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BIMデータの活用に必要な「IFC」とは?その魅力と将来性をご紹介

BIMの話でよく聞く「IFC」とは何?
IFCがなぜ注目されているの?

とお悩みの方へ。IFCとはデータ規格の1つで、特に建築業界におけるBIMで注目されているものです。国内外のさまざまなベンダーからBIMツールが提供されていますが、サポートしているデータ形式にはバラツキがあり、関係者が持つデータをどうまとめていくかが課題となります。

そこでデータの共有に大きく貢献しているのが、国際標準でもあるIFCというデータ規格です。ここではIFCデータについて、その概要や注目される理由、今後の展望についてご紹介いたします。

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。

1.IFCデータの特徴について
2.IFCデータが注目される理由
3.IFCデータの展望

IFCとはデータ形式の1つ

IFCとはIndustry(建設業界) Foundation (共有プロジェクト・モデルの基礎)Classes(合意のもとに構築する共通言語)の略で、CADデータモデルのファイル形式です。

そして、IFCデータは建築業界で推進されているBIMの国際的なデータ規格でもあります。

IFCというデータ規格はbuilding SMARTという国際団体が管轄しており、世界各国に団体があります。日本では「building SMART Japan」という団体名で、検定試験なども開催しています。(詳しくは後述します)

IFCデータは建物を構成するすべてのオブジェクトでシステム的な仕様を定義できるもので、BIMの推進に大きく貢献しているのです。

建築業界では、情報をデータ化したり共有したりして業務の効率化を図る「BIM」の導入が急務となっています。

今までのCADデータの場合は2次元情報であるため、線分表現の情報しか与えられません。しかしBIMなら3次元の立体的な図形で表現でき、属性情報も付与できます。

例えば「ドア」という建具1つをとっても、IFCならドアのタイプや材質、型番や形状といったCADでは不可能な細かいデータを属性として与えることが可能です。同じ要領で壁や柱、階段や窓といったデータをデジタル上で構築して各要素の情報を持たせることで、より多くの関係者とデータ共有を進められます。

しかし同じBIMデータであっても、使っているツールによってデータの規格が違っていればすぐにデータを共有できません。そこで共通のデータ形式として、IFCという規格が定義されているのです。

IFCという同じ規格を持っていれば、同基準を持つ別のBIMツールで開いたり編集したりできます。またプロジェクト完了後も該当のデータをIFC形式で保存・共有することで、その後に続く保守管理業務の効率化にも役立てることができるのです。

この「共有できる」という点がBIMの最大のポイントであり、このためにIFCというデータ形式が使われています。

BIM活用におけるIFCデータの魅力

BIM活用において、IFCには以下のような魅力があります。

・Open BIMの主軸を担うデータ形式
・国際標準化されたデータ形式である
・IFCがあればツール不要でデータを閲覧できる
・有名BIMツールの多くがIFCに対応している
・さらなる活用を目的としてIFC検定も実施される

それぞれについて順番に解説していきます。

Open BIMの主軸を担うデータ形式

Open BIMとはグラフィソフトジャパン社が提唱し始めた考え方で、他のベンダーとも連携できるBIM体制を積極的に整えていこうとするものです。(※1)

建築業界全体でBIMの導入を進める必要があり、グラフィソフトジャパン社はライバル会社ともいえるRevit社のBIMソフト上で自社のソフトを動作させるツールを配布するなど、統一化に向けて積極的に動いています。

このOpen BIMで連携の共通データフォーマットとなっているのがIFCです。この取り組みによって、国内でもチームワークの最適化ができるなど改善事例が多数生まれています。

Open BIMについては、建築プロジェクトにOpen BIMが革命でもご紹介しておりますのでぜひご覧ください。

国際標準化されたデータ形式である

IFCは1997年にはじめてパイロット版としてリリースされました。その後何度もバージョンアップを重ね、2013年にはついにBIMにおいて国際標準化となっています。(※2)

