竹中工務店がBIMで遮音設計も自動化!最新のAI技術もご紹介


この記事を読むと、以下の3つの事がわかります。
1.竹中工務店のBIMによる遮音設計事例
2.BIMで遮音設計を自動化する仕組み
3.竹中工務店のAIにおける考え方と、建築業界で「使える」AI技術について

国内の大手ゼネコンである竹中工務店は、早くから「BIM」に取り組んでいます。BIMソフトを導入するだけではなく独自の手法を開発して特許を取得するなど、BIMにかなり積極的なのです。

2017年にはBIMで遮音設計を自動化する手法を開発し、すでに施工事例も作っています。国内最先端ともいえる竹中工務店のBIM技術と、最新のBIM×AIの技術についてご紹介します。

自動化で効率化!竹中工務店がBIMで遮音設計を実現

日本の大手ゼネコンである竹中工務店は、BIMを積極的に取り入れている企業として知られています。2017年にはBIMを活用した遮音設計を開発し、すでに国内の移転工事で適用しました。

3次元情報や情報共有をベースに建築作業を効率化させるBIM(Building Information Modeling)の取り組みは、国土交通省の推進もあり国内の建築業界でも進んできています。

竹中工務店が遮音設計を実際に行ったのは、大阪府吹田市にある国立循環器病研究センターです。2019年に移転が完了している国立循環器病研究センターでは、BIMによって効率的な遮音設計を実現しています。※1

なお、竹中工務店はこのBIMによる遮音設計の手法について、特許を出願しています。

「BIMをそろそろ始めないと…」と思いながら本格導入が実現できていない、という建築関係企業も多いのではないでしょうか。BIMの導入には専用ツールの導入をはじめ、社内での運用方法の検討など考えることがたくさんあります。

「さすがは大手ゼネコン」といったところですが、竹中工務店は国内でもかなりBIMの取り組みが進んでいます。では、どうやって遮音設計を自動化したのか、その仕組みについてご紹介します。

竹中工務店はどうやってBIMで遮音設計をおこなったのか

BIMといえば、3次元データによる3Dモデリングや情報共有を行うことで、建築作業を効率化していくことを指します。壁や階段といったパーツを3Dモデリングで作成していくことは想像できますが、遮音設計までをBIMで自動化させる技術はなかなかイメージできません。

竹中工務店は、社内にある音響設計グループとBIM建築設計グループが協力することで、BIMによる遮音設計の自動化を開発しました。

BIMデータに音響情報を組み込んだ

BIMデータには、1つ1つのパーツに情報を組み込めます。たとえば扉のパーツをBIMで作った時、その扉の材質やサイズはもちろん、「組み立て方」といった情報まで与えられるのです。

竹中工務店は上記のBIM特性を利用して、部屋ごとに「音響特性」の情報を与えることにしました。※2

病院という建物では、入院や診察といった患者のために「部屋の静けさ」が欠かせません。しかしポンプ室や検査室といった大きな音が発生する部屋もあり、場所によっては騒音が気になります。

そこで竹中工務店は、以下の2つの音響特性を3Dモデリングデータに組み込みました。

室内騒音目標レベル…入院患者が滞在する部屋や診察室といった、静かさが必要な部屋で求める静かさ
発生音レベル…検査室や待合室などで発生が予想される、発生音の大きさ

上記のように3Dモデリングで作成した部屋ごとに音響特性を与えたのち、さらに効率化させるよう工夫しました。

音響データを可視化・自動化

竹中工務店は3Dモデリングデータに音響特性情報を与えた後、その音響情報に色を与えてカラートーンで表示することで、一目でわかるようにしました。

静かさが必要な部屋は「青」、騒音が発生する部屋は「赤」としています。静かさが必要な部屋ほど青色が濃くなり、発生音が大きい部屋ほど赤色が濃くなります。そして色分けした情報を基に、BIMが自動で遮音性能を設定してくれるのです。※3

