォーム」構築、2020年度中に本格運用」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2002/18/news050.html

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