IFCを管轄しているのは、前述した通り「building SMART」という非営利団体です。2000年以前から建築業界でもIT化が叫ばれていたものの課題が多く、その中の1つが共有できるツールがないことでした。

building SMARTは1995年に開催された建築業界のショーから活動をはじめ、高度なIT技術に見合うデータ規格としてIFCを生み出し、普及活動を行っていたのです。

IFCがあればツール不要でデータを閲覧できる

IFCは、ビューアツールさえあればBIMデータを閲覧できるという点も大きな魅力です。

BIMの活用には専用のツールが必要で、例えばオートデスク社のRevitやGraphisoft社のArchiCADなどがあります。これらは性能が高くシェア率も世界的に高いのですが、その分導入には多くの費用が必要で、コスト面から導入に踏み出せない企業も少なくありません。

しかし各メーカーがBIMのデータを閲覧するためのビューアを提供しており、ビューアのみなら無償で入手できます。そのためまだBIMツールを持っていない場合でも、BIMプロジェクトのデータを閲覧したり参加したりすることが可能です。

またビューアがあれば建物の完成予想図や周辺環境といった3Dモデルデータが閲覧できるので、近隣住民への説明などにも活用できます。今まで膨大な時間を使って作成していたプレゼンデータなども、このビューアをそのまま流用することで業務効率化が図れるのです。

有名BIMツールの多くがIFCに対応している

2013年から国際標準化されているIFCデータは、多くのBIMツールでサポートされています。

例えばRevit、Archicad、VectorWorks、FlowDesignerといったBIMツールはIFCに早くから対応しており、別々のBIMツールであっても「共有できない」という心配がありません。

BIMツールはベンダーが提供しているため、細かな仕様やサポートしているデータ形式は様々で、共有できない場合もあります。だからこそIFCのように標準化されたデータがあれば、より関係者とのスムーズな連携が可能になるのです。

さらなる活用を目的としてIFC検定も実施される

IFCデータを管轄しているbuilding SMARTは「IFC検定」を主催しています。この検定は実務において、IFCデータ連携の精度を向上させたりシステムの利用者と開発者の双方がIFCに関する共通理解を促進したりといったことを目的としたものです。(※3)

これからBIM分野においてスキルアップを目指している方は、検定を受けて知見を深めるのもいい勉強になるでしょう。

IFCデータの今後

IFCデータは建築分野におけるBIMの活用に留まらず、今後はデジタルツインやスマートシティなどさらに最先端分野の活用に向けて進んでいます。

BIMが作り出す3次元空間の情報は、製造業などで推進される「デジタルツイン」にも大きく役立ちます。IoTによってセンサーデータを取得してツールに取り込みデジタルツインを構築できれば、工場や製造サイクル全体の最適化を図ることが可能です。

building SMARTでは、すでに国内外のBIM関連活動に限らずスマートビルディングやスマートシティといった先進的なBIM活用分野の開拓も行っています。(※4)

スマートシティやデジタルツインといった分野も1つのプロジェクトに関わる組織や人数が多く、データ共有が重要なポイントとなります。そこでも、すでにBIMの国際標準規格となっているIFCデータが活躍するでしょう。

IFCデータについて、その概要やメリット、今後の展望についてご紹介しました。BIMの国際標準化となっているIFCデータは、今後BIMに関わるなら知っておいて損はありません。

BIMデータにおける重要な連携手段であり、今後もデジタルツインなど多くの先端分野でよく耳にするでしょう。IFCの概要を知っておき、ぜひ今後の仕事にお役立てください。

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参照サイト
※1  https://graphisoft.com/jp/solutions/workflows/open-bim

※2  https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/know/glossary/ifc.html

※3 https://www.building-smart.or.jp/ifc/whatsifcverifi/

※4 https://www.building-smart.or.jp/meeting/technology-coordination/

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