竹中工務店がBIMで得られた効果は多い

上記のようにBIM手法を使って遮音設計を効率化した竹中工務店は、以下のようなメリットを産み出しました。

・遮音設計の自動化
BIMを使わない従来の方法では、遮音設計も労力がかかる作業でした。遮音設計図を基に遮音向けの建築パーツを当てはめる必要があるので、音響設計者は1つ1つ図面を見ながら設計していたのです。それが、BIMの自動化によって以下のように効率化できました。

従来のやり方:
建築設計者が部屋のレイアウトを作成する→音響設計者が遮音性能を1つずつ手作業で設定する→完成

BIMによるやり方
静かさが必要な部屋と、音が発生する部屋の音響属性を入力する→建築設計者のプラン通りに遮音性能を自動で設定する→完成

技術者の技術やセンスに依存しないため、自動化だけではなく安定性も期待できます。

・音響リスクの防止
前述したようにカラートーンで部屋ごとの音響情報を可視化できると、レイアウトミスによる音響リスクの防止にもつながります。

病院はマンションなどと違って複雑な構造をしています。さらに発生音が大きい空調機械室があったり、かなりの静音性が求められる役員室が同フロアに配置されたりと、部屋のレイアウトにはかなり気を使うものです。

だからこそ竹中工務店のBIM手法のようにカラーマップによる表示は画期的です。レイアウトミスを防ぎ、後から「しまった!」という事態を防ぐことに直結します。

・コストダウン
実は竹中工務店のBIMは、遮音設計やカラーマップ表示のみを自動化するものではありません。3Dモデリングで設計図を作ることで、建築材料の仕様までも自動で入力しています。

つまり建築資材の発注用としてわざわざデータを作る必要がなく、遮音設計などと共に建築資材の発注準備も同時進行できるのです。またBIMによる3Dモデリングなら、たとえば窓の大きさを変更した場合、それに伴う窓枠の大きさも自動で変更されます。

だから度重なる仕様変更があっても設計ミスが起こりにくく、資材の発注ロスも予防できるのです。

竹中工務店はAI×BIMも開発

2017年にBIMによる遮音設計の自動化に成功した竹中工務店は、「今後はAIの活用も目指していく」と明言していました。そして2019年には、竹中工務店は「3つのAI」を開発してさらなるハイテク化技術を産み出しています。

「使えるAI」を独自開発

「あべのハルカス」など国内でも有名な建築物を手掛ける竹中工務店は、建築業界で「使えるAI」として、以下の3つのAIを発表しました。

・リサーチAI
構造設計の初期段階で必要になる類似事例をAIがリサーチする。400プロジェクト、25万部材もの情報の中から、AIが類似事例を探してくる。

・構造計画AI
構造計算をしなくても、柱や梁といった構造の仮定断面を自動で算出する。今まで構造設計者の経験やセンスに依存していた部分が自動化される。

・部材設計AI
施工性や経済性をAIが自動で考慮して、部材のグルーピング案を提案してくれる。今までは構造設計者がどの部材を使うか考える必要があったが、部材設計AIが複数の案を出してくれるため、意思決定が効率化される。※4

AIはあくまでもツールである

AI(人工知能)はガジェットやIoTなど、あらゆるモノで活用されるようになりました。「人工知能」という言葉で、AIが万能であるかのように錯覚してしまう人も多いのではないでしょうか。確かにAIは人が教えたことをその通りこなしてくれるITであり、「AIに仕事をとって替わられる」なんていう話もあります。

しかし竹中工務店のBIM担当者曰く、AIは万能ではありません。あくまでも人間のやりたい事をサポートしてくれる「ツール」と考えるべきなのです。

ツール(道具)である以上、人間が「どう使うか?」という点がとても重要となります。AIは人間が教えたことを忠実にこなしますが、人間の想像力やオリジナリティといった真似できない部分が存在します。

誰もがAIを正しく使える環境が整えば、さらにクリエイティビティ―が向上して、世の中がITでよりよく進化していくでしょう。

BIMで遮音設計が効率的になるなど、これからのテクノロジーにもっと期待していきたいものですね。

参照
※1 https://www.takenaka.co.jp/news/2017/10/02/index.html

※2 https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1711/01/news046.html

※3 https://www.takenaka.co.jp/news/2017/10/02/index.html

※4 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/00556/

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