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BIMガイドラインとワークフローについて

2009年ごろから日本にも徐々にBIMの導入が進み、2023年現在では多くの企業でBIMソフトが導入されてきています。(※1)BIM活用により、建築業界での生産性向上が期待されていますが、未だに設計段階のみ、施工段階のみの活用にとどまっている企業が多く、建築プロジェクトのプロセスを横断する形でのBIM活用の促進が課題となっています。BIMの活用をより推進するために、国土交通省ではBIMガイドラインを策定しています。
本記事では、BIMガイドラインと、そのワークフローに関して詳しくまとめていきます。

この記事を読むことで、以下のことがわかります。

  1. BIMガイドラインとは?
  2. BIM活用のワークフローについて
  3. まとめ

BIMガイドラインとは?

国土交通省では「建築BIM推進会議」において、BIMのプロセス横断的な活用に向けた関係者の役割や責任分担を明確化させるための標準ワークフロー、BIMデータの受け渡しルール、BIM活用のメリットなどを示した「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」を令和2年3月に策定しました。
このBIMガイドラインをより実用的なガイドラインとするために、令和2年度から、実際のさまざまな建築プロジェクトに活用し、標準ワークフローに沿ってBIMを活用した場合の効果や課題点を検証する、「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」を実施しています。このモデル事業での検証により、BIMガイドラインの標準ワークフローの有効性が確かめられましたが、課題も明らかになったので、令和4年3月に「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第2版)」として改訂されています。(※2)

BIM活用のワークフローについて

以下にBIMガイドラインの標準ワークフローについて、簡単にまとめていきます。

図のように、ガイドラインでは標準ワークフローとして、BIMを活用した場合の業務の流れの参考例を従来のBIMを利用しない場合と比較されています。(※2) 一連の業務内容をS0〜S7の業務区分に分け、BIMを活用しない場合との変更点は以下のとおりです。

S0事業計画の検討・立案、S1事業整理のための建築計画の検討・立案

S0、S1の基本計画の段階でのBIM活用を位置付けました。
S0の企画段階では、建築物の規模や用途、活用のイメージなどの、事業の概要を企画、立案し、建築物が生み出す価値や効用の大きさを分析、予算枠の検討を行います。S1の基本計画段階では、具体的に建築物やその部分の品質、全体の事業スケジュール、建築基準法の集団規定などの設計与条件の検討などを行います。事業の予算枠の配分などのコスト計画を立てて、今後の設計などでのBIMの活用をここで判断します。

S2基本的な機能・性能の設定(基本設計)

ここでの変更点は、基本設計に構造・設備の基本設計モデルの作成を含めたことです。
従来の基本設計の標準業務では、構造と設備に関しては計画概要書、計画説明書までとなっており、具体的な図面までは求められていませんでした。しかし、意匠計画を固める上で、構造は仮定されており、設備のスペースも検討されています。この、基本計画を固める上での根拠となっている構造計画、設備計画を基本設計段階のBIMモデルに入れておくようにします。

S3機能・性能に基づいた平面・立面・断面図の確定、S4工事を的確に行うことが可能な設計図書の作成(実施設計段階)

従来の設計業務とは異なり、設計BIMのモデルの形状詳細度と属性情報量に応じて、実施設計段階を2つに分けています。実施設計の前半で設計内容(3Dモデルの属性情報)は、ほぼ固まります。実施設計の後半では設計図書としての取りまとめを行うという流れです。また、施工技術コンサルティング業者は、設計者に対して、その専門分野に応じ、提案を行います。
施工技術コンサルティング業務とは、主に設計段階において、発注者または設計者からの業務委託を受け、施工の観点から設計者に対して技術協力や助言などを行う業務になります。設計段階での施工技術コンサルティングにより、施工の観点からの具体的な提案をもらうことで、合理的な設計業務を進めることができます。
また、確認申請もIFC(BIMデータ交換形式)で行うことで、より業務の効率化を図ることができます。

S5設計意図伝達、工事監理、施工、本体工事の引き渡し、本体工事の維持管理・運用BIMデータの整備、引き渡し

この段階では、設計者は設計意図伝達業務の内容を、竣工検査などに備えて整理し、設計BIMの修正を行います。
施工者は、施工計画、施工図・制作図の作成、各種記録の作成などの業務を実施します。施工における詳細形状や具体的仕様、設備機器などの情報を入力した施工BIMを作成、活用し、各種建設ICTツールと連携させて、施工・現場管理などを実施します。施工段階では、BIMの活用により、干渉チェック、納まりの確認、施工性の確認、部材の数量算出など、さまざまな用途での業務の効率化ができます。
また、維持管理・運用BIM作成者は、維持管理・運用に必要な情報(施工段階で確定する設備施工情報、設備機器の品番、耐用年数など)についてデータを整理、入力し、維持管理・運用BIMを作成します。

S6本体工事の維持管理・運用BIM引き渡し、別途工事などの維持管理・運用BIMデータの整備・引き渡し

この段階では、維持管理・運用BIM、別途工事の維持管理に必要なBIMデータを発注者に引き渡す段階でのBIMモデルの作成を設定しました。
維持管理・運用BIM作成者は、維持管理・運用BIMを発注者・維持管理者・運用管理者に適切に引き渡すことに加え、建築物の竣工、引き渡し後の工事や備え付けた什器・備品などの情報入力などを行います。また、活用するソフトウェアの違いによるデータの変換作業なども行います。

S7維持管理・運用

ここでは維持管理・運用でのBIM活用を位置付けました。維持管理者・運用管理者は、BIMと各種データを維持管理・運用システムなどに取り込むことによりBIMを活用し、日常的なマネジメント業務(日常清掃、空調・照明などの設備の日常点検、防災・セキュリティ管理等)での3Dモデル活用に加え、経営の観点への寄与など、効率的な維持管理・運用管理を行います。
(※2)

以上のようなBIMの活用により、適切な形状や情報の管理がしやすくなり、コストの管理などもしやすくなる、協働しやすくなる、などのメリットがあります。
また上記をもとに、BIMガイドライン内では6つのパターンのワークフローが示されています。詳しくは割愛しますが、活用目的や、プロセス間の連携のレベルに応じた多様なパターンに応じて活用するのが良いでしょう。

まとめ

国土交通省が提示する、BIMガイドラインはBIMを導入し活用していく際の基本的な業務進行の基準となります。もちろん各プロジェクトによって、状況が異なりますので全てに当てはまるわけではないですが、極力ワークフローに沿って業務を行うことで、建築業界の業務の効率化、生産性の向上が期待されます。
BIMをうまく活用するためには、BIM運用に関する各関係者・各業者間の綿密な打ち合わせ、連携が重要です。

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参考文献:
(※1)「日本のBIMについて」
https://bim-japan.com/japan.html

(※2)「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第2版)」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001488796.pdf

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