Google BERTアップデートの内容とは?検索で変わるのはどんなこと?
インターネットで調べ物をするときには、Googleを活用する方が多いでしょう。言葉を入れれば、その言葉に合うページを探してくれる優れものです。そんなGoogle検索では、こまめにアップデートが行われています。2019年の10月には、「BERT(バート)アップデート」というアップデートがなされました。今回は、そのアップデート内容について紹介していきます。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります
①Google BERTアップデートとは何か
②Google BERTアップデートで変わること
③Google BERT導入後の展望と課題
Google BERTはどんなアップデートか
まずは、GoogleのBERTがそもそもどんなものなのかについて紹介していきます。ここを読むと、どんな仕組みがアップデートされるのかがわかるので、参考にしてください。
検索エンジンの枠組み自体のアップデート
Google BERTアップデートは、検索エンジンの仕組み自体をアップデートするものです。BERTとは、検索エンジンで使われているNLP(Natural Language Processing:自然言語処理)の仕組みの一つ。Googleの検索フォームに言葉を打ちこんだときに、検索が実行できるのは、NLPがあるおかげなのです。そのため、NLPは「人間の言葉をコンピューターが理解できるようにするしくみ」と覚えておくとわかりやすいでしょう。Googleのそんな大きな枠組みがアップデートされたと考えると、非常に大きな変化が起きたと予想できると思います。なお、アップデートが発表されたのは2019年10月下旬です。
一番の特徴は「文章として理解すること」
そんなBERTの一番の特徴は、検索された言葉を文章として理解できることです。そのため、話すように検索することが可能となりました。今までであれば、単語と単語の係り受けなどについてはシステムで理解することができませんでした。そこの理解をBERTが可能にしたのです。
例えば、大豆などのベジミートで作ったハンバーグについて調べたいとします。そんなときに「ベジミート」という言葉がよいですが、調べるときにはその言葉自体が思い浮かばない場合もあるでしょう。そんなときに「肉ではないハンバーグ」と調べたとします。このフレーズは、「ない」が「肉」にかかっていると日本語を話す人なら理解できるでしょう。しかし、Googleの検索エンジンはあくまでも機械。これまでのGoogleのNLPでは、「肉」「では」「ない」「ハンバーグ」とそれぞれの言葉を区切った結果が表示されていました。「では」「ない」という言葉がどこにかかっているかは無視していたのです。あくまでも理解のできる「肉」や「ハンバーグ」から検索結果を表示していました。そのため、検索結果には「肉をつかったハンバーグ」に関するサイトが出てきてしまいます。そこを解消したのがBERTアップデート。これにより、「肉じゃないハンバーグ」というフレーズ全体のまとまりを理解するようになったのです。実際に検索してみると、「肉を使わないハンバーグのレシピ」にかんするサイトが表示されているでしょう。
もちろん、BERTにアップデートされたからとはいえ、すぐに検索結果が変わらない場合もあります。BERTは学習をするなかで精度を上げていくからです。そのため、時間が経てば経つほど、利用された検索結果をもとに、さらに学習を進めて高精度になってくるでしょう。
アップデートの背景
そんなアップデートの背景には、検索方法の多様化が関係していると考えられます。パソコンでの検索が中心であった時代を経て、現在はスマートフォンやスマートスピーカーが主流になりつつあります。そのため、今までより気楽に検索ができるようになりました。それに加えて、音声入力での検索も生活に溶け込みつつあります。音声で検索する場合には、どうしても文章やまとまったフレーズになりがちです。つまり、パソコン中心の時代よりも複雑な検索を求めるようになってきたのです。このような背景から、Googleは利用者により最適な検索結果を提供するためにアップデートしたと考えられます。
Google BERTにより検索における変化
それでは、BERTにアップデートされたことにより、Googleでの検索にどのような変化があるでしょうか。3つにわけて紹介していきます。
音声入力でより正確な結果が反映されるようになる
まずは、さきほども解説したように、音声入力で変化が起きるでしょう。例えば、「誰かのために薬局で薬をもらうことができる?」と音声で入力をすれば、「薬局で誰かの代理として薬をもらえるのか」という答えが検索上位にでてきます*1。このように、より正確な結果が上位に出てくるようになったことで、よりスムーズな音声検索が可能となるでしょう。
検索時間の短縮
今までは、「この言葉では結果がでてこないから」と検索のための言葉を考えていた方は多いでしょう。BERTアップデートにより、その手間が不要になります。話すように検索をするだけで、最適な結果が表示されるようになるのです。そのため、検索時間の短縮にもつながります。
今まで以上に関連度の高いサイトが表示される
BERTアップデートにより、検索結果の精度もあがります。文章全体の意味も把握できるため、言い換え表現等も考慮にいれた質の高いサイトが上位に表示されるでしょう。そのため、欲しい情報が手に入りやすくなります。
BERTアップデートによる今後の展望と課題
最後に、BERTアップデート後の展望と課題について1点ずつ紹介していきます。
スマートホームでの検索強化
まず予測できる展望として、スマートホームをはじめとした音声検索の強化があげられます。アメリカで市場分析を行っているコムスコア社によれば、「2020年までに音声入力による検索が全体の半数を占める」 *2といわれています。このような予測からも、BERTアップデートによる音声検索の強化がなされていくでしょう。音声で検索するだけで、最適な結果を表示したり音声で教えてくれる機能は以前からありました。ただし、「よくわかりません」と返されてしまうことも多く、まだ発展途上という印象がある方も多かったでしょう。それが、BERT導入により、より精度の高いものになるという可能性があります。
AIの学習過程におけるバイアスが課題
自動で学習していくことが強みであるBERTですが、課題も報告されています。BERTが学習過程の中で、差別や偏見までも学習してしまう可能性がある3というのです。言葉と言葉の結びつきを過去の資料から学ぶために、学び方によっては性差別的な検索結果が表示されてしまう可能性もあるのだそう。記事3によれば、「お金」や「馬」、「家」、「行動」などの言葉をBERTに入力すると、99個が男性に結びついてしまったらしいのです。このような問題は、他のAI学習でも問題になっているのをご存じの方も多いでしょう。このような差別や偏見に対する対応が、今後のGoogleの課題となっていくと考えられます。
◆まとめ
今回は、GoogleのアップデートであるBERTの内容について紹介してきました。課題はあるものの、今後の発展が楽しみなものといえます。単語で検索するかたちから、疑問を話すように検索できるようになるのは大きな進化です。また、BERTが少しずつ学習をしていくことを考えると、数年後には検索がもっと気軽にできるようになるかもしれません。このアップデートを踏まえて、ぜひGoogleで話すように検索してみてください。
◆参考URL
1) https://www.blog.google/products/search/search-language-understanding-bert/
3)https://www.nytimes.com/2019/11/11/technology/artificial-intelligence-bias.html
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