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AI・IoTの活用事例!トンネル工事のシミュレーション編

多くの山々が連なり、土地の面積が限られている日本において、トンネル工事は交通インフラや生活圏を確保する上で非常に重要な役割を果たします。

トンネル工事は大規模なプロジェクトであるだけでなく、最新の技術を優先的に投入していかなければならない高度な現場でもあります。
今回はトンネル工事のシミュレーション方法や、それに関連するAI・IoTの運用事例について、ご紹介していきます。

目次:
①トンネル工事が抱える課題
②鹿島建設の「スマート切羽ウォッチャー」
③清水建設のシールド掘進計画支援システム
④戸田建設の「AI Transformシールド」

トンネル工事が抱える課題

戦後、日本では数々のトンネル工事が進められてきましたが、現在に至るまでその技術も進化してきました。
しかしそんなトンネル工事でも、いくつもの課題がまだまだ残されているのが現状です。

ライフサイクルコストの低減(修繕費用の確保)

現在国内で稼働しているトンネルの多くは、高度経済成長期に建設されたものが大半を占めます。
しかしそれらは竣工から半世紀以上が経過しているにもかかわらず、修繕や適切の点検が行われていません。
このままでは崩落などの大事故に発生する危険性があるため、早急な維持管理への予算配分と修繕費用を確保する必要があるのですが、作業は遅々として進んでいないのが現状です。

こういった負の遺産を産みださないためにも、徹底した維持管理を前提としたトンネル工事を実現し、何世紀にわたって使い続けられるシステムを構築する必要があります。
また、現行の作業の効率化によって、既存のトンネルの修繕費用を確保できるよう、取り組みを進めることも重要です。

施工品質の均質化

トンネル工事の品質の均質化は、その安全性やクオリティを担保する上では大切です。
トンネル工事の品質基準は、施工主が独断で判断している場合も多く、品質管理を相対的に判断する事が難しい場面も多いものです*1。
何らかの業界基準を設け、システムによって一元管理する事ができるようになれば、その管理コストも大きく減少する事が期待できます。

小規模な現場における作業効率の低下

トンネル工事の規模にも大小があるものですが、現場の大きさによって、設備の導入に差が発生することもあります。
物理的な大きさの問題から戸運輸できない設備があるのは仕方ないものの、ソフト面での導入の見送りや、小型設備の見送りがコストの都合で生じてしまうと、結果的にそのプロジェクトの作業効率は低下してしまいます。
あらゆる現場で均質的に使えるテクノロジーの登場が、トンネル工事においては常に求められてきたのです。

鹿島建設の「スマート切羽ウォッチャー」

鹿島建設では、そんなトンネル工事において正確な岩盤の評価をシミュレーションで実現し、安全で効果的な工事環境の実現をIoTの力で実現しました。

リアルタイムで地質を評価

「スマート切羽ウォッチャー」と名付けられたこのシステムは、山岳のトンネル工事においてIoT技術を活用し、リアルタイムでその地質を評価する事ができます。
これまでの山岳トンネルの掘削作業は、事前の地質調査から得られた結果をもとに、切羽で慎重に掘削を進めながら実際の地質を確認してきました。
しかしこの方法では予期せぬ断層の出現や、地質変化に対応する事ができず、危険も伴う作業でもあったのです。

しかし「スマート切羽ウォッチャー」の登場により、発破孔の穿孔データから切羽前方の地質状況を高精度に予測する事が可能になりました。
わずか1分で切羽前方5mの周辺地山も含めた地質状況を高精度に予測し、並行してシミュレーション解析も行う事で、脆弱な部分の割り出しを行う事ができます*2。

クラウドを活用した情報共有

また、システムの予測やシミュレーション結果は、クラウドを通じて現場作業員のタブレット端末などへ迅速に転送されます。
これにより、現場の安全性の把握を速やかに行い、意思決定の高速化へつなげることも可能となっています。
現場作業員が取得するデータは現場事務所や本社技術研究所にも自動的に共有されるため、リアルタイムで現場のバックアップに当たる事が可能です。

清水建設のシールド掘進計画支援システム

一方の清水建設では、AIを活用したシールド掘進計画支援システムの開発が行われています。

AIのシミュレーションでシールド掘進計画を支援

名古屋工業大学と共同で開発にあたったこのプロジェクトは、AIが実際に機械学習によって最適なシールド機操作の計画値や、セグメントの配置計画を導き出す事ができます*3。
従来のシールド工事においても、実際の施工に先立ってシミュレーションを行い、計画値の設定を行ってきました。
三角関数を活用した入念な設定作業を行う必要があり、その分時間を要する作業でした。

しかしAIでは機械学習の力で複数回のシミュレーションを自発的に実施し、計画値の自己修正も実現しています。
自ら精度を高める事ができるだけでなく、AIによって作業を自動化が実現するという事で、高いポテンシャルが期待できます。

シールド機の掘進操作の自動化も視野に

また、AIによる計画修正シミュレーション能力の高さを利用して、シールド機の掘進操作も自動化する事が試みられています。
これまで、シールド樹の操作は作業員が手動で行っており、その品質については作業員の熟練度次第とされてきました。
しかしAIによって算出したデータを計画だけでなく、機械の制御にも応用する事ができれば、掘進操作そのものを無人化させることも可能です。

戸田建設の「AI Transformシールド」

シールド工事の自動化は各社で研究が進められていますが、戸田建設では今年4月にAIによる自動測量、および掘進工事の実現を発表しました。

AIが自動でシールド機を制御

戸田建設が実現したのは、専門家の高度な判断を必要とする掘進管理と測量、および掘進工事そのものです。
屈伸を行いながらAIがデータの集積を行い、膨大な過去のデータベースと照合しながら、現場の評価を行う事が可能になっています*4。

施行中だけでなく、施工後のデータも取得して、クラウドへと集積する運用方法を想定しているため、AIの運用が長くなればなるほど、測定値の取得精度とシールド機の制御の質は向上していく見込みです。

おわりに

トンネル工事は危険が伴いやすい工事であるだけでなく、大きな土木作業を伴うため、コストパフォーマンスや効率化に前向きな分野でもあります。
今後もAIやIoTの投入は積極的に進み、進化した工事のあり方を提案してくれることになりそうです。

 


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出典:
*1 立命館大学「トン ネ ル 工 事における現 場マネジメント業務のシステム化に関する実証的分析― 業 務 実 態 と 課 題 分 析 を 中 心 と し て ―」p.106
https://www.jstage.jst.go.jp/article/procm1993/3/0/3_0_101/_pdf
*2 鹿島建設「より速く、より高精度に地質を評価、切羽崩落事故ゼロへ!」
https://www.kajima.co.jp/news/press/201805/14c1-j.htm
*3 清水建設「AIを活用したシールド掘進計画支援システムを開発」
https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2018/2018005.html
*4 BUILT「シールド工事をAIで自動化、専門技術者の判断を代替」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2004/17/news055.html